子供が百日ぜき(ひゃくにちかぜ)にかかったら、死に至る可能性がありますので一刻を争う事態です。
百日ぜきの症状に似ているけれど違うかもと素人判断せず、間違っていればそれが一番ですから、すぐに病院で検査を受けてください。

百日ぜきは子供だけでなく、大人も感染する可能性があります。
年齢にかかわらず百日ぜきにかかったらどんな症状が現れるのか、どんな治療法が有効か、妊娠中に感染したら胎児に影響はないのかなど大切なことを本ページにまとめました。

特有の咳の症状があったり、特に子供はヒューヒューと笛のような呼吸をしていたら、百日ぜきの可能性が高いといえます。
百日ぜきは病院でどんな治療が行われるのか、感染させてしまう可能性はあるのか、学校は出席停止になるのかなどをご紹介していきます。

うつる?百日ぜきの特徴とは

百日ぜきについて詳しく知らない方でも、病名だけは一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
一度聞けば記憶に残りやすい百日ぜき、どんな特徴の疾患なのでしょう。

百日ぜきという名前の意味合い

百日ぜきという名前の意味は、激しい咳の症状が100日と表現されるほど長い期間に渡り出ることからきています。

うつる?その確率

百日ぜきにかかったら、他人にうつるのでしょうか。
原因である百日咳菌は強力な感染力を有しており、とりわけ初めの約3週間は警戒が必要です。
百日咳菌に対する免疫を持っていない方にうつる確率は、約70%~100%といわれているほどです。

感染経路

百日ぜきの感染経路は、主に接触感染と飛沫(ひまつ)感染の2通りです。

  • 接触感染 ── 百日咳菌が付着した手で口や鼻、目などを触ることで体内に侵入します。
    百日ぜきの患者さんと直接的な接触がないからといって、接触感染をしないとは限りません。
    遊具やドアノブなどに百日咳菌がついていれば、触れることで手にうつり感染する可能性があるからです。
  • 飛沫感染 ── 百日ぜきの患者さんから発せられる咳や会話などにより、口から出るしぶきを吸い込んで感染します。
    距離が離れていれば吸い込む心配はありませんが、1m~2m以内の距離では十分感染することが考えられますので気を付けてください。

発症しやすい年齢・季節

3歳以下の子供を中心としてかかる病気で、特に赤ちゃんに発症すると命にかかわる急性の気道感染症です。
百日ぜきの可能性がある症状が赤ちゃんに生じたときは、迅速に病院で診てもらってください。

新生児の赤ちゃんもかかる可能性があるのは、経胎盤移行抗体という免疫がお母さんから継承されていないためです。
百日ぜきにかかる人の60%近くは、赤ちゃんなどの幼い子供が占めている状況です。
子供の患者さんが多いとはいえ、大人が感染者にならないという話ではありません。

百日咳菌から身を守る予防接種がありますが、効き目が続く期間は注射を受けてから約5年~10年といわれています。
子供の頃に百日ぜきの予防接種を受けたという成人の方は、年月の経過に比例して免疫が弱まっていますので、かからないとは言い切れないことになります。


引用元: 国立感染症研究所(www.niid.go.jp/niid/)

流行しやすいシーズン

百日ぜきは1年中かかる可能性がありますが、流行しやすい季節は春~秋、特に8月~9月の夏場は猛威を振るいます。

百日ぜきの症状

百日ぜきは、患者さんの年齢層によって特徴の異なる部分があります。
また、原因菌に感染してから潜伏期間・カタル期・頸咳期・回復期と段階を踏んでいく病気です。

百日ぜきの代表的な症状

百日ぜきの症状といえば、特徴的な咳です。
短い咳が続いたかと思っていると、今度はヒューヒューという笛のような音が息を吸い込むときに出て、最後に痰がでたところで発作が落ち着きます。
この発作は、夜になって吐き気の症状と一緒に現れるようになります。

発作がでている最中は十分な呼吸がままならないため、顔を真っ赤にするほどです。
患者さんによってはこうした咳の発作が原因で舌の筋に亀裂が生じたり、鼻血がでたり、目が充血するということもあります。

