仕事中や映画館、長距離移動中など、長時間じっとしていなければいけないときはいろいろあります。
そんなとき、じっとしていられないほどの脚の不快な感覚でお悩みではありませんか。
もしかしたら、むずむず脚症候群(むずむずあししょうこうぐん)にかかっているかもしれません。
むずむず脚症候群はレストレスレッグス症候群ともいわれており、不眠で悩む人のおよそ5人に1人が抱えているといわれるほど患者の多い病気です。

どんな症状ならむずむず脚症候群なのか、発症する原因や治し方、治療薬、病院で診てもらうなら何科を受診すればいいのかなどについてまとめました。
患者さんによって脚の中に手を入れて爪を立てて掻きむしりたい、脚を切断したいほど辛い、脚の内部で虫が移動しているみたいなどさまざまな感覚で表現されています。
こうしたお悩みをお持ちの方にとって、本ページの情報がお役に立てれば幸いです。

むずむず脚症候群の症状

むずむず脚症候群は、長時間じっとしていられないという以外にもさまざまな症状があります。

  • 日が暮れる時間以降にゆったりと過ごしていると、脚に不快な症状が走るが、たくさん歩行することで感じなくなる。
  • 就寝中に脚の奥から不快感があり、そのために起こされてしまう。

二次的な被害として、

  • じっと同じ体勢でいられないことから、勉強や仕事に差し支える。
  • 夜起こされるので寝不足になり、疲れが取れなかったり、気分が落ち込んで抑うつ状態になる。
  • 夜寝ていないので、昼間に睡魔に襲われる。
  • 寝ている間にむずむずして脚をしょっちゅう動かしてしまうことから、同室内で寝ている人の睡眠妨害になる。

主な発症部位

脚でも特にふくらはぎに発症する傾向があり、患者さんによっては足裏や太ももなどに症状が出るケースもあります。
治療をせずに放置して悪化していくと、腕、お腹、顔、胸部、肩など、脚以外の別の部位に症状がでるようになってきます。

多くのケースでは、脚の異変に気付いた患者さんが医療機関で診断を受けており、その他の部位で受診を受けることは少なめです。
脚に異変がでる場合、片脚ということもないわけではありませんが、ほとんどの患者さんは両脚に発症します。

むずむず脚症候群の特徴

症状からも推測できるように、ムズムズ病は以下の特徴があります。

  • 特定の時間帯(夜や夕方など)に発症しやすい
  • 脚に生じるムズムズ感は、かゆみとはまた違った感覚である
  • 脚がかゆいが、外側ではなく中側がかゆい
  • 強烈に脚を動かしたくなる
  • 脚を動かせば、ムズムズ感が和らいだり、消えて感じなくなる
  • ムズムズ感が生じるときは、安静にしているときである

発症原因

むずむず脚症候群は、どのような原因で発症する病気なのでしょう。

原因は未解明

発症する原因として、鉄分の多い食品を食べていないので鉄不足になっている(もしくは代謝の異常)、ドパミンの働きが鈍っている、遺伝性の要因などが指摘されているものの、まだメカニズムは未解明です。
複数の患者さんの傾向を見てみると、同じ家系の方が多いという傾向があることから、遺伝子の研究にも力が入れられている状況です。

ドパミンというと感覚をつかさどる神経の動きや運動の抑制機能を持っていますが、十分な量がなくなれば感覚や運動機能が稼働し過ぎることにつながってしまいます。
ドパミンは鉄を原料にしていますので、鉄分不足が発症原因ではないかという指摘につながっていきます。

一次性と二次性の違い

むずむず脚症候群の原因は、一次性と二次性の2通りに分類できるといわれています。
一次性は特発性ともいわれ、原因が解明されていないタイプです。
二次性は一次性の正反対で、患者さんが飲んでいる薬品、妊娠中であること、別の疾患などの原因があるタイプです。
患者さんの大半は、一次性に分類されに分類されています。

原因という説のある病気など

関節リウマチ、糖尿病、腎機能障害(慢性腎不全などで)、パーキンソン病、鉄欠乏性貧血などの病気が原因の症状だと考えらえるケースもあります。
妊娠中や胃を切除したあとなどに起こりやすいという特徴もあります。
抗うつ薬やドパミン阻害薬など、薬の副作用であるケースも起きています。

