乾燥による皮膚炎にはさまざまな種類があり、子供か大人か、高齢者かなど年代によって異なります。
子供が発症しやすい乾燥が原因の皮膚炎には、アトピー性皮膚炎や乳児湿疹などがあります。
大人、特に高齢者がかかりやすいものは皮脂欠乏性湿疹(乾燥性疾患・乾燥性皮膚炎)などです。

本ページではこれらの乾燥による皮膚炎はどんな原因で生じるのか、症状や治し方などについてご紹介します。
ご本人はもちろんのこと、周囲のお子さんやご年配の方で乾燥による皮膚炎でお悩みの方がいらっしゃいましたらこちらの情報がお役に立てれば幸いです。

子供に多いアトピー性皮膚炎の症状・原因など

アトピー性皮膚炎を発症する年代で特に多いのは、乳幼児や学童期にあたる子供です。
子供だけとは限らず、大人でアトピー性皮膚炎にお悩みの方も大勢います。

アトピー性皮膚炎の症状

特に皮膚炎の症状が現れやすい部位は、乳児の場合が首や顔、頭、幼児や学童期の子供は全身、特に関節屈曲部位です。

<乳児に生じる症状の傾向>
顔や頭部が主であり、ジクジクと赤みを帯びた皮膚炎ができます。
離乳期の赤ちゃんは、さらに頬や口の周辺に皮膚炎が現れやすいのが特徴的です。

<幼児や学童期に生じる症状の傾向>
肌質がカサカサと乾燥気味に変わり、以下のように部位によってそれぞれの症状がでてきます。

  • 耳たぶや耳の淵 ── 耳切れと呼ばれるひび割れ。
  • 四肢関節の内側や首回り ── 丘疹(きゅうしん)という小さくブツブツとした皮膚の盛り上がりなど。
    肌が乾燥して新陳代謝のサイクルが早いことから、鱗屑(りんせつ)と呼ばれる粉状の白いアカもでる。
  • 顔 ── 顔面単純性粃糠疹(たんじゅんせいひこうしん)は「はたけ」ともいい、カサカサの肌になる。
    他の部位と比較して新陳代謝がスピーディに行われることから周辺よりも日焼けで生じた色が早く戻る。
  • 腕など ── 魚の鱗を敷き詰めたような魚鱗癬(ぎょりんせん)が生じる。

アトピー性皮膚炎になる原因

アトピー素因や強烈なかゆみの症状への掻きこわし、乾燥しがちな肌質、カビ、ダニ、ハウスダスト、合わないスキンケアなどでアレルギー反応が生じ、アトピー性皮膚炎に至ります。

アトピー性皮膚炎の治し方

アトピー性皮膚炎の代表的な治し方は、保湿剤を用いて皮膚バリアを復活させたり、内服薬を服用してかゆみの症状を抑えたり、外用薬で皮膚炎を治療するなどします。

子供に生じる乳児湿疹の症状・原因など

乳児湿疹は子供、とりわけ名前にもある通り生後数週間~乳児期の幼い赤ちゃんが主にかかります。
赤ちゃんにできた湿疹をまとめた呼び名が乳児湿疹なのでさまざまなタイプがあり、代表的なものだけで5種類(食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、あせも、乳児脂漏性湿疹、新生児ニキビ)もあるほどです。

乳児湿疹は正式な病名ではなく総称ですが、どの病気も共通して言えるのは保湿ケアが大切なこと、清潔に保つことが基本であることです。
生後3か月を過ぎると肌が乾燥しやすくなりますので、保湿ケアをすることが皮膚炎の予防に効果的です。
それぞれの病気に対応した治療が欠かせませんので、皮膚科や小児科で相談してみてください。

乳児湿疹の症状

代表的な5種類の乳児湿疹の中から、どれに当てはまるのか症状からある程度の目星がつくかもしれません。

  • 食物アレルギー ── アレルゲンを口にすると、すぐに咳・嘔吐・皮膚炎などの症状が現れます。
    赤ちゃんによってはアレルギー反応がひどく出て、体中が真っ赤になります。
  • アトピー性皮膚炎 ── 一時的ではなく症状を繰り返すのが特徴的です。
    赤い皮膚炎とひどいかゆみの症状があります。
    発症する部位は、主に耳たぶ・頭部・顔です。
    原因は解明されていないものの、動物の毛から引き起こされたり、ダニ、ハウスダスト、ストレス、食物アレルギーなどとの関係が指摘されています。
  • あせも ── 気候がいいシーズンに、ブツブツが背中・首・臀部(でんぶ)に生じます。
    皮膚が蒸れるとできやすくなり、かゆみの症状から自分で掻いてしまって傷口から黄色ブドウ球菌に感染することもあります。
  • 乳児脂漏性湿疹 ── 乳児湿疹の中で新生児ニキビと1、2を争う患者の多さです。
    頭皮や顔が脂っぽくなり、フケや黄色のかさぶたなどが生じます。
    新生児ニキビとの共通点として、症状が進行すれば炎症を発症して腫れる場合があります。

