お腹が痛くなったとき、全体でなく左側の腹痛など特定した部分に異変が生じることがあります。
腹痛で検索するとたくさんの病気がヒットしてしまいますが、左上や左下などある程度部位や症状を特定することで原因と対処法をより確実に近く絞り込みやすくなります。

本ページでは左側の腹痛に焦点をあてることで、原因の特定をしやすいように配慮しました。
腹部の痛みの部位からどんな病気の可能性があるのかを割り出すことができれば、対策も取りやすくなります。
すぐに病院へ行けないときなどの一助になれれば幸いです。

左上の症状・原因・対処法

急性胃炎や胃潰瘍は、胃の上の方に症状が現れる場合、へそから左上の脇腹に異変がでることがあります。
膵臓の病気(急性胃炎など)は腹部の左上、肋骨の下辺りに発症する傾向があります。

急性胃炎

胃炎には急性と慢性の2種類があり、急性胃炎は胃の内部の粘膜が炎症を起こすという病気です。
胃の内部にある胃壁は粘膜で保護されていて、直に胃酸が接することがないような仕組みになっています。
多少の傷を胃壁に負った程度ならば自然治癒力で修復されるのですが、大きな傷になってしまうと自然な回復が困難になります。
安静にすることが大切で、病院を受診される場合は消化器科または内科、子供は小児科などになります。

  • 急性胃炎の症状 ──  吐き気、ムカつき、胃痛、胃部膨満感などの症状を発症します。
    シクシクという胃痛が、夜やお腹が空いたときに生じやすいのが特徴です。
    下血、吐血、胃もたれ、食欲不振、胸焼けなどの症状を招き、背中の左側が痛くなるケースもあります。
  • 急性胃炎の原因 ── 食中毒、食物アレルギー、アルコール・コーヒー・香辛料などの強い刺激を持った食べ物や飲料、抗生物質や解熱鎮痛薬などの薬剤、身体的なまたは精神的なストレス、腎臓や肝臓などの内臓疾患、インフルエンザなどの感染症などによる影響が原因で発症します。
  • 急性胃炎の対処法 ── ストレスや過労などの原因がわかり無くすことができるようであれば、それに越したことはありません。
    原因の除去に加えて、規則正しい日常生活を送ることが早期の回復につながります。
    薬局やドラッグストアなどで購入できる胃酸抑制作用を持った市販薬もありますが、重い疾患の可能性もありますので、できれば病院を受診しましょう。

    症状が進行していると、医療機関では止血剤が投与されたり、内視鏡で止血するなどの対処が取られます。
    嘔吐と吐き気の症状で食べ物を口にできないようでしたら、栄養補給を点滴などで行います。

    場合によっては入院するケースもあります。
    鎮痛剤(痛みの症状を抑制)、胃粘膜保護剤(胃の粘膜を守る)、制酸剤(胃酸の分泌を抑制)などが使用されることもあります。

胃潰瘍

胃潰瘍といえば、夏目漱石が亡くなった病気ということで記憶されている方も少なくないかもしれません。
胃の粘膜や胃の下に位置する組織が、胃の分泌物であるペプシンや胃酸によって溶けてしまう疾患です。

胃潰瘍のほとんどの患者さんは、薬の治療で回復できる時代になっています。
ただ、放っておけばペプシンや胃酸が粘膜より深い筋肉にまで入り込み、胃の表面の膜を超えて胃に穴をあけてしまいます。
どうなると穿孔(せんこう・穴があくこと)や大量に血を吐く、腹膜炎などに発展する可能性もあります。

  • 胃潰瘍の症状 ── 全く自覚症状が現れない患者さんもいますが、現れる場合は体重減少、貧血、タール便(黒い便)がでる、吐血、食欲不振、嘔吐、吐き気、みぞおち付近の腹痛などの症状が生じます。
  • 胃潰瘍の原因 ── 痛み止めのNSAIDs、ヘリコバクターピロリ感染、ストレスなどが主な原因と考えられています。
    これらの原因と胃酸の分泌量が増えることで、胃潰瘍は進行します。
    NSAIDsといわれてもピンとこないかもしれませんが、市販薬として有名なバファリンやロキソニンSにも配合されている痛み止めで、多くの医療機関などで処方されるほど普及しています。

