最近なんだか耳が遠くなった気がする、耳が詰まっているようで聞き取りにくくなったなどということはありませんか。
耳に閉塞感を感じるようになったら、もしかしたら耳垢栓塞(じこうせんそく)になっているかもしれません。

耳垢栓塞になったなどというと何かの病気にかかったように聞こえますが、耳垢栓塞とは病気のことではなく耳の穴に耳垢(みみあか)が詰まっているだけですので心配いりません。
ただ、放置しておけば生活しづらくなりますので、病気でないから自然治癒するなどと思わずに耳垢を除去しましょう。

自分で間違った耳垢の取り方をしていると、耳垢を取り除いて治すどころか、逆に耳垢をどんどん奥へ詰め込んでしまい返って悪化させてしまう可能性もあります。
自分で耳垢栓塞を改善できないときはどうすればいいのか、病院へ行く場合には何科を受診すればいいのかなどご紹介していきます。

どんな症状が出るのか・その原因

耳垢が耳の穴に詰まって生じる耳垢栓塞は、かかってしまうとどんな症状が現れるのでしょう。

初期症状の段階では、ほぼ症状の実感がありません。
違和感程度のものはあり、耳鳴りがする、いつももっとよく聞こえるのに聞こえない、何かが耳の中に詰まっているみたいなどの異変です。

初期段階を超えても、耳が痛いということはほぼありません。
進行して耳の中が耳垢で塞がれてしまったら、耳が遠くなったと確信したり、不快な閉塞感が離れないようになります。
これらの異変がお風呂から出たあとや耳掃除を終えたあとなどに急に生じたら、耳垢栓塞の可能性が高いといえます。


引用元: ながしま耳鼻咽喉科クリニック(http://www.nagashima-ent.com)

かかりやすいタイプとは

耳垢栓塞にかかりやすい方とは、どのようなタイプの人なのでしょう。

  • 耳垢がいつも湿っている方 ── 耳垢と一言で言っても誰でも同じというわけではなく主に2タイプに分けられます。
    ベトつくタイプと乾燥タイプの2種類があり、耳垢栓塞にかかりやすい方は油分を内包した粘りがあるタイプの方となります。

 

  • 耳掃除を滅多に行わない方 ── 耳垢が耳の穴に詰まって生じますので、耳掃除をしない人ほどリスクが高くなります。

主に上記の2タイプの方に分類できますが、別の病気であるケースも考えられます。

耳垢は悪者じゃない!

耳垢が詰まることが原因なら、そもそも耳垢があることがよくないと思われるかもしれませんが、耳垢も立派な役目を果たしていますので、決して悪者というわけではありません。
ほぼ骨や軟骨が占めている耳は、表面を包んでいる皮膚に耳垢腺(じこうせん)と呼ばれる汗腺があります。
耳垢は、その耳垢腺から生じています。

耳から発生する汚れという悪いイメージを持たれがちですが、外部から異物が耳に中に侵入するのをブロックする役目を持っています。
つまり、耳の健康を守ってくれている大切な存在でもあるわけです。

何科を受診するか

耳垢栓塞を治すために病院を受診する場合、訪れる科は耳鼻科や耳鼻咽喉科になります。

自分で治せる?

耳垢の詰まりが原因の耳垢栓塞は、耳掃除をすれば回復されるはずです。
では、自分で治せるのかというと、必ずしも改善できない可能性もあります。

  • 耳垢を取り除こうとしたのに、反対に奥に押し込んでしまった
  • 炎症を起こしており、患部を傷つけた
  • 耳垢栓塞だと思っていたが、外耳道の湿疹や外耳炎など別の病気が原因の症状だった

病院での治療

自分で耳掃除をすれば解決することもあります。
ただ、耳垢栓塞に似た症状を実感している場合、その他の疾患などが生じている可能性の方が高い傾向があります。
自分で耳掃除をしてもよくならず、依然として聞き取りにくい、耳が詰まっているような感覚が続いているということでしたら、病院で診てもらった方が無難でしょう。

病院の耳鼻科や耳鼻咽喉科で行われている治療法は、耳垢の掃除です。
吸引する方法やピンセットのような器具を用いる方法、耳垢を点耳薬でふやかして除去する方法など、医療機関によってさまざまです。
炎症の大きさによって、耳垢の除去にともなう痛みの度合いも違ってきますが、基本的にあまり痛みがない治療法です。

