脂肪肝といえば酒飲みがかかる病気のイメージがありましたが、アルコールを飲まない人でもかかる病気だということが最近になって分かってきました。
脂肪肝は軽い疾患だと長年に渡って認識されてきましたが、改善の努力をしなかったり医師の指示を仰がなかった場合、重い疾患につながってしまうケースも考えられます。
本ページはそんな脂肪肝はどんな原因で発症するのかを知ることにより、原因である生活習慣の見直しをして回復させることを目指した内容になっています。
すでに脂肪肝だと医師から診断を受けている方や、もしかしたら脂肪肝予備軍かもしれないという方などにとって回復の一助になれれば幸いです。

脂肪肝とは

脂肪肝は、過剰な量の脂肪が肝臓に蓄積されている状態です。
運動不足や過食でカロリーオーバーの状態が続いていると、脂肪肝を発症させてしまいます。
脂肪肝といえば、以前はアルコールが原因だと考えられていました。
肝臓は沈黙の臓器といわれているように、病気にかかってもほぼ自覚症状を感じることがありません。
脂肪肝が発症する肝臓という臓器は、細胞の約70%以上が破壊されるまでは自覚症状が現れないといわれています。
現在は、普段アルコールを飲まない患者さんも増え、日本人の4人に1人が発症しています。

以前は軽い疾患という認識でしたが、実際に脂肪肝にかかるとそれだけ終わらず、肝臓がんや肝硬変などの重篤な疾患に進行するケースもあります。
その他にもいろいろな生活習慣病を発症しやすくなりますので、脂肪肝は決して軽視できる病気ではありません。

脂肪肝にかかる原因

脂肪肝は、どのような原因で発症するのでしょう。
現在の日本は食の欧米化がされたことにより、以前よりも脂肪肝を発症する方が増えています。
原因さえ知ることができれば、予防や回復がしやすくなります。

エネルギーの摂取量と消費量のバランス

脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が溜まることが原因で発症します。
脂質を食べ物から摂取するとまずは小腸で吸収され、脂肪酸へと肝臓で分解されます。
糖質はブドウ糖へと分解され小腸から吸収されると、中性脂肪に肝臓で変わります。
消費されるエネルギーと食べ物から摂取したエネルギーが偏っていなければ問題ありません。
糖質や脂質を過剰摂取し、それに加えて運動量が不十分であれば、消費しきれなかったブドウ糖や脂肪酸が肝臓で中性脂肪として蓄積されてしまいます。
肝臓が健康な状態のうちは、中性脂肪を約3%~5%蓄積することができます。
蓄積された中性脂肪が肝臓脂肪の約30%を超えてしまうと、脂肪肝と診断されます。

お酒の飲み過ぎ

アルコールの過剰摂取も、中性脂肪が肝臓に蓄積する原因となります。
体内でアルコールの分解が行われる際に、中性脂肪の合成(2つ以上のものが合わさって一つの新物質を作ること)がされやすくなるためです。
さらに肥満になった場合は脂肪酸が肝臓内で燃えにくくなるという性質があるため、やはり中性脂肪が肝臓で蓄積されやすくなります。
食べる量を急激に減らすなどの激しい減量を行った場合、低栄養性脂肪肝という種類の脂肪肝になるケースがあります。

アルコールを飲まなくても発症する

大量のアルコールを摂取することが肝臓に負担をかけることは、広く認識されているところです。
ただ、日本人に的を絞ると脂肪肝の発症で多いのはNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)であることがわかっています。
NAFLDとは、アルコールの過剰摂取ではなくむしろ過食などが原因で〉生じる脂肪肝の総称です。

NAFLDは、NAFLとNASHの2タイプに分類されます。
NAFLは単純性脂肪肝のことで、軽度の症状で回復しやすいタイプです。
NASHは非アルコール性脂肪肝のことで、重い症状を発症します。
NASHを発症したまま治療を施さないで放っておくと、肝細胞がんや肝硬変へ進行することが分かっています。
NA FLからNASHに進むケースも考えられます。
脂肪肝だと診断された全ての患者さんが症状を悪化させるわけではないものの、病気をできるだけ早い段階で発見し、発症原因である肥満や生活習慣の改善を行って経過観察を行うことが大切です。

