世界の人々が健康であることを達成することが目的のWHO(世界保健機関)という団体が、ゲーム依存(いぞん)症を2018年に新たに病気の項目として加える案が発表されました。
※2018年1月の段階では、まだ決定とはなっていません。

現実よりもゲームが重要になってしまい、自分や人に影響を与えているのがゲーム依存症です。
日本でも非常に多くの人がこのゲーム依存症になっているといわれています。

日本では、中高生のうち約50万人が依存症に陥っていると推計されています。
出典 ブリーフセラピー・カウンセリング・センター(https://www.brieftherapy-counseling.com/)

治療には自分だけでなく、周囲や家族の協力が必要なことが多いです。
ただゲームばかりしているダメな人と考えるのではなく、精神的に依存症になってしまう理由を見つける必要があります。

ゲーム依存症とは

2018年1月段階のWHOの案では、ゲーム症もしくはゲーム障害とされています。
依存のきっかけになるゲームの種類があり、正式な病気ではないため呼び方も複数あります。

病名は様々

すでにWHOが案として発表する前から、様々な名前で医学界から懸念されていました。
下記があります。

  • ゲーム症
  • ゲーム依存症
  • ゲーム障害
  • ネット依存症
  • インターネットゲーム障害

ゲームに限定せずに、ネット関係全てを総称して下記のようにする場合もあります。

  • ネット依存症
  • インターネット依存症
  • 携帯依存症
  • スマホ依存症

依存症であるなしに関わらず、ゲームをずっとやっていることをネトゲ廃人という呼び方もあります。
この中でもっとも使われている呼び方は、ゲーム依存症、ネット依存症です。

他国ではネットゲームでの死亡例も

各国では死亡事例がいくつかあります。
下記はネットゲームが死因であるニュースで2002年のもので、実に10年以上も前からゲームが死因という例があるのです。

86時間連続でネットゲームをプレイし続けた男性が死亡するという事件が韓国で起きた。現地警察は「激しい疲労」が死因と見ている。
出典 ITmedia(http://www.itmedia.co.jp/news/)

他にも、極度の興奮状態が続き亡くなったというのもあります。
自分が死んでしまう以外にもゲームに熱中しすぎて子供に食事を与えずに死なせてしまったというケースもあります。

若い人に多いが大人も注意

年代は中学生、高校生に多く見られますが、それ以上の大学生や大人もなるケースがあります。
大学生がなると不登校により単位を落とし、留年や卒業できないという事態に繋がります。
また大人がゲーム依存症になると、若い人よりも抜け出しにくくなってしまいます。

ゲーム中毒ではなく依存症

ゲームは中毒にならない実証結果があるというゲームメーカーの反論もあります。
これは間違っておらず、あくまでもゲーム中毒ではなくて心理依存です。
中毒とは体の中に入ったりもしくは刺激する成分の影響で体に害があることを指し、精神的に何かの人や物から離れられなくなってしまうことを依存といいます。
つまりゲームそのものが害というわけではなく、依存するものがゲームであったということです。

依存症で暴力的になることも

ゲームばかりしているので大人しいかと思いきや、重症の場合は暴力的になってしまう人もいます。
親がゲームを取り上げようとすると、親に向かって殴りかかるということもありえます。

そんなゲーム依存の兄はその“ゲームをしている時だけの幸せ”を奪われたくなくて、強迫障害の傾向が出始めたのです。
出典 人格障害研究センター(http://www.jec-heart.com/)

インターネットゲームとは

ゲーム依存症が注目し始めた頃には、いわゆるパソコンで自宅がネットカフェなどで行われるパソコンゲームがメインでした。
ですが、近年では携帯ゲーム機やスマートフォンによるSNSゲームも同様と考えれます。
パソコンゲームは持っていないので違うと思っていたけれど、スマホのソシャゲも含めると当てはまるという方は増えます。

依存症になるゲームの種類

依存症になるゲームの種類として、ネットで人と繋がっている特徴があります。
周りにゲーム依存が疑われる人がいる場合、本人がどんなゲームをしているかも見てみましょう。

  • MMORPG
    多くの人が一緒にプレイできる冒険ゲームで、チームを組んでゲーム内の敵を倒すようなシステムがあります。
    パソコンゲームが主流ですが、近年はスマホのゲームでも増えてきています。
  • FPS
    サバイバルゲームのようなもので、チーム対チームで銃撃戦を行います。
    パソコン、スマホどちらともあります。
  • スマホソーシャルゲーム
    いわゆる課金をすることで直接強くなれ、協力してプレイ出来るタイプがあります。
    この分類から更にMMORPGやFPSというゲームが分類されます。
    スマホなのでいつでも出来るため、自宅のゲームよりも周りは依存症に気が付きにくいです。

