急に熱が出て、のどの痛みや目の充血、かゆみなどの症状が現れたら、プール熱(咽頭結膜熱・いんとうけつまくねつ)を発症しているかもしれません。
プール熱という名前の通りプールで感染したり、夏を中心に発症するなどの特徴がありますが、近年はその限りでなく、1年中発症する可能性がある病気です。

幼児~学童の子供の患者さんが多い病気ですが、大人も発症することがあります。
子供が感染したらどんな症状が現れ、学校に行っても大丈夫なのか。
大人が感染するのはどんな感染経路かなど、プール熱について詳しくご紹介します。

感染力が強いので、学校の出席や職場への出勤には周囲にうつさないための配慮が欠かせません。
こんなプール熱にかかってからの二次感染の予防方法なども含め、ぜひ参考にしてみてください。

プール熱が流行する時期

毎年一定の時期に流行する病気があります。

プール熱の感染ピーク

プール熱が特に流行する時期は、毎年7月~8月ごろです。
6月くらいからだんだんと感染者が増加し、ピークを過ぎても10月くらいまで続きます。
ただ、プール熱の原因であるアデノウイルスはピークやその前後だけに活動しているというわけではありません。
アデノウイルス自体は1年中死滅することはないので、他の季節に感染する可能性が十分あります。

プール熱は冬にも小流行が


引用元: 感染症予防接種ナビ(http://kansensho.jp/pc/)

従来はプール熱が流行する時期というとプールで感染することがある病気なので「夏かぜ」の一つとされていましたが、近年は夏以外でも患者さんが増加しています。
冬に小流行の傾向がみられるようになったのは、2003年からのことです。

プール熱は患者さんから直接うつる飛沫感染だけでなく、同じタオルを使用してうつったり、手や指に触れての接触感染などで発症します。
プール以外でもうつり得る病気なので、夏以外の冬などに診断されてもおかしくないのです。

温水プールなら冬など季節に関係なく1年中入れますので、プールからの感染も考えられます。
スポーツジムや水泳教室などに通っている方は、夏以外の季節も意識して予防してください。
発症を防ぐには、栄養バランスのとれた食生活、十分な睡眠時間の確保、ストレスを溜め込まないなどに気を付け、免疫力が下がらないようにすることが効果的です。

プール熱にかかる原因

プール熱を発症する原因は、アデノウイルスの感染です。
感染症の病気である咽頭結膜熱は、プールの水を伝ってうつるケースがあることからプール熱という名前でも呼ばれるようになりました。
アデノウイルスは1種類しかないわけではなく、全部で50種類近くの型が確認されていますが、プール熱を引き起こすのは主に3型です。

潜伏期間はどのくらい?

プール熱は感染してすぐに症状が現れるわけではなく、5日~1週間の潜伏期間があります。

感染したらこんな症状が出る

咽頭結膜熱という病名がつけられているのは、主に発熱や目の充血(結膜炎)、のどの痛み(咽頭炎)の症状が現れからです。


引用元: たんぽぽこどもクリニック(http://www.tanpopokodomo-clinic.com)

症状と治るまでの期間

発熱・結膜炎・咽頭炎が咽頭結膜熱の主な症状ですが、必ずしも3つ全てが出るとは限りません。
特に患者さんが赤ちゃんの場合、結膜炎の症状が現れない場合があります。
また、風邪の症状に似ているのですが、結膜炎の症状を伴っていたらプール熱を疑うというのも目安の一つです。

感染したら熱の症状が現れ、のどが痛くなる咽頭炎になります。
結膜炎の症状として、涙が出て止まらない、まぶしくなる、目やにが出る、かゆみ、目の痛み、充血などが現れます。
角膜がにごるといった、流行性角結膜炎のような症状はほぼ出ないでしょう。
患者さんによっては、咳、下痢、腹痛などの症状も出る場合があります。

個人差があるものの、プール熱を発症すると治るまで1週間くらいはこれらの症状がでます。
たいていは完治したあとはもとの元気な状態に戻れるのですが、肺炎などにかかり重症になる場合もありますので油断はできません。

