手首(親指側)の痛みを感じたとき、すぐに思い浮かぶのは捻挫(ねんざ)や腱鞘炎(けんしょうえん)などではないでしょうか。
実際に病院の整形外科を受診してこれらの病気だと診断されたことがあるかもしれませんが、手首の痛みは他にもさまざまな病気の可能性が考えられます。
同じ手首の痛みでも、毎日繰り返し手首を酷使することが原因なら腱鞘炎など、転倒やスポーツ中のケガなどが原因なら捻挫や骨折などと、きっかけによって病気は違うものです。
本ページでは親指側の手首に生じる痛みにはどのような病気の可能性があるか、原因や治し方なども踏まえてご紹介します。
より早く適切な処置を施すための参考にしてみてください。

ドゥ・ケルバン病 または 狭窄性(きょうさくせい)腱鞘炎


引用元: ナースフル(https://nurseful.jp)

手のひらを広げたとき、手首の親指側に腱が張り、2本の線が皮下に浮かび上がるのがわかります。
親指を広げる機能を果たす腱の1本に、長母指外転筋腱(ちょうぼしがいてんきんけん)が。
親指の第2関節を伸ばす機能を果たす腱の1本に、短母指伸筋腱(たんぼししんきんけん)があります。
これら長母指外転筋腱と短母指伸筋腱が通っているトンネルが、腱鞘です。

手首の親指側にある腱鞘を手背(しゅはい・手の甲)第一コンパートメントといい、ここを通る部分に炎症が生じる腱鞘炎をドゥ・ケルバン病(狭窄性腱鞘炎)といいます。
ドゥ・ケルバン病の主な症状は、腱鞘の部位で腱がスムーズに動けなくなる・手首(親指側)の痛み・腫れなどです。
親指を動かしたり広げたときに、強烈な疼痛が起こります。

※ 親指のことを母指(ぼし)といい、手首のことを手関節(しゅかんせつ)といいます。

ドゥ・ケルバン病の原因

女性の患者さんがドゥ・ケルバン病を発症する場合の原因は、更年期を迎えること・妊娠・出産などです。
性別に関係なく、仕事や家事などで手や指を酷使すること・スポーツなども原因となります。
親指を酷使すると負担がかかるので、腱の表面にダメージを受けたり、腱鞘が肥厚します。
これらがさらなる刺激となって、悪循環に陥るといわれています。
とりわけ手背第1コンパートメントの内側には長母指外転筋腱と短母指伸筋腱を分けて通す隔壁があることが原因となり狭窄になりやすい傾向がみられます。

ドゥ・ケルバン病の治し方

ドゥ・ケルバン病の治し方としては、保存的療法が行われます。
腱鞘内ステロイド注射・投薬・シーネ固定などによって局所を安静にすることなどの種類があり、特に腱鞘内ステロイド注射ではトリアムシノロンが効果的だといわれています。
何度も再発したりなかなか回復しないような場合は、腱鞘切開手術が必要になるかもしれません。
手術では橈骨神経浅枝(とうこつしんけいせんし)の愛護的操作や隔壁の切除などの施術がなされます。

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)

手根管症候群の主な症状は、中指と示指(じし・人差し指のこと)の痛みです。
次第に正中神経の支配領域である親指から環指(かんし・薬指のこと)にかけての、3本と1本の半分の指にしびれの症状が現れます。
手根管症候群の病態が急性期を迎えると、痛みやしびれの症状が明け方に増すようになり、朝の目覚めから症状に悩まされるようになります。

痛みやしびれは、指を曲げたり伸ばす動作をしたり手を振ることによって緩和されます。
手がこわばる症状も生じます。
病状が進行すると親指のつけ根辺りが痩せてきて、一般的にOKサインをするときの手の形、つまり親指と人差し指で丸を作る手の動きが作れなくなります。
細かい物をつまんで取ったり、お裁縫が困難になります。

