トイレに行ってもなかなか排便ができないとき、無理矢理硬い便を排泄しようとするときがあります。
そんなときに肛門部分の肌が裂けたり切れたという経験はありませんか。
もしかしたら、裂け傷が肛門上皮に生じるきれ痔(裂肛・れっこう)になっているかもしれません。

本ページではきれ痔がどんな原因で発症するのか、治し方などについてご紹介していきます。
忙しくて医療機関になかなか足を運べない方など、どんな症状が生じている場合はきれ痔なのかを具体的に知れば、ご自身の不調が何なのか知ることにつながります。
日常生活の中でできる改善方法などについてもまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

痔のセルフチェック

以下のセルフチェックの項目に当てはまる方は、痔を発症している可能性があります。
痔と一言で言っても複数の種類がありますが、特に女性で出血の症状が現れる場合、きれ痔もしくはいぼ痔である傾向があります。

  • 仕事などの都合で、長時間立ったままや座ったままであることが多い
  • いつも短時間では大便を排出できない
  • 大便を排出するときにジンジンという肛門の痛みが生じる
  • 用を足したあとに血便がついていた
  • 硬い便がでるまたは便秘気味である

きれ痔になる症状

きれ痔になったときの主な症状は、大便を排泄するときに出血と強い痛みがあります。
症状は排泄したときだけでなく、トイレを出てからも痛みが収まらない場合もあります。
きれ痔かなと思ったら病院の何科を受診するかというと、肛門外科や肛門科で治療を受けることになります。

症状がさらに進みきれ痔を繰り返した場合、出血の症状は少ないのですが、深く裂けていくことから炎症を発症させます。
患者さんによっては患部にポリープや潰瘍ができてしまうので、肛門狭窄と呼ばれる肛門が狭くなる変化が現れます。

約8割~6割はほとんどの裂ける部分が肛門の後ろ側にあたり、約2割~1割は前側、最も少ないのが側方です。
きれ痔は自然治癒したり、完治したかと思っていたら再び発症するということもあります。
クセになってしまうとどんどんと肛門が狭くなりますので、患部の周辺に見張りイボや肛門肥大乳頭ができるケースもあります。

また、きれ痔が改善している途中段階でかゆみの症状がでる場合もあります。
軟膏タイプの治療薬などがあり、なにもせず放置しておくとかゆみが進行することも考えられます。

きれ痔を発症する原因

きれ痔を発症する主な原因は便秘などで、その他には下痢がクセになり患部が炎症になった場合にもきれ痔を発症するケースがあります。
発症する人はきれ痔はいぼ痔(痔核)や痔瘻(じろう)とは違い、便秘気味の女性に多い傾向があります。
大腸にかかわる特有の疾患から引き起こされていることも考えられます。

直腸の粘膜というと痛みの感覚がないのですが、きれ痔が発症する肛門上皮という部位は特に痛みの感覚が強烈に走るところです。
便秘になると便が硬くなりますが、硬くなった状態の便が通過しようとすればダメージが容易についてしまいます。
一般的に体に傷がついても症状が浅いほど完治のスピードは速いものですが、便秘気味で硬化した便を排泄することが繰り返されたり、肛門が狭くなってしまうと、ダメージが回復しにくくどんどん悪化してしまいます。

便を排出するときに痛いからといってトイレにいくのを先延ばしにしていれば、お腹の中でどんどん便が硬化していきますから、さらに進行してしまいます。

きれ痔の治し方

きれ痔の治し方は、症状の進行具合によって異なります。
まだ初期段階でしたら、便秘を解消すること、軟膏や坐剤での治療、肛門を清潔にキープすることでよくなります。

見張りイボや肥大乳頭ができている場合は、手術をしないと治すことができません。

きれ痔の手術の種類

きれ痔を手術で治す場合、以下の手術方法があります。

皮膚移動術や裂肛切除

皮膚移動術や裂肛切除は、きれ痔を切り取り、その患部である傷(創)を周辺の皮膚と縫い合わせます。
肛門に皮膚が寄るように行う切開(減張切開)をその肌の一部に施し、肌を移します。

