動脈硬化症という言葉はテレビの健康番組などでよく耳にしますが、実際にはこのような病名の病気は存在していません。
病的な血管の状態を表す言葉であり、心血管障害や脳血管障害などを引き起こす原因となります。

心筋梗塞や狭心症、脳出血、脳梗塞などの恐ろしい疾患につながる動脈硬化症の症状と予防などについて本ページでご紹介していきます。
誰でも始められる予防方法や医薬品などについてもまとめましたので、健康づくりのご参考になれれば幸いです。

動脈硬化症とは


引用元: ヘスペリジン研究会(http://www.ghes.jp/)

動脈硬化症は病的な血管の状態を表している表現の一つであり、病名ではありません。
健康的な動脈は血液が流れやすい筒状になっていますが、動脈硬化症になっていると動脈の内側の壁面に付着した老廃物とコレステロールが混ざり合い、まるでお粥状の固まり(粥腫・じゅくしゅ)になります。

この粥腫で動脈の内側が硬く厚みをもってしまうことを、動脈硬化症という総称で呼んでいます。
動脈硬化症が悪化するほど血液が流れる道の血管内腔が、どんどん細くなってしまうのです。

動脈硬化症で血液が流れる道が狭くなった状態を狭窄(きょうさく)と呼び、どうしても流れる血液量が少なくなりますので、栄養や酸素が足りなくなります。
狭窄を起こしている部位は血液が流れにくくなるばかりでなく、血が固まりやすくなります。

血液が固まってしまう血栓を起こすと、最終的には狭窄部を塞いでしまうことになります。
閉塞されてしまった動脈には血液が流れませんので、栄養も酸素も全く送られなくなります。

動脈硬化症が進行した場合に生じる症状

動脈は体中にありますので、動脈硬化症も全身のさまざまなところで発症する可能性が考えられます。
特に動脈硬化症が生じやすいのは、心臓の筋肉に栄養や酸素を運んでいる冠動脈や、脳に運んでいる脳動脈などです。
実際に日本人の死因ランキングが毎年発表されていますが、心筋梗塞や狭心症などの心血管障害は第2位、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害などは第3位と上位に君臨し続けている状況です。

脳動脈が動脈硬化症によって塞がれてしまうと、脳細胞は脳梗塞という重度の障害を発症することがあります。
脳細胞が障害を受ければ、日常会話をしたり手足を動かすといったごく当たり前のような作業ができなくなるとう症状が生じます。
心臓の冠動脈が動脈硬化症によって塞がれてしまうと、心臓の筋肉に重度の障害が生じ、心臓のポンプ機能が働けなくなってしまいます。
こうして発症する疾患が、心筋梗塞です。

冠動脈も脳動脈も動脈硬化症が原因で動脈が狭くなる症状が進行すると最終的に塞がれてしまいますので、脳動脈なら脳梗塞に似た症状が一時的に現れます。
一時的にではすまないほど長引いた場合、認知症を発症する恐れも考えられます。
もし、足に栄養や酸素を届ける動脈が動脈硬化症を起こして悪化した場合には、冷感や歩くときに痛みを伴うなどの症状が現れ、進行するとなにもしないときですら自覚症状が現れるほどになります。

動脈硬化症の原因になる要素

動脈硬化症の原因は運動不足、肥満、高血圧、高コレステロール血症、喫煙などいろいろありますが、誰もが避けられないことの一つに、年齢を重ねることがあります。
どんな人でも加齢によって動脈硬化症は進みますが、その程度は個人差があるものです。
一般的にはまだ若い成人したばかりの若者よりも80歳代の方の方が、動脈硬化症と診断される人が多くなります。
ただ、同じ80歳代の人同士を比べてみると、進行の度合いにバラつきが見られます。

では、加齢以外にはどのような要素が動脈硬化症につながっているのでしょうか。
男性であること、喫煙習慣があること、肥満症、糖尿病、高脂血症、高血圧症が主な危険因子であることがわかっています。
上記6つに加齢を合わせて合計7つの中からあてはまる要素が多いほど、動脈硬化症の進行につながるということになります。
言い換えれば、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが高い人ということです。

年齢を重ねることは誰にも止められませんし、男性であるという属性も変えることはできません。
そうなると、その他の5要素だと診断されたときに治療に専念することが、心血管障害や脳血管障害といった重度の疾患予防につながるといえるでしょう。

動脈硬化症を改善するには

動脈硬化症が進行すれば、動脈が閉塞して血液が流れなくなってしまいます。
そうなると閉塞した先の臓器などに栄養さ酸素が届けられなくなりますので、重篤な疾病につながりかねません。

ドロドロ血液ってあるの?

