赤いブツブツが全身にできた、熱がでて38℃を超えている、鼻水や咳がでて目が充血しているなどの症状が現れたら、はしかに感染しているかもしれません。
はしかは私たち日本人にとって聞き馴染みのある感染症の一つですが、現在は「麻しん排除国」として世界保健機関西太平洋事務局から認定を受けている国になりました。

では、日本人のはしか感染者は皆無になったのかというと、そうではありません。
外国にはまだまだはしかが流行する国が多くあり、海外旅行から帰ってきて日本で発症する人が少なくないなどの理由です。

はしかは子供がかかるイメージの疾病かもしれませんが、赤ちゃんから大人まで誰でもかかる可能性があります。
そんなはしかから身を守る予防接種や潜伏期間、症状が似ているため間違いやすい麻疹と風疹の違いなどをまとめてご紹介します。

はしかの症状

はしかは漢字で「麻疹」と書きますが、「麻しん」と表記されているものもはしかのことです。
はしかを発症したら、以下の症状が現れますので、ご自身でチェックしてみてください。

  • 赤いブツブツ(発疹)が全身にできる


    引用元: 国立感染症研究所(https://www.niid.go.jp)

  • 鼻水、咳、結膜の充血の症状が現れる
  • 38℃を超える発熱
  • 発疹ができる前後にコプリック斑(白い斑点)が頬の内側にでる場合がある


    引用元: 国立感染症研究所(https://www.niid.go.jp)

1~3つ目の症状がある場合ははしかの可能性が濃厚ですので、医療機関で診断を受けてください。
特に、外国から帰ってきてこれらの異変が確認された場合、現地で流行していたことも考えられますので注意しましょう。

はしかを発症する原因

はしかは麻しんウイルスが原因で発症する感染症です。
免疫のない人がうつると、感染力が非常に強力であることから90%以上、ほぼ100%に近いといえるほどの高い確率で発症してしまいます。

はしかには、これといった治療方法がありません
一度かかると完治するまでに時間がかかり、重度の合併症を引き起こせば死亡するケースもありますので、予防接種を受けることが大切です。
合併症を起こしていない場合でも、入院治療の必要があることもあります。

合併症が引き起こされなかった場合は、1週間~10日くらいで主な症状がほとんど治まります。
ただ、赤いブツブツの発疹は茶色く変化し、完治してからもしばらく消えません。

はしかに感染すると免疫力が一時的にではありますが落ちてしまい、元の元気な状態を取り戻すまでに1か月くらいの期間を要します。
主な症状がほぼ治ってからも、この期間は別の感染症の発症リスクが高いので、かからないよう気を付けましょう。

はしかの潜伏期間

はしかは、麻しんウイルスに感染してから約10日~12日の潜伏期間を経て発症します。

はしかの感染経路

はしかの感染経路は、接触感染、空気感染、飛沫感染です。
原因である麻しんウイルスが、患者さんくしゃみや咳などをしたときに外へ出ていき、空気中に舞っているのを吸い込むと、免疫力がない人はうつされてしまうのが空気感染や飛沫感染です。

はしかに免疫力がない人が患者さん1人の周りにいるとすると、12人~14人もの人がうつされるというくらいとても高い感染力があります。
どんなに強力かというと、例えばインフルエンザでしたら同じ状態にあってもウイルス感染するのは1人~2人です。
12人~14人という数字は、ほぼ100%を意味しています。

発症したら保健所へ届け出

はしかにもし感染したら、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療法に関する法律」に基づき、近くの保健所へ24時間以内に届け出を出すことが決まりとなっています。
診断を行った医療機関が報告をしてくれます。
はしかと確定されなくても、疑いがある時点で保健所に連絡が行われるのですが、それは感染が拡大しないようにするためです。

合併症を引き起こしたら

はしか発症から合併症を引き起こす確率は、3割近くもあります。
どんな病気との合併症リスクがあるのでしょうか。

脳炎

脳炎の合併症の割合は、はしか患者全体の約0.1%~00.5%です。
そのうち約6割の方は完治できるのですが、中枢神経系の後遺症が残ってしまう方が2~4割程度、さらに15%近くもの致死率という数字です。
脳炎の合併症は重度の後遺症を残し、麻痺、失明、けいれん、知能障害などを起こすケースもあります。

