お腹が痛くなるようなものを食べた、クーラーで体を冷やし過ぎた、暴飲暴食をしたなど具体的に思い当たるような原因があればいいのですが、何もないというときは重篤な疾病にかかったのではと心配になります。
一般的な腹痛の症状というとお腹全体や下腹部などですが、右側の腹痛といったように場所が偏っていると特有な病気なのではとの疑いが沸いてきます。

本ページでは腹部の痛みでも、特に右側の腹痛に絞って可能性のある病気をまとめました。
症状や原因と対処法をご紹介しますので、思い当たる異変でお困りのときにご参考になさってみてください。

右上の腹痛の症状・原因・対処法

腹部でも特にへそより右上に異変が生じたら、初めに疑われる疾病は胆管炎や胆嚢炎、胆石症などです。
激痛の発作のような症状が出た場合は胆石症の可能性が考えられ、患者さんによっては右側の肩や胸部、脇腹、背中などにも痛みが及びます。
腎盂腎炎は腎臓の組織の一つであり、腰背部~みぞおちにかけて鈍痛の症状があります。

胆嚢炎(たんのうえん)・胆管炎

胆嚢炎と胆管炎は、同時に発症することもあるという関連性のある病気です。
胆汁(たんじゅう)は肝臓で合成され、消化吸収をサポートする役目を果たしています。
肝臓でできた胆汁は胆嚢で蓄積されており、胆管は十二指腸・肝臓・胆嚢がつながっているところです。
胆管と胆嚢に炎症が発症する病気が、胆管炎と胆嚢炎になります。
病院で診察を受ける場合は消化器科、外科、内科で受診してください。

  • 胆嚢炎・胆管炎の症状 ── 食事を済ませてからある程度時間が経過すると腹部の上の方の痛み、発熱、悪寒、吐き気の症状が現れます。
    患者さんによっては、背中や肩にまで痛みの症状が達します。
    腹部の右上を押すと痛い、触れる程度でも激痛が走る場合があります。
    黄疸(おうだん)を発症するケースも考えられます。
  • 胆嚢炎・胆管炎の原因 ── 主に細菌の感染を原因として発症します。
    90%近い胆嚢炎と胆管炎の患者さんには、胆石が確認されます。
    胆管が胆石によって詰まりを起こすと、詰まった部位に腸内細菌などがうつり胆嚢炎や胆管炎にかかります。
    胆石は必ずしもあるわけではなく、他の病気や手術後などの影響によって発症するケースもあります。
  • 胆嚢炎・胆管炎の対処法 ── 胆嚢炎や胆管炎だと診断されると、まだ初期症状のレベルでしたら食事をせずに電解質と水分を点滴によって補給する方法、さらに鎮痛剤や抗生剤によって改善していきます。
    胆石が確認された患者さんには、症状が生じなくなってから摘出する手術をします。
    炎症の症状が進行している患者さんは、胆嚢の摘出手術が実施されるケースも考えられます。

胆石症

胆嚢は、摂取した脂肪分が体内にスムーズに吸収されるようサポートする役割の胆汁(たんじゅう)を蓄積しておく場所です。
この胆嚢から胆汁を小腸や十二指腸へ運ぶ道の胆管に、石が生成されるのが胆石症です。
石がある部位が胆管ならその病気は胆管結石症、胆嚢なら胆嚢結石症ということになります。

  • 胆石症の症状 ── 体内に胆石が生成されたところで、基本的には症状が出ることはありません。
    嘔吐や痛みの症状が起こるのは、胆嚢から胆汁がでる際に胆石も動いて胆管で止まってしまったときです。
    胆石が原因の発作が発症しやすいのは、脂肪分が豊富なメニューを食べたことによって胆嚢が収縮を起こし胆汁がでるときという傾向が見られます。胆石症は上腹部に痛みの症状が生じる疾患で、場合によっては背中~右上~右肩に至るまで痛くなります。
    発熱や黄疸(おうだん)の症状が現れるケースもあり、この時期に細菌が胆管にうつると胆管炎や胆嚢炎にもかかる可能性があります。
  • 胆石症の原因 ── 胆石は黒色結石・ビリルビン結石・コレステロール石の3種類が確認されています。
    特に多く発見されているのが、コレステロール石です。
    コレステロールが度を超えて増加すると、全部が溶解されずに結石になります。
    日本の食文化がどんどん欧米諸国の影響を受けるにつれて脂質が多くなったことにより、胆石症患者が増加している状況です。
  • 胆石症の対処法 ── 症状がなにも現れないときに、たまたま受けた健康診断で胆石が確認されるケースがありますが、サイレントストーンと呼ばれる痛みなどの自覚症状がなにも出ていない状態なら治療をしなくても問題ありません。
    今後に備えて治療を受けることもでき、それは患者さんの意思で決められます。胆石発作の症状が出ているときは治療が必要で、初期段階の胆石が小さな状態でしたら胆石を溶解する薬が用いられる場合もありますが、多くのケースでは外科的に胆石摘出の治療が施されます。2タイプの手術があり、多いのは腹腔鏡下手術(小さな穴を腹部にあけて内視鏡などを挿入して摘出する)で、もう一方は開腹手術です。