手根管症候群の原因

手根管症候群が突発的に発症する患者さんが多い傾向があり、原因は明らかになっていません
更年期や妊娠、出産の時期の女性が多く発症していることから、女性ホルモンの崩れが原因の一つだといわれています。
滑膜性の腱鞘がむくむことも、原因にあげられます。
透析をしている患者さん、スポーツや仕事などで手を酷使している方、骨折などのケガを負った方などにも多い疾患です。
酷使することが原因の腱鞘炎からむくみなどの症状は、正中神経が圧迫されることから手根管症候群につながります。
これらの他にも、腫瘤や腫瘍などの出来物が原因で手根管症候群にかかる場合があります。

手根管症候群の治し方

手根管症候群だと疑われる症状が現れたときには、ガマンするのではなく病院の整形外科で診てもらいましょう。
手根管症候群だった場合の医師による治し方は、まず保存的治療が行われます。
保存的治療とは、手術ではない治し方のことです。
腱鞘炎を改善するための手根管内腱鞘内注射・シーネ固定などによって局所を安静にすること・仕事やスポーツの軽減・塗布(とふ)薬・ビタミンB12などの飲み薬・消炎鎮痛剤などが用いられます。
手根管症候群の中でも母指球菌がやせた状態になっている・腫瘤がある・難治性であるなどの場合は、手術が行われます。

舟状骨(しゅうじょうこつ)骨折

舟状骨骨折の舟状骨とは、8つある手首の手根骨の中で親指側にあるものです。
舟状骨は手根骨の中でも重要な役割を持っている骨で、弓なりに曲がった形状が船底のように見えることから舟状骨という名前がつけられました。
舟状骨は親指の列に位置しているので、別の指の列に対し45度傾いています。
そのことが原因で、一般的なレントゲン(X線)写真で撮っても骨折が確認できづらい傾向があり、病院での診断でも見逃される場合があります。
舟状骨骨折の適切な治療を受けないままでいれば骨折部分の骨がつかなくなる偽関節になりやすいリスクがあります。
骨折ではなく捻挫だと勘違いして適切な治療を施さないままでいた結果、偽関節になる患者さんが大勢います。

舟状骨骨折の原因

舟状骨骨折を発症する主な原因は、交通事故に遭ったりスポーツ中のケガなどで、手首を背屈した状態で手をつくことなどです。
急性期の時期には、手首(親指側)の痛みや腫れなどの症状があります。
急性期のあとにはひとまず緩和するのですが、放っておくと骨折した部分がつかなくなって偽関節を発症させる場合があります。
偽関節になれば、手首の関節の変形がどんどん進み、痛みの症状が現れ、動きにくくなったり力が入らなくなったりします。

舟状骨骨折の治し方

血行があまりよくない舟状骨は、骨折をするととても治りにくい性質があります。
発症してから早い段階で正しい診断を受けることができれば、ギプス固定による治し方が行われることもあります。
ギプス固定で治すとなると多くの場合で長い期間を要するために、近年では専用のネジを用いて固定する方法が採用される傾向があります。
この治し方であれば治療期間をギプス固定よりも短くできるため、積極的に採用されています。
舟状骨骨折から偽関節になった場合、そのままにしておいたことが原因で舟状骨も含めた手首全体が悪化するケースが多々みられるために手術が必要となります。

キーンベック病


引用元: 鍼灸整骨すぽると(http://xn--tqqz41aqshqs1b.com/)

キーンベック病は、月状骨がつぶれて扁平化する疾患です。
手首には8種類の手根骨があり、月状骨はその中でもほぼ真ん中にある骨です。
月状骨のまわりは軟骨ばかりでおおわれていることから、血行があまりよくないので、血流障害を発症させて壊死しやすい性質があります。

キーンベック病の原因

キーンベック病を発症する原因は、まだ解明されていません
患者さんが特に多いのは、仕事で手を酷使する青年期から壮年期の男性です。
年配者や特に仕事に従事していない女性、外傷に対しキーンベック病が診断されるケースもあります。
月状骨の小さくてハッキリしない骨折(不顕性骨折)が原因だという説もあります。

初期段階のキーンベック病は血行不全によりMRIやレントゲン(X線)検査を行うと、輝度の変化を確認することができます。
末期の段階に移行した状態では無腐性壊死(むふせいえし)になり、つぶれ平べったくなります。