肺炎

合併症のほぼ半分は肺炎で、細菌と麻しんウイルスの大きく2タイプの原因に分かれます。
はしかで合併症が起きて死に至るケースは、肺炎と脳炎によるものがほとんどで、2大死因とされています。

SSPE(亜急性硬化性全脳炎)

亜急性硬化性全脳炎との合併症の割合はとても低く、10万人に1人程度です。
潜伏期間がとても長く、はしかを発症してから7年~10年も経過したのちに症状が現れます。
運動障害や知能障害がじりじりと進行していき、症状がでてから平均半月~9か月後に命を奪われるという恐ろしさがあります。

脳炎、肺炎、亜急性硬化性全脳炎以外にはしかとの合併症を起こす可能性がある病気は心筋炎、咽喉頭気管支炎や喉頭炎といったクループ症候群、中耳炎などがあります。
合併症ではありませんが、妊婦さんがはしかに感染すると、早産や流産をする可能性があるといわれています。

自分でできるはしかの予防方法

はしかという病気そのものには治療薬がまだ開発されていませんので、もしかかってしまったら発症した症状をそれぞれに対症療法が行われ、症状の緩和に努めることとなります。

ワクチンの接種が主な予防策となりますが、他にも、自分できる予防方法がありますので行っていきましょう。
はしかは感染症ですので、マスクの着用、うがい・手洗いが基本です。
ただ、麻しんウイルスはとても細かく、直径100~250nm(ナノメートル)しかありません。
空気中に舞っていれば簡単に吸い込んで感染する危険性がありますので、マスクやうがい・手洗いだけでは完全防備は困難です。
ワクチンを接種しておけばはしかに対する免疫の獲得ができますので、必ず受けておくことが重要です。

はしかの予防接種

合併症による重症化が心配なはしかは、ワクチンの予防接種を行う回数が2回と決められています。

風疹だけ行われている抗体検査

ホームページなどを見てみると風疹は抗体検査を無料で実施している市区町村が多いのですが、はしかは行われていないのでしょうか。
現在ある風疹のワクチンは、はしかと混合のMRワクチンという種類になっていますので、風疹の抗体検査を受けると、はしかを防げる予防接種を受けることになります。

2006年4月から日本でもこのMRワクチンの制度が設けられています。
1回目のワクチン接種は1歳以上2歳未満の時期、2回目は小学校入学前1年に受ける決まりとなっています。

もっと前に子供時代を過ごしてきた方は、接種回数が2回ではなく1回のみでした。
世界的にも現在のはしかのワクチン接種回数は2回が標準なのですが、これには理由があります。
1回目だけでは十分な免疫を獲得できないケースもあるのですが、そのような方も確実に免疫を得るためには2回目も行うことが有効だからです。

予防接種を受けてないと参加できないこと

近年の傾向として、はしかの予防接種を受けていることを義務付ける活動などが増えています。
例えば、海外旅行、大学進学、部活動などがあげられます。
すでに感染して十分な抵抗力が備わっているか、予防接種を済ませているかを証明しなければ、これらに参加することが認められないケースが多くなってきました。

十分な抵抗力が備わっているかの判断方法は、以下の「抗体価検査でわかる免疫力」の項目でご紹介しているのですが、医療機関にて血液検査を受けるだけで確認することができます。

海外旅行ではしか発症

はしかは平成20年に厚生労働省が「麻しんに関する特定感染症予防指針」を作成し、活動が強化されたことが実を結んで麻しん排除国と認定された実績があります。
抗体検査が行われていないのは、こうした成果からもはしかの抗体検査の必要性はあまり高くないということなのでしょう。

とはいえ、大阪府にある関西国際空港の事業所や千葉県内では、平成28年7~8月にはしか感染者が複数でています。
日本人は毎年多くの人が海外旅行にでかけていますが、ヨーロッパや東南アジアでははしかが流行になることがあり、過去の病気ではない状態が続いています。

