ほっぺたが赤くなる感染症は、医学的には伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)と呼ばれる病気です。
その症状からリンゴ病、もしくは平仮名でりんご病などと表記されます。

子供に多く感染する病気で、子供は酷くなければ病院に行かずに自然治癒でも大丈夫です。
ですが感染経験がなければ大人でも感染し、特に妊婦さんはお腹の赤ちゃんにも影響が出ることもあるので、注意しなければいけない病気です。

原因と感染経路

リンゴ病はヒトパルボウイルスB19という、略してPVB19と記載されるウイルスに感染することが原因で発症する病気です。
骨髄(こつずい)の中にある赤血球に感染します。

人にうつるのは発症前

感染の危険性があるのは、最初の熱やだるさなどが出ている間です。
ほっぺたが赤くなってリンゴ病と判断できる時期にはほとんど感染はせず、症状が出ていない時に感染します。
飛沫(ひまつ)感染というくしゃみやほこりを通じて、または直接ウイルスに触れることで感染します。

流行の時期は?

主に春から夏にかけて、生後1年から小学校に入学する6歳くらいまでの子供に多く発症します。
また4、5年の周期で全国的に流行りが見られます。
2007年、2011年、2015年と全国的に流行していました。

主な症状と年代別症状

ほっぺたが赤くなって熱を帯びたり、痒くなったりします。
この赤いほっぺたがリンゴのように見えることから、リンゴ病と呼ばれます。


出典 国立感染症研究所(https://www.niid.go.jp/niid/)

まだら模様の赤い斑点が足や腕に出る症状もあり、まれにお腹などにも発症します。
アトピー性皮膚炎が元々症状としてある場合、かゆみが強くでることがあります。

段階的に症状が現れる

初期症状でほっぺたの赤みや手足の発疹が出るのではなく、段階があります。

  • 潜伏期間
    ウイルスの潜伏期間は1週間から10日程度です。
  • 初期症状
    最初に出る症状は熱や筋肉痛・体のだるさなど風邪に近い症状のため、この段階ではリンゴ病と気がつくことは難しいです。
    熱は発生したとしても高熱になることはなく微熱です。
  • 発症から1週間〜10日程
    ほっぺたに発疹が出始め、ここでリンゴ病と初めて気が付きます。
  • 更に数日経過
    腕や足に発疹が出ます。
    次第にこの発疹が網目状やレース模様になっていきます。
  • 発疹から4、5日後
    症状が酷くなければ、この時点で通常はいったん治まります。
    ですがまだ免疫不完全な状態で、再発の可能性があります。
    完全に治るまで2〜3週間程かかります。

赤ちゃん・子供は比較的軽め

子供のうちは大人に比べて症状が穏やかで、熱は出ないこともあります。
子供の発症が多いのは、一度感染すると免疫(めんえき)が出来るためで、感染するとその後は発症しなくなるためです。
また初めての感染でも、症状が出ないケースもあります。

大人がかかると症状は重くなりやすい

子供に多い感染症ですが、免疫(めんえき)がないと大人が感染することもあります。
大人がかかると腰や膝の関節痛の症状が強く現れ、長引くことがあります。
症状によっては、指や手が曲げづらくなったり、膝が痛く歩きづらくなります。
歩きづらくなる症状などは1、2日で治り、合併症などもほとんどありません。
はしかやおたふく風邪と同様で、大人が感染すると大変な病気のひとつです。

妊娠初期の妊婦さんの感染は危険

妊婦さんがリンゴ病にかかってしまうと、危険な状態になる可能性があります。
妊婦さんとお腹の中の赤ちゃんを繋いでいるへその緒を通じて、赤ちゃんに感染します。
その赤ちゃんが貧血になってしまい、お腹の中での成長が遅れてしまいます。

また胎児水腫(たいじすいしゅ)といって、お腹の赤ちゃんに水ぶくれが出来ることもあります。
この胎児水腫は流産、死産になる危険性が出てきます。
特に妊娠初期から20週までは危険性が高まり、28週を超えると比較的安全な期間になります。

妊娠28週以降の母体PVB19感染による胎児水腫や胎児死亡の発生率は低いとされる。胎児水腫の約3割は自然に軽快する。
出典 国立感染症研究所(https://www.niid.go.jp/niid/)

妊婦さんでも子供のうちに感染していれば発症しないので大丈夫ですが、自分が過去にリンゴ病にかかったかどうか知らないという方も多いと思います。
妊婦検診の必須項目には含まれていませんが、病院によっては希望でリンゴ病に感染した経験があるかを検査することも出来ます。

再発や合併症は?

