お尻が痛い、ベタベタする膿がでるなどの症状があるなら、もしかしたら痔ろう(あな痔)を発症している可能性があります。
痔にはいぼ痔やきれ痔などの種類がありますが、その中でも治療が最も難しいのが痔ろうだといわれています。

痔ろうになる前は肛門周囲膿瘍という病気を通りますので、どちらの場合の症状や治し方についても本ページでご紹介しています。
肛門周囲膿瘍も根本的には同じなのですが、痔ろうにまで進行してしまえば手術による治し方になってしまいます。
早めに病院で診察を受けるためにも、ご自身の状態が痔ろうかどうかを知る目安や、日常生活で気を付けたいことなど参考になさってみてください。

痔ろうとは

細菌が肛門から体内に侵入し、肛門周辺に激しい炎症が発症し、膿んだものを肛門周囲膿瘍といいます。
基本的に出血の症状はありませんが、この肛門周囲膿瘍でできた炎症がある程度まで収まり、肛門の外側と中とがトンネルのようにつながったものが痔ろうです。

痔ろうは自然治癒で完治できませんから、早めに医療機関で診察を受けましょう。
病院の何科かというと、主に肛門科の受診になります。

痔ろうになる原因


引用元: 千賀内科外科クリニック(http://senga-clinic.com)

肛門には歯状線という部分があり、ここのくぼんだところを肛門小窩(しょうか)といいます。
肛門小窩が傷つけられ、排便によって便の中にある細菌が入り込み炎症を発症させます。

入り込む細菌の主な種類は大腸菌で、これは大腸内に生息している細菌(大腸の常在細菌)のことです。
一昔前までの痔ろうの原因細菌といえば結核菌が多かったのですが、今は減少しています。

炎症範囲が拡大して膿んでいるのが、肛門周囲膿瘍です。
なにもしていないのに肛門周囲膿瘍が切れたり、傷口が開いた患部が炎症を何回も起こし、膿のトンネルが体内にできるのが痔ろうです。

ストレスや下痢などが重なると免疫力が弱まり、その結果痔ろうになることがあります。
多少ですが、肛門括約筋の筋力が強力な男性がかかりやすい傾向があります。

痔ろう患者の男女比

健康な状態ですと、直腸内にある便は固形をしています。
固形の便ならミクロ単位の肛門腺に小さな肛門陰窩から入り込むことは難しいので、痔ろうにはまずかからないとされています。

細菌の性質として、糖尿病にかかっていると繁殖しやすいので、痔ろうの発症につながっているかもしれません。
明確な原因は明らかにされていないものの、痔ろうにかかる患者さんの男女比は、男性:女性=1:2~5です。

痔ろうによる症状や治し方

痔ろうの一般的な症状は、痛み、かゆみ、膿がでることで感じるベタベタ感、発熱などがあげられます。
患者さんによって症状は個人差があり、中には痛くないというくらい軽度な方もいるくらいです。

痔ろうの前段階が肛門周囲膿瘍ですが、この膿瘍はおできに似た腫れ物がヒップに唐突に発生し、場所が見えにくくても痛いのでわかります。
患者さんによっては熱がでる方もいますが、膿瘍を切り中から膿を排出させる治療によって治ります。
膿を出す治療で治るのは、痔ろうになる前の肛門周囲膿瘍です。

肛門周囲膿瘍が治ってからも、痔ろうを発症する患者さんが少なくありませんから気を付けてください。
何も手を打たずに放っておくと痔ろうに移行する可能性がありますので、早めに医療機関で適切な処置を受けましょう。
病院で診察を受けて痔ろうだと診断を受けたら、治し方は手術しかありません。
痔ろうという疾患の性質から、ヒップの皮下に膿の道ができているので、中からでてくる膿によりインナーがベタベタになったり汚れることも考えられます。

肛門周囲膿瘍も痔ろうも、根本的には同じです。
肛門周囲膿瘍は肛門の奥や周辺に痛みや腫れの症状があり、排便障害や発熱などを伴うケースもあります。
肛門周囲膿瘍の炎症を改善させるために膿を排出させると、その患部がしこり(痔ろう)として残ります。