よくテレビの健康番組や雑誌の健康特集記事などで血液についてドロドロ、サラサラなどと表現されていますが、医学的にこのような表現が用いられることはありません。
血液の流れ方のみに焦点を絞りドロドロやサラサラなどと現されているケースと、血管と血液の両方を動脈硬化症とつなぎあわせて伝えられているケースとに分かれます。

血液の粘稠度と動脈硬化症の関係

血液には、粘稠度(ねんちゅうど・粘り気があって濃いこと)があります。
粘稠度が高い血液というのは、細い血管をドロドロとした血液が流れることから、詰まりやすい状態ということになります。

高脂血症で、特に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の指数が高いと、血液の粘稠度が増えていき血流が低下します。
高脂血症は血管と血液に影響を及ぼしますので、血管の閉塞を招きます。
動脈の壁に悪玉コレステロールが入り込み動脈硬化症の症状が進むことから、高脂血症だと診断されている患者さんは動脈硬化症になるリスクが高いといえます。

高血糖による影響

高血糖の方は、血液の粘稠度が高い傾向があります。
濃くてネバネバしている血液は血管壁にダメージを与えやすいことから、動脈硬化症が悪化する原因になります。
高血糖である糖尿病の患者さんも、血管と血液に影響を及ぼすところが高脂血症と共通しており、血管の詰まりを招きやすくなります。

水分補給の大切さ

動脈硬化症は上記にあげたように糖尿病や高脂血症だと診断されていない人でも、水分補給を十分に行っていなければ発症する可能性がでてきます。

体内の水分量が不足していると健康な人でも血流が低下することから、血栓という血液の固まりが生成されるようになります。
血管が血栓によって塞がれ流れにくくなれば、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患につながりますので注意してください。

温泉旅行に出かけると、ついつい長風呂になってしまう方は多いことでしょう。
お風呂で大量の発汗のあと、現地の郷土料理や地酒などに舌鼓を打って、十分な水分補給をしないまま旅館で寝込んでしまったら、体内では水分不足になっている可能性が高くなります。
人間の体は就寝中に大量の発汗をしていますので、起床したときには前日の温泉で失われた水分も影響して、血液が凝縮された状態になっています。
よく心筋梗塞や脳梗塞は朝発症しやすいと聞きますが、このような原因があるためだと推測できます。

真夏は太陽の日差しが厳しくなり、特に活動をしていなくても大量の発汗量になります。
こんなときも要注意で、小マメな水分補給をして失われた体内の水分を補うことが大切です。
特に疾患を持っていない健康な方でも、炎天下で過ごすときには温泉で大量の汗をかくのと同じように水分補給をすることが動脈硬化症の予防や改善になります。

動脈硬化症の予防や改善を行うためには、現在糖尿病や高脂血症だと診断されている方は治療に専念することが重要です。
血管の詰まりを生じさせる要因を作らないようにして、心筋梗塞や脳梗塞を予防することが大切です。
心不全の患者さんの場合は例外で、大量の水分を摂ることが心不全の進行に影響しますので、主治医の指導に従ってください。
心不全の方を除いては健康な方や初期症状の方も含めて、十分な水分を摂ることで血管の詰まりを回避しましょう。

動脈硬化症の検査方法

動脈硬化症の検査方法として、冠動脈CTや脳MRIなどがあります。
冠動脈CTや脳MRIが行われる理由は、動脈硬化症の症状が悪化して大きなリスクを抱えるのは冠動脈や脳動脈だからですが、これらの検査はとても大がかりになってしまうという一面も持っています。