潜伏期間

約1週~2週間くらいの潜伏期間があります。

カタル期

軽度の風邪に似た症状が現れ、カタル期と呼ばれる時期が2週間近くあります。

頸咳期

ひどい咳の発作で頸咳期(けいがいき)といい、2週~3週間近く続きます。

回復期

最後に少なくとも2週~3週間以上かけて回復期を迎え、徐々に咳がなくなっていきます。

乳幼児に感染した場合

乳児から幼児の子供が百日咳菌に感染すると、場合によっては死亡したり、障害が残ることも考えられます。
乳幼児はカタル期に咳の症状が現れ、回復期にだんだんと治まっていきます。

乳幼児が百日ぜきを発症しているとき、併発する可能性が高い病気は中耳炎です。
特に生後半年にも満たない赤ちゃんの場合は、呼吸困難により脳炎や肺炎を併発するリスクが考えられます。

成人が感染した場合

成人が百日咳菌に感染しても乳幼児のように死に至る心配はないのですが、繰り返す可能性があります。
成人は頸咳期に入ってから咳の症状が現れる患者さんもいれば、出ない患者さんもいます。

成人の感染者が病院で受診しても、咳の症状が現れていない場合百日ぜきだとは診断されず、原因不明になることも少なくありません。
成人の場合、自然治癒することも多くあります。
患者さんによっては倦怠感、微熱、頭がふらつく、喉の痛みなど症状が現れ、1年以上改善されないということもあります。

大人が百日ぜきを発症しているとき、胸膜炎、膀胱炎、尿道炎を併発する可能性が考えられます。

妊娠中や授乳中の子供への影響

妊娠中のプレママや授乳中のママがもし百日ぜきだと診断を受けたら、胎児や赤ちゃんに影響を及ぼすのでしょうか。
百日ぜきをプレママが発症しても、胎児に感染する心配はありません。
プレママの百日ぜきの治療法は、産婦人科の主治医の先生と相談しながら、お腹の中の胎児に差し支えない薬を用いるようにしてください。

妊婦さんで、百日ぜきにかかる可能性がある方もいるでしょう。
お腹に赤ちゃんがいても予防接種を受けることは可能ですので、医師に相談してみてはいかがでしょうか。

出産を終えると授乳が開始しますが、この時期に百日ぜきにかからないとは限りません。
母乳を介して我が子に百日咳菌をうつしてしまうのではと心配になりますが、母乳から感染することはありません
では、授乳中の赤ちゃんが百日ぜきにかかるリスクがないかというとそれも違います。
というのは、百日ぜきは接触感染や飛沫感染でうつる感染症だからです。
母乳以外の感染経路があることを忘れず、注意してあげましょう。

出席停止

感染症によっては、学校保健法によって出席停止になるものがあります。
百日ぜきは、特有の咳がでなくなるまでは出席停止と定められています。
ただ、必ずしも特有の咳が治まるまで出席停止になるとは限らず、伝染する可能性がないと認められた場合は学校に行くことができます。

百日ぜきと診断されたら、まずは学校側にその旨を連絡しましょう。
学校側と医師の両方の指示を仰ぎ、従うようにしてください。

医療機関で行われている検査

百日ぜきの疑いがでてきたら、特に小さい子供はできるだけ早く医療機関で診てもらってください。
検査方法は複数種類あるのですが、一般的なのは血清学的検査と病原体検査の2種類です。

病原体検査では粘膜を鼻喉頭から採って検査し、百日咳菌が確認されれば百日ぜきにかかっていると診断されます。
ただ、百日咳菌が病原体検査によって検出されるのはカタル期後半に限られており、頸咳期に突入している患者さんからは確認することが難しくなります。

こうした特徴があることから、咳の症状が2週間以上も続いており、短い咳が継続的にあったのち、呼吸を吸い込むときに笛のようなヒューヒューという音があって、痰がでると症状が終わるという発作であれば、百日ぜきと診断される場合があります。

