大人の麻しん(はしか)は聞いたことがないかもしれませんが、決して子供だけが発症する感染症というわけではありません。
麻しんは他の多くの病気とは異なり特効薬が開発されていませんので、できる対策といったらワクチンを接種する予防ということになります。
予防接種がある日本ではウイルスを排出する麻しん患者自体が少ないと油断しそうになりますが、外国へ行けばまだまだ流行している地域があり、感染して帰国するケースが起きています。
麻しんの知識が十分にないために海外で感染し、帰国して発症しウイルスを拡散させてしまうことがないよう、大人こそ麻しんの対策を取ることが求められます。
本ページでは大人の方に向けた麻しん(はしか)の情報をお届けします。

大人の麻しん(はしか)もある

麻しんは感染症の一種で、はしかの名称の方が聞き馴染みがあるかもしれません。
麻しんは子供がかかる病気のイメージが強いかもしれませんが、予防接種を受けていなかったり自然に発症したことがなければ、大人であっても感染することがあります。
大人であろうが子供であろうが、麻しんの免疫を持っていない方は、同じような流れで高熱や赤い発疹などの症状が現れます。
大人も子供も麻しんウイルスに感染すれば、重症化するリスクが高いといえます。
特に、年齢が低い子供ほど重症化する確率が高まる傾向がみられます。

合併症が起こる頻度が高いことも、大人と子供で共通しているところです。
特に脳炎と肺炎の合併症を引き起こすと重篤になるということにおいても、大人と子供と変わりはありません。
麻しんに感染したら、大人も子供も合併症に注意してください。

麻しんの発症原因

はしかは、麻しんウイルスが感染することが原因で発症します。
直径100~250ナノメートル(nm)という麻疹ウイルスは、パラミクソウイルス科に属するウイルスです。
ナノメートルという単位で表現されてもあまりピンとこないかもしれませんが、100ナノメートルはおよそ1/10,000ミリメートルですから、いかに微小なサイズかということがわかいります。

麻しんの症状

麻しんを発症すると、主に鼻水・咳・発熱・全身に現れる紅斑(赤い発疹)などの症状が現れます。
体内にウイルスが侵入したあと、まだ症状が現れない潜伏期間が10日~14日くらいあってから症状がでてきます。
高熱(約38度)が生じ、まるで風邪を引いたかのような鼻水や咳などが2日~3日ほど継続して出たあと熱がおさまるのですが、再び発熱の症状が現れます。
2回目も高熱となり、このときは白い斑点(コプリック斑)が何個も発症し、全身に発疹が広がります。

はしかで合併症はある?

ここで患者さんによって、合併症がでる方とそうでない方とに分かれます。
合併症に至らなかった場合は、2回目の熱は5日程度で低下してきます。
できていた発疹は色が薄くなってきて、皮がむけて快方に進みます。

麻しんによって考えられる合併症は中耳炎・肺炎・脳炎・亜急性硬化性全脳炎・心筋炎・クループ症候群などで、悪化するケースもあります。
はしかが原因の2大死因に、重篤な脳炎と肺炎があげられています。
どいらも高い致死率となっており、特に後遺症が重い脳炎の場合は麻痺・失明・痙攣(けいれん)・知能の障害などが生じるケースも考えられます。

中耳炎

細菌が二次感染するときに発症し、はしか患者がかかる合併症としては最多の5%~10%を占めています。

肺炎

細菌が二次感染するときに発症します。
また、肺炎には間質性肺炎という、自己免疫が暴走することで発症する合併症もあります。

脳炎

はしか患者の1,000人に1人が発症しているという合併症です。
肺炎や中耳炎ほど頻度は高くないものの、死亡原因としては肺炎に並んでいます。

亜急性硬化性全脳炎

はしか患者の10万人に1人が発症している合併症で、はしかにかかってから7年~10年経って発症することがあるという中枢神経疾患です。

心筋炎

はしかの経過中半数以上に一時的に心電図異常が確認されるといわれていますが、重い症状に発展することはほとんどありません。
心外膜炎と心筋炎を合併するケースもあります。

