冬季うつ病は季節性感情障害という病気のひとつです。
季節性うつ病、冬鬱病、ウインターブルーとも呼ばれます。

冬は日照時間が短い等、うつになりやすい原因があります。
冬季うつ病は、通常のうつ病に比べて過眠や甘いものを摂取したくなるという特徴があります。
実はこの冬季うつ病、生物学的に冬眠をするための体の動きとも言われています。

原因は日照時間の減少。脳が冬眠モードになり、一日中眠かったり、憂鬱な気分になったりして、心身のバランスを失い、普通にできていた仕事や学業ができなくなります
出典 医療法人社団博友会広報誌 博友会だより 冬2012年1月(http://hakuyukai.or.jp/pdf/hakuyukai12.pdf)

ですが人間として生活している以上、冬眠をするわけにはいきません。
1年を通して調子が悪くなる時期がある、という方はその時期は実は必ず冬でということはないでしょうか?

冬季うつ病の原因を知っておくことで、予防を行うことが出来ます。
冬眠モードにならないよう、しっかりと対策を行いましょう。

うつかどうかのチェック方法

冬季うつ病は、冬にのみ大うつ病の症状が現れる病気です。
まずは自分が冬季の間、大うつの症状が出ていないか確認してみましょう。
大うつの症状は医学的にはエピソードと呼ばれ、いくつかの症状チェックがあります。
診断を行う際にも使用されるチェックリストで、下記の通りになっています。

うつ病の多くを占めるのが大うつ病で、以下の「大うつ病エピソード」に該当するかどうかで診断されます。
①ほぼ毎日、一日の大部分の時間、気分が憂うつである
②ほぼ毎日、一日の大部分の時間、何に対しても興味と喜びを感じない
③1か月で5%以上、体重の増減が見られる、またはほとんど毎日、食欲がないか過剰にある
④ほぼ毎日、眠れないか、過眠だ
⑤ほぼ毎日、イライラしているか、何もしない
⑥ほぼ毎日、すぐに疲れる、あるいは気力が続かない
⑦ほぼ毎日、自分に価値がないと思う、または自分を責めてしまう
⑧思考力、集中力、決断力の低下
⑨死ぬことをしばしば考えたり、自殺の計画を考えたりする

これらの①か②を含む5つ以上に該当し、日常的につらい場合は大うつ病が考えられます。ただし該当しているなかでも、うつ病の種類によって特徴的な症状の出方があります。
出典 医療法人和楽会(http://www.fuanclinic.com/byouki/pump226.htm)

生活に影響のある症状が特徴

症状は10、11月頃に出始め冬に悪化し、春頃に症状が改善されます。

特徴的な過眠・過食

冬季うつ病の特徴として、食べるすぎる、寝すぎるという症状があります。
他の季節のうつ病であれば、不眠・食欲がない症状が多いので、冬季うつ病はうつと気づかない場合もあります。
特に炭水化物と甘いものを食べたくなる傾向にあり、とりすぎることで体重の増加にも繋がります。

また冬は体温が下がることから、元々体が甘いものをとろうとする傾向にもあります。
これも合わせ、異常なほどチョコレートを食べてしまうということもあります。

その他の症状

他にも症状としては、集中力がなくなったり小さなことが面倒になるという症状が出ます。
不安感・イライラや体の疲れなども出て、酷いと生活に影響が出ることもあります。

原因に深く関係するホルモン

ホルモンとは体の中でつくられる成分で、体内の調子を整えるものです。

冬季うつ病の原因で重要なホルモンが、セロトニンとメラトニンです。
この2つのホルモンのバランスが崩れると、睡眠と起床のリズムが崩れてしまいます。

睡眠ホルモンのメラトニン

メラトニンは睡眠ホルモンと呼ばれ、増えると眠くなってきます。
朝光をあびてから14時間程で体内で生成される、睡眠に関するホルモンです。

幸せホルモンセロトニン

セロトニンは下記の働きをするホルモンで幸せホルモンとも呼ばれます。

  • 精神の安定
  • 痛みの緩和
  • 体内時計の調節
  • ストレスの安定

太陽の光を浴びることで、セロトニン神経が活発化されてセロトニンがたくさんつくられます。

ストレスがあると、このセロトニンが消費されてストレスを緩和します。
ですがストレスが増えすぎてしまうと、セロトニンをつくるのが間に合わなくなってしまいます。
何らかの原因でセロトニンが不足するとイライラするという症状につながります。

