風疹(ふうしん)は別名「三日(みっか)ばしか」ともいい、はしかによく似た風邪を引いたときのような症状がでる感染症です。
通常はしかは感染すると治るまで長引くのですが、風疹はそのはしかが3日で終わるという名前がつけられるくらい、比較的軽い疾患です。

とはいえ、妊娠中の女性などが風疹にかかると生まれてくる赤ちゃんが疾患を持ってしまうリスクが生じることから、決して安心することはできません。
子供の頃に風疹をすませているか、ワクチンを接種したか忘れてしまった場合は、抗体検査を受けることで確認ができます。

本ページでは風疹とはどのような感染症か、原因や症状、妊婦さんが発症した場合にどんなリスクがあるかなどをお伝えします。
風疹と麻疹の違いなどにも触れていますので、風疹対策の一助に加えていただければ幸いです。

風疹とは

風疹は急性感染症の一つで、風疹ウイルスというトガウイルス科に属するウイルスに感染することで発症します。
一般的には軽症ですむ病気なのですが、脳炎や血小板減少性紫斑病(しはんびょう)との合併症を引き起こすケースも少数ですがあります。

はしかの伝染力が強力なのに反して風疹はとても弱く、水痘(すいとう)よりも弱いと言われているほどです。
風疹にかかったかと思ったら、最初に受診する科は子供なら小児科、大人は皮膚科や内科になります。

妊娠中、とりわけ妊娠初期の妊婦さんが風疹を発症した場合には、誕生する子供がCRS(先天性風疹症候群)を患っている確率が高くなりますので注意が必要です。
周囲に妊娠中の女性がいる環境で風疹にかかったと思ったら、感染させないことが重要ですので、できるだけ接触しないよう配慮をしましょう。

風疹は学校保健安全法の第二種感染症に指定を受けている病気ですので、紅斑性の発疹が引いてなくなるまでの間は、登園や登校停止になります。

風疹の症状


引用元: おいかわこどもクリニック(http://www.oikawa-clinic.com)

風しんの感染経路は、飛沫(ひまつ)感染です。
発疹の症状が出る前後1週間くらいに、くしゃみや咳などを介してうつります。
風疹ウイルスがうつったら、すぐに症状が現れるわけではなく2週~3週間くらいの潜伏期間があります。

淡い色をした発疹が全身に発症し、同時に発熱の症状もあります。
後頭下部、頸部けいぶ、耳後部のリンパ節腫脹(しゅちょう・腫れる症状)が生じます。
ただ、長引くはしかとは異なり、基本的には3日くらいで症状が治まります。
はしかは高熱の状態が続くのですが、風疹は高熱が続くケースはあまりありません。
微熱といえるほど低い発熱ですむ患者さんが大勢います。

風しんに感染しているというのに、全体の15%近くは微熱で収まっているどころか症状が出ません。
風疹特有の3つの症状であるリンパ節の腫れ、発疹、発熱が全部そろわない患者さんもいます。

乳幼児とは異なり成人した大人が風疹を発症すると、全体の5%~30%は関節炎の症状がでるのですが、とはいえすぐに治ります。

風疹と麻疹の違い

麻疹とは?

どちらも発疹ができたり発熱があるなど症状が似ていて、子供がかかりやすいというところも共通しています。
風疹と麻疹の違いは原因が異なり、風疹は風疹ウイルス、はしかは麻疹ウイルスが感染して発症します。

はしかの感染経路は飛沫感染や空気感染などいろいろあり、高い感染力があるので9割以上の方は感染すると発病を避けることができません。
一方の風疹は接触感染や飛沫感染でうつり、感染力は弱く、全体の15%~30%近くの方は症状が現れずにいつの間にか完治しています。

はしかに感染したときの主な症状は、発熱、発疹、カタル症状(結膜の充血・咳嗽・鼻汁など)。
風疹の主な症状は、発熱、小紅斑や紅色丘疹が全身にできる、リンパ節の腫れです。
症状は判断の目安の一つとし、正確な診断は医師に診てもらってください。

どちらも同じMRワクチンと呼ばれる混合タイプの予防接種を受けることで、感染を予防することが可能です。
2回受けなければいけないワクチンで、2回目まで間隔をあける必要があります。
定期予防接種の対象であれば、無料で受けられる場合が多くあります。
詳しくは管轄の市区町村や、対象でない場合は風疹ワクチンを扱っている医療機関に問い合わせてみてください。

風疹で合併症は起こる?

