アルコール依存症は長期間の多量飲酒が原因で発生することがある、本人の社会性にも影響が出る病気です。
周囲でアルコール依存症のため治療をさせたい人がいる場合は、本人にアルコール依存症であることを認識させて病院で診てもらいましょう。

治療は病院で長期的に行い、治ってもまた飲酒で再発してしまうので一生依存症と戦うことになる場合があります。

アルコールについての知識

年末年始や歓送迎会など、社会人になるとアルコールを摂取する機会が増えます。
飲める人であれば他人との交流で必要となるアルコールですが、アルコール多量摂取を長期間続けると、体の病気や人間関係や仕事への影響、依存症の危険性があります。

アルコールが引き起こす問題は数多い

依存症はアルコールに関する問題の中でも、もっとも重症なものです。

  • アルコールが原因で問題を起こす例として、家庭や社会的な問題では
    事故を起こしてしまう
  • 家族喧嘩から暴力や虐待に発展
  • 欠勤などから仕事を失ってしまう
  • 自殺してしまう
    などがあり、健康的な問題としては
  • 肝臓の病気
  • うつ病
  • 睡眠障害
    などがあげれます。
    60以上の病気や怪我がアルコールによって引き起こされているといわれています。

アルコール量はどこから多量となるか

アルコールが原因で問題を引き起こすのは多量飲酒者が多いです。
量としては60g摂取すると多量飲酒になります。

厚生労働省は「健康日本21」の中で、「節度ある適度な飲酒」と「多量飲酒」を明確に定義しています。前者は、「1日平均20g程度の飲酒」であり、後者は「1日平均60gを超える飲酒」です。ここでいう60gは、酒に含まれる純アルコール量で、だいたいビール中ビン3本、日本酒3合弱、25度焼酎300mlに相当します。
引用元 厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html)

アルコール使用障害とプレアルコホリズム

依存症の症状経験がないけれどアルコールに関して問題を起こしたり病気が発症したことがある人を、プレアルコホリズムとよびます。
依存症にならないよう注意しなければいけません。
また、依存症も含めてアルコールで問題をおこす症状をアルコール使用障害といいます。

飲酒者の休肝日(きゅうかんび)とは

人間の体に肝臓(かんぞう)という臓器があり、体内にとって悪い物質の毒をなくす働きをしています。
アルコールも体内では毒と判断されるため、肝臓で分解されます。
お酒が強い人はこの分解が早く、お酒に弱い人というのは遅い人になります。

アルコールを摂取し続けると肝臓に負担がかかかり続けてしまいます。
負担がかかると肝臓の病気になるため、よく「お酒を飲む人は休肝日をつくろう」といいますが、これはお酒を飲まずに肝臓への負担を減らす日のことです。

アルコール性肝炎(かんえん)と非アルコール性肝炎

肝臓が悪くなる肝炎は、その原因からアルコール性肝炎と非アルコール性脂肪性肝炎の2種類にわけられます。

非アルコール性肝炎は生活習慣が原因で、肝炎自体を治療すれば治ります。
ですがアルコール性肝炎は肝炎自体を治療しても、飲酒をすることで再度発症してしまいます。
更に何度も発症することで、肝臓自体が固く変化する肝硬変という病気に発展の可能性があります。

症状は末期だと幻覚もあらわれる


数時間おきに一定量のアルコールを体内にある状態にするため、様々な重要なことよりもアルコールを優先してしまう状態になるのが主な症状です。
飲んではいけない状況でも飲もうとすることを、飲酒渇望(いんしゅかつぼう)といいます。
この飲酒渇望のために、更に他の問題が発生する症状があります。

自分でも止められない

自分でわかっていてもコントロールすることができない、コントロール障害が発生します。
長い期間お酒を飲んでおらず長期間空いていても、久しぶりに飲んだらまたコントロール障害が再発します。
これを再発依存性といい、アルコール依存症の特徴の1つです。

身体依存からなる離脱症状(りだつしょうじょう)

酒を飲まなかった場合に、震えや吐き気といった自律神経症状と、睡眠障害やうつ、イライラ感の精神的症状が出て、重症になると勝手に体が震える痙攣(けいれん)や幻を見たり聞こえてきたりなどもします。
これを離脱症状といい、過去には禁断症状と呼ばれていました。