    乳児脂漏性湿疹
    乳児脂漏性湿疹

    引用元: ちかかね皮膚科(http://www.e-skin.net/index-c.htm)

  • 新生児ニキビ ── 10代の思春期にできるニキビのような症状もあれば、顔に赤くブツブツができるものも新生児ニキビです。
    発症してから1か月~2か月もすれば、衛生的にしているだけで自然治癒していきます。

乳児湿疹になる原因

乳児湿疹になりやすい原因は、主に以下の2つが考えられます。

  • 大人の皮膚は十分に角質層が整っていることから有害物質が外部から入り込むのをブロックしたり、程よいうるおいをキープする機能を備えています。
    乳児はまだ角質層が完成されていませんので、大人よりも薄く負担がかかりやすいといえます。
    汗やハウスダストのアレルギー、おむつによる湿気、温度差などの要因が皮膚炎を招きます。
  • 誕生して間もない乳児は新陳代謝が活性化されていますので、その分だけ皮脂の分泌量や発汗量もたくさんでます。
    しかし、まだ十分な大きさの毛穴に成長していないことから、排出されようとする皮脂や汗が毛穴に詰まり、皮膚炎やニキビの原因になってしまいます。

乳児湿疹の治し方・薬は効く?

乳児湿疹がどんな原因で引き起こされたのかを解明するのは、医師でさえ難しいことがあります。
経過を見ながら、赤ちゃんの症状などを元に診断が行われていきます。
正しい診断を受けるのは皮膚科や小児科を受診する必要がありますが、今回は自宅でできることをご紹介します。

  • 食物アレルギー ── ご両親がアレルギー体質の場合、生まれてきた子供も食物アレルギーがあるのではと警戒してしまうことでしょう。
    あまりにも警戒するあまり、離乳食の時期を先延ばしするという親御さんもいますが、発症リスクが高い場合であっても、他のお子さんと同時期に食べさせてあげてください。実は、アレルゲンが肌から体内に入り込むよりも前に食べてしまうことこそが、最強の予防策となるからです。
    そのため、時期を先にしてしまう方が、食物アレルギーになる確率を高めてしまうことになります。ただ、全てのケースにおいて油断できるという話でもありません。
    母乳で育てている場合、あまり多くはないのですが、ママが口にしたアレルゲンが母乳から赤ちゃんの口に入りアレルギー反応をだすこともあるためです。心配なようでしたら、アレルギー専門医または小児科医に相談されてみてはいかがでしょう。
    1歳以上になり消化器官が成長してきてからは、あえて口にすることで慣れさせるという医師も増加しています。
  • アトピー性皮膚炎 ── 簡単にアレルゲンを把握できないことも多いので、皮膚炎が生じたときはどんなときに出たか、どんな衣服を着用したときに発症したかなどメモをしておくことをおすすめします。
    衣服が原因である可能性があれば、タグの表示を確認してみましょう。同じアトピー性皮膚炎でも、大人と赤ん坊とでは治りやすさが異なります。大人はなかなか治りにくい傾向が見られますが、赤ちゃんの乳児アトピー性皮膚炎にかかった場合、たいていは特になにもしなくても2歳くらいまでに自然治癒します。
  • あせも ── 汗を原因として発症することから、肌着を清潔に保てるよう小マメな着替えが効果的です。
    大人と比べて平熱が高い赤ちゃんは発汗量も多いので、大人が認識しているより暑いと感じていることも少なくありません。
    冬場でも温め過ぎると暑く感じていることがありますから、布団のかけ過ぎやたくさん着込んで着ぶくれし、汗をかくほどになっていないか気を付けてあげましょう。あせもが原因の皮膚炎はかゆみの症状がでますので、もし掻いているようでしたらかゆみを抑制する市販薬が販売されています。
    症状が悪化して病院で薬を処方してもらう場合は、ステロイド(リンデロンなど)が用いられます。ステロイドと聞くと副作用が心配になるかもしれませんが、限定した期間(5日~7日程度)なら深刻な副作用はないといわれています。
  • 乳児脂漏性湿疹と新生児ニキビ ── どちらの場合も、皮膚を清潔にキープすることが症状改善のポイントです。
    ベビーソープを用いて、毎日のお風呂で皮脂と汗を清潔に洗い流します。
    特に肌が弱いようでしたら、ガーゼにお湯を含ませたもので泡を優しく洗い流します。
    シャワーを用いたいところですが、肌が弱い赤ちゃんにとっては強い刺激となってしまうからです。乳児脂漏性湿疹の赤ちゃんで患部がかさぶたになっているようでしたら、入浴前にワセリンまたはオイルを塗布しふやかします。
    夜中に掻いてしまうのをやめさせたいときは、ミトンで覆うという手段も効果的です。