そこでもっと手軽に受けやすい検査はないかということから、冠動脈や脳動脈の動脈硬化症と一定の相関性が確認されている頸動脈の検査を行うというやり方が取られています。
冠動脈の検査は超音波(エコー)により簡単に行うことができ、恒常性を乱すリスクもありません。

冠動脈の検査以外ではやCAVIやPWV(血管がどれくらい硬いかをみる検査方法)、足関節上腕血圧比(ABI)などがあります。
特に末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)について検査したいときに、足首と上腕の血圧の割合を比べるABIが、簡単に行えるという点においても非常に役立たれています。

予防に効く医薬品 ヘルスオイル

動脈硬化症の予防に効く医薬品と聞くと、さぞかしいろいろな商品が薬局やドラッグストアに並んでいると思われるかもしれません。
現時点で動脈硬化症の予防に有効だとされている一般用医薬品は、日本では1商品しかありません。
ヘルスオイルという第3類医薬品です。

主な効能は、動脈硬化症の予防と、高コレステロール血症の改善作用です。
トコフェロール酢酸エステル、カルバゾクロム、ジパルミチン酸ピリドキシン、リノール酸という4つの有効成分が血管の詰まりに働きかけます。
トコフェロール酢酸エステル ── ドロドロして末梢血管を流れにくくなった血液が、循環しやすいように促進する
カルバゾクロム ── もろくなった毛細血管の耐久性をアップする
ジパルミチン酸ピリドキシン ── 体の中で脂肪が溜まらないように防ぐ
リノール酸 ── 血液内のLDL(悪玉コレステロール)を低下させる

毎日3回、食後に2カプセルずつ服用します。
医療機関で治療薬が処方されている方は、ヘルスオイルは医薬品なので飲み始める前には必ず主治医に相談してみてください。
服用できる年齢が15歳以上ですので、もし健康のためを思ってご家族やお知り合いにヘルスオイルの紹介をされる場合、相手の方の年齢に注意してください。

ヘルスオイル

食事で動脈硬化症を予防

動脈硬化症は、食生活の改善で発症リスクを大きく抑えることが可能
です。
運動不足や肥満、高血圧、高コレステロール血症、タバコなどの問題に手を打ちつつ、並行して栄養バランスの取れた食生活を送ることで予防効果をアップすることができます。

調味料の見直し

動脈硬化症対策の食事は、悪玉コレステロール(LDL)を摂り過ぎないようにすることがポイントの1つです。
健康を意識して野菜をたくさん食べようとするとき、かけるドレッシングやマヨネーズをかけすぎると油の過剰摂取になることも考えられます。
カロリーオフやノンオイルドレッシングなどを選んだり、かけ過ぎに気を付けることが大切です。

大豆製品や青魚を食べる

悪玉コレステロールは飽和脂肪酸が豊富な肉類で増える性質がありますので、ほどほどの量にしたいところです。
その代わりサラサラ血液になる不飽和脂肪酸が摂れる青魚(さんまやサバなど)や、血中コレステロールを減らすリノール酸を含有する大豆製品を積極的に食べるようにしてみてください。

食物繊維を摂る

食物繊維には2種類あり、動脈硬化症を食事で改善するには1種類だけを摂ればOKです。
水に溶ける水溶性食物繊維と溶けない不溶性食物繊維のうち、動脈硬化症対策に有効なのは水溶性食物繊維のみです。

水溶性食物繊維はイモ類や海藻類、果物などで摂取することができます。
ちなみに、不溶性食物繊維は便秘解消に有効です。

生活習慣の見直しと定期健康診断で予防しよう!

動脈硬化症を未然に防ぐためには、すでに糖尿病や高脂血症などの方は治療に取り組むこと、健康な方も水分補給をして体内の水分量が足りなくならないように気を付けることが大切です。
その一方で、適度な運動を習慣づけたり、タバコをやめたり、栄養バランスのいい食生活を送るなどして肥満にならないようにすることも効果があります。
日常生活を改めつつ、できれば定期健診を受けることもおすすめしたいところです。
症状が現れてから手を打つのではなく健康診断を受けることによって早めに発覚できれば、それだけ症状が小さなうちに改善していけます。

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