これらの病気などが治ると、自然にムズムズ病もなくなっていくということもあります。
具体的には、妊婦さんが出産を終えたり、鉄欠乏症貧血と診断された患者さんが治療を受けることで鉄分の多い食品を食べるようになったなどです。

また、うつ病、糖尿病性神経障害、腰椎疾患、血液が下肢に蓄積される下肢静脈瘤などの病気だと間違われられることもあります。

患者の傾向

不眠で悩む人の約5人に1人は、むずむず脚症候群だといわれています。
これは日本人の20人~50人に1人(2%~5%)という数字ですから、決して珍しい疾患ではないことがわかります。
子供もかかりうる病気ですが、あまり多くはありません。
患者の男女比は男性:女性=2:3で、40代からグンと増え、以降は高齢になるほど右肩上がりです。

症状緩和のために自分でできること

脚に生じる不快なムズムズ感を抑える方法として、以下の2つが有効です。

集中できることで意識をそらす

これをやっているときは時間が経つのも忘れてついつい没頭してしまう、趣味のことをしているときは集中できるなどというものがあれば、脚に不快な症状がでたとき行うようにしてみてください。
むずむず脚症候群が原因のかゆみや痛みなどは、何かに没頭している時間は意識がそれるので、症状が緩和される傾向があります。

日常生活にある原因の改善

日常生活の中を振り返ってみると、むずむず脚症候群によくないとされている生活習慣があります。
肥満や運動不足、アルコールの摂取、タバコなどです。
まだ初期症状の患者さんほど、適度な運動を心掛けたり、過食やタバコ、アルコールの量を減らすなどによってよくなっていきます。
運動は、ストレッチやウォーキングなどで十分です。
寝る前に少しウォーキングをすることも、ムズムズ病の症状を抑える効果があります。

タバコ、アルコール、カフェイン入りの飲み物は病状を進行させてしまう性質があり、睡眠に対する影響もよくありません。
いずれも避けたい嗜好品ですが、どうしても摂りたい場合でも夕方から夜にかけての時間帯以外にされることをおすすめします。
鉄分が不足した食生活はムズムズ病によくありませんが、鉄分を意識的に摂るようにしつつ、栄養バランスのいい献立を心掛けて体調を整えてください。

夜脚に症状が現れることから、寝る前に脚のストレッチを行ったり筋肉をマッサージでもみほぐしたりすることも効果的です。
寝る前に短時間のウォーキングを行ったり、冷たいシャワーを浴びたり温かい湯船につかったりも有効(患者さんによって、どちらが効くかは異なります)です。

治療を受けなかった場合

まだ初期症状の段階でしたら、日常生活において自分でできる改善方法を実践することにより症状を和らげたり軽減させることができます。
ただ、そのまま放っておけば悪化や再発につながりますので、早めに医療機関で診察を受けられることをおすすめします。

もしかしたら、飲んでいた薬から引き起こされているかもしれませんし、別の病気が隠れているかもしれません。
別の病気だったとわかれば、そちらの治療が進められることで、ムズムズする不快な症状も解消されていくでしょう。

薬による治し方

むずむず脚症候群は、以下のような薬による治し方があります。

西洋医学

西洋医学で治療に用いられている薬は抗てんかん薬、抗不安薬、ドパミン作動薬などです。

  • バルプロ酸ナトリウム、ガバペンチン、カルバマゼピンなどの抗てんかん薬
  • フルニトラゼパム、クロナゼパムなどの抗不安薬
  • ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソールなどのドパミン作動薬

漢方薬

漢方薬が用いられる東洋医学では「煩躁」といい、じっとしていられない、手足を横になっても動かすなどの症状を治療します。
心火旺、肝腎陰虚、肝血虚などが原因とされています。

  • 心火旺は舌炎、口内炎、口喝、焦燥感、動悸、顔面紅潮、寝付けないなどの症状があり、清心蓮子飲や黄連解毒湯などの漢方薬で改善します。

 

  • 肝腎陰虚や肝血虚は寝汗、血色不良、手足のしびれ、手足のほてり、眠りが浅く夢をよく見るなどの症状があり、六味地黄丸や四物湯などで治します。

病院なら何科を受診すればいい?

