手のひら、足の裏、口の中などに水泡性の発疹ができたら、手足口病にかかっているかもしれません。
水泡性発疹のサイズは小ぶりで、乳児や幼児の患者さんが多く、5歳以下の子供が9割以上を占めます。
毎年夏に流行のピークを迎えるウイルス性の感染症で、子供だけでなく大人もうつる可能性があります。

手足口病はどんな原因で感染するのか、治療はどのように行われるのか、予防方法などについてご紹介します。
手足口病は軽症の病気だと思われがちですが、重症化するケースについてなどもまとめました。

手足口病の注意すべき事項

手足口病に関する注意ポイントをまとめました。

流行するシーズン

特に流行するシーズンは毎年6月くらいからで、夏が最も多く、秋から冬へだんだんと減少していきます。
日本での流行のピークは、7月下旬ごろが圧倒的に多いです。


引用元: 大阪府立公衆衛生研究所(http://www.iph.pref.osaka.jp)

ただ、近年は季節に関係なく冬でも増加傾向にある病気です。


引用元: 感染症予防接種ナビ(http://kansensho.jp/pc/)

特に多い年齢

厚生労働省の発表によれば、手足口病に感染するのは9割以上が5歳以下の子供です。
特に赤ちゃんはママやパパに口で説明することができませんので、水泡性の発疹が手や足、口にできていないか、普段から気にかけてあげるようにしてください。

原因ウイルス

手足口病は、主にコクサッキーウイルスA6(CA6)、コクサッキーウイルスA10(CA10)、コクサッキーウイルスA16(CA16)、エンテロウイルスに属する複数種類のウイルスが原因で発症する感染症です。

その中でもコクサッキーウイルスA16(CA16)から発症した場合は、症状がなくなってから約1~2か月以内に、手や足の爪が変形したりはがれることがありますが、自然治癒するとされています。

エンテロウイルス71型(EV71)から発症した場合は、重症化する可能性があります。
中枢神経の合併症(脳炎や髄膜炎など)につながる場合がありますから、手足口病だからすぐに治るだろうと油断せず、病院でウイルスの種類がわかる検査を受けることをおすすめします。

海外での手足口病

手足口病は日本だけでなく、世界中でも発症する可能性がある病気です。
日本と同様に夏に流行するのは、温帯地域です。
国内で重症化の心配があるウイルスはエンテロウイルス71型ですが、このウイルスはアジア各国でも確認されています。

近年はベトナム、カンボジア、中国、台湾、マレーシアなどの国々でエンテロウイルス71型による大流行がありました。
お子さんを連れて海外旅行に行かれる際は、こうした情報も参考にして、旅行プランを計画してはいかがでしょうか。

手足口病の感染経路

5歳以下の子供が発症する場合の感染経路は、たくさんの子供たちが過ごす幼稚園や保育園などで、集団感染する可能性が高い場所です。

集団感染する理由

特に集団感染しやすい場所が幼稚園や保育園であることには、主に以下の3つの理由があげられます。

  • 衛生観念がまだ十分に育っていない
  • ウイルス感染したことがあり、免疫が獲得できている子供は少ない
  • 近い距離で生活をしていて、濃厚な接触が起こりやすい

手足口病の感染は3つの感染経路から

エンテロウイルスなど複数種類の原因ウイルスが接触感染、飛沫感染、糞口感染によって感染すると、手足口病を発症します。

  • 接触感染 ── 原因ウイルスが物や手指、食べ物などに付着し、口などから体内に侵入する
  • 飛沫感染 ── 患者さんのくしゃみや咳などに入っているウイルスを吸い込んでしまう
  • 糞口感染 ── 排泄された便にあるウイルスがおむつ替えなどで手指などに付着し、口から体内に侵入する

特に糞口感染には、長期的な注意が必要です。
手足口病という病気は、ウイルスが便の中に2週~4週間くらい排泄されるという特徴があるからです。
排泄物の処理を行う際には普段以上に気を付けて、糞口感染を防いでいきましょう。
処理が済んだあとは、しっかり手を洗浄し清潔にしてください。

潜伏期間は?