セロトニンは、リズム運動を行ったり、感情を動かすことでも分泌が増加されます。

セロトニンの減少が冬季うつ病の原因

冬は日照時間が短くなり、光を浴びる時間が減ってしまいます。
これにより、セロトニンとメラトニンのバランスが崩れてしまい、冬季うつ病の原因となります。

また日照時間は「うつ」とも関係していると言われており、日照時間が少なくなる冬季にかかりやすくなるといわれている「冬季うつ」というものも存在するくらいです。これは、これはメラトニンという、睡眠を促すホルモンが、光の弱い夜に多く作られることに因るものです。つまり、メラトニンが多く生成されてしまい、睡眠時間が増えてしまい生活のリズムが崩れ、更にはセロトニンという神経伝達物質も日照時間が少なくなることで減少してしまいます。このセロトニン不足も、うつの原因となる大きな要因です。
出典 医療法人社団 心翠会 自由が丘ファミリークリニック(https://www.one-life.site/jiyugaoka)

セロトニン減少改善の方法

冬季うつ病は、起きる方のホルモンであるセロトニンをつくることが重要となります。
セロトニンが増加すると、メラトニンも減り過眠が改善されます。

光を浴びる

光にあたることでセロトニンは多くつくられます。
太陽の光が良いのですが、照明器具でも多少の効果があります。
実際に冬季うつ病には光療法という治療法がもっとも効果的とされています。
2,500ルクスから10,000ルクスの光をあてる治療方法です。

朝起きることが出来る方であれば、起きてからカーテンを開けて光を浴びます。
夜勤等であれば夜や夕方に起きる方もいると思いますが、その場合は出来るだけ明るい照明をつけるようにしましょう。

重要な栄養素

体の中でセロトニンをつくる材料となるのはトリプトファンです。
トリプトファンとはアミノ酸という栄養素の1種類です。

更にビタミンB6がセロトニンをつくる手助けします。
トリプトファンが含まれている食品は、厚生労働省の特別保健指導育成プログラムで下記のように記載されています。

勤務明けに仮眠をとる際、安眠効果を高めるアミノ酸(L-トリプトファン)が含まれる牛 乳・乳製品、ナッツ、マグロ、鶏肉などを取り入れた軽食をとるとよい
出典 厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03k-04.pdf)

またビタミンB6はひらめ・いわしなどの魚やレバー・肉・クルミなど に多く含まれています。
ですが、これらばかりを摂取していれば良いということではありません。
トリプトファンはセロトニンのみではなく、ナイアシンなどもつくられ、ナイアシンのほうが優先となっています。

トリプトファンやビタミンB6の入った食事だけを取るのではなく、バランス良く食事をとりましょう。
そのうえで、出来るだけこれらの食品を意識することが大切です。

バナナと冬季うつ病


冬季うつ病にはバナナが良いという話もあります。
これはフルーツの中でビタミンB6が最も多く、 トリプトファンも含まれているのがバナナであるためです。
他の食品も同様ですが、バナナだけ食べていれば大丈夫、ということではありませんので注意しましょう。

ただ、意欲低下で小さなことが面倒と感じている時、料理もついつい億劫になってしまいます。
そんな時、何もせずそのまま食べられるということも良いと言われることのひとつです。

深い呼吸を行う

呼吸が浅い場合も、セロトニンはつくられにくくなります。
深い呼吸として、下腹部の腹筋をつかう呼吸法があります。

通常の人は、無意識の呼吸は胸にある横隔膜という部分を使います。
意識して行う複式呼吸が効果的で、医学的には丹田(たんでん)呼吸法と呼ばれます。

1 いすに座って背筋を伸ばし肩の力を抜いて、丹田に手をあてます。
ベルトは少し緩めましょう。
2 腹筋に力を入れ、肛門を閉めるように意識しながら、10~15秒かけてゆっくりと息を吐ききります。
3 腹筋と肛門の力をゆるめ、その反動で自然に息を吸います。2,3を1分間に3~4回繰り返し5分ほど続けます。
※丹田はおへその下に手をあてたとき、小指のあたりにあります。
下腹部がへこむのを手で確認しましょう。
呼吸中は他のことは考えず、丹田に意識を集中させましょう。
息を吐くときに、「イチ、ニ、サン・・・」などと声を出しながら行うと、集中しやすくなります。
出典 医療法人横山クリニック 横山内科(http://www.yokoyama-naika.jp/newspaper/2014-11/)