クループ症候群

クループ症候群を引き起こす喉頭気管支炎や喉頭炎は、大人よりも乳幼児を中心とした小児の発症率の高い合併症です。

※これらの他に、妊婦さんがはしかを発症すると、早産や流産のリスクが高まるといわれています。

麻しんの感染経路

麻しんの感染経路は、麻しんウイルスが人間から人間へうつります。
とても強力な感染力を持っており、症状が進行して重篤になると生命の危機にもつながる可能性があります。
すでに発症している患者さんの体内から麻疹ウイルスが排出され、空気中に飛び散ったものを吸い込んでしまうと、空気感染という感染経路でうつってしまいます。
空気感染以外には、手に麻疹ウイルスが付いていることを知らずに鼻や口に触れたとき、体内に侵入してかかってしまう接触感染
患者さんとおしゃべりをしたときや、患者さんがしたくしゃみや咳から飛んできた麻疹ウイルスを吸い込んでかかる飛沫感染という感染経路もあります。

人間から人間へうつる麻疹ウイルスですが、患者さんがはしかを発症してからいつぐらいまで他人に感染するものなのでしょう。
はしかはウイルスが感染してからすぐではなく潜伏期間を経て症状が現れますが、症状が出る4日前より、発疹が現れてから4日~5日程度までです。
最も感染する可能性が高いのは、発疹が出る前の時期です。

はしかは高熱が2回出ますが、1回目ではしかに感染したかを自己判断するのは困難かもしれません。
1回だけ高熱がでたという症状では、一般的な風邪を引いたと思ってしまうこともあるでしょう。
ただ、感染した場合には患者さんご本人も大変な時期ではありますが、他の人にうつさないための配慮を忘れないようにしてください。

学校保健安全法という決まりごとがあり、基本的に熱が下がってから3日経過しないと登園や登校ができないとされています。
これは絶対というわけではなく、医師が病状を診断し、他人に感染する危険性はないと認められれば、解熱から3日経過しなくてもいいケースがあります。

大人の麻しん(はしか)は、確かに学校保健安全法とは関係がありません。
しかし、まだ他人に麻疹ウイルスを感染させる危険性がある時期にもかかわらず職場へ出社したり、通勤で電車やバスなどを利用すれば、ウイルスを拡大させてしまう事態に発展しかねませんので、出社できる時期については医療機関で医師の指示を仰ぎましょう

麻しんが流行したときの対策

麻しんの予防はワクチンを接種することですが、接種する前に流行してしまうことがあるかもしれません。
例えば、勤務されている職場に感染者がいて、免疫を持っていない同僚の中で拡大してしまうことも考えられます。
日本全体で流行しなくても、お住まいの都道府県など地域限定で流行するということは近年にも起きています。

もし流行したら、麻しんの免疫を持っていない方は早急に予防接種を受けることが役立ちます。
大人の方は、子供の頃にかかったかもしれない、予防接種を受けたかもしれないという方もいますが、分からなければワクチンを接種して感染から身を守りましょう

1度かかったら感染しない?

麻しんは強力な感染力を持っていますので、予防接種を受けていないなどで免疫を持っていない方が感染した場合、100%に近い高確率で発症します。
しかし、1度でも発症して回復した経験がある方は、麻しんの免疫をその後一生涯保持することができるので、2度と発症しないですむと考えられています。

はしかに感染する可能性を知る方法

はしかにこれから感染する可能性があるか、知る方法があります。
それは抗体検査という方法で、医療機関で自費にて受けられる血液検査です。

修飾麻疹(しゅうしょくましん)

麻疹を発症する患者さんの全てが、必ずしも重い症状に苦しめらるというわけではありません。
一般的ではない軽い症状ですむはしかに、修飾麻疹という種類があります。
修飾麻疹には、以下の特徴があります。