側方内括約筋切開術や裂肛切除

側方内括約筋切開術や裂肛切除は、見張りイボや肥大乳頭と一緒にきれ痔の切除を行い、内括約筋を部分的に側方で切開することで肛門を拡げる手術です。

側方内括約筋切開術

側方内括約筋切開術では、左右どちらか側方の内括約筋を部分的に切り開き、きれ痔によって狭くなった肛門を少し拡げます。
切るというと肛門がこれまでのようにしっかり締まらなくなり、大便をガマンできにくくなるのではと心配されるかもしれません。
内括約筋は部分的に切ったところで便が自然と流れ出るようなことは起こりませんので、安心して側方内括約筋切開術の手術を受けられます。

別の疾患の可能性

きれ痔かと思っていても、病院で診てもらったら別の疾患だったということも考えられます。
きれ痔は肛門上皮にできる痔の種類ですが、近い部位に生じる病気に直腸脱(ちょくちょうだつ)があります。

歯状線が直腸粘膜と肛門上皮との間にありますが、さらに奥側にある直腸壁全層や直腸粘膜より肛門が出てくる症状が直腸脱です。
完全直腸脱と不完全直腸脱の2種類があり、どのような状態で出ているかにより分けられています。

初期のきれ痔なら自然治癒も

きれ痔などの痔を発症したら治すためには本来は治療が必要ですが、まだ初期の段階でしたら自然治癒することも可能です。
きれ痔の原因となった生活習慣を見直すことに加え、人間の体が備えている自然治癒力があるからです。

まだ発症したてのきれ痔でしたら、肛門が裂けたとしても容易に自然治癒されていきます。
大人よりも子供になるほど、自然な回復がしやすいのが特徴です。
ただ、習慣化されやすいという一面もあるのは否定できません。
放置していて回復し辛い痛くないとしても、完治はしていなません。

硬い便や大きな便が排出されるときに、以前自然治癒した部位がさらに深く裂けたりなどを繰り返します。
習慣化された場合、本来よりも小さな肛門になったり、肛門周りにある筋肉が硬化するなど変化します。
すでに皮膚が繊細になっていることから、少しの刺激であってもダメージが強くなりますので、ちょっとした要因でも再び発症しやすいのです。

ここまで進行してしまったきれ痔は、このまま悪循環を繰り返す可能性を残しているよりも手術に踏み切った方が早く治ります。

痔対策に有効な漢方薬

市販薬をこっそり買って、痔の症状を改善させたいということはありませんか。

痔に有効な市販薬

塩類下剤 ── きれ痔は便秘から引き起こされることがありますので、市販薬の塩類下剤を用いると便の排出を促進させる効果があります。

ステロイド配合外用剤 ── 患部の腫れや痛みに有効です。

痔を改善させる漢方薬

千金内托散(せんきんないたくさん)── 漢方薬を飲むことにより体力が身につき、体外へ膿を排出させて粘膜や肌に生じた炎症を鎮静させます。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)── 疲労が原因で内臓を維持するパワーが減退した方に力をもたらし垂れ下がる感覚に歯止めをかけます。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)── いらだちやのぼせなどの症状があり、焦りが強めの方が服用すれば、熱を落ち着かせることができて出血が治まります。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)── 便秘の症状がありつつも十分な体力をお持ちの方が服用すると、血行が改善されて柔らかい便になります。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)── 下剤成分が配合されていない漢方薬。血液の巡りが弱っているときに改善させることができ、体調を回復させられます。

芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)── 貧血ぎみで、なおかつ痔による出血の症状が続いている方が服用すると、血液を補給しつつ血を止める作用があります。

槐角丸(かいかくがん)── 下剤成分が配合されていない漢方薬。うっ血や軽度の炎症という痔の症状を和らげます。出血を止めたい方におすすめの漢方薬です。

乙字湯(おつじとう)── 下剤の量が少な目であることから、便秘が軽い方の肛門の熱と湿り気の除去に適しています。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)── 痔の痛みで夜中に飛び起きてしまうという方に効果があります。