自分で行う耳垢の取り方

自分で行う耳垢の取り方として、スムーズに行える方法をご紹介します。
それはオリーブオイルを使用するという方法です。

オリーブオイルで簡単耳掃除

やり方は簡単で、オリーブオイルを何滴か綿棒にたらしたら、それを使って耳垢を取り除けばいいというだけです。
ご存知の通りオリーブオイルは天然の材料を用いた食品ですから、安心して使用することができます。
オリーブオイルで湿った綿棒になることから、しっかりと耳垢をキャッチしてくれます。
油分ですので、耳の中の皮膚を傷つけてしまいにくいというメリットがあります。

オリーブオイル耳掃除の注意点

皮膚に使用するものなので、敏感肌の方など肌質によってオリーブオイルでかぶれるということも考えられます。
いつもオリーブオイルは食べているから大丈夫と過信せず、初めて耳掃除に使用する前には1滴程度から徐々に増やすなど、肌の調子を確認しつつ進めてみてください。

オリーブオイルを用いた方法に限った話ではありませんが、耳掃除を行うときは近くに人がいないところで行うのが理想的です。
もちろん子育て中や介護をしているなどの状況で周りに誰もいない状況を作るのは大変ですから、絶対というわけではありません。
ただ、近くに人がいるときに耳掃除をしていて、うっかりぶつかられてしまったら、外耳道を傷つけてしまうことも考えられるからです。

相手は何の悪気もなくても、実際にぶつかってしまったら外耳道が傷ついてしまう危険性がありますし、特に耳垢栓塞の患者さんが子供の場合は周囲に細心の注意を払ってあげてください。
綿棒や耳かきなどが耳の奥まで押し込まれてしまったら、鼓膜が破れる可能性も否定できません。

子供の患者さんには

耳掃除をしていれば耳垢栓塞にならないということで、医師によっては耳掃除を推奨します。
ただ、全てのお医者さんが耳掃除を勧めるというわけではありません。
小児科の先生はお母さんに子供の耳掃除を推奨しますが、耳鼻科の先生は病院で取り除いてもらうように勧め、むしろ親御さんは子供の耳掃除をしないようにと伝えています。

耳鼻科の医師がどうして親が子供の耳掃除をすることに否定的かというと、子供はじっとしていなければならない場面でも唐突に動いてしまうことがあり、そうすると耳を傷つけてしまうことにつながります。
耳掃除の最中、唐突に子供が動き出したことが原因で、親が子供の鼓膜に穴を開けてしまう事故はしょっちゅう起きています。
繰り返しになりますが、耳垢には耳垢がその人に果たしてくれている役割がありますので、溜まったとしても決して全面的に否定されることではありません。

鼓膜が破れるなどに痛い経験を耳に受けてしまった子供は、他人に耳を見られることに恐怖心を抱くようになります。
そうなれば耳垢栓塞で診察に来たとしても、まともな診療が困難になっていきます。
病院まで行ってわざわざ子供の耳掃除をお願いするなんてと心配されるかもしれませんが、医師はしっかり耳垢や汚れを安全に除去してくれますので安心してください。

大人の患者さんには

耳垢栓塞にかかる患者さんは、子供もいれば大人もいます。
大人の耳にたくさんの耳垢が詰まったところで、たった1割があいていて空気が通過できていれば、通常レベルで音を聞くことが可能です。

大人でも、日常生活の中で以下の要因によって耳垢栓塞を生じてしまうことがあります。

  • 髪を洗浄したり水泳をすると水によって耳垢がふやけ、耳垢で耳の穴を詰まらせてしまう。
  • 自分で耳のお手入れを行い、耳垢を奥側に押し込んでしまう。

急にこれまでのように音が聞き取れなくなったということで、病気を疑い医療機関を受診するのですが、病気ではなくただ耳垢が詰まっているだけの原因です。
詰まっている耳垢をキレイに除去すれば、問題なくまた聞こえるようになります。
耳鼻科によっては、耳垢水(じこうすい)と呼ばれる薬品を用いて、耳垢をふやかせて溶かすという方法が行われています。
耳垢水を用いる方法なら短時間ですぐに耳垢をふやかすことができますので、耳垢栓塞のお悩みをスピーディに解決できます。

