うちの子は朝が起きられないから学校に行かせるのが大変だ、いくら説明をしても午前中はボーっとしていて聞いているのかいないのか分からないなど、お子さんの寝起きの悪さに手を焼いているということはありませんか。
もしかしたら起立性調節障害(きりつせいちょうせつしょうがい)という病気が原因かもしれません。

お子さんが起立性調節障害にかかっているなら、病院で専門医から適切な薬物治療や非薬物治療を受けることで、約7割~8割の確率で3年以内に解決することが期待できます。

起立性調節障害はどのような症状が現れる病気なのか、医療機関ではどんな治し方で改善していくのかなど具体的にご紹介していきます。
朝が起きられないのは病気が原因であり、決して怠け者の性格というわけではないことを知るだけでも、大きな前進となるに違いありません。

起立性調節障害の症状


11のチェック項目のうち、3項目以上当てはまればクリニックへの受診を勧めています。
引用元: アイさくらクリニック(http://www.aisakura.com)

起立性調節障害という病名を初めて知ったという方も少なくないでしょうが、決して珍しい病気ではありません。
知名度は低いかもしれませんが、起立性調節障害だと考えられている子供の割合は、中学生が約10%、小学生は約5%といわれています。

これは日本小児心身医学会が発表した数字ですが、本人も別の原因だと思い込んで不登校になっている学生さんの中にも、この病気の患者さんがいる可能性はあります。
本当は病院で適切な治療を受けることさえできれば、再び学校に通えるようになる中学生や小学生も多いのではないでしょうか。

だらしない性格ではなく病気が原因かも

起立性調節障害の症状の一つに、朝学校に行かなければいけない時間が迫ってきても、大声で起こそうが爆音の目覚まし時計をセットしようが一向に起きないというものがあります。
一方で、夜はなかなか眠ろうとせず、遅い時間になっても好きな有名人のブログをチェックしていたり、ゲームに没頭しているなどというお子さんもいます。

起きなければいけない時間に起きてこないとなると、集団生活をきちんと送れないのではと親御さんは心配されるかもしれません。
そうした行動の原因が起立性調節障害なら、意外と本人は真面目に起きようと思って実は頑張っている可能性があります。

あれだけ大声で毎朝起こしているのだから、反抗しているのかと性格を疑いたくなるかもしれません。
自律神経が大きく崩れている場合、低血圧により意識がぼんやりしていることから、本人は朝の出来事のことをほぼ把握できていないといった感じです。

体育で実力を発揮できない

血圧が低い状態になっていたり、自律神経の崩れから血行がよくないので、酸素が全身に行き届いていません。
体育の授業に出席して激しいスポーツを行っても、実力を十分に発揮しづらいでしょう。
軽い運動であっても息切れしたい、子供によっては気持ち悪くなることもあります。

具合が悪くなったら、たるんでいるとか、授業をサボりたいだけだろうなどといったゆがんだ精神論を押し付けることなく、血流が改善するまで横になるようにしてください。
起立性調節障害という病気だとハッキリした原因がわかれば、これまで気をもんでいた親御さんも子供の苦労を理解できるようになり、お互いに良好な関係を築けるようになるはずです。

朝礼で頭部をぶつける?

朝礼というと、校長先生などの話を校庭や体育館などで聞くだけなので、何もしなくていいラクな時間だと認識されているかもしれません。
健康な人にとっては立っているだけでやり過ごせる時間でも、起立性調節障害の患者さんにとっては辛く長い時間です。

登校するだけでも容易ではないのに、健康な生徒でさえ体感的に長い朝礼の時間を、頭痛や立ちくらみの症状と共に立ち続けなければならないというのは本当に過酷です。
中には我慢の限界を越えて倒れてしまい、周辺の人や物などに頭部を打ってしまうということも考えられそうなると危険です。