趣味と依存の違いはどこか

ゲーム依存症ではないか?、と周りに言われても、ただ好きなだけだと言う方もいます。
少しずつ熱中度があがってしまうため、自分ではなかなか気が付きにくいです。
大まかにいうと、ゲームをしたい衝動が抑えられなくなり、またゲームで実際の人間関係に影響がある場合が長期間続いていると趣味から依存症になります。

依存度をチェックしよう

アメリカの医学学会の精神疾患(しっかん)・精神障害の分類マニュアルでもすでに、今後研究されるべき病気としてチェック項目があります。
インターネットゲームで、仕事等で使用する場合やギャンブルや性的なインターネットゲームは除き、以下の項目に1年以上で5つ以上当てはまる状態が続くとゲーム依存症とされています。
若い人であれば依存に至るまでが早く、1年以内でも依存症とすることもあります。

1 インターネットゲームに夢中になっている。
(前回のゲームのことを考えたり,次のゲームを待ち望んだりして,インターネットゲームが日常生活の主要な活動となる)
2 インターネットゲームが取り上げられたとき離脱症候群を起こす。
(典型的な症状は,いらいら・落ち着きのなさ,不安・心苦しさ,嘆き・悲しみといったもので,薬理学的な離脱による身体症状は認められない)
3 耐性―インターネットゲームに参加する時間が増えていく必要性
4 インターネットゲームへの参加をコントロールしようとする試みが成功しない
5 インターネットゲームの結果として,インターネットゲーム以外の趣味や楽しみへの関心がなくなる
6 心理社会的な問題があると分かっていても,インターネットゲームを継続してやり過ぎてしまう
7 インターネットゲームの使用量について,家族やセラピストその他の人たちにうそをついたことがある
8 否定的な感情(無力感,罪悪感,不安など)から逃げるため,あるいはまぎらわすためにインターネットゲームを利用する
9 インターネットゲームによって,大切な人間関係,職業,教育あるいは経歴を積む機会が危うくなったり,失ったりしたことがある
出典 北海道公式ウェブサイト(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/index.htm )

ネトゲ廃人になる原因はどこにあるのか

ただのゲームなのに周りから見るとなぜ他を犠牲にするほどハマってしまうのかわからず、ネトゲ廃人と聞くと自己管理できないだけの人のイメージもあるかもしれません。
ですが、社会人では役職ある責任感の強い人がなってしまうことがあります。
ゲームの内容がとても進化していることも関係しています。

人との繋がりが強いネットゲーム

意外に思う方もいるかもしれませんが、ゲーム内で人との繋がりが大きいことが理由の1つとしてあります。
仲間や友達からメールやチャットなどの連絡が来た場合、すぐに返さないといけないという気持ちになってしまい、ゲームから離れることが出来なくなってしまいます。
更にそこでプレイの協力をお願いされ、一緒にしなれけばいけないとゲームの時間が増えてしまいます。

大人がなるケースとしては、生活の状況が変わり寂しくなっている状態でゲームを始め、そこから依存になってしまうということがあります。

ゲーム内で必要とされたい

多くのゲームは長時間や課金を行うと自分のキャラクターが強くなったり、アバターといって自分のキャラクターの見た目や衣装を変化させる機能が増えたりします。

ゲーム内で頼られたり、可愛い・格好いいと言われることで、現実の不安やストレス・寂しさを埋めようとずっとプレイしてしまうのです。
そしてその状態を維持しようと必死になります。

皆のためにという気持ちから

仲間と協力してプレイするゲームでは、メンバーから自分が欠けることで仲間やチームが不利になってしまうため、責任を感じて抜けることができないというのもあります。
実際には眠いのに、皆のために続けなければいけないという気持ちが生まれます。
学校で大会の練習や学校祭の準備をしている時、クラスの人が頑張っているのに一人先に帰るのは迷惑だし悪いと考えたことは誰でもあると思います。
そんな気持ちと一緒なのです。
責任感がある人がゲーム依存症になる理由はこれが大きいです。