    息切れや立ちくらみなどの貧血の症状が現れた場合の原因は、男性は主に胃腸の出血、女性は婦人科の病気以外では主に胃腸の出血と性別で違いがあります。
    多くのストレスを抱えており、痛み止めを服用していて腹痛の症状があるなら胃潰瘍かもしれません。

  • 胃潰瘍の対処法 ── 腹部の異変から胃潰瘍の疑いがあるときは、正確な検査を受けるために昼間の診療時間内に診察を受けることをおすすめします。
    夜に医療機関で診てもらうことができたとしても、十分な検査とはいえないからです。
    吐血があったときは、直ちに救急車を呼んでください。
    吐血と黒い排便の症状がでたら、内視鏡治療を受けられる病院に行く必要があります。
    体重が減ったら、胃潰瘍ではなく胃がんであるケースも考えられますので、早めに病院で診てもらってください。

急性膵炎(すいえん)

膵炎は、何かの要因によって膵臓(すいぞう)から分泌された消化酵素で、当の膵臓が消化されるという疾患です。
症状の程度には差があり、一時的な病気として終わるケースもあれば死に至るケースまであります。
急性膵炎だったとしても、繰り返しているとそのうち機能が弱まるために、慢性膵炎に進行することも考えられます。

  • 急性膵炎の症状 ── 症状の現れ方には幅がありますが、典型的なのはへその上部~みぞおち付近の激痛です。
    痛みの症状が背中までに及ぶケースもでています。
    食欲の低下、腹部膨満感、嘔吐、吐き気などの症状が並行して出るケースもあります。
  • 急性膵炎の原因 ── 原因が解明できないケースもありますが、たいていは胆石や飲酒などが発症の原因です。
    具合いが悪いにもかかわらず、脂肪の多い食事をしたり大量の飲酒をしたときに発症しやすい病気です。
    脂質異常症(高脂血症)や薬などから発症したり、術後にかかるケースもあります。
  • 急性膵炎の対処法 ── 膵臓を安静にする必要がありますので、飲食を控えることで治療が行われます。
    水分が炎症の影響から足りなくなっていますので、点滴で補います。
    膵臓酵素の機能を抑制する薬や鎮痛剤が用いられ、病状が進行すると合併症のリスクが高まります。

左下の症状・原因・対処法

女性は、生理痛で左下の腹痛が生じることがあります。

生理痛

月経痛と呼ばれることもあり、症状の出方には個人差があります。
プロスタグランジンと呼ばれるホルモンが分泌されることで、妊娠しなかったときに必要がない子宮内膜が血液と一緒に排出されるのを促進します。
排出させるためにプロスタグランジンが子宮を収縮させ、発生することがあるのが生理痛です。

  • 生理痛の症状 ── 月経随伴(ずいはん)症状は、生理と関わりのある症状のことをいいます。
    だるいなどの全身の倦怠感、腰痛、腹痛などで、人によっては感情の安定感が損なわれる、憂鬱になる、イライラ、下痢、頭痛などの症状が現れます。

    月経前症候群は生理前に現れる症状のことを呼び、PMSともいいます。
    PMSはPremenstrual Syndromeのアルファベットの略で、個人差はあるものの多い人は2~3kgも体重が増加しますが、生理を迎えることで軽減されていきます。

  • 生理痛の原因 ── 分泌されるプロスタグランジンが適量であればいいのですが、多過ぎてしまうと陣痛にも匹敵するような子宮の収縮を招き生理痛につながります。
    プロスタグランジンは痛みが増すという一面を持っているので、吐き気、腰痛、肩こり、頭痛などを発症させることもあります。
    精神的にストレスがあるときや空調のきき過ぎで冷えて血流が悪化したときなど、生理痛の痛みの感じ方が強くなると考えられています。

    子宮筋腫や子宮内膜症は生理の時期に痛みが生じるため、症状が出ているにもかかわらず発見が先送りされてしまう患者さんも多いものです。
    生理痛が辛いときなど婦人科や、医療機関によっては産婦人科を受診してみてください。

  • 生理痛の対処法 ── 腰や腹部が冷えていると、痛みが強く感じられますから気をつけてください。
    特に腰でもヒップより少し上の辺りや、腹部でも下腹部を中心に温めることが生理痛対策の秘訣になります。
    方法としては保温力の優れたインナーを選ぶこと、カイロというと冬のものという先入観がありますが、クーラーで冷え込むことがありますので、カイロを上手に活用しましょう。