性格が変わる精神依存症状

アルコールを飲みたいという欲求からくる、性格に影響する症状で若い程でやすいです。
更にいくつか細かく分かれます。

  • 否認(ひにん)性
    嘘をついたり、もしくは依存症であることを認めても自分の場合は大きな問題ではないと言ったり、ふてくされたりします。
  • 自己中心性
    自分が飲酒することを第一に考えてしまい、周りへ配慮することができなくなってしまいます。
  • 探索(たんさく)行動
    お酒が飲めない状況で、いかに飲もうとするかという行動のことをいいます。

肝臓や他の体の症状

お酒を飲むと肝臓に負担がかかり、肝炎や肝硬変となります。
高齢になるほど健康に関する症状がでやすいです。

脳の活動がにぶくなる

飲酒には脳の活動を抑える働きがあるため、常にアルコールを摂取することで、脳の活動が鈍い状態が続いてしまいます。

依存症のチェック基準は2種類

依存症であるかどうかのチェック項目は病院によってそれぞれことなりますが、よく使われているものとして2種類あります。

1つめはアメリカ精神医学会では下記の通りでこちらが基準とされているケースが多いです。

同じ12ヵ月の期間内のどこかで、以下の項目のうち3項目以上が出現した場合
1. 耐性の存在
2. 離脱症状の存在
3. はじめのつもりより大量に、またはより長期間、しばしば飲酒
4. 禁酒または減酒の持続的欲求または努力の不成功
5. アルコール入手、飲酒、または飲酒の作用からの回復に多くの時間を消費
6. 飲酒のために重要な社会的、職業的、または娯楽的活動を放棄または減少
7. 精神的・身体的問題が飲酒によって起こり、悪化していることを知っているにも
かかわらず飲酒を継続
引用元 久里浜医療センター(http://www.kurihama-med.jp/index.html)

もうひとつは世界保健機関によるものです。

過去1年間に以下の項目のうち3項目以上が同時に1ヶ月以上続いたか、または繰り返し出現した場合
1. 飲酒したいという強い欲望あるいは強迫感
2. 飲酒の開始、終了、あるいは飲酒量に関して行動を統制することが困難
3. 禁酒あるいは減酒したときの離脱症状
4. 耐性の証拠
5. 飲酒にかわる楽しみや興味を無視し、飲酒せざるをえない時間やその効果からの
回復に要する時間が延長
6. 明らかに有害な結果が起きているにもにもかかわらず飲酒
引用元 久里浜医療センター(http://www.kurihama-med.jp/index.html)

※耐性の存在(証拠)とは、何度も飲んでお酒に強くなっていることを指します。

原因と高い発症リスクがある人とは

原因は長期間多量にアルコールを長期間飲むことです。
ですが、どんな人でも大量に飲酒したらなるわけではありません。
大量の飲酒を続け、どんどんと飲む量が多くなっていくことで依存症につながります。

実は強い人が危険

お酒の弱い人は、多量にのんで吐き気や頭痛などのいわゆる酔った症状が出て、そこで飲酒をやめますが、強い人は症状が出ないために飲酒を続けてしまいます。
酔うかどうかに関わらず、お酒の多量飲酒が長期間続くことが問題です。
そのためお酒に強い人のほうがアルコール依存症になりやすいのです。

依存症になるまでの期間

長期的な期間を経て依存症となっていくことが多いです。
男性の場合20〜30年で、女性の場合は10年前後と、男性よりも短い期間で依存症になる傾向があります。
そのため、女性の依存症患者は男性よりも若い人が多いです。

発症リスクの要因は家族に関係している

発症要因の半分は遺伝であるという話があります。

アルコール依存症の原因に遺伝が関係していることは確かです。しかし具体的にどのような遺伝子が原因になるかまだよくわかっておらず、それぞれは影響力の小さな遺伝子が多数関係して依存症の原因になっているという説が有力です。しかし遺伝以外に環境も原因となるため依存症の原因は複雑です。
引用元 e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp)