主な原因

どうして起立性調節障害という病気を発症するのかというと、原因は自律神経にあります。
自律神経は正反対の性質を備えた交感神経と副交感神経の2種類があり、うまく連携が取れていれば起立性調節障害にかかることはありません。
それぞれの性質は、運動などで体を活発に動かすときに優位になるのが交感神経、身体的にくつろいでいる食事中や睡眠中に優位になるのが副交感神経です。

交感神経と副交感神経が正常に機能していないときは、昼間に眠くて逆に夜に目が覚めてしまうなど日中と夜間が逆転してしまうなどの異変が起こります。
健康な状態のときは朝目が覚めたときから心拍や血圧が上昇し、交感神経が活性化され、能動的に動くことができます。
正常な状態でしたら日没と共に心も体も力が抜けて、血圧が落ち着きリラックスしていきます。

起立性調節障害だと診断される患者さんは交感神経と副交感神経の切り替えがされず、起きて学校に行っても血圧が低いままですので、授業に集中できていない、判断力が低下しているなどの症状が現れます。
生活のリズムが乱れ、乱れたまま無理矢理朝起きて学校に登校するので、自律神経が崩れる一方になるケースもあります。
起立性調節障害はこのように、自律神経と大きくかかわりのある病気です。

病院で起立性調節障害の受診

起立性調節障害の疑いがあるなら、病院でこの病気に精通している専門医に相談してみてはいかがでしょう。

何科で治せる?

医療機関で適切な診断を受け治療を受けるには、何科を受診すればいいのでしょう。
診察を受ける方の年齢によって異なります。
大人なら心療内科、精神科、循環器科。
中学生以上の方なら、心療内科や精神科。
小学生くらいまでなら、小児科になります。

起立性調節障害という疾患に詳しい専門医を受診するのが理想的ですが、関連書籍の著者である医師は小児科の先生が多い傾向があります。
専門医に診てもらった方がいいので、本来であれば小児科は小学生くらいまでの患者さんが受診するところですが、高校生や中学生も診察を受けられるか、まず問い合わせてみてはいかがでしょうか。

病院へ行くなら午前中がおすすめ

この病気の症状は、特に午前中に現れやすいという特徴があります。
医療機関は午前中も午後もやっていますが、症状が特に顕著に現れる午前中に診断を受けられることをおすすめします。

病院へ行く前には、実際にどのような症状が出ているのかお子さんから直接聞き、メモを取っておくといいでしょう。
日常生活の中で不快に思い改善させたい悩み、辛いことなど、スムーズに聞き出せるときに聞いておけば、当日に言えなくなったとしても代わりに聞いてあげられます。
親御さんの目から見て違和感を感じるような部分がれば、お医者さんに質問できるよう書き留めておけば聞き忘れる心配がありません。

当日の診察の流れ

医療機関で診てもらうとき、最初に問診が行われます。
患者さんとお医者さんが円滑にやり取りできるよう、基本的に医療面接が行われます。

起立性調節障害だと思って病院を受診しても、お医者さんの正確な診断を受けてみたら別の病気だったということもあります。
他の疾患でないことをチェックするために、胸部レントゲン検査、心電図、尿検査、血液検査などいくつかの検査があります。
一通りの検査を終えて起立性調節障害だと診断がでたら、具体的にどのタイプに該当するのかを分類する新起立性試験へと入ります。

薬を用いる治し方・用いない治し方

一般的な病気でお医者さんに診てもらうとき、たいていは治療薬を処方してもらうことで治していきます。
起立性調節障害の場合も治療薬は開発されているのですが、第一段階ですぐに薬が処方されるわけではありません。

生活療法

患者さんによっては、すぐにでも薬を処方してもらい1日でも早く治したいという方もいらっしゃるかもしれません。
起立性調節障害の治し方は、基本的に自律神経を自然な方法で整えるというやり方が最優先されています。

眠れないお悩みには睡眠薬がありますが、睡眠薬の種類によっては副作用があるものも少なくないことに配慮され、まずは薬を用いない療法で治す道から模索していきます。

この病気は子供の患者さんが多いので副作用のある治療薬は極力避けたいですし、腰を据えて長い期間治療することになった場合、睡眠薬は効果を実感しにくくなる薬も中にはあります。
多くの医療機関では自律神経を整える薬を用いないでも改善させる方向で、自然な力で自律神経を整える治し方からスタートしていきます。