痔ろうにまで発展してからは、分泌物がでつづけている方もいれば、患部を押すと痛いという方、痛くないけれどしこりは残っているなど患者さんによってさまざまです。
細菌が侵入する部位は肛門腺の開口部分に位置する肛門小窩で、一次孔という穴です。
一次孔に対して二次孔があり、これは膿が排出される部分です。
ろう管と呼ばれるトンネルがあり、一次孔と二次孔をつなぎ合わせています。

病院での治療方法

痔ろうと前段階である肛門周囲膿瘍では、それぞれ治し方が異なります。

肛門周囲膿瘍の治し方

肛門周囲膿瘍は肛門の周りが膿んだ状態ですので、切開を行います。
まだ規模が小さく表面付近に位置する場合、局所麻酔によって中の膿をしっかり排出させる方法ですみます。

局所麻酔は患部の範囲が大きいものや深くまで及んでいるもので、腰椎麻酔の下で切り開いて膿を排出させ、ドレーンのチューブを入れて処置を行います。
炎症が引くと、痔ろうになります。

痔ろうの治し方

痔ろうは手術による治し方となります。
ろう管をくり抜く、切除する、開くなど症状によって適切な手術が行われます。

括約筋温存術による治し方

括約筋温存術は、瘻管を切り開くのではなく、1次口を縫い合わせて閉じるという治し方です。
括約筋温存術という名前の通り、括約筋にダメージを与える心配がない手術なのですが、切開開放術よりも痔ろうの再発率が高いというデメリットもあります。

セトン法による治し方

セトン法は、まず糸や輪ゴムを瘻管に通させ、圧迫するように強い力で縛ります。
縛った状態から1週~2週間ほど時間をかけて、徐々に瘻管を切り開いていくという手術です。
セトン法が適している方は、痔ろうに対して潰瘍性大腸炎やクローン病などの病気を併発している方、全身の状態が思わしくない方、手術による治療を受けたくない方などがあげられます。

1次口の場所を把握しており、外肛門括約筋の深い部分に瘻管が開いてしまっていない状態なら、ほとんどの患者さんに効果的だといえます。
ただ、セトン法での施術時間中は強烈な痛みがあることから、締め上げるときに痛みが少なくなるような対策を欠かすことができません。
少しずつ切り開いている途中段階で、切開が済んでいる部位が癒着を起こし、また痔ろうを患ってしまうということも考えられます。

瘻管切開開放術による治し方

瘻管切開開放術は、1次口より2次口の瘻管を切り開いて行う手術です。
痔ろうを完治させられる可能性が高い手術です。
部分的に括約筋を切り離すという治療の性質上、瘻管がすでに外肛門括約筋の深いところまで及んでいる患者さんには、瘻管切開開放術を行うことができません。

痔ろうにはさまざまな手術方法がありますので、一つのやり方が適していないからといって治療を諦める必要はありません。
瘻管切開開放術というと、以前はあまり括約筋と痔ろうのつながりが十分に理解されていなかったことから、さまざまなトラブルが生じていました。
そうしたことは過去のものとなり、たくさんの直腸がん手術を経たことで、大きく括約筋が切られてしまうミスは大幅に減少しています。

痔ろうがんの治し方

痔ろうがんは名前に痔ろうとついていますが、痔ろうとは全く異なる治し方が必要です。
痔ろうを発症してからかなりの年月に渡り放置していると、痔ろうがんに移行している可能性もあります。

多くの患者さんは、中からゼリーのような分泌物が排出されます。
それは細胞の成分が少ない分泌物であることから、痔ろうを部分的に切り、検査をしなければなりません。
同じガンでも、痔ろうがんは肛門腺由来である肛門がんとは別のものです。

クローン病から発症した痔ろうの治し方

クローン病は、国から特定疾患に指定されている病気です。
胃腸と口の間に炎症が発症します。
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、強烈な痛みを伴い、縦方向に長く伸びた潰瘍が生じます。

クローン病は手術による治し方があまり適さず、とても治りがよくありません。
全てのクローン病がそうというわけではありませんが、多くの患者さんは一次孔が直腸にできます。