家族の状況も重要です。
親が未成年の時からのアルコール摂取を認めていたり、または注意しないような冷めている関係だと、若いうちから飲酒が多くなってしまいます。
家族だけでなく、飲酒する友人が多い場合も飲酒量や機会が増えてしまいます。
他の精神疾患をもっている場合も、その症状緩和の目的でお酒を飲んでしまうことが多くなります。
こうした様々な要因から、早い段階で飲酒機会が多い人はアルコール依存症の発症リスクが高くなります。

治療は入院でないと難しい

治療にはまず本人がアルコール依存症であることを認める必要がありますが、自分で認めない否認性の症状があるので、ここが大変な部分です。

治療内容は長期的に投薬しながらの治療が必要なため、病院に入院しての治療が多いです。

アルコール依存症になってしまうには、ある一定の期間が必要です。
裏を返せば、回復にも一定の期間が必要という訳です。

そのため、入院治療とそれに引き続く外来治療が大きな鍵を握っていると言っても過言ではありません。

現在の医学では、一旦治療が開始されたら最低でも2~3年のアフターケア(外来通院)が必要と言われています。
引用元 東北会病院(http://www.tohokukai.com/)

治し方は3段階

主に解毒、リハビリ、アフターケアと3段階にわけて治療をおこないます。

  • 解毒治療
    離脱症状とそれ以外の治療に別れます。
    離脱症状の治療、急にアルコールを断ってしまうと悪化してしまうので、アルコールの代わりとなる薬物を投入します。
    この治療は2〜4週間ほど行われます。離脱症状以外の精神的や内蔵的な病気については、症状に対して一般的な治療を行います。
  • リハビリ治療
    カウンセリングなどで断酒を決意させます。
    グループワークである断酒会やアルコホーリクス・アノニマス(AA)というグループに参加をさせます。
    どちらとも自分と同じ病気・悩みを持っている人達同士でどのように乗り越えていくのかを学んだり、自分がアルコール依存症で問題を起こす可能性があることを認識させることが目的です。
  • アフターケア
    退院した後も飲酒時をした時の治療を行います。
    通院・薬の処方、グループワークへの参加などで治療を続けます。

抗酒薬(こうしゅやく)、ノックピンとシアナマイド

抗酒薬は抗酒剤や禁酒薬、嫌酒薬(けんしゅやく)とも呼ばれます。
効果として、頭痛や吐き気などの酔った時の吐き気などの症状がお酒が弱い人のようにすぐに現れます。
お酒に強い人でも飲んで辛い思いをすることで、お酒を飲まないようにする目的があります。

ジスフィラムという成分のノックピンと、シアナミドが成分のシアナマイドの2種類があり、シアナマイドの方が、効果が早く出ますが、効果期間は短いです。

お酒に酔いやすくするため、肝臓病を発生しやすくなるという副作用もあり、重度の肝硬変など、病気を持っている方に投薬するのは控えられています。

新薬アカンプロセート

アカンプロサートは抗酒薬とは異なり、飲酒の欲求自体を抑える薬です。
副作用として下痢が発生することがあり投薬の初期に発生しますが、多くは投薬を続けていることで発生しなくなります。
もうひとつの副作用は吐き気、眠気、アレルギー反応などがでることもあります。

いずれの薬も市販で購入することができず、医師から処方されなければいけません。

完全な治療はできない

治療としては断酒をさせることになります。
飲みはするけれど量を少なめにコントロールする状態に治療するのは不可能とされています。

自分は大丈夫、とは考えない

治療させたい家族がいる場合、自分で依存症と認めない病気のため、いかに家族が本人に認識させてあげるかが大切です。
また完治はほぼ難しい病気のため、治ったのにまた飲んでいる…と責めてはいけません。

またよくお酒を飲んでいる人は、お酒が好きだけれど自分は強いから大丈夫と考えてはいけません。
むしろ頻繁に飲んでいても全然酔わないからと、そう考えている人の方が危険です。
依存症ではなくても問題が何か発生する可能性があります。

チェック項目を確認し、依存症ではなくても当てはまる人が’いれば、コントロールができるうちにお酒の量を減らしていきましょう。

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