感情を大きく

感情を動かして脳を活性化させることでも、セロトニン増加に繋がります。
よく笑い、泣いたり、または感動することが感情を動かすということです。
人と会って話しをしたり、映画を見たりということが感情を動かすことにつながります。
うつ病であると意欲も低下するのでなかなかこれ自体が難しいと感じるかもしれません。
そんな時は映画や本で、好きな作品や気になる作品を見るのであれば入りやすいです。

しっかりと睡眠をとる

冬季うつ病の特徴は過眠ですが、睡眠をとらないことも症状悪化につながります。
寝不足になることでイライラを感じる状況が増えてしまい、セロトニンを消費してしまいます。

休む時にはしっかりと休むことが重要です。
たくさん寝る、というよりは質の良い睡眠をとることが重要です。

やるべきことはチェックリストに

小さなことでも面倒に感じてしまい、やらなければいけないことを後回しにしてしまうこともしばしばです。
そのうち、大切なことをやり忘れているなんてことにもなりかねません。
やるべきことやなかなか進まず出来ないことはチェックリストを作成しておくと良いです。

心理的にもチェックリストの作成は有効です。
チェックすると、ひとつ終わらせたという気持ちを持てます。
全然進まないというマイナスイメージが減るため、うつ病の症状改善につながります。

改善方法が偏っては効果が薄い

栄養だけとっても、日の光を浴びないとセロトニンはつくられにくいままですし、その逆も同様です。
改善のためには、出来るだけでもよいのでまんべんなく気をつけましょう。

病院で処方される薬は

冬季うつ病だけでなく、うつ病全般の病気で病院にいった場合、薬が出され場合は抗うつ薬となります。
抗うつ薬とは、セロトニンを脳で増やす薬になります。

うつへの効能として販売されている市販薬はなし

冬季うつ病だけではなく、うつ病に関しての西洋薬の市販品というのはありません。
これは覚醒を起こす薬ということで、麻薬と同様の危険性もあるためです。
市販で購入するとなると、サプリメントでセロトニンを含むものということになります。
他には、第2類や第3類医薬品の漢方薬で、イライラを抑えたりする効能をもつ薬があります。

ただ、やはりこれらは「これを飲めば大丈夫」という薬ではありません。
摂取しつつ、他の改善方法を行うことが必要です。
どうしても症状が重く日常生活に支障が出るという場合は、病院で診てもらうのがよいです。

病院の診療科

冬季うつ病で病院に行く場合は、心療内科、精神科、または睡眠に関しての病院となります。

対策につながる漢方薬

漢方薬は、元になる生薬というものの組み合わせの薬になります。

  • 高麗人参(こうらいにんじん)
    自律神経のバランスを整え、ストレス緩和、リラックスの効能がある生薬が含まれます。
  • 加味帰脾湯(かみきひとう)
    緊張、イライラ感をしずめ、寝つきを良くする生薬が含まれています。
    胃腸を丈夫にする効能もあります。
  • 桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
    気持ちを落ち着かせる生薬が含まれています。
  • 補中益気湯(ほちゅえきとう)
    体の疲れをとる生薬が含まれます。

いずれも漢方薬の名前がそのまま商品名について、様々な製薬会社が販売しています。
特に高麗人参は漢方薬でも有名で、高麗人参を含んだ漢方医薬品は多くあります。
薬剤師または登録販売者を通じてネットでも対面でも購入できます。
第2類医薬品は購入時の説明は出来るだけ行うとされているものの、説明・確認は必須ではない医薬品です。

少し意識を変えてみる

うつ病の時には頑張ろうと考えることはよくありません。
やるべきことが出来ない等、余計にストレスに感じてしまいます。

特に冬季うつ病は春には治るため、自分がそうであることを認識せずに抱えている人も多いです。
まずは規則正しい生活、バランスのとれた食事が大切です。
そこまで日常生活にひどい支障が出ていないのであれば、これらに少し意識を持つようにしておきましょう。

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