大人が感染した場合の症状

患者さんは子供が中心であるプール熱に大人がかかる場合の感染経路は、家族です。
子供がいるご家庭で、お子さんがプール熱にかかっていてうつされるというのが大人の感染経路のトップと報告されています。

大人が感染した場合の症状は、結膜炎、のどの痛み、38℃~40℃くらいの高熱などです。
これら3種類の症状が全て出る場合と、そうでない場合とがあります。
基本的に子供の症状と大きな違いはありませんが、大人は長期化したとしてもせいぜい1週間で治ります。

ただ、別の疾患につながってしまう場合もあり、そうなると重症化する傾向がありますので注意が必要です。
流行性角結膜炎、出血性膀胱炎、急性呼吸器感染症、胃腸炎などを発症する可能性があり、その場合は治るまで長引くでしょう。

プール熱の感染経路

プール熱の感染経路は、飛沫感染や接触感染などがあります。
飛沫感染は、すでにプール熱を発症している患者さんがくしゃみや咳をしたとき、しぶきがかかって原因ウイルスであるアデノウイルスがうつります。
接触感染は、例えば患者さんが家族にいて、同じタオルを使用している場合など、タオルを介してアデノウイルスがうつります。
手指からも感染します。

プールの水を介してうつることもあるのですが、うつされないよう塩素濃度の管理がしっかり行われているプール施設を利用することをおすすめします。

プール熱の診断方法

プール熱は感染力が強力な感染症ですので、自宅療養や自然治癒ではなく、病院で正確な診断を仰ぐことが大切です。
発熱・結膜炎・咽頭炎の3つの症状があるかが診断され、さらにプール熱の診断には迅速検査や血液検査があります。
主に行われるのは迅速検査で、血液検査は外来診療ではなく、入院している患者さんなどに行われる検査方法です。
血液検査は2回行わなければならず、一定の間隔をあけないと検査ができないため、迅速検査のように1日で結果を知ることができません。
合併症(肺炎など)の可能性があり、入院した場合などに血液検査は利用されています。

迅速検査はプール熱でよく行われている検査方法で、アデノウイルスが検知できるかのどの粘膜を綿棒でこすります。
結果がわかるまで15~30分程度で、プール熱に感染していると陽性反応がでます。

プール熱の治療方法

プール熱と診断されても、特効薬がない病気ですので対症療法で治療をしていきます。
対症療法とは出た症状に対して治療をするという方法なので、例えば熱が出たら解熱剤で対応が行われます。

治療中の栄養補給

発症している症状を抑制させ、あとは自然治癒するまで十分な睡眠を取ってしっかり体を休めたり、消化のいい食べ物から炭水化物を摂取するなどしていきます。
炭水化物はおかゆやうどんなどの消化にいいメニューがおすすめですが、症状が出ている時期はのどが痛くて思うように食べられないということもあります。
そのようなときはのど越しのよさから、ゼリーやアイスクリームなどにすると食べやすくなります。

自宅で熱が下がるまで

プール熱の3つの症状のうち、発熱は症状が5日くらい続きます。
熱を下げるための自宅でできる効果的な方法として、タオルを濡らして体を拭いたり、鼠径部・わきの下・首・額などを冷やしたりなどがあります。
解熱剤を使いたくなるところですが、医師の指導に従い、間隔を守って使用することが大切です。
食欲がないときや、あまりの高熱でぐったりしているときなどに解熱剤は使用します。

発熱と並行して嘔吐などの症状もありますので、身体が脱水しやすくなっています。
水やイオン水、麦茶などで小マメな水分補給をしましょう。
発熱中は汗をかきやすいので、小マメに着替えや体を拭くなどすることもおすすめします。

汗をかいているので清潔にしたいところですが、お風呂は高熱が出ていてぐったりしている時期を過ぎれば入っても構いません。
ただ、湯船の水温はぬるめにし、長風呂をせずにサッとあがるようにしてください。

プール熱の予防方法

プール熱にかからないためには、しっかり予防をすることが効果的です。

感染力が強いアデノウイルス

プール熱の発症原因であるアデノウイルスは、ウイルスの中でもかなり感染力が強力です。
くしゃみなどのしぶきや手指からうつることから、周辺にあるもので消毒殺菌できるものがあれば行い、うがいや手洗いを徹底してください。

プールに入ったら、出る際にはうがいを行い、目をしっかり洗浄して、シャワーで洗い流しましょう。

症状が引いてからも要注意!