キーンベック病の治し方

キーンベック病の治し方は、患者さんの年齢や症状によって異なります。
初期段階やズキズキとした痛みの症状がある場合は、装具・ギプスを用いた固定や安静にする治療が行われます。
これらの治療をしても改善しない場合は、さまざまな手術の中から検討されます。
血管柄付きや遊離などの骨移植、月状骨にかかる力を減少させる目的で橈骨短縮骨切り術などです。
末期まで進行した場合の治し方は、すでに月状骨が壊死していますので摘出したり、摘出後の患部に腱を丸めスペーサーとして用いる(腱球挿入する)方法などが行われます。

骨折

骨と周りには血管や神経がたくさんありますので、骨折したときには患部に腫脹と痛みが現れます。
重度の骨折に至ると、見た目が変わったり動かすこともできない症状になります。
ただの関節脱臼や打撲をした場合も同じような症状が現れますので、本当に骨折かどうかを判断するためには病院でレントゲン(X線)写真を撮る必要があります。

骨折の原因

骨折の定義は骨が壊れることですので、厳密には骨がへこむ・部分的に欠ける・ヒビが入るなど全て骨折ということになります。
なんらかの力が骨に加わることが、骨折の原因です。
骨が健康な状態であるなら、加わる力が非常に大きくなければ骨折はしないものです。
骨が部分的に溶けていたり、全体的に骨が弱まっている場合は、加えられる力が弱くても骨折してしまう可能性はあります(病的骨折)。
いくら健康な骨を持っている人が相手で、加えられる力が弱いとしても、同一患部に長い期間をかけて何度も力を繰り返し加えられ続ければ骨折することもあります。

骨折の治し方

生きた細胞が骨内部にあり、骨折した場合でも治癒する能力を持っているものです。
とはいえ、条件を整えないことには骨がつくようになりません。
骨のつきやすさは、折れ方や部位などによって同じではありません。
骨折後に骨が付きやすい条件とは、患部に元気な細胞が豊富にある・発症部位の動作が少ない・骨折によるずれが小さいなどがあげられます。

骨折は、骨がついただけでは不十分で、患部の骨周りも健康である必要があります。
患部がぐらつかないようでしたら、周辺にある筋肉や関節も動かした方がいい症状が多いものです。
過剰に安静にすることは、逆に骨折の改善にはマイナスになってしまいますので注意しましょう。

ガングリオン


引用元: ソルティー(www.fishing.ac)

ガングリオンは手首などに発症する腫瘍のことで、内部にゼリー状の物質が入っています。
よくあるガングリオンは手の甲側である手関節背側に発症するもので、手首にある関節を包む袋(関節包)につながっています。
他にもガングリオンは指のつけ根の掌側の腱鞘がある辺り、手首の親指側の掌側にある関節包などに発症しやすい傾向がみられます。

ガングリオンの原因

ガングリオンは、腱鞘の部分や関節包が原因となって発症します。
患者さんは若い世代が女性に多いのが特徴的で、手を酷使する方ばかりがかかりやすい疾患というわけではありません。

ガングリオンの治し方

ガングリオンは症状が現れずに腫瘍だけという場合、わざわざ病院で受診せず放っておいても問題ありません
とはいえ、本当にガングリオンだという診断を受けることは大切ですので、整形外科で診てもらった方が安心できます
ガングリオンには、さまざまな種類があります。
神経が圧迫を受けて運動障害や痛みなどの神経障害があるタイプ・激痛があるタイプ・大きくなるタイプの場合は、治療を受ける必要があります。
まずは保存的療法が行われ、いくら治療をしても内容物が溜まり続ける場合は、手術による治し方が行われます。

回復しなければ病院で適切な治療を

手首(親指側)の痛みはお伝えした以外にも、橈骨遠位端(えんいたん)骨折・関節リウマチ・一般的な腱鞘炎・靭帯の損傷(捻挫など)など可能性があります。
安静にしたり、市販の冷湿布を患部に貼ったり、サポーターやテーピングで保護するなどしても回復しない場合には、病院で適切な治療を受けましょう。
どのようなきっかけが原因でどのように発症したか、ひねると痛い、曲げると痛いなど症状を具体的に伝えれば、正確な疾患の特定につながるので早期の回復に役立ちます。

スポンサードリンク

スポンサードリンク