腎盂腎炎(じんうじんえん)

尿は腎臓で生成されるのですが、細菌に感染して炎症を起こすことが腎盂腎炎です。
男性よりも女性は尿道が狭い傾向があり、肛門と尿道口が近いことから菌が尿道に侵入しやすいので、腎盂腎炎の患者さんの比率は男性よりも女性の方が約30倍も多いといわれています。

  • 腎盂腎炎の症状 ── 嘔吐や吐き気、全身のだるさ、脇腹の痛み、高熱、震え、悪寒、腰や背中の痛み、膀胱炎などの症状が現れます。
  • 腎盂腎炎の原因 ── 腎臓では発見されない細菌の侵入が、腎盂腎炎の発症原因です。
    細菌は腎臓の周りにあるリンパ腺からうつる、体の他の部位でうつった細菌が血管から腎臓に入る、細菌が尿道から逆流するなどの経路で侵入します。
    これらの原因から、尿路結石がある方、前立腺肥大の方、妊娠中の方は気を付けてください。
    抗がん剤やステロイド剤を利用していて免疫機能が弱まっている方、糖尿病などの細菌に対し免疫が少なくなっている方などは特に気を付けてください。
  • 腎盂腎炎の対処法 ── 腎盂腎炎には、急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎の2タイプがあります。
    急性腎盂腎炎は安静に過ごし、患者さんの発症原因や症状に対応した抗菌薬や抗生物質で治療にあたります。軽症でしたら、自宅で治療を進めていくことが可能です。水分摂取を心掛け、1週~2週間ほども処方された薬を飲み続けていれば回復が見込めます。
    重症の場合は患者さんによって入院治療が必要で、抗生剤や点滴で治療が進められていきます。

    慢性腎盂腎炎も、抗生物質で治療を行います。
    原因である病気を回復させることで、慢性腎盂腎炎も治っていきます。

右下の腹痛の症状・原因・対処法

腹部の右下辺りに激痛が発症する虫垂炎は、盲腸炎としても有名な病気です。
症状が出始めてから何時間かはみぞおちを中心に痛むのですが、徐々に右下へと移っていき、痛みも増幅していきます。
右下の腹痛は虫垂炎以外にも、鼠径ヘルニアや大腸憩室炎などの疾患で症状が現れます。

虫垂炎(ちゅうすいえん)

虫垂炎は盲腸という呼ばれ方の方が浸透しているかもしれません。
盲腸という器官は小さな虫垂という臓器につながっており、盲腸自体ではなく、虫垂で炎症が起きた疾患のことをいいます。
患者さんは、10歳代~20歳代の方が中心です。

  • 虫垂炎の症状 ── 発症する部位が当初はみぞおち(心窩部・しんかぶ)なので、すぐに虫垂炎だとわからず胃腸炎など別の病気に診断されることも少なくありません。
    右下腹部に痛みの部位が移動してからは、虫垂炎という正しい診断が行われやすくなります。
    初期段階にみぞおちが痛くなるのは、虫垂がふさがるためです。
    腹痛から食欲減退、嘔吐、悪心などの症状も引き起こされます。
    虫垂炎の疑いを感じたら、病院の消化器内科で診てもらい正しい治療を受けてください。初期段階から何時間も経過して虫垂炎が進むと、押すと痛い圧痛(あっつう)の症状が右下腹部に起きるようになります。
    ひどくなると風邪のような症状となり、38℃近い熱がでます。
  • 虫垂炎の原因 ── 発症原因は解明されていませんが、虫垂がふさがることからだと多くのケースでは見られています。
    詰まるものは、腫瘍や異物、硬くなった便の一部分などです。
    通りが悪くなった虫垂が感染症にかかると、虫垂炎だと診断されます。
  • 虫垂炎の対処法 ── 虫垂炎は保存的治療と外科的治療の2種類があり、患者さんが自身で選択できます
    保存的治療は完治まで多少の時間が必要で、また再発することも考えられます。
    メリットとして、外科的治療を受けた場合に可能性のある、手術後の傷口が痛いなどの合併症が生じることがありません。
    外科的治療には合併症のリスクがあるものの、再発しないというメリットがあります。

盲腸になると手術が必要?