東南アジア旅行から帰国した人がはしかにかかり、その人と接触した人がはしかに感染され発病しているという事例が、平成29年1月以降立て続けに起きています。
日本では少なくなっているはしか感染者も、水際でとめられていないという実情がありますので、決して油断することはできません。

麻疹と風疹の違い

はしかを発症すると鼻水、咳、38℃を超える発熱などの症状が現れます。
まるで風邪を引いたような症状なのですが、これと似た症状が現れる病気が風疹です。
風疹は「3日ばしか」という異名がつけられているほどですので、昔からいかに似たイメージを人々に持たれているかがわかります。

はしかと風疹それぞれの症状

麻疹と風疹の違いは、症状で推測することができます。

  • 風疹の症状 ── リンパ節の腫脹、発熱、紅色丘疹や小紅斑が全身にできるなど
  • はしかの症状 ── カタル症状(結膜充血、鼻汁、咳嗽など)、発熱、赤い発疹が全身にできるなど

風疹の特徴

風疹は、風疹ウイルスがうつることで発症する感染症です。
風疹ウイルスはあまり感染力が強力ではなく、接触感染や飛沫感染の感染経路によって広がります。
風疹ウイルスに感染したとしても、全ての人に症状が現れるというわけではありません。
不顕在感染といい、症状が現れないケースが感染者全体の約15%~30%にも及びます。

感染したらすぐに症状が出るわけではなく、潜伏期間が2週~3週間くらいあります。
初期症状は、後頭部や耳の後ろ側などにあるリンパ節の腫れです。
その後、全身に小さくて淡くピンク色をした発疹がでます。
風疹の患者さんの約半分は、38℃くらいの発熱の症状があります。
3日もすると発熱と発疹の症状がなくなるのですが、リンパ節の腫れはその後も少し残ります。

はしかにかかると保健所へ届け出をする義務がありますが、風疹も同様で「5類感染症全数把握疾患」とされています。

風疹もはしかと同じワクチン予防

風疹もはしかと同じ、MRワクチンの接種をしていれば、発症を回避して予防することができます。
免疫が獲得できているか、ワクチンを接種していればかかることはありません。
現在ははしかも風疹も同じMRワクチンの接種で対策ができるのですが、まだ単独ワクチンだった時代に子供だった世代の方は注意が必要です。

はしかには子供の頃にかかっているから感染するはずがないと思っていたら実は風疹で、海外旅行にでかけたら現地で流行していたはしかに感染してしまうということも考えられます。
症状はどちらも風邪に似ていますが、原因ウイルスの種類が異なります。
はしかは大人になってからも感染する可能性はあります。

抗体価検査でわかる免疫力

はしかと風疹のどちらか一方のワクチン接種しか受けておらず、免疫を獲得できていないなら、はしかは合併症によって重症化する可能性もありますので医師に相談してみましょう。
もし、子供の頃にはしかの予防接種を受けているかわからないなどという場合、抗体価検査と呼ばれる血液検査を受ければ、はしかに抗体を持っているかを確認することができます。
抗体価検査の抗体とは抵抗力のことで、抵抗力を持っていれば発症せずにすみます。

抗体価検査を受けて免疫がまだ獲得されていないとわかったら、ワクチンを接種すればいいのではないでしょうか。
抗体価検査は、医療機関で受けられる検査です。
保険の適用外ですので、自費となります。

病院に行く前は事前に電話を

はしかにかかったかなと思ったら、病院で受診するときには感染する病気のため、訪れる前に電話してから行くようにしましょう。
そのまま行ってもいいという返答があったら、マスクを着用してでかけてください。

はしかの症状は赤い発疹が全身にできる、鼻水や咳、結膜の充血、38℃を超える発熱などです。
家族など周囲にはしかの患者さんがいる方は、接触感染、空気感染、飛沫感染をする病気ですので、うつることがないよう予防に努めましょう。

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