脂肪肝の症状

脂肪肝というとこれまでは中性脂肪が肝臓に溜まるというだけで、命に別状がない疾患という認識をされてきました。
現在ではNASHへと悪化したり、心疾患の心筋梗塞や狭心症などの合併症を引き起こすリスクが高く、生活習慣病の引き金になることも解明されています。

脂肪肝にはこれといった痛みなどの症状がありませんので、病気の自覚がないままドロドロ血になっていきます。
血がドロドロになって流れが悪くなれば、十分な栄養分や酸素が全身に行き届かなくなります。
これが原因で頭がボーっとする・肩が凝る・疲れやすいなどの症状が現れる患者さんもいます。
これらの症状があるようでしたら、一度医療機関へ足を運んで血液検査を受けてみることをお勧めします。
健康診断の結果がありましたら、ALT(GTP)が肝機能を示していますのでご覧になってみてください。
ALT(GTP)の数値が20(IU/L)を超えていると、基準値は30(IU/L)以下ですから脂肪肝予備軍であることが読み取れます。

脂肪肝の治し方

脂肪肝にかかった原因が生活習慣である患者さんは、原因を見直すことができれば症状は快方に向かいます。

生活習慣の見直しで治そう

飲酒をお休みし、適度な運動を日常生活の中に取り入れ、食事療法を実践していくことで、薬やサプリメントを利用しなくても減量することは可能です。
生活習慣を見直すことで2kg程度減量すると、肝臓に蓄積していた中性脂肪は減少していきますから、肝機能を改善させることができます。

人間の体につく脂肪にはいくつかの種類がありますが、肝臓に付着した脂肪は皮下脂肪や内臓脂肪とは異なりスムーズに落ちやすいという性質があります。
ただ、その反面脂肪は肝臓から順番についていくという性質もあるのが難点です。
つまり、脂肪をすぐに落とすことができても油断して減量前の生活習慣に戻ってしまえば、また容易に体重が増加しやすいというわけです。
脂肪肝が治ってから再び発症した場合、NASHに移行するリスクが高まる傾向があります。
一時的に痩せて脂肪肝を治すことができたとしても、発症の原因を作った元通りの生活に戻らないよう気をつけましょう。

中性脂肪を増やさない食べ方

食べ物や飲み物によっては、口にすることで血糖値が急激にアップします。
血糖値が上昇し過ぎるのを防ぐために、インスリンと呼ばれる血糖値を下げる役割を持ったホルモンがたくさん分泌されます。
余分な糖は、インスリンの働きで中性脂肪として蓄積されます。
血糖値を急激に上昇させないことが、脂肪肝の予防には欠かせません。

献立を変えなくても、血糖値を緩やかに上昇させることは可能です。
そのためには、まず食べる順番を意識することです。
最初は野菜のメニューを食べて、次に魚や肉、最後は炭水化物(ご飯やうどんなど)の順番を守るようにしてみてください。
順番を守った上で、さらにできるだけ多く噛む習慣をつけます。
この2つを実践していけば血糖値は緩やかに上がっていき、大量のインスリンが作られないようにできます。

緑茶で脂肪肝を防ごう


NASHの発症は、活性酸素を継続的に浴びることに影響を受けます。
活性酸素は、紫外線・タバコ・ストレスなどで作られます。
この活性酸素は、日本人にとって馴染みの深い緑茶を飲むことによって消すことが可能です。
緑茶にはカテキンが含有されており、このカテキンが体の中、とりわけ肝臓内で生じる活性酸素を消す効果を持っているからです。
緑茶のカテキンはメタボリックシンドロームにも効果的だという研究結果も出ていますので、脂肪肝を防ぐことができるというわけです。