風疹で合併症が引き起こされるケースは稀ですが、急性脳炎や血小板減少性紫斑病の併発リスクがあります。
合併症が生じるリスクは急性脳炎が風疹の患者さん4,000~6,000人に1人、血小板減少性紫斑病が3,000~5,000人に1人の割合と少ないので、他の感染症と比べあまり神経質になる必要性はありません。

妊娠中発症による出生児の病気リスク

妊娠中の女性が風疹に感染すると、生まれてくる赤ちゃんが病気を抱えているリスクが高くなります。

妊娠初期の時期に風疹ウイルスに感染した場合、CRS(先天性風疹症候群)を発症するケースがあります。
感染時期が妊娠2か月以内の場合、難聴や先天性心臓病、白内障のうち2つ以上の疾患が診断されることが多くあります。
先天性の心臓病には心房中隔欠損、心室中隔欠損(しんしつちゅうかくけっそん)、肺動脈狭窄(きょうさく)、動脈管開存症(かいぞんしょう)などの病気があります。

妊娠2か月を過ぎてもまだ安心はできず、妊娠3か月~5か月にうつった場合、難聴になる可能性が多々あります。
難聴以外にも赤ちゃんが血小板減少性紫斑病、脾臓(ひぞう)や肝臓の腫れ、精神運動発達の遅れ、髄膜炎(ずいまくえん)、小頭症(しょうとうしょう)、緑内障(りょくないしょう)、網膜(もうまく)の疾患、子宮内での発育が遅いなどの異変が確認されるケースがあります。

風疹の予防接種や抗体検査

多くの地方自治体で、風疹の予防接種や抗体検査が行われています。
年齢などの条件によって無料で受けられる場合が多いですので、お住まいの市区町村などに問い合わせるか、ホームページなどで確認してみてください。

抗体検査とは

抗体検査という言葉はあまり耳にすることがないかもしれませんが、ウイルスや細菌などの病気を引き起こす原因に対し、その人の身体に抗体があるかどうかを調べる検査のことです。
抗体の有無や、ある場合は量を確認することができます。

抗体検査は風疹の他に、はしかや百日咳、水ぼうそう、HIVなどの感染症に設けられています。
抗体とは、細菌やウイルスなどが体内に侵入したときに、体外に追い出すために作られる対抗物質のことです。

一度その感染症にかかっていると、体に免疫ができているので同じウイルスにかからずにすみます。
もしかしたら、子供の頃に風疹にはかかっているからワクチン接種をしなくてもいいと思っていたけれど、実際にははしかと勘違いしていたということも考えられます。
そんな疑いがある方は、抗体検査を受ければ風疹ウイルスに対抗できるだけの免疫力を体に持っているかが分かります。
検査結果次第で、予防接種を受けるか検討することができます。

定期予防接種の対象者

市区町村によっては、風疹の予防接種を無料で実施しています。
定期予防接種の対象である子供が無料になるケースが多くあります。
風疹は予防接種で防げる感染症ですから、ぜひ積極的に利用してください。

ある市区町村のケースを例にあげると、無料の定期予防接種は2回行われています。
生後12月~24月が第1期、小学校就学前の1年間が第2期といった形です。

定期予防の対象外で風疹の予防接種を希望される方は、医療機関によって必ずしも風疹のワクチンを実施しているとは限りませんので、確認してから行くようにしましょう。
風疹だけを予防する単抗原ワクチンではなく、はしかと両方の予防効果を持ったMRワクチン(混合ワクチン)が一般化しています。