手足口病の潜伏期間は、3日~5日程度です。

手足口病の症状(画像・写真)

手足口病の患者さんが大人か子供かで、症状に違いはあるのでしょうか。

子供の症状


引用元: 大阪府立公衆衛生研究所(http://www.iph.pref.osaka.jp)

手足口病にかかったほとんどの患者さんは、軽い症状で治っていきます。
ほとんどが軽度の症状のみで治るという意味では、感染を恐れなければいけないような怖い感染症ではありません。
これまでもたいていの子供が手足口病を発症し、それによって免疫を身にきました。

初期症状は水ぼうそうに似た小さめの水泡性(2mm~3mmほど)の発疹が、手のひら、足の甲、足の裏、口の中に発症します。
水疱性発疹と呼ばれ、水ぶくれ状をした発疹です。
人によってはおしりや膝、肘などにもできます。

水ぼうそうと違うポイントは、水ぼうそうが原因でできる水泡は部位が全身に及ぶことと、高い発熱がでる場合が多いことです。
手足口病でも絶対に発熱の症状がないというわけではないのですが、あっても38℃以下の微熱程度で、たいていは数日で治る軽症です。
発熱の症状がある患者さんは、全体の3分の1ほどです。

たいていはかゆみや痛みの症状はないのですが、口の中にできた発疹のみは深い傷(潰瘍)ができたり、軽度の痛みがあります。
発疹ができた部位はかさぶたなどにならず、3日~1週間程度で跡を残さずに消えてしまいます。

大人の症状


引用元: seita日記(http://seitanikki.exblog.jp)

多くの子供が幼い頃に発症しウイルス感染して免疫ができているので、大人の患者が少ないのも納得です。
とはいえ、手足口病の原因ウイルスは1種類ではなく複数種類あることから、以前に感染したのとは別のエンテロウイルスにうつってしまえば再び発症することもあります。
子供の頃にかかっていない大人もいますので、成人になってから感染することはあります。

手足口病にかかったことがないという大人の方の中には、実は本人が気づいていなかっただけで感染していたというケースもあります。
理由は、ウイルスに感染しているにもかかわらず症状に現れない場合(不顕性感染といいます)も手足口病という病気の性質としてあるからです。
さらに、人によってはいつの間にか免疫が獲得できていて感染しないということがあり、こういう方は結構多くいますので、このタイプの方は手足口病にかかる心配がありません。

大人が感染しても子供の症状とほぼ同じなので、子供と同様に重症化する場合もあります。
子供と大人の患者さんの違いは、大人は発疹が手・足・口の他にも発症したり、水ぶくれ状の発疹ではなかったりということがあることです。
数日経っても発疹が治らないようでしたら、病院で診てもらいましょう。

重症化する前に受診を

軽症ですむケースが多い手足口病ですが、重症化しないとは言い切れません。

合併症リスクがある原因ウイルス

原因ウイルスがエンテロウイルス71型(EV71)の場合は、脳炎、小脳失調症、髄膜炎といった中枢神経系の合併症を引き起こし重症化しやすいリスクがあります。
考えられる合併症は他にも、急性弛緩性麻痺、神経原性肺水腫、心筋炎などの種類があります。

この症状が現れたらすぐ病院へ

以下の異変が生じたら、重症化する可能性が考えられます。
自己判断ですまさずに、医師の正確な診断を受けてください。

  • ぐったりしている
  • 水分補給できず、おしっこが出ていない
  • いつもより呼吸が速くなっていて苦しそう
  • 声を掛けても返答しない
  • 目を合わせようとしても視線が合わない
  • 頭痛の症状を訴える
  • 嘔吐する
  • 2日以上の発熱がある
  • 高熱が出る

手足口病の治療方法

手足口病には、治療方法がありません。
治療薬やワクチンなどがないのですが、ほとんどのケースでは軽症ですむ病気ですので、他の病気とは違いあまり神経質にならなくてもいい感染症です。
経過観察をしつつ、症状が現れればそれぞれに対処療法が行われます。

ただ、上記にもお伝えした通り、感染したウイルスの種類によっては重症化するケースも考えられますので、チェックリストにあてはまる症状の場合は早めに医師に診てもらいましょう。

最も感染リスクが高い時期は、熱が下がってからの約24時間です。
症状が回復してから、1週~2週間程度は呼吸器(口)から原因ウイルスが排出されています。
糞口感染の心配はありますから、症状が消えてからも2週~4週間くらいは排泄物の処理をするときに注意が必要です。

発疹が口の中にできると、どうしても食事を摂りにくくなるでしょう。
発疹を刺激しないように、柔らかい食べ物を選ぶようにしてみてください。
食べ物や飲み物が摂りづらいと水分不足になる可能性もありますので、意識的に補給することも大切です。

お風呂やプールに入っても大丈夫?