  • 急激に発疹が現れるものの融合はしない
  • 通常なら全身に現れる発疹が手足のみ
  • 発熱症状の時期が短期間
  • 一般的なはしかが38度の高熱を出すのに対して、修飾麻疹は37度台
  • 潜伏期間が通常よりも長い

修飾麻疹の症状は軽度ですみますが、麻しんウイルスが体内にありますので、他人に感染させてしまう危険性がありますので周囲への配慮を忘れないようにしましょう。
一昔前まで確認されていたのは、ヒトガンマグロブリン製剤が用いられた患者さんや、まだお母さんの体内で受け継がれた抗体を持っている生後半年未満の乳児でした。
しかし、近年の傾向としてすでに麻しんの予防接種を受けている方で、ワクチンから取り入れた抗体が体内で減少してしまい、はしかに感染してしまうケースも確認されています

大人が麻しん対策を求められる具体例

近年では、大人になってから麻しん対策が求められる場面がでてきています。

就職や勤務する職種によって

就職や勤務を予定している職種によっては、試験を受ける段階ではしかの予防接種を受けているか質問される企業があります。
特に多いのは保育・教育・福祉・医療などに関係する職場で、子供や免疫力が低い方と接する機会が多い環境に従事する企業です。
働いている人が麻しんウイルスを拡散する感染源にならないよう、予防接種を受けることが必要とされます。

進学するとき

小児ではなくなっても、海外旅行に出発する前、部活動始めるとき、大学進学時など、麻しんの予防接種を受けていないと参加できないケースがあります。
予防接種を受けたことがなくても、自然に感染して治っているなど麻しんウイルスに対して十分な抵抗力(抗体)を持っていることが証明できることが求められます。
外国の学校に留学するときなどで、2回麻疹ワクチンを接種していることが義務付けられる場面もあります。

麻しんワクチンと卵アレルギー

アレルギーがある方は、アレルゲンの種類によって食生活で口にするものだけでなく、ワクチンの成分にも注意が必要となります。
はしかの予防接種で使用されるMRワクチンは、製造過程においてニワトリの胚細胞が除去されています。
卵自体は使われていませんので、卵アレルギーの方がMRワクチンを接種してもほとんどアレルギー反応がでることはないと考えられています。

免疫を持っていないのに患者と接触した場合

麻しんウイルスに対して十分な免疫を持っているのかハッキリしない、または持っていない状態で、麻しんを発症している患者さんと接触があったら、次にどのような行動を取るべきなのでしょう。
まずすべきことは、その方と会った最後の日から数えて2週間糞の体温を計測してください。
最大で3週間の計測をして、健康の状態を観察します。
もし、はしかの主な症状が発生していたら、あらかじめ連絡を入れた上で医療機関にて正確な指示を仰いで診断をしてもらいましょう。

麻疹ウイルスは他人に感染して感染させてしまう可能性が高いので、連絡なしに医療機関へ行かないことが大切です。
電話などで連絡を取ったら、「○月○日から発熱が続いており、○日から全身に発疹ができています」など、具体的に症状を伝えてください。
はしかの患者さんと接触があったことも伝える必要がありますので、当日の日程もご自身の健康状態と一緒に知らせておきます。
診察を受ける日時を確認して、間違えないように行くようにしてください。
病院の待合室などで他の患者さんにうつしてしまうことを回避するために、マスクを着用して出向きましょう。

海外からのはしか患者と会うことも

大人の麻しん(はしか)も子供と同様に、発症すると高熱で苦しい時期が長く続きますし、さらに他の症状が重なります。
患者さんによっては重篤な合併症を発症させることがありますから、そうなる前に予防接種で身を守ることをおすすめします。
はしか患者の方に接する機会は、流行している海外に旅行や留学、転勤をされるときだけでなく、日本に来ている外国人の方と接触することもあります。
まだ麻しんの免疫を持っていない可能性があるなら抗体検査を受けて確認したり、予防接種を受けて対策を取られた方が安心です。

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