夜起こされる、脚の不快感から勉強や仕事に集中できないなど、今すぐにでも治したいという方は、病院で相談してみてはいかがでしょう。

神経内科

神経内科とは、神経や脳に原因がある疾患を診てもらう内科です。
一般的にはパーキンソン病や物忘れ、頭痛などを診察しているところです。
神経と密接にかかわる疾患ですので、神経内科で治療されています。

精神科

精神科は不安や抑うつなどの心の病、不眠などといった睡眠障害を診察しています。
睡眠障害と密接にかかわる疾患ですので、神経科で治療されています。

不眠外来や睡眠クリニックも

病院によっては不眠外来を設けていたり、医療機関全体が睡眠クリニックであるところがあります。
睡眠専門医が相談に乗ってくれますので、お悩みに応じて受診してみてはいかがでしょう。

ただ、現状としてむずむず脚症候群を熟知した医師は決して多くはないため、せっかく病院へ行ったのに受けた治療ですぐ改善されたという患者さんばかりではありません。
安心して相談できそうな医療機関を選んでから受診することが大切です。

診察内容

病院では、むずむず脚症候群の疑いがある疾患にどのような診察が実施されているのでしょう。

症状をチェック

まず、むずむず脚症候群の特徴である以下の特徴にあてはまるのかが確認されます。

  • 症状の表現のされ方は患者さんによってさまざまですが、かゆみ、ほてり、痛みなどの感覚が脚の奥などにある。
  • 症状は横たわっているときやじっとしているときなどに強まる。
  • 趣味などに没頭していると症状を感じなくなる。
  • 歩き回る、脚をたたく、さするなど動かすと、症状が消えたり軽減される。
  • 症状は主に夕方以降にでる。(病状が進行すれば昼夜にかかわりなく現れます。)

結果次第で次の検査へ

結果の内容から、睡眠ポリグラフ検査や血液検査なども行われた上で、最終的な診断が下されます。

さまざまな検査

むずむず脚症候群は他の疾患と症状がまぎらわしい場合も少なくないため、特定することが困難なこともあります。
病気を特定するために、病院によって異なる検査を行っていることがあります。

終夜睡眠ポリグラフ検査

終夜睡眠ポリグラフ検査は病院に一泊して行われるもので、患者さんが眠っている間の筋肉、眼球、脳波の動きなどを調査します。
というのも、むずむず脚症候群と診断される70%~80%近い方は周期性四肢運動(寝ている間に無意識に膝や足首の関節が動く)があるとされているためです。
睡眠の量や質、寝ている間の周期性四肢運動がどのくらいあるかを検査します。

下肢静止検査

下肢静止検査は終夜睡眠ポリグラフ検査を簡略化した方法で、一泊しなくても夜に1時間だけで終わります。
就寝する必要はなく、座椅子に座った状態で周期性四肢運動があるかなどをチェックします。

アクチグラフ

アクチグラフは四肢の活動量を計測する方法で、終夜睡眠ポリグラフ検査や下肢静止検査より手軽に検査ができます。
腕時計のようなバンドを足首もしくは手首に着け、あとは病院内にいなくても自宅で日常生活を過ごすことができます。
アクチグラフの検査に要する時間は長いですが患者さんの負担が軽く、覚醒時と睡眠中のどちらの周期性四肢運動も検査できます。

趣味の没頭で症状緩和

むずむず脚症候群は、主にふくらはぎなどの脚に症状が発症する疾患です。
脚の表面ではなく内側がムズムズする病気で、特に夕方から夜に発症することから、就寝中に起きて眠れなくなることも珍しくありません。

子供もかからないわけではないのですが、40代に入ってから患者が急増し、以降年齢が高くなるほど増えていきます。
症状が辛いときには、没頭できる趣味を始めるなどするとかゆみが軽減されます。
どうしても改善しないときには、神経内科や精神科でお医者さんに診てもらってください。

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