手をよく使う作業や家事を日常的に行っていて、手首(小指側)の痛みを抱えているということはないでしょうか。
一過性のものならいいのですが、いくら経ってもなかなか痛みが改善・解消されないという場合は、ケガや病気から生じるサインかもしれません。
手首(小指側)の痛みの症状が現れる原因として、どのような疾患が考えられるのかをまとめました。
それぞれに発症する原因と治し方をご紹介していきます。

変形性関節炎

変形性関節炎は、関節周辺に違和感・引っかかり感・腫脹・疼痛などの症状があります。

変形性関節炎の原因

関節軟骨は関節の表面をおおっており、軟骨細胞は主に糖タンパク(プロテオグリカン)と2型コラーゲンの2成分で作られています。
神経線維の分布や血行が関節軟骨にはありません。

機械的刺激などを受けることで、関節症は軟骨の摩耗や変性が発症します。
関節周りを囲んでいる滑膜が炎症を伴った場合は、変性が進んでしまいます。
さらに、関節周りにある骨軟骨形成などといった増殖性変化も同時進行する場合が考えられます。
こうした変化が原因となって、神経線維や血管の増生を併発した関節包の線維化が生じ、痛くなりやすくなります

症状や病態では、変形性関節炎と同時に腫脹・自発的疼痛・腫脹が原因の可動域制限や動かしにくさが現れます。
軟骨が磨耗するほど変形性関節炎の発症リスクが高くなり、荷重が何度もあることによって疼痛が起きやすくなります。

変形性関節炎の治し方

外傷・体重による負荷・手首や手首につながる部分の酷使などをきっかけとして軟骨がすり減ることが、関節症の発症原因となります。
とはいえ、軟骨がすり減ることだけが発症を引き起こすとは断定できません。
症状が現れたことで、初めて病気が断定されるケースも多々あります。

変形性関節炎の治し方としては、軟骨のすり減りを防ぐ作用を発揮する治療法はまだ開発されていないのが現状です。
これ以上進んでしまわないためにできることはあります。
変形性関節炎のコントロール・労働量を減らす・肥満改善・適度な運動などが有効です。
患部の周りにある筋力をキープすること・柔軟性を保つことが、機械的な治し方として重要視されています。

三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷

三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷は、尺骨手根骨(しゃっこつしゅこんこつ)間という手関節(しゅかんせつ)の小指側に位置するいくつもの軟骨板や靭帯(じんたい)で形成されている支持組織です。

三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷の原因

三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷が発症する主な原因は、外傷です。
地面に手をついて転んだとき体重を乗せてしまったり、重量のある荷物を持ち運んでいたら手関節をひねることで、三角線維軟骨複合体(TFCC)を断裂させてしまいます。
断裂はたった1回の強烈な衝撃を受けることでも、反対に何度も繰り返すことでも発症します。
手関節をよく使うテニスや野球などの競技や、加齢や労働で生じる変性損傷でも三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷を引き起こす可能性があります。

主な症状は、三角線維軟骨複合体(TFCC)の激痛です。
毎日の暮らしで行われる活動作により慢性的な痛みが継続して症状が進行した場合、手のひらを外返しや内返しする回内回外運動が困難になります。
日常的に行われている回内回外運動として、ドアノブを回す動作などがあげられます。

三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷の治し方

三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷の形や程度の検査は、病院で関節造影やMRIなどの画像検査で明らかになります。
診断されたら、初期の患者さんには主に物理療法・テーピングやサポーターでの固定・消炎鎮痛剤の投与・安静にするなどの治し方が遂行されます。
これらの保存的治療を実施しても病態が回復しないときには、ステロイド注射を手関節に打つケースもありますが、軟骨の性質を変えてしまう可能性がありますので慎重な判断が求められます。
縫合術・滑膜切除・三角線維軟骨複合体(TFCC)の切除などが関節鏡手術で行われます。

腱鞘炎(けんしょうえん)