時間をかけて強くなると更に周りから頼りにされます。
頼りにされると依存してなかなか抜け出せず、また強くなるという悪循環(あくじゅんかん)があるのです。

飽きないようなサービス提供

ゲーム制作会社がプレイヤーを飽きさせないようにと、こまめにシステム更新をして、プレイヤーを楽しませることも理由の1つです。
ネットのないゲームはクリアすれば終わりです。
ですがネットゲームは1つ目標を達成しても、また次のシステム更新で新たな目標ができてしまい、終わりがなくいつまでも続けることができてしまいます。
なかにはシステム更新を繰り返し、ゲームが発売やサービス開始してから10年以上も続いているゲームもあります。

依存のきっかけはゲームではない

実際に毎日何時間と決めることができればゲーム依存症にはなりません。
家庭内の不調和や社会的に居場所をないと感じることが長時間プレイが始まるきっかけで、そこからゲーム依存症に繋がります。

ゲーム依存症の治療・克服方法とは

ゲーム依存症は、ただゲームから離れれば良いということではありません。
まずは原因を見つけ、期間をかけて治療する必要があります。

根本的な問題は何か

ゲーム依存症となる場合、特に家庭環境に問題があるとされることが多いです。

ゲームをやめさせることよりも、ストレスや悩みの原因を解決してあげましょう。
自分がゲーム依存症だと言う場合は、日々の悩みや不安・ストレスがないか紙に書き出してみましょう。

「家族がゲーム依存なんです」と、カウンセラーが詳しくお話を伺ってみると、実はご家族は本人と膝を交えて本音の話し合いをしたことがなかったり、過干渉すぎたり等、背景があるにもかかわらず、そのことに目を向けていないことが多いです。
出典 久里浜医療センター(http://www.kurihama-med.jp/index.html)

不安や悩み、ストレスを解消する

話を聞いてくれる人がいればその人に、いなければカウンセラーなどに相談しましょう。
ゲームではなく現実に話を聞いてもらい、現実に居場所をつくることが克服につながります。

ゲーム以外で没頭できる趣味などをつくると、人との繋がりも増えてゲームの時間を少しずつ減らすことができます。

ゲーム内の仲間に断ることも必要

ゲームに没頭する必要がなくなっても、またゲーム内で頼りにされてしまうと辞めることができなくなってしまいます。
誘われても、何らかの理由をつけて断ることも重要です。
仕事や学校が忙しくなってきた、生活環境が変わった、など理由をつけてこれ以上はできないとハッキリと断りましょう。

病院での治療もある

日本ではまだまだ少ないですが、ゲーム依存症の専門外来もあります。
近いところに病院があれば、学校や仕事後にいくことが出来ます。
ゲームやネット依存外来が近くにない場合は、心療内科になります。

病院の治療方法は様々

引きこもりとなっている人の場合は生活リズムを整えることから始まります。
入院をして、一時的にゲームから離す方法をとっている病院もあります。
人との繋がりを持たせるために同じ症状をもつ人同士でグループワークやボランティアに参加させると場合もあります。

また原因が家族にあるケースもあることから、本人だけでなく周りの人も含めてカウンセリングを行うこともあります。

自分の子供を予防するには

特に子供は親よりもスマホやパソコンは使いこなしてしまいます。
何の条件もなく渡す前に、本当にそれで良いのか考えましょう。
様々な予防や対策の方法があります。

ですが、あくまでこれからスマホやパソコンを与える時の事前予防です。
すでにゲーム依存症になっている子供から急にゲームを取り上げると、逆効果となることもありますので注意しましょう。

事前に話し合う

事前に子供と危険性を話し合っておくことが必要です。
このためにはパソコンやスマホの危険性を親が知っておく必要があります。

子供に専有させない

ただ与えるのではなく必要な時に使わせる貸出制にしたり、ダウンロードや課金は必ず親が行うようにする方法などがあります。
自宅の中のみで利用する場合も、自室では使わせずにリビングでのみ利用できるとするのも良いです。

勝手に課金できないようにする

子供が親に内緒で、クレジットカードでたくさん課金してしまうというトラブルは日本でもよくあります。
スマホやパソコンで子供が勝手に課金できないように設定することはもちろん、クレジットカードを見られないように気をつけることも重要です。

しっかりと子供に接する

主な原因はゲームそのものではなく家庭内の不調和、居場所がないと感じた時にゲームに没頭することです。
普段から子供の話をしっかりと聞いて、現実でコミュニケーションをとることがゲーム依存症防止には重要なことです。

現実でのストレスや不安を減らしていこう

「ネトゲ廃人だ」と言って本人が悪いとする病気ではなく、実は周りの環境が影響している可能性が高い病気です。
しっかりと現実世界での人との繋がりをもち、ストレスや悩みをゲーム以外で解消しましょう。

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