助成がある市区町村も一部であります。
お住まいの市区町村に直接確認してみてください。

風疹の検査

風疹の疑いがでてきたら、医療機関では似た症状がでる別の病気でないことを確かめます。
例えば症状が軽度のはしか(修飾麻疹)、典型的でないケースの伝染性紅斑、溶血性連鎖球菌が原因でできる発疹などの疑いが考えられます。
中には、検査室診断にて確定診断を行うケースもあります。

基本はウイルスの分離なのですが、一般的に行われるのはほとんどが血清診断になっています。
風疹に感染したら保健所に報告することが義務付けられていますので、もし発症した場合は受診した医療機関から1週間以内に届け出が行われます。

風疹の治療

風疹に感染したとしても、特に治療方法があるわけではありません。
発症した各症状に対して、個別に対症療法が取られることになります。
例えば、関節炎や発熱などが生じたときは、解熱鎮痛剤が処方されるなどです。

任意接種と定期接種

これといった特効薬がない風疹対策には、やはり事前のワクチン接種が大切です。
日本には予防接種法という法律があり、特に乳幼児には任意接種と定期接種という2タイプの予防接種を設けています。
法の改正がある可能性もありますから、予防接種を予定している方は最新情報をチェックし、定期予防接種の対象年齢や補助制度などを確認されることをおすすめします。

そもそも誕生して間もない乳児には、ママからもらった免疫機能が備わっているのですが、月日が経つにつれてどんどん減少してしまいます。
免疫機能が低下していっては十分にウイルスや細菌などに対抗することができず、感染症を発症しやすい状態になってしまうばかりです。

このママからもらった免疫機能の代わりにウイルスや細菌をやっつけてくれるのが、予防接種です。
予防接種を受けることで免疫力や抵抗力を身につけることができた赤ちゃんは、感染症にうつっても後遺症が残ったり亡くなることを回避できます。

予防接種には感染症にうつらないことと同時に、原因ウイルスを周囲にうつして感染症被害を拡大させないという2つの大きな役割があります。
本人が病気で辛い思いをしないことはもちろんのこと、周囲の人たちを守るためにも予防接種を大いに活用してください。

定期接種とは

定期接種は10種類のワクチンがあり、風疹とはしかの両方が予防できるMRワクチンもこの中に含まれています。
予防接種の代金の9割は地方交付税で補てんされますし、いろいろな補助がありますので残り分も費用負担が減らされています。

地方自治体の多くでは、これらの理由から全額無料となっていますので、お住いの市区町村などの情報を確かめてみてください。
ただ、全ての人が無料の定期予防接種を受けられるわけではなく、対象となる年齢などがあります。

対象となる期間に病気をしていて予防接種を受けられなかったなど正当な理由がある場合を除いては、対象外の方は無料にならなくなってしまいますので気を付けてください。
無料にならなくても、予防したい感染症のワクチンを扱っている医療機関に行けば、自費で受けることが可能です。

任意接種とは

任意接種は定期接種と違って、補助などがないことから全額自腹で費用を払うことになります。
任意接種はご本人の希望で受けるワクチンで、狂犬病、髄膜炎菌、A型肝炎、(おたふくかぜの)ムンプスウイルス、ロタウイルスという5種類の感染症に対するものです。

特に任意接種が必要になる方は、海外赴任や海外留学の予定がある方などです。
本当にワクチンを接種した方がいいのかは、医師に相談すると適切なアドバイスや必要な手段の指示が受けられるでしょう。

風疹は予防接種で防ごう

風疹を発症するとリンパ節の腫れ、発疹、発熱という主に3種類の症状が現れます。
はしかにもよく似た症状であり、なおかつはしかのように長引かないことが「三日ばしか」と呼ばれるゆえんです。

妊娠中に風疹に感染すると、生まれてくる赤ちゃんの身体に疾病のリスクが生じます。
妊娠を予定している女性はもちろんのこと、風疹は感染しますので、パートナーであるご主人も風疹をすませていない場合は対策を行う必要があります。

風疹はワクチン接種をすることによってかからずに済む感染症ですから、予防接種を受けるようにしましょう。
無料で受けられる風疹の定期予防接種の対象年齢が何歳かなど、お住まいの各市区町村に確認してみてください。

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