    痛み止めの頭痛・生理痛市販薬がありますし、痛みを緩和させる漢方薬もあります。
    生理痛の鎮痛剤を服用したら効果を実感できるまで少なくとも1時間近くかかりますので、痛くなってから飲むと、痛い時間をある程度過ごさなくてはならなくなります。
    ご自身の生理痛のパターンが読めてきたら、発症を予期できる時間より前に服用しておくことをおすすめします。

前立腺肥大症

前立腺肥大症は、年配の男性に発症しやすい疾患です。
名前の通り前立腺が肥大することにより発症する病気で、年齢が高くなるほど肥大するという特徴があります。

  • 前立腺肥大症の症状 ── 排尿にまつわる症状が主で、健康だったときよりも頻尿になり、就寝中でもトイレで一晩に何回も起きるなどします。
    初期症状では、排尿の勢いが弱まります。
    次の段階では、1回の排尿量が少なくなることからトイレの回数が増加します。
    さらに病状が悪化すると、残尿感が生じます。
    最も進行した場合は、排尿時にダラダラと漏れる、尿意が感じられないなどの症状があります。
  • 前立腺肥大症の原因 ── 尿は膀胱に蓄積されたのち、尿道を通過して体外に排出されます。
    栗やくるみに似たサイズと形状の男性の臓器(前立腺)を尿道は通っており、圧迫されることで排尿しづらくなります。
    年配になるほど発症率が上がる原因はまだ解明されていませんが、一説には男性ホルモンの影響があげられています。
  • 前立腺肥大症の対処法 ── 手術と薬物療法の2通りがありますが、まずは薬物療法で治療していきます。
    薬は2タイプに分類することができ、前立腺肥大症の原因を改善させる目的の原因療法、症状それぞれに対してアプローチする対症療法が用いられます。

便秘

便秘または便秘症は、排便の回数が1週間に2回程度などで腹部に不快な症状を実感することをいいます。
とはいえ個人差があることから、必ずしも週2回の排便がなければ便秘というわけではありません。
不快感がなければ、たとえお通じが3日に1回のみでも便秘にはならず問題ありません

  • 便秘の症状 ── 便通が少ないことが基本ですが、その他にも食欲の低下、お腹が張る腹部膨満感、腹痛、残便感などの症状があります。
  • 便秘の原因 ── 婦人科や腸の病気で手術をしたことがある患者さんは、腸閉塞によって引き起こされる便秘を発症することがありますが、通常の便秘の場合は生活習慣が原因の症状です。
    肛門付近まで大腸内にある便が近づき、便意を感じているのにトイレへ行かずに先延ばしすることが習慣化されてしまえば、便意を体が感じにくくなるので、排便が困難になっていきます。
    長時間腸の中にあった便は水分がなくなることから、排便が難しくなります。
    腸の平滑筋の働きが弱まっている人は、便秘の発症リスクが高い傾向が見られます。
  • 便秘の対処法 ── 急性タイプの便秘症は大腸がん、腸閉塞などの疾患の症状として便秘になっているケースもありますから注意してください。
    ひどい腹痛や発熱の症状もあるというときは、迅速に病院で診てもらいましょう。
    受診する科は、消化器科または内科となります。
    トイレへ定期的に行くこと、腹筋を用いる運動を適度に行うことなどしてみてください。

同じ部位・症状でも別の病気かも

腹痛はさまざまな病気の症状の一つですが、原因としてストレスや食生活の乱れなどがあることも少なくありません。
日常生活の改善を基本として原因を取り除いていき、それでも改善が見込めないときには医療機関で正しい診断を受け治療を行ってください。

多くの病気はいくつかも種類の症状があり、患者さんによって現れる症状はさまざまです。
同じ左側の腹痛でも、チクチク痛む人と鈍痛がある人がいるとすれば、それぞれ別の病気か、はたまた同じ病気でも現れる症状に個人差があるということなのかは素人判断が難しいところです。
異変がでたところが腹部の左上でちくちく痛むという同じ症状だったとしても、様子を見て改善されないときには同じ病気でない可能性が高くなりますので、早めに病院で適切な治療を受けましょう。

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