鼠径ヘルニア(そけい)

鼠径ヘルニアは、脱腸とも呼ばれる疾患です。
脂肪や腸などお腹の中にある臓器が、鼠径部(足のつけ根付近)にある腹部の壁が弱い箇所から出て膨張する疾患です。
タバコをする方、出産後や多産、肥満などの方、頻繁に咳こんでいる方、前立腺肥大や便秘症の方、よく立ち仕事をする方、重たい荷物などをよく持ち上げる方などは要注意です。

  • 鼠径ヘルニアの症状 ── 初期症状は、腹部に圧力をかけることで膨張し、就寝後に膨張した箇所が元に戻ります。
    治療をせずに放置するとだんだん大きく膨らみ、場合によっては腹痛の症状が現れます。
    体内の脂肪や腸が飛び出したまま戻らない陥頓(かんとん)の状態になります。
  • 鼠径ヘルニアの原因 ── 大人が発症する場合は年齢を重ねて筋膜が低下したこと、子供の場合は先天的な要因が多いと考えられています。
    前立腺肥大やメタボリックシンドロームにつながる内臓脂肪型肥満も原因であることから、患者数は右肩のぼりに増えています。
  • 鼠径ヘルニアの対処法 ── ヘルニアバンドを使用しても、完治させることは困難です。
    対処法は手術のみとなり、メッシュのシートを鼠径部にある腹部の壁が弱い箇所へ埋め込むことで穴をふさぎヘルニアの治療を行います。

大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)

大腸憩室炎の憩室とは、大腸の壁が部分的に外へ出っ張る状態のことです。
なにかの原因によって大腸に炎症が起きると、大腸憩室炎になります。
憩室そのものは大腸に限らず、大腸から食道の消化管のいろいろな部位に発症します。

  • 大腸憩室炎の症状 ── 腹部を押さえたときに生じる痛みの圧痛と腹痛が、主な症状です。
    初期症状は、状態が悪化したりかと思えば改善するということを繰り返す間欠(かんけつ)痛が多い傾向があります。
    症状が進行すると、徐々に持続痛になっていきます。右側の大腸憩室炎は日本で多く、右下の腹部の痛みを伴うことから急性虫垂炎と間違えられる可能性があります。
    下っ腹の痛みが引かないようでしたら、大腸憩室炎を疑って病院で診てもらってください。膀胱への刺激から引き起こされる排尿障害、便秘、食欲の低下、嘔気や嘔気、下痢などの症状があります。
    患者さんによっては白血球が増えたり、熱が出るなどの症状が現れる患者さんもいます。
  • 大腸憩室炎の原因 ── 原因は解明されていないものの、食の欧米化が進んだことや高齢化によって、国内でも増えたといわれています。
    例えば、野菜をたっぷり食べることができずに食物繊維の摂取量が減ると、便の量まで減ってしまいます。
    長官の運動に異変が生じ、腸管の運動が普段通りにいかずに腸管への圧が高まり憩室が発生しやすくなると考えられています。
  • 大腸憩室炎の対処法 ── 外科的治療と保存的治療があり、進行の度合いによって決まります。
    病状が軽くて合併症を伴わないケースなら、抗菌薬の投与と、食事をせずに点滴で栄養補給をして腸管を休めることで保存的治療をします。

症状はメモを取っておこう

右側の腹痛、特に右上や右下といった具体的な部位が明らかになっている場合は、病気の特定がスムーズになるでしょう。
病院で医師に相談するときは、発症部位の他に鈍痛がする、ちくちく痛むなどの具体的な症状を伝えることが大切です。
異変が生じた部位が同じであっても、チクチクと刺すように痛いのか、鈍い痛みが続くのかによって病気も異なってきます。

また、虫垂炎のように症状が現れる部位が移動する病気もありますので、途中経過を医師に伝えることも病気の特定に役立つ大切なポイントです。
気になる異変があればメモしておき、忘れずに病院で伝えられるようにしておくことをおすすめします。

スポンサードリンク

スポンサードリンク