高齢者に生じる皮脂欠乏性湿疹の症状・原因など

皮脂欠乏性湿疹は大人、特に高齢者の方がかかりやすい傾向があり、乾燥性疾患や乾燥性皮膚炎などと呼ばれることもあります。
特に冬の空気が乾く時期に皮脂欠乏性湿疹になりやすく、ひび割れなどの症状が現れます。

皮脂欠乏性湿疹
皮脂欠乏性湿疹

引用元: 平松皮膚科医院(https://hiramatu-hifuka.com/)

進行する乾燥肌・乾皮症・乾燥性疾患

乾燥性疾患は乾燥肌などと症状が似ているのですが、同じというわけではありません。
最初が乾燥肌、症状が進行すると乾皮症、さらに悪化すると乾燥性疾患になります。

そもそも皮膚は角質層という層が表面を覆っており、天然の保湿成分や水分を含有してうるおいを補給する大事な役割を果たしています。
そのさらに外側は保湿クリームのような役割をする皮脂膜があり、水分と皮脂を含んで水分が角質層から逃げないように包み込んでいます。
皮膚が乾燥すると角質層内にある水分がなくなり、健康な状態ではなくなってしまいます。
こうして皮膚が硬くなって皮が剥けたりひび割れを起こしたのが乾皮症です。

乾皮症がさらに悪化すると、水ぶくれや赤み、強烈なかゆみなどの皮膚炎を伴う皮脂欠乏性湿疹に発展します。
皮脂欠乏性湿疹の症状は肌が乾燥しやすい部位に現れやすく、脇腹やすねなどを中心に発症します。

皮膚炎になると肌が生まれ変わるサイクルが早まるので、健康な状態よりも荒れやすい状態になります。
実際には皮脂欠乏性湿疹になっているにもかかわらず、ただの肌荒れ程度だと思い込んで肌荒れ程度のお手入れしかしていなければどんどんひどくなり治りにくくなる可能性があります。
皮膚炎の症状(赤みなど)がでたら、皮脂欠乏性湿疹かもしれませんので気を付けてください。

皮脂欠乏性湿疹の原因

皮脂欠乏性湿疹は乾燥肌、乾皮症、と段階を踏んで進行しますが、そもそもの大元である乾燥肌になる原因は年齢を重ねたことにあります。
症状が現れる時期は人によって早かったり遅かったりしますが、高齢者になったらほぼ誰でも皮脂が足りなくなるものなので、自分だけという症状ではありません。

皮脂欠乏性湿疹は高齢者の方だけが限定して発症する病気というわけではなく、極度に清潔な方や空気が乾燥する季節なども発症する可能性があります
清潔なあまり洗浄するときにゴシゴシ洗いをして、肌を保護している皮脂まで落とし、乾燥させてしまうことがあります。
冬で乾燥するのは室外だけでなく、室内でも暖房器具によって空気が乾きやすくなります。

皮脂欠乏性湿疹の治し方

皮脂欠乏性湿疹の治し方は、まず肌の乾燥を補うことが大切です。
病院での治し方は、患者さんの状態に応じて外用薬の保湿剤などが使用されます。
かゆみの症状が深刻な患者さんには炎症を抑制するステロイド外用剤や、かゆみを緩和させる抗ヒスタミン剤が処方されます。

ご自分で気を付けられる対処法として、肌に直接触れる衣類は、ナイロンやアクリルなどといった、肌の水分を奪いかゆみの症状の原因になる化学繊維を避けることなどがあげられます。

乾燥による皮膚炎から肌を守るためには部屋で加湿器をかけるのが理想的ですが、なくても水分を含ませたタオルをかけておくなどするだけでも違います。
ちなみに、理想の湿度は60%です。

乾燥による皮膚炎は種類が多い

乾燥による皮膚炎と一言で言っても、年代によって発症しやすい病気の種類が異なります。
大人よりも子供はまだ身体が完成されきれていないため、多くの種類の皮膚炎にかかる可能性があります。
特に赤ちゃんがかかる乳児湿疹は、代表的なものだけで5種類もあるくらいですから、自己判断でどう対処すればいいのかと悩んでしまいますよね。
迷ったら医療機関で相談し、適切な診断と治療を受けてください。

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