痔の痛みで夜中に起こされるなんて自分だけだと思っているかもしれませんが、実は約8%~18%もの人がかかりうる症状なので、決して少ないわけではありません。
このような症状は消散性肛門痛(しょうさんせいこうもんつう)という名称もあり、緊張状態にある筋肉をほぐして痔にもいい作用をもたらします。

この症状にはこの漢方薬

どんな種類の痔かわからないときは、槐角丸や乙字湯ならどの種類でも対応できます。
出血の症状を改善したい、出血を止めたいというときは芎帰膠艾湯です。
脱紅には補中益気湯、出血やのぼせ対策には黄連解毒湯、便秘やうっ血改善には桃核承気湯や桂枝茯苓丸などが有効です。

いずれの市販薬や漢方薬も、1週間程度続けてみて症状が好転しない場合は、病院で診てもらってください。

治療後に気を付けたいポイント

まだ初期段階で自然に改善したり、病院で治療を受けたと場合でも、きれ痔はまだ発症する人が多い疾患です。
治ったからといって安心するのではなく、再発しないように気を付けていくことが大切になります。

生活習慣を見直す

血液の巡りを改善させることは、きれ痔の状態をよくします。
日常生活の中でできることとしては、ヒップを冷やさないことです。
お風呂に入ったらシャワーで済ますのではなく湯船にしっかりつかること、トイレで用を足すときは温水洗浄タイプの便座がいいことなど覚えておいてください。
ただ、シャワーやウォシュレットなどの温水洗浄便座の水温には気を付けましょう。

真冬などの気温が低いシーズンや冷え性体質の方などは、できるだけ積極的に体を動かすことをおすすめします。

食生活の改善

きれ痔になる前には、下痢や便秘の症状があったという患者さんが大勢います。
栄養バランスの取れた食事を意識することによってお通じをよくすることは、きれ痔の回復に有効です。
便秘症を改善させるためには、便意が生じやすい朝にしっかり食事をすることが大切です。
朝食を抜かないだけでも、便秘解消に役立ちます。

メニュー選びでは、お通じがよくなるようにオリゴ糖や乳酸菌を意識的に摂るようにしましょう。
アルコールや香辛料が好きな方は、下痢につながりやすいですので、量は控えめにしてください。

負担を肛門にかけない

肛門に発症するきれ痔という疾患は、やはり患部にかかる負担を軽減させることが重要なポイントです。
便を排出するときは、便座で同じ姿勢を長く続けがちにます。
その間ずっと肛門が開くという状態が、体にとっては負担になります。
負担を減らすためにはこの時間を短くすればいいので、トイレで大の用を足すためにかける時間は3分~5分くらいを心掛けてみてください。

長時間立ったまま、あるいは座ったままの姿勢を継続すると、肛門を支えている筋肉が緊張状態になります。
緊張状態がほぐれるまでは血行がどんどん悪化しますので、同じ体勢が続きそうになったらストレッチをするなどして体をほぐすようにしてみてください。

1回で排出する便の量が多ければ多いほど、肛門にとっては負担がかかります。
便意があるにもかかわらずトイレへ行かずにガマンしていれば、直腸に長くい続けることによって便が内包する水分が吸収されてしまいますので、便がどんどん硬化します。
便意を感じたときには、できるだけ早くトイレで用を足すようにしたいところです。

繰り返す前に早めの治療を

きれ痔は初期段階であれば自然治癒する可能性もありますが、完治させるとなるとやはり医療機関で治療を受けた方が確実です。
きれ痔は繰り返しやすい傾向がありますので、クセになる方が少なくありません。

きれ痔を何度も繰り返して悪化してしまうと、手術での治療になります。
手術となると大変になりますので、できるだけ早めに時間を見つけて専門医に診てもらい適切な治療を受けてください。

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