網目模様の発疹が出てからおおよそ1週間程で症状は治まりますが、この時にウイルスが残っていて再発することがあります。
再発を引き起こすのは、日光や運動、入浴など体が温まることがきっかけとなります。

実際は何度もかかるわけではない

症状が治まったり悪化したりを繰り返すため、短期間に何度もかかったと思う方もいます。
ですがリンゴ病は、インフルエンザなどとは異なり、一度免疫ができればかかりません。
あくまで再発しているのは、完全にウイルスがなくなっていない状態で症状が出てしまっている状態です。

PVB19は一度感染すると終生免疫が得られ、一般に再感染はない。ただし、本ウイルスは免疫不全者において持続感染を起こす場合がある。
出典 国立感染症研究所(https://www.niid.go.jp/niid/)

合併症の危険は少ない

リンゴ病が起こす合併症として、脳炎、脳症、心筋炎などがありますが、これらが発症する確率は低いです。
注意するのは、赤血球が壊れる事で貧血になるという溶血性(ようけつせい)貧血という病気を元々持っている子供です。
リンゴ病になることで、貧血の症状が悪化するケースがあります。

治療方法・予防薬について

リンゴ病のウイルスに対する薬はなく、子供は必ずしも病院にいく必要のあるような病気ではありません。

ですが、妊婦さんは充分に注意しなければいけない感染症です。
身近な人がリンゴ病だったりお腹の赤ちゃんとは別の子供が感染した場合、産婦人科に相談しましょう。
初期の熱やだるさなどが出ないこともありますので、自覚症状がなくても診てもらうのが良いです。

予防方法はあるか

予防のワクチンもまだ開発されていません。
ですがウイルス感染ですので、マスクや手洗いなどである程度防ぐことは可能です。
感染経験のない妊婦さんにとって危険なでありながらも事前予防が難しい病気です。
対策としては人の多い場所にいく時には風邪と同様の予防を行うこととなります。

病院での処置

リンゴ病のウイルスに対しての治療薬もありません。
そのため病院の治療としてはかゆみがひどい場合には、かゆみ止めを出して自然治癒を待つ治療となります。
病院では抗ヒスタミン剤など、蕁麻疹やアレルギーの薬などが処方されます。

市販薬はある?

ウイルスに対する薬や成分がないため、リンゴ病の症状改善を効能とする市販薬はありません。
市販薬で治すという場合は病院と同じでかゆみ止めを使います。

かゆみ止めは様々な会社が販売していますが、塗り薬のステロイド剤などは塗る部分や量に注意が必要ですので、医師や購入時の薬剤師などに相談してから購入しましょう。
塗り薬タイプのかゆみ止のほとんどは第2類医薬品のため、薬剤師の確認は必須ではない商品です。
ですが店舗であれば薬剤師や登録販売者の近くに置かれていますのでそこで聞けますし、ネット通販であれば事前連絡で相談できます。

病院に行った方が良い場合

自然治癒を待っていても、下記の症状が出た場合は病院に診てもらうようにしまよう。
一度受診していても、再度受診する方が良いです。

  • かゆみがとても強い
  • 高い熱が出ている
  • 全然元気が出ない

入浴はいつから?

お風呂は症状が出ていても入って大丈夫です。
ですが、体を温かくすることでかゆみが強くなったり、治まっていた症状が再発することがあります。
短時間で済ませたり温度を下げる、または浴槽には入らずシャワーのみにするなどの工夫をしましょう。

出勤・出席停止はある?

幼稚園や保育園、学校や職場については元気なようであれば行って大丈夫です。
リンゴ病とわかる症状が出る時には、すでに感染する可能性がほぼないためです。

登校・登園に関しては、発疹が出現した時点では、ウイルスは排出されず、感染の危険はほとんどないと考えられるので、出席しても構いません。
出典 医療法人あおきクリニック(http://www.aokiclinic-tekuteku.jp/)

注意点

お風呂と同様で日光に当たることでかゆみが出て来ることもあるので、晴れの日や気温の高い日は服装などに気をつけましょう。

またリンゴ病は症状が目立つことや感染症であることから、保育園や学校の先生に証明等の提出を言われることもあるかもしれません。
その際は医師に登校・登園証明書の記載を依頼しましょう。

子供よりも妊婦さんが注意する病気

主に子供の多くは自然治癒で治り、症状も酷いものではありません。
危険性が高いのは成人、特にお腹の赤ちゃんに影響のある妊娠初期の妊婦さんが気をつけるべき病気です。
予防は難しいものの、他の病気も含めて風邪対策をしっかり行うことで感染の可能性は低くなります。
またリンゴ病になった子供の兄弟家族が、症状が出ていなくても感染していることもあるので家族内でリンゴ病の発症があったら、妊婦さんに会う際には充分注意しましょう。

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