熱がでたり耳の下が腫れているなどの症状がでたら、おたふくかぜにかかっている可能性があります。
風邪の症状にも似ているおたふくかぜは流行性耳下腺炎、ムンプス感染症などとも呼ばれており、唾液などで感染する病気です。
あらかじめワクチンで予防接種をすれば、かからずに避けることができます。

本ページではおたふくかぜを発症したときの子供と大人に起きる症状、潜伏期間、ワクチンによる予防接種、生じ得る合併症などについてご紹介します。
どんな感染経路で発症するのか、出席停止になるかなどについてもまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

おたふくかぜの症状

おたふくかぜは発熱と、耳の下にある耳鼻腺という名前の唾液腺が痛くなる症状が現れる感染症です。

子供の症状


引用元: オールアバウト(https://allabout.co.jp)

おたふくかぜは、4歳以下の子供が多く発症します。
頭痛や軽度の首の痛みが主な初期症状で、まるで風邪を引いたときのような感じに似ています。
人によっては症状がほとんどでず、少し疲れが出たのかなと思う程度の軽い不調であることから、おたふくかぜにかかっていることを自覚しないお子さんもいます。
おたふくかぜが流行している時期や、周囲に発症している人でもいれば感染していることに気が付きやすいのですが、そうでない場合はどうしても自覚しにくくなります。

大人の症状

大人も基本的に子供と同様の症状が現れますが、子供より長引く傾向があります。

合併症が起こるケースとは

おたふくかぜは、無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)や膵炎(すいえん)などの合併症リスクがあります。

無菌性髄膜炎から脳炎に

おたふくかぜで最も多い合併症は、無菌性髄膜炎です。
おたふくかぜを発症すると、通常であれば4日~5日もすると回復します。
にもかかわらず、依然として改善されずに嘔吐や頭痛の症状があるとしたら、無菌性髄膜炎の合併症を引き起こしている可能性が考えられます。

このうち約0.2%の患者さんは、無菌性髄膜炎から脳炎へ移行するといわれています。
現れている症状が無菌性髄膜炎のものだけでなく、けいれんや意識障害なども生じたときには、脳炎に発展していることが推測できます。
無菌性髄膜炎や脳炎を起こしている可能性があれば、死亡する危険性もある状況ですから、迅速に救急車を呼ぶか救急外来で診てもらってください。

膵炎から腹膜炎へ

おたふくかぜの患者さんのおよそ20,000分の1の確率で、膵炎の合併症を引き起こすリスクがあります。
膵炎の合併症を発症すると、ひどい嘔吐や腹痛などの症状が起き、ショック状態からさらに病状が進むと腹膜炎まで発症するケースもあります。

膵炎や腹膜炎の可能性がある場合も、無菌性髄膜炎や脳炎の場合と同様に死亡する危険性がある状態です。
救急車か救急外来へ急ぎましょう。

思春期以降に発症する合併症

子供の患者さんが多いおたふくかぜですが、発症した時期が思春期以降の場合に限定された合併症があります。
男性は精巣炎で約20%~30%の方が、女性は卵巣炎を約7%の方が合併するといわれています。

  • 男性が精巣炎の合併症になった場合、うずくまるような痛み、陰嚢部の腫れ、発熱などの症状が現れます。
    症状を緩和させるには、陰嚢部を冷却したり持ち上げるなどする方法が効果的です。
    極度の痛みが生じたら、医師に相談すれば局所麻酔をしてもらえる医療機関もあります。
    多くの患者さんは片方のみに症状がでますが、両方に発症して睾丸に深刻なダメージがかかった場合は、無精子症につながることも考えられます。
    無精子症にかかると、不妊症にもつながりかねません。

 

  • 女性が卵巣炎の合併症になった場合、強烈な腹痛の症状が現れます。
    激しい痛みを感じたら、婦人科または内科で検査を受けられますので受診しましょう。
    男性と同じように、卵巣炎も片方のみに発症するケースが大半です。
    不妊に至るケースは少ないものの、後遺症が長く残ってしまっては辛いですから、医療機関で早めに検査を受けられた方が安心です。
    おたふくかぜに妊婦さんがかかったときは、流産もしくは低体重児出産になるリスクがあります。