予防をしていても感染してしまった場合、患者さんの体内にあるアデノウイルスが外へ出ていって家族などの身近な人にうつす可能性が十分にあります。
症状が出なくなったあともウイルスは生きていて、咽頭から1~2週間、便から1カ月近くは予防しないと感染する可能性があります。
こうした二次感染からも、予防対策をしっかり行っていきましょう。

患者から家族にうつさないために

ポイントさえ押さえていけば、家族への感染を防ぐことは可能です。
特にプール熱が流行のピークとなる夏場や、家族が発症しているときは、うがいや手指消毒、手洗いを徹底し、極力密接な接触をしないようにすることが感染を防ぎます。

  • 目やにがでるなどの症状が現れますので、目やにや涙を拭くなどするときは、そのまま使い捨てができる清浄綿やティッシュペーパーを使用しましょう。
    手で直接目をこすりたくなるかもしれませんが、手から感染する可能性がありますので、触れないように注意が必要です。

 

  • 手すりやドアノブ、子供が患者さんの場合は遊んでいるおもちゃなど、0.02%の次亜塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールを使って小マメに消毒することをおすすめします。消毒剤はいろいろな種類が出回っていますが、アデノウイルスは消毒剤によって高い抵抗性がありますので、使用しても効力がない可能性があります。
    次亜塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールの2種類はアデノウイルスの消毒に有効なことが確認されていますので、ぜひ消毒剤を買うときに選んでください。

 

  • いつもは家族みんなで洗面器やタオルなどを共用している場合も、この時期だけは別々にわけてください。

 

  • 排泄した便の中にも、アデノウイルスが存在しています。
    赤ちゃんが感染している場合は、おむつを取り替えたあとに手指消毒や手洗いを入念に行ってください。
    子供が患者さんの場合は、排便後に本人が手指消毒や手洗いをしっかり行うよう指導しましょう。

出勤・出席停止

発症したら大人は職場に出勤できませんし、子供は学校の出席を停止する措置が必要です。

学校伝染病に指定された伝染病

プール熱は感染力が強いことから、文部科学省から学校保健法、学校伝染病第2種の指定を受けている伝染病です。
第2種といえば、水ぼうそう、はしか、おたふく風邪などの病気も指定されています。

結膜炎やのどの痛み、高熱などの症状が出なくなってから2日過ぎるまでは通うことができないという目安があります。
実際にいつから出勤や出席をしていいかの判断は、医師に判断を仰いでください。
勤務先や学校には、病院からの診断書を提出しましょう。

プール熱は欠席扱いにならない?

通常病気で学校を休んだら、欠席になりますよね。
しかし、学校伝染病第2種に指定されているプール熱の場合は、学校側に届け出を提出しさえすれば欠席扱いになりませんので、学級閉鎖などでの休みと同様の扱いにしてもらえます。
プール熱を始め学校伝染病第2種の指定を受けた病気にかかったら、迅速に学校に報告してください。

傷病(治癒)証明書が発行されますので、それがあれば欠席扱いにならないことの証明となります。
待っていても発行されないときは、担任の先生に言えばもらえます。

かかりつけのお医者さんから登校してもいいという許可が下りたら、登校許可日を記載した証明書をくれますので、学校に提出しましょう。

適切な対処で乗り切ろう


プール熱は特効薬がない感染症なので、病院で診断されたら適切な対応と治療に専念することが大切です。
まず感染しないためには、普段の日常生活からうがい・手指消毒・手洗いの習慣をつけることが予防につながります。
プール熱に感染した可能性がでてきたら、内科や子供は小児科を受診してください。
眼の症状がひどいようでしたら、眼科でも診てもらいましょう。

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