病院で耳垢を除去する方法

医療機関によって、耳垢を除去する方法は同じではありません。

耳垢水を用いた治し方

耳垢水でのやり方が選ばれるのは特に耳垢が少し硬めタイプで、量が多い方に適しています。
患者さんがあらかじめご自宅でつけておくと、柔らかい耳垢になっていきます。
最後の耳垢を取り除く作業のみを、病院で医師が行うという流れです。

多忙のためにクリニックまで行く時間がなかなかない方や、遠くからわざわざ受診される方などは、耳垢水を待合室で使用します。
耳に耳垢水を入れて横になり、約15分待ってふやけてから医師に耳垢を取り除いてもらいます。

耳垢水以外での治し方

医療機関によっては、吸引管や耳垢鉗子を使用しているところもあります。
たかが耳垢を取り除くだけと思われるかもしれませんが、少量であっても丁寧に行わなければ耳を傷つけてしまいかねません。
いい加減に引っ張って作業をしようものなら、血が出たり皮膚を傷つけて痛みを発生させてしまいます。

皮膚が繊細で傷つきやすい高齢者や子供の患者さんに対しては、特に丁寧に耳垢掃除が行われなければなりません。
1回の治療では終わらないケースもありますが、耳の皮膚を傷つけないためですので、面倒でも安全なやり方の方が安心です。

耳垢を一気に除去すると、ふらつくこともあります。
高齢者の方は要注意ですので、当日はご本人だけでなく付き添いの方がいた方が安心なこともあります。
1回に両耳をキレイにしてしまうより、1回あたりの施術は左右どちらかのみにしている医療機関もあります。
心配な場合は、治療が始まる前に医師とよく相談してみてはいかがでしょうか。

最適な耳掃除の間隔

耳垢が耳の中に詰まってしまう耳垢栓塞を予防するためには、耳垢が溜まらないよう普段からお手入れをしていればいいということになります。
清潔に保つことはとても大切なのですが、毎日行うというとやり過ぎになってしまいます。

あまり耳掃除を頻繁に行うことは、耳の内側の皮膚を傷つけることにつながりかねません。
傷ついてしまったら、その傷口から細菌が侵入するリスクが生じます。

耳から細菌が侵入してしまったら、どんなリスクが待っているのでしょう。
ウイルス感染を起こして、膿が蓄積されて内耳炎や中耳炎、外耳炎などの疾患になる可能性がでてきますので気を付けなければなりません。

耳から液体が漏れたり血が出る症状のことを耳垂れといいますが、耳掃除を必要以上に繰り返していれば、耳垂れを引き起こすことがあります。
耳垢をキレイに取り除いたあとでも、違和感やかゆみが完全に解消されないケースもありますが、たいていの患者さんは耳垢さえなくなればちょっと我慢することで元通りに戻っていきます。

子供に増える耳垢栓塞

文部科学省は340万人の子供を対象に調査が行われ、耳に何らかの疾患が確認された5~17歳の子供が過去最多となりました。
その結果、耳に疾患が確認された生徒は2017年に過去最多を記録しました。
耳垢を詰まらせてしまう耳垢栓塞が増加していると、日本耳鼻咽喉科学会は指摘しています。

セルフケアより病院へ

耳の病気で聞こえなくなったら怖いですが、耳垢栓塞は耳垢が耳の穴に詰まって塞がっているだけの状態ですので、決して病気というわけではありません。
突発性難聴か何かを疑って医療機関を受診してみると、結局アカが詰まっているだけですから、耳掃除をしてもらって帰ってくるだけということになるでしょう。

自分で耳掃除をして治すなら、オリーブオイルを綿棒に浸せば皮膚を傷つけにくいのでスムーズにアカの除去ができます。
自分でやって逆に耳垢を中へ押し込んで詰まらせるということも考えられ、他の病気が原因だったというケースもありますので、耳鼻科や耳鼻咽喉科で診てもらった方が安心かもしれません。
耳鼻咽喉科などの先生は、耳垢とりだけでも来院して欲しいと言っています。
耳垢栓塞を疑うような不快な症状が現れたら、早めに医療機関で診てもらってはいかがでしょうか。

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