 

  • 難聴の合併症の可能性もあり、こちらは約20,000分の1と割合としてはとても少数です。
    確率は低いというものの、もし発症すると障害が永続的なものになるという重度の症状で、聴診系の細胞自体が障害が生じる合併症です。

おたふくかぜの潜伏期間

おたふくかぜの潜伏期間は平均18日くらい、2週~3週間程度です。
症状が現れてから4日~5日くらいで、主な症状である発熱や嚥下熱、唾液腺の腫れや圧痛などは回復します。
おたふくかぜのウイルスは唾液腺にうつることから、多くの患者さんは片方または両方耳下腺に生じますが、まれに顎下腺(あご)に症状がでるケースもあります。

おたふくかぜの予防接種

おたふくかぜを防ぐためには予防接種が効果的で、約9割の方はワクチンを接種することで十分な抗体を獲得することができるといわれています。

予防接種の効果

約9割と聞くと、期待しているより少なくて予防方法としてはいくぶん頼りないように思われるかもしれません。
1割近い方はワクチンを接種していたのにおたふくかぜにかかってしまうわけですが、発症した患者さんの多くは軽症ですんでいます。

感染症は流行すれば被害が広がってしまいますが、多くの人が予防接種を受けその9割近くが発症していなければ、被害の拡大を防ぐことができます。

おたふくかぜのワクチンは自費

現在の日本でおたふくかぜのワクチンは、公費ではなく任意で行われるものなので費用が自費になっています。
有料であるもののおたふくかぜのワクチン接種は推奨されており、受ける回数は合計2回です。
1回目に受ける年齢は1~2歳のとき、2回目は5歳前後です。

子供だけでなく、大人も予防接種を受ければおたふくかぜ対策ができますので、ぜひ早めに受けてみてください。
子供は2回ですが、大人は1回だけで十分に効果があります。

おたふくかぜ単独のワクチンへ

おたふくかぜのワクチンというと、以前はMMRワクチンというおたふくかぜ・はしか・風疹の2種類の感染症に対応できる三種混合ワクチンが使用されていました。
しかし、国内では副反応への配慮から、1993年以降はおたふくかぜ単独のムンプスワクチンに切り替えられています。

接種の推奨回数は、2015年末までは海外でとは異なり1回だったのですが、感染者の報告が増えていることから乳幼児期に2回受けることに移行されています。

おたふくかぜの感染経路

おたふくかぜは、ムンプスウイルスという種類の微生物が原因となり発症する感染症です。
感染経路は、接触感染や飛沫感染です。

  • 接触感染 ── ムンプスウイルスが着いている手で鼻や口に触れることでうつる
  • 飛沫感染 ── 患者さんのくしゃみや咳などに入っているムンプスウイルスが空気中に舞い、それを吸い込んでしまいうつる

おたふくかぜのムンプスウイルスは強い感染力を持っていますが、感染したからといって必ずしも症状が現れるわけではありません。
これを不顕性感染(ふけんせいかんせん)といい、患者さん全体の約3割はこの状態です。

おたふくかぜでないかも?

おたふくかぜにとても似た症状の疾病は他にもあります。
おたふくかぜだと思い込んでいても、もしかしたら別の病気かもしれないと疑ってみることも大切です。

発熱は数日程度でおさまり、耳下腺の腫れの症状を繰り返しているという場合、反復生耳下腺炎かもしれません。
腫れた部位の痛みは軽く、じっとしていても痛みがある状態です。
反復生耳下腺炎は子供の患者さんが多く、パラインフルエンザウイルスやコクサッキーウイルスなどといった風邪の原因ウイルスで発症する病気です。
症状に思い当たる場合は、医療機関で検査を受けて正しい診断をしてもらってください。

おたふくかぜで出席停止

おたふくかぜは、法定感染症疾患に指定されている病気です。
出席停止になりますが、ほとんど場合は欠勤や欠席扱いにはなりません。
発症したら、職場や学校、保育園、幼稚園に連絡しましょう。
出席停止の措置が取られているのは、やはりおたふくかぜが他の人に感染し広まってしまうと危険だからです。

患者さんの体内にあるムンプスウイルスが感染力を持っているかは、腫れの症状があるか引いたかが一つの目安となります。
腫れが治まり、倦怠感がなくなって熱も落ち着くまでは安静していましょう。
感染力が弱まるまでのおおむねの日数は、4日~5日といったところです。
医療機関では治癒証明を発行してくれますので、診断を受けて取得し提出してはいかがでしょうか。

他のワクチンと同時接種できる?