手足口病はウイルスが感染して発症する病気ですが、お風呂やプールに入ることが直接の原因にはなりません。
とはいえ、できている水泡性の発疹の中には感染ウイルスが入った液体がありますから、うっかり発疹をつぶしてしまうと、その液体内にあるウイルスに触れて接触感染を引き起こすことも考えられます。

気を付けていてもうっかり発疹がつぶれてしまうこともありますので、プールに入るのは水泡性の発疹がなくなってからにしましょう。
お風呂に入るときは、発疹をつぶしてしまわないよう気を付けてください。
感染の可能性がなくなるまでは、家族で同じタオルを使用するのもやめましょう。

出席停止の対象か

感染症によっては、学校や保育園に登校・登園することに対し出席停止にされているものがあります。
手足口病は、特に出席停止とする期間は設定されていません。

厚生労働省が発表している「保育所における感染症対策ガイドライン」によれば、登園できる目安は、普段と変わらぬ食生活が送れ、口の中にできた潰瘍や水泡の影響がなく、熱が下がっていることとしています。
また、保育園に再び通うときは全身が良好な状態であることと同時に、病院で診察を受け、登園届けを提出する必要があります。
登園届けは、保護者が記入するものです。

文部科学省が発表している「学校において予防すべき感染症の解説」でも、登園や登校の目安が示されています。
患者さん本人の全身が良好な状態で安定していれば、問題なく登園や登校ができるとのことです。

感染症は流行しますが、流行を止める目的での登園停止や登校停止はあまり有効ではなく、特に手足口病はウイルスの排出期間が長期的なため、現実的でないということです。
これに加えて手洗い、とりわけ用をたしたあとの排泄物後始末後の洗浄が重要だと指摘しています。

予防方法3つ

ワクチンがない感染症ですので、日常生活の中で自分でできる予防方法を徹底していきたいものです。
主に以下の3つの予防方法が効果的です。

  • うがい&手洗い ── 食事の前や家に帰ってから、トイレをすませた後など、流水を使用して石鹸でキレイに洗ってください。
    タオルは接触感染につながりますので、共有しないようにしましょう。

 

  • 排泄処理への注意 ── トイレと赤ちゃんがいるお宅ではおむつ交換にて、注意して処理を行いましょう。
    おむつに便がある場合の交換時には、おむつから飛び散ることがないよう迅速に丸めて、ビニール袋に入れてから破棄します。
    おむつ交換の作業を終えたら、手の洗浄を絶対に行ってください。
    立て続けに複数のおむつ交換を行わなければならないときは、1人分を交換するごとに手を洗浄します。
    手間はかかってしまいますが、感染を防ぐことができますので面倒でもおすすめします。

 

  • 乳幼児が集団生活を送っている保育園などの施設では、職員さんなどの大人はもちろんのこと、子供本人も感染予防に努めていることが予防には大切です。
    うがいや手洗いを習慣化させることと、共用のおもちゃも管理に気を配らなければなりません。
    清潔に拭き取りや洗浄を行い、できれば消毒用エタノールを使用して消毒まで行えれば理想的です。

軽症の感染症だが注意も必要

手や足、口に発疹ができる手足口病は、ほとんどの患者さんが軽い症状で治る感染症です。
子供の頃にかかっている方が多いので、あまり大人はかかりません。

治療薬やワクチンはありませんが、あまり神経質にならなくても治っていきます。
治療薬などがないからこそ、普段の生活でうがいや手洗いをしっかりするといった基本的な対策を大切にし、着実に予防していきましょう。
ただ、重症化しやすい原因ウイルスもありますので、2日以上の高熱や嘔吐などエンテロウイルス71型(EV71)に感染した症状があれば、医師に診てもらってください。

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