手術によって根本的な部分の治療をすることが不可能な病気です。
最初はクローン病を治すための治療があり、肛門は膿が蓄積しないような対応をします。
点滴注射は自費で受けますが、1カ月に1度だけは保険適応内で行うことが可能です。

熟練の医師に診てもらおう

痔ろうを発症したら、切開排膿をする処置を行うまでは辛い痛みに見舞われます。
手術によって膿瘍方向へと切り開くと、その部分が瘻管です。
痔ろうの診察や治療を受けるときは、特に直腸肛門部の外科治療に定評のあるところを受診されることをおすすめします。

医師の中には痔ろうや肛門周囲膿瘍に関する理解が不十分である方もいて、そうした医師が手術を行えば難治療性痔瘻に発展してしまう可能性も考えられます。
患部を切り開いたときに、肛門拳筋や外肛門括約筋に損傷を負わせてしまう可能性もあるためです。

日常生活で気を付けたいこと

痔が発症するということは、生活習慣がその原因になっていることが考えられます。
まだ発症していない方は以下の4つのポイントに気を付けて痔を予防し、すでに発症している方は悪化させないようにしていきましょう。

体を温めよう

体が冷えるということは、全身の血液の巡りが低下しますので、免疫力も落ちていきます。
当然ながら冬は冷えが深刻化しやすい季節ですので、お風呂に入ったらシャワーですませるのではなく、じっくりと湯船で体の芯から温まるようにしてください。

下痢も痔の原因となりますが、さらに下痢の原因をひも解いていくとお腹の冷えである場合があります。
腹部の冷えを回避するためにも、じっくりとお風呂で温まることは効果的です。
体を保温させることは、体だけでなく心の緊張感を和らげる効果があります。

長時間同じ姿勢に注意

長時間同じ姿勢を保っていることは、痔によくありません。
立ち仕事をしている方が不調を起こすことはイメージしやすいかもしれませんが、意外と座りっぱなしというのも痔の原因になるものです。

仕事でどうしても1日中同じ姿勢でいなければならないという方は大勢います。
その場合は、足がむくんだら血行がとどこっているサインですので、血流が促進されることをしてみましょう。
その場でストレッチをしてもいいですし、脚をマッサージしてもみほぐすことも効き目があります。
ちょっとでもウォーキングしてみると、随分ラクになります。

便意のタイミングを逃さない

便意を感じたときにトイレへ行っている方が多いでしょうが、一方ではついついガマンしてしまう方も少なくありません。
あまりにもトイレをガマンしてから用を足そうとすると、なかなか排出されないようになってしまいます。

健康的なお通じをしている方は、3分以内に排便ができます。
トイレへ行き約3分経っても排便できないようでしたら、いったん諦めて次に便意を感じたときに再トライするようにしてみてください。
なんとしてでも1回ですませようとしないことも、症状の改善に役立ちます。

摂取するもので便秘改善

トイレをガマンしたり便秘がちな状態が続いていると、どんどん便が硬くなってしまいます。
スムーズに排泄するためには、便が適度な硬さであることも必要です。

2リットルの水分を毎日摂取することが理想的です。
水分といってもドリンクだけが水分補給の手段というわけではなく、野菜や果物などに含まれる水分でも構いません。
飲み物や食べ物で必要な水分を体に補っていけば適度な便の硬さになって、便秘が解消されていきます。
快適な排便をし続けるためには、食物繊維を摂取することも有効です。

痔は便秘だけでなく、下痢が原因になるケースがあります。
下痢になりやすい方は、冷たい物を摂取し過ぎないようにしたり、暴飲暴食を控えるように意識してみてください。

手術が必要になる前に病院へ

肛門周囲膿瘍の患部が切れ、そうしてできた傷口が繰り返し炎症を起こして、膿のトンネルができるのが痔ろうです。
痔ろうまで症状が進むと手術をしなければ治療ができなくなりますので、早めに手を打つことが大切になります。

ストレスや下痢などを繰り返していれば免疫力の低下につながり、そのことが痔ろうの発症につながります。
症状が早めの時期に、できるだけ体調を改善させるようにしていきたいところです。

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