おたふくかぜのワクチンは、1歳から受けることが可能です。

別のワクチン接種と重なる場合

小児はおたふくかぜの他にもさまざまな感染症にかかる可能性がありますので、受けておきたい予防接種は一種類ではありません。
以前はおたふくかぜの予防接種というと1回きりだったのですが、現在は初回から間隔をあけて2回目を受けるようになっています。

2回目の予防接種を行うことで免疫をしっかりと身につけることができるためで、海外ではすでに2回のワクチン接種が標準です。
十分な免疫力を身につけるには、初回から2~6年後に2回目の接種を受けることが推奨されています。

おたふくかぜ以外の予防接種も受けたい場合、同時に行っても小児の体に影響はないのでしょうか。
おたふくかぜのワクチンは、風疹とはしかの2種類の予防ができるMRワクチンや、水ぼうそうのワクチンと同時に受けることは可能ですので、希望される方はかかりつけのお医者さんに相談してみてください。

ワクチンは何歳から受けられるか

ちなみに、アメリカでは生後2か月の赤ちゃんに予防接種を6種類受けさせています。
摂取できる年齢に達していれば、日本でも何本も受けることが認められています。
子供をおびやかすVPDから我が子を守るため、同時接種を行って早めに免疫力を確保させたいというのが親心ですよね。
VPD(Vaccine Preventable Diseases)とは、ワクチンを接種しておくことで未然に予防できる病気の総称です。

1歳の誕生日を迎えてすぐに予防接種を受ければ、無菌性髄膜炎の合併症にかかるリスクが非常に少ないことがわかっています。
1歳になったら、理想はおたふくかぜのワクチンとMRワクチン(はしかと風疹の混合ワクチン)を同時に受けることがおすすめですが、お子さんへの負担を配慮して1回ずつにしたい場合は、まずはMRワクチン、おたふくかぜのワクチンはその次にされてはいかがでしょう。

おたふくかぜワクチンの副反応

おたふくかぜのワクチンを接種したら、どのような副反応の可能性があるでしょう。
あまりないことですが、接種から2週~3週間後に耳下腺の腫れや発熱などの症状がでることがありますが、特に治療を受けなくても自然に回復します。

無菌性髄膜炎の合併症が起きるリスクが数千人に1人の確率であり、発症する場合は接種から16日くらいの時期です。
主な症状は不機嫌や嘔吐、発熱などなので、これらの症状が収まらないようでしたら医師に診てもらいましょう。
無菌性髄膜炎の発症率はとても低く、ワクチンを接種しないまま自然感染する確率が100人に1人~2人である可能性と比較しても微々たる割合です。

近年の研究により、ワクチンの接種が原因で脳炎を発症する可能性があることが明らかになっています。
ただ、発症する可能性はとてもわずかなもので、予防接種を受けずに自然におたふくかぜの脳炎を発症する割合と比べても症状が軽症ですみます。
これらを総合的に考え、現在はなにもしないままでいるより、予防接種を受けた方が病気から身を守ることができるとされています。

予防できるのはワクチン接種のみ

おたふくかぜは、ムンプスウイルスがうつることによって発症する感染症です。
子供の病気といったイメージがありますが、大人も十分に発症する可能性はあります。
近年流行の傾向がありますので、感染する可能性がある方は大人でも子供でも年齢に関係なく予防をしておきましょう。

おたふくかぜを未然に防ぐ方法は、ワクチンの接種のみです。
合併症のリスクもある病気ですので、ぜひ予防接種を検討してください。

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