糖質を制限しよう

脂肪肝の治し方と聞いてまず思い浮かぶのは、脂っこいメニューを食べないなどの食事療法ではないでしょうか。
意外かもしれませんが、脂質よりも脂肪肝の改善で必要とされているのが糖質の制限です。
普段の食生活の中で大量の糖質を摂取している方は、脂肪肝にかかるリスクが高いことが知られています。
特に注意したいのが、果物の食べ過ぎです。
フルーツに含まれている果糖は体内への吸収力が優れていることから、肝臓に届いたときに中性脂肪に変化しやすい性質を持っています。

体重を2kgも減らすというとハードな運動や食事制限が必要そうですが、糖質を減らすことで無理なく可能にできます。
麺類・パン・ご飯を食べるとき、毎食たった一口分だけ残す習慣をつけましょう。
1か月続けることによって約500g減量することができますから、これを4か月行えば体重を今より2kg減らせる計算になります。

フルーツが大好物で毎日でも食べたいという方は、1日に食べる目安量を2分の1コに切り替えてみてください。
食べるタイミングは、朝ごはんのときです。
今が旬のフルーツを食べることで、季節を感じられる程度の量が理想的です。

2つの簡単運動で太りにくい体質づくり

脂肪は筋肉によって燃焼させることができます。
ということは、筋肉量を増加させられれば脂肪肝対策ができることになります。

ハードな運動を行わなくても、軽度な筋トレをするだけで肝機能を改善させられます。
基礎代謝を増加させられれば太りにくい体質になれるのですが、そのためにはインナーマッスルを鍛えることが有効です。
以下の2つの運動なら簡単にできるため、途中で挫折することなく長く続けられるでしょう。

  • 片足立ち ── 直立した状態からスタートし、右足を床から約5cm~10cmほど上げていきます。
    片足立ちの状態のまま、約1分間キープしてください。
    右足が終わったら、同じように左足でも行います。


    最初のうちは特にふらついてしまうものです。
    片足で立つことが難しいと思ったら、軽くテーブルなどに手を置いて体を支えても問題ありません。
    回数を重ねるうちに、支えなしでも片足立ちできるようにしていってください。

  • スクワット ── 最初の姿勢は肩幅に両足を開き、前方に両手を伸ばし背筋を伸ばし立ちます。
    約5秒間かけてヒップを突き出すような体勢で、腰を落としていきます。
    また約5秒間かけて最初の姿勢に戻るのですが、その時に太ももに力を入れるようにしてください。
    これを1セットとし、5セット行います。
    余裕がでてきたら、お腹をへこましながら行うようにすると効果がアップします。

標準体重を目指そう

肥満が原因で発症している場合は、標準体重を目指して調整していきましょう。
標準体重は、身長から算出することができます

身長(m)×身長(m)×22 = 標準体重

の計算式で算出できます。

算出された標準体重から、1日に必要な摂取エネルギーを出すこともできます。
適正量を守ることができれば、カロリーセーブがしやすくなります。

標準体重(kg)× 25 ~ 30 = 1日あたりの適正な摂取エネルギー量(kcal)

標準体重に掛ける数値の25~30は、その人の運動量で決めます。
例えば、1日の活動量が普通程度~立ち仕事などが多い方の場合は、30を加算してください。
あまり運動量が多くない職業や、座ったままの時間が長いデスクワークの方などの場合は、25を加算しましょう。

カロリー計算は数字だけを比較するのではなく、どの栄養素をセーブするかということも重要なポイントです。
脂肪肝の対策が目的ですので、肝臓を修復させる原料となるタンパク質は減らさないようにし、中性脂肪を作る糖質などを減らすようにしてください。

自覚症状がなくても対策を取ろう

肝臓は沈黙の臓器といわれていることからも想像できるように、肝臓に異変が生じてもすぐにはほとんど自覚症状を感じることができません。
健康診断を受けて脂肪肝だ指摘を受け、対策をしていれば改善することができた進行状況でも、症状が出なかったので放っておくという方も少なくないと考えられています。
軽視されがちな脂肪肝ですが、なにも対策をせずに放置していると、病状はどんどん進んでしまう可能性があります。
進行すると、最初は脂肪肝でも糖尿病や肥満などの合併をして重篤な病気に発展することもありますので、原因となった生活習慣の見直しをするなどして早めに手を打ちましょう。

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