毎日夜にトイレに行くために、何度も起きてしまうことがあると困ったことはあるでしょうか。
毎日のように夜に起きておしっこをすることを夜間頻尿(やかんひんにょう)と呼びます。
頻尿とは頻繁に尿をする、つまり尿の回数が多いことを言います。
体の中で尿がつくられすぎていたり、膀胱(ぼうこう)の調子が悪かったりと様々な原因があります。

場合によっては何らかの病気になっている可能性もあります。
夜間の頻尿は睡眠不足にも繋がります。
自分はどのタイプの夜間頻尿であるのかを理解し、それに合わせた治療を行いましょう。

回数は何回から頻尿になるのか

厳密に夜何回から頻尿、となるかの決まりはありません。
お医者さんによっても様々で、夜に1、2回までなら正常な範囲とする方もいます。
ですが夜に3回以上、尿をするために起きると睡眠に大きな影響があるため、体の異常と考えます。
ここでは、夜に1度でもおしっこのために起きることを夜間頻尿とします。

正常な成人の尿の回数や量は?

通常の成人の回数、量は以下の通りとなります。

  • 1度の量:150〜400ml
  • 1回の合計量:1000〜1500ml
  • 1回の時間:20秒から30秒程
  • 1日の回数:5〜7回程
  • 間隔:起きている間は3〜5時間に1回

体が尿を出す仕組み

なぜ人間の体は尿を出すのでしょうか。
頻尿の原因を知るために、まずは尿を出す仕組みを知っておきましょう。

水分を体に吸収

口から含んだ食べ物は、食道、胃、腸という順番で体の中を移動します。
水分も同じ流れで、主に腸で体の中に吸収され、腸で吸収されなかった分は便と一緒に排出されます。
この便で出る水分と尿は別のものになります。

不要な水分が尿となる

腸で吸収された水分は血液を通して体全体を巡り、体を巡った血液は不要な成分を含んでいます。
腎臓という臓器でろ過といって綺麗な状態にし、また体の中を巡ります。

このろ過の時に出る、不要な成分が尿となります。
尿を膀胱という臓器でためておき、ある程度たまったら尿道を通して体の外に排出されます。
外に出す現象が排尿、つまりおしっことなります。

体は自然と尿を制御している

排出される時には膀胱がたまったことを脳に伝え、脳が膀胱を締める筋肉に緩める信号を伝えます。
尿をする時以外は、筋肉が膀胱をしっかり締めるように脳が信号を出しています。

通常、夜寝ている時には抗利尿(こうりにょう)ホルモンというのが分泌されています。
この抗利尿ホルモンが尿をつくりにくくする働きをします。
尿がつくられないので、夜はトイレにいかないのが正常な状態です。

夜間頻尿となる原因は様々

夜間頻尿となる原因はいくつかありますが、大きくわけると3種類になります。
尿の回数や量が多くなっている、膀胱がためられなくなっている、睡眠の障害がある、の3つです。

尿の回数、量が多くい

尿の数、量が多くなっているため、夜中にもトイレにいく必要がある状態です。
更に夜間のみ尿が多くなるケースと、一日を通して多くなっているケースと2種類があります。

一日を通して多い場合、単純に水分をとりすぎている場合も多いです。
水分補給は大切なことではありますが、補給の量が多いと当然、尿として排出されます。
これは水分をあまり取らないようにするだけで改善されます。

また体が冷えてしまうと、汗をかかずに水分が体の中に残ってしまいます。
そのため冷えやすい体質の場合も尿の回数が増えてしまうこととなります。

多飲多尿型は、単に水分の摂取量が多いために主に昼間が頻尿になるものです。一日2㍑以上の尿が出るとそれだけで頻尿になります。〝血液のドロドロ防止〟のためと称してマスコミなどが盛んに飲水を勧めたことなどから、近年このタイプが増えてきています。マスコミだけでなく、医療関係者の多くも、水分をたくさん摂取することはそれだけ血液をサラサラにすることであると誤解していた、という実態があります。
出典 医療法人社団 萌生舎 宮の沢腎泌尿器科クリニック(http://www.miyanosawa-hinyoukika.com/kaitai/19.html)