治療方法

百日ぜきの症状を改善させるためには、医療機関で適切な治療を受けることと、さらに自分でできることの両方を並行して行うことが理想的です。

医療機関で行われている治療

医療機関で百日ぜきだと診断された患者さんが受ける治療は、原因である百日咳菌が増殖するのを抗生物質によって抑制させるという方法が一般的に取られています。
特に抗生物質が高い効果を発揮するのは、カタル期の前半です。
頸咳期に生じる咳の発作を抑えたいときには、抗生物質は効果が期待できません。
とはいえ、体外に百日咳菌を排出させるためには、抗生物質を2週間くらいは止めずに飲み続けなくてはなりません

百日ぜきを引き起こしている百日咳菌は、一般的な風邪ウイルスとは異なるものです。
風邪ウイルスとは根本的に違いますので、市販の咳止め薬を服用しても回復することはありません。
普段具合いが悪くなったときに街のドラッグストアや薬局で売られている市販薬で治しているという方も、市販薬で百日ぜきの治療しようとはしないでください。

発作予防のためにできること

つらい百日ぜきの咳症状を起こさないためには、以下の方法が効果的です。

  • 食生活では低刺激な食べ物やメニューを率先して選ぶようにする
  • 水分をたっぷり補給する
  • 低温を回避する
  • 喫煙をやめたり、タバコの煙を吸い込まないようにする

予防方法

感染力が高いといわれる百日ぜき。
身を守る予防方法はあるのでしょうか。
百日ぜきにかかってから咳の発作がでないようにするのではなく、そもそも最初から百日ぜきにかからないよう、誰でも今から始められる方法があります。

うがい手洗い

よく風邪などの予防法といえば、基本的なことにうがい手洗いがあげられます。
百日ぜきは接触感染と飛沫感染の2通りの感染経路がありますが、うがい手洗いはどちらの予防にも効果的です。
外から帰ってきて家の中に入ったらまずうがい手洗いを行いますが、手を洗浄するときには必ず石鹸を用い、さらに洗い上げた手をアルコール消毒するのが理想的です。
うがいのコツは決して静かにお行儀よく行うのではなく、ガラガラと音を立てるつもりで行ってください。

マスク

飛沫感染の予防にはマスクが一番高い効果を発揮します。
マスクをしていないときにくしゃみや咳が出そうになったら、ついつい普段通りに手のひらで口元をおおいたくなります。
ただ、百日ぜきの時期だけは手のひらではなく、洋服の内側を用いて押さえることをおすすめします。

予防接種

感染症の多くは予防接種があります。
予防接種法という法律が日本にはあり、百日ぜきも予防接種法に従ってDPT-IPV(四種混合ワクチン)の接種が行われています。

感染症によって予防接種を受けるのに最適なタイミングがあるでしょうが、百日ぜきの場合は生後3か月~1か月おきに、合計3度受けることが推奨されています。
この予防接種の受け方が、最も予防効果が高いことがわかっているためです。

海外における百日ぜき

日本で耳馴染みのある感染症の百日ぜきは、国内だけでなく世界中で発症しています。
日本のように予防接種が行われており、未然に防ぐことへの意識が高い国はいいのですが、そうでない国もまだまだあるのが現状です。

1年間に百日咳菌に感染する人は、WHOの発表によれば2,000万人~4,000万人ともいわれています。
これほど多くの患者さんが世界のあちこちにいるわけではなく、発展途上国の子供たちが全体の90%近くを占めているというのが現状です。
発症しているだけにとどまらず、命を落としている患者さんは感染者のおよそ100分の1にあたる約20万人~40万人という情報もあります。
日本の感染者の数は、1年間に約2万人と伝えられています。

家族からの感染に注意!

乳幼児が百日ぜきに感染すると命にかかわりますので、発症したのではと少しでも疑問に感じたら、迷わず病院で診てもらうようにしてください。
百日ぜきの感染経路は接触感染や飛沫感染ですが、その大元である百日咳菌は決して他人から発せられたものとは限りません。
むしろ、患者さんがその家族に感染させてしまい発症しているというケースがとても多いのです。

一緒に生活をしている人から百日咳菌をうつされないよう予防することは困難かもしれませんが、不可能なわけではないのも事実です。
うがい手洗いなどの基本的な予防策を小マメに実践し、身を守っていきましょう。

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