例えば、規則正しい一定の生活習慣を身に着けるために、土日祝日でも平日の学校がある日と同じ時刻に起床・就寝したり、朝起きたら窓をオープンに自然光を浴びるなどしていきます。
他にも、生活療法では以下のことが実践されます。

  • 温度が高い場所にはできる限り行かない
  • 歩行を始める前、頭を屈める体勢を作ってからスタートする
  • 3日ずつ起床時間と就寝時刻を一定にし、その時刻を30分ずつ早めて慣れていく
  • 21時より遅い時間に、テレビ鑑賞やスマホの使用、ゲームで遊ぶことをしない

薬物療法

薬を用いない生活療法を実践してみて、どうしても改善できないときには、薬物療法に入るという選択肢がありますので、主治医の先生と相談しながら決めてみてはいかがでしょう。

  • 苓桂朮甘湯(りゅうけいじょつかんとう)── 漢方薬で、立ち上がろうとしたときに訪れるめまいに効果を発揮します。
  • インデラル(プロプラノロール)── 交感神経に働きかけ、心拍数を抑えます。
    気管支炎喘息のお子さんには用いられていません。
    副作用(うっ血性心不全など)が、5%未満伝えられています。
  • リズミック(メチル硫酸アメジニウム)── 自律神経の交感神経に働きかけ、10歳未満の患者さんで毎日半錠を服用します。
    副作用(動悸など)が、0.1%~5%伝えられています。
  • メトリジン(ミドドリン塩酸塩)── 血圧を上昇させる薬で、自律神経の交感神経に働きかけます。
    用量は患者さんの体重で、目安としてはだいたい10歳未満の患者さんで毎日1~2錠くらいです。
    副作用(吐き気など)はありますが、1%にも満たない微弱なものなので、心配ない分量だといわれています。

焦らずにできることから

起立性調節障害が改善するまでに要する期間は人それぞれ異なりますが、中には1年以上になるということもないわけではありません。
すぐになんと完治させようと考えるよりも、焦らないでできることを積み上げていき、日常生活にかかる負担を少なくすることが大切です。

  • 毎日約10~12グラムの塩分を摂取しましょう。
    多く感じる量ですから、さまざまな方法で小マメに補っていきます。
    味付けを濃くした野菜入りスープ、みそ汁、いろいろなおかずに醤油をかけるなどで、1日の必要摂取量に達することができます。
  • 1.5~2リットルくらいを目安に、たっぷりの水分を摂ることも大切です。
    水分を多く摂取することは、血圧をキープしたり、血流をスムーズにするなどのメリットがあります。
  • 日常生活に軽い運動を習慣化させましょう。
    水泳、ジョギング、ウォーキングなどの運動をおすすめします。
    これら以外の運動でも、心拍数が1分間に120くらいの心臓に負担がかからないものが理想的です。
    水の浮力により、地上のような重力が体にかからないという意味で、水泳はいいスポーツです。

ジョギングやウォーキングをするなら、最初から長時間行うのではなく、まず1日15分くらいから始めるようにしてみてください。
血圧を下げない方法として、ストレッチを短時間行うことも有効です。
運動ができない日でも規則正しい生活を送り、早寝早起き病知らず(はやねはやおきやまいしらず)を実践していきましょう。

じっくりと改善していこう!

朝が起きられない、昼夜の体内時計がずれていて夜中に眠れず反対に昼間は眠いなどという場合、もしかしたら起立性調節障害の可能性が考えられます。
意外と患者さんの人口が多く、中学生は約10%、小学生や約5%がかかっているといわれている病気です。

本人はしっかり起きたいと思っているのに起きられないなら、病院で専門医に診てもらいましょう。
たいていの病院では、治療薬を用いる前に自然治癒力を回復させる治し方からスタートしますので、中学生や小学生などのお子さんも始めやすいのではないでしょうか。

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