腱鞘と腱の間に炎症が発症するのが腱鞘炎です。
腱鞘は腱が通っているトンネルのことで、健康なときには摩擦が生じることなく、滑らかに折り曲げられます。
なにかの炎症が腱鞘部分に発症すると、滑らかにすべりにくくなり摩擦が起きるようになり痛くなるのが腱鞘炎です。

腱鞘炎の原因


腱鞘炎は作家・漫画家・手を使用する家事が多い主婦・キーボードに入力する業務など、一定の関節を長時間に渡って稼働させたり、ケガや関節炎が原因となってかかるケースがあります。
女性で腱鞘炎になる方は、出産や更年期などのホルモンバランスが変わる時期に生じやすい特徴がありますので気を付けてください。

腱鞘炎の治し方

まずは、原因である手首への負担を軽減させることが重要です。
手首に専用コルセットを着用して作業を行ったりテーピングをするなどが、具体的な方法です。
実践してもあまり効果が実感できなければ、手首(小指側)の痛みがある部位を冷やすために、冷却スプレーや湿布の使用が有効です。
腱鞘炎の症状が進行してしまうとこれらの治し方では効き目が出ませんので、手術が必要になることも考えられます。
手術内容は腱鞘を切開し、ダメージを受けている組織を除去するというものです。
手術が必要になる前にできることなら酷使している手首への負担を軽くできるように調整し、不快感が除去できないときには病院で痛み止めの注射をしてもらうなどされてはいかがでしょう。

手首を酷使しないようにするのが難しいという方は多いでしょうし、病院へ行く時間も確保できないというときは、市販薬で乗り切るという選択肢もあります。
市販薬よりも病院で医師の治療を受けた方が効果は高いのですが、市販の冷湿布を貼るだけでも痛みの緩和が期待できます。
腱鞘炎は炎症が生じて引き起こされますので、最初は温湿布ではなく冷湿布を貼ります。
冷湿布を貼っていてある程度まで痛みが収まったら、温湿布を貼ると血行促進ができるので効果的です。
市販の塗り薬で腱鞘炎の改善をしたい場合には、フェルビナクやインドメタシンが配合されたものがおすすめです。
炎症抑制作用があり、ドラッグストアでいろいろな製品が市販されています。

捻挫

靭帯の損傷(捻挫など)が原因で手首(小指側)の痛みが生じる場合があります。

捻挫の原因

捻挫の定義は、力が関節に加わったことで生じるケガの中で脱臼や骨折以外のもの、つまりレントゲン(X線)で検査をして異常が確認できない関節に負ったケガです。
X線で写らないケガは、捻挫ということです。

捻挫は転んだりスポーツなどをしていて指や手首、足首などをひねり、無理な力が関節に加わったり、関節が傷ついたり、関節をおおっている関節包が損傷を受けたり、関節の内部で骨同士をつないでいる靭帯が切れたり伸びたりしたことが原因で発症します。
他にも、ねじれや何らかの衝撃を受けたことで関節が伸び過ぎたり、関節の可動域を越えて曲げたりなども捻挫につながる原因です。
関節がぐらついたり、痛みや腫れなどの症状がスムーズに改善されないなどという病態は、捻挫ではなく靭帯断裂や骨折などの可能性も考えられます。

捻挫の治し方

捻挫は、患部である関節の痛みや腫れなどの症状が生じます。
どれほどの損傷を負ったかによって症状の程度は比例するのですが、靭帯の中には痛みを実感しにくいものもあります。
痛みが少ないから大したケガではないと誤解しないように気をつけ、適切な治し方をしていくことが大切です。

多くの捻挫は負傷してから1か月~2か月程度で、強烈な痛みは感じなくなっています。
普段の生活を送るのに捻挫がネックになることはなくなりますが、スポーツなどを行ったときにはひねると痛い、曲げると痛いなどの症状があります。

捻挫の治し方、大きく2種類に分けることができます。
保存的治療と呼ばれる手術以外の方法と手術の2つです。
手術と聞くと切開をして目立つ傷が残るようなイメージがありますが、近年の捻挫手術の傾向は変化しています。
内視鏡(関節鏡)が使用されるなどにより、小切開で行える手術がたくさんあり、スピーディな回復が期待できるようになりました。
捻挫は2種類あるどちらの治し方を行ったとしても、早い段階でスポーツを再開できるようになってきています。

橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折

橈骨遠位端骨折は激痛が手首に生じ、負傷してから間もなく患部が腫れ上がるという症状がでます。
ケガの負い方により違いがあるものの、例えば手のひらを着いて転倒した場合、フォークを下向きに置いたような形になります。
腫れ方や骨の折れ方によっては神経が圧迫されることで指にしびれが生じたり、逆の手で支えることを余儀なくされるほど、力を入れられずにブラブラの状態になるケースもあります。

橈骨遠位端骨折の原因

橈骨遠位端骨折は、バイクや自転車で走行していて転倒し、2本ある前腕の1本である橈骨が遠位端(手首のところ)で生じる骨折のことです。
特に骨粗しょう症で骨が弱くなっている閉経後の中年より上の世代の女性は、容易に骨折してしまいます。
中年以上の女性ばかりでなく若年層の方であっても、例えば交通事故に遭うなどして外部から強烈な力が加えられたときや、高所から転げ落ちて咄嗟に手をついたときなどでも橈骨遠位端骨折をする可能性があります。
子供が橈骨遠位端骨折をした場合には、成長軟骨板と呼ばれる橈骨の手首側に位置する部位で骨折します。

橈骨遠位端骨折をしたときに、もう片方の前腕の骨である尺骨の先やその手前の部位まで一変に骨折するケースもあります。
正中神経が手のひら側にある橈骨に通っており、これが骨折した骨や腫脹が原因で圧迫を受けると、親指(母指)~薬指の感覚に障害が生じます。

橈骨遠位端骨折の治し方

静脈麻酔や腕の麻酔を用いて痛みを除去し、ずれてしまっている骨片を指先方向へ手を引っ張ることで整復操作します。
引っ張る力を弱めても骨片が動かない場合には、その状態でギプスシーネやギプスにより固定を行います。
症状によって、手首の関節側にある骨片が部分的にずれた状態のまま戻らないものや、引っ張る力を弱めたことで骨片がずれるものは、手術を行うことになります。

患者さんが子供の場合は、骨片が十分に整復できなかったとしても、手術をする必要がありません。
まだ年齢的に自家矯正力が豊富に備わっていますので、骨がスピーディに癒合するからです。

関節リウマチ

関節リウマチは、滑膜と呼ばれる関節の内部にある組織が異常に増えたとき、関節内部で慢性タイプの炎症を発症させる疾患です。
初期症状としては、左右対称に両手や両足の指の関節が腫れます。
個人差があるものの、激痛のために日常生活に支障をきたしたり、水が蓄積することで動きづらくなるなどの症状もあります。

関節リウマチの場合は他とは異なり、手首(小指側)の痛みだけでなく全身に発症する病気です。
小指側の手首の関節だけにとどまらず全身の関節に拡がるケースでは、手首や指の関節が破壊され、関節が脱臼して形が変わったり、指が短くなるなどします。

関節リウマチの原因

関節リウマチの原因はまだ解明されていませんが、ウイルスや細菌の感染、遺伝的要因などといわれています。

関節リウマチの治し方

原因が解明されていませんので予防方法はないのですが、発症してからの進行を防ぐには栄養バランスのいい食生活を送ることや、十分な休養を取ることなどが大切であることが分かっています。

基本的な治し方は薬物療法で、非ステロイド性消炎剤や抗リウマチ剤が用いられます。
患者さんの症状に応じて、生物学的製剤・免疫抑制剤・ステロイド剤なども使用されます。

改善しなければ整形外科の受診を

手首(小指側)の痛みを発症するケガは、上記でお伝えした症状以外にもキーンベック病・ガングリオン・骨折などがあります。
骨折などの場合は、すぐにでも治療を開始しなければいけません。
関節リウマチや腱鞘炎などの場合は、なにも手を施さずに放置することで、どんどん症状が進行していきます。
安静にしていても痛みが改善しないときには、できるだけ早く整形外科で診てもらってください。

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