膀胱量の減少

膀胱で尿をためられる量が少なくなっている状態です。
ほとんどの場合、膀胱自体が小さくなるわけではありません。
何らかの理由で少量でも十分貯まる前に、膀胱の筋肉をゆるめる信号が脳からでてしまうことが原因です。
これを過活動膀胱(かかつどうぼうこう)と言います。
普段から尿の回数が多い場合でも、膀胱が敏感になり過活動膀胱となることがあります。

睡眠障害が原因

これは尿の量や膀胱が原因ではありません。
眠りが浅かったり寝付けていないために、夜でも目が冷めてしまいます。

夜に起きるとトイレが気になってしまうために、それほどたまってなくても尿を出します。
これにより、夜に「尿をするために起きている」と思い込んでいしまいます。

関連する病気

夜間頻尿の症状が出ている際、他の病気が原因となっていることがあります。

膀胱のコントロールが難しくなる病気

脳や脊髄の病気になると、膀胱と脳との連絡がうまく伝わりません。
そのためあまり溜まっていないのに膀胱を緩める信号を送り、尿を出したくなることがあります。

  • 膀胱の老化
    膀胱自体の機能が弱まってしまっている状態です。
  • パーキンソン病
    脳に異常が発生する病気で、体の様々な部分に影響します。
    頻尿の他に手足が震えたり姿勢を保てないという症状も出ます。
  • 脳卒中
    脳の血管に何らかの障害が起きる病気を総称したものです。
    隠れ脳卒中という、自覚はないけれど脳卒中になっている状態があります。
    この時に頻尿の症状が出る人がいます。

過活動膀胱

膀胱自体に炎症が起きていたり、横にある臓器が炎症を起こして膀胱に影響を与えている場合があります。

  • 前立腺炎
    男性のみの病気です。
    膀胱のすぐ近くにある前立腺という臓器が炎症を起こして腫れ、膀胱が圧迫されてしまいます。
    これにより、通常よりもためることができなくなってしまいます。
  • 膀胱炎
    膀胱自体が炎症を起こしてしまっている病気です。
    炎症を起こしているため、本来の量を膀胱にためることができない状態となっています。
  • 心不全の薬の副作用
    心不全の病気をもっていると、水分を出すために利尿剤を処方されることがあります。
    尿の回数が増え、何度もトイレに行くことになります。
    このため少量で出すことに膀胱が慣れてしまい、十分たまる前に脳から信号が出てしまいます。

尿が増加する病気

尿の量自体が増える、または夜間のみに増えている場合、腎臓の病気が原因の場合があります。

  • 腎機能障害、高血圧
    ろ過して綺麗にする機能が弱まってしまい、本来再度体を巡る水分が尿になってしまうため尿量が増えます。
  • 糖尿病
    ブドウ糖を体の外に出すため、尿の量が増える病気です。

睡眠障害

睡眠に関する病気は様々な種類があり、精神的なものが原因であることも多いです。
また睡眠時無呼吸症候群という睡眠時に一時的に呼吸が止まってしまい、睡眠が浅くなる病気もあります。
これはいびきをかく人に多いです。

女性と高齢者は頻尿になりやすい

年齢や性別で見ると、男性より女性、若い人より高齢になるにつれ、頻尿の症状は出やすくなります。
女性の場合、尿の症状については恥ずかしくて病院に行けないという人も多いです。
ですが睡眠不足にも繋がりますので、原因を調べてしっかりと治療をしましょう。

女性に多い膀胱炎

男性よりも女性の方が頻尿になりやすい理由としては、女性の方が体の構造上、膀胱炎になりやすいためです。
男性に比べ女性は膀胱から尿を外に出すための尿道が短いです。


引用元: 国立がん研究センターがん情報サービス(http://ganjoho.jp)

尿道からの雑菌等が男性よりも膀胱に達しやすく、膀胱炎になる可能性が高くなります。
また尿道が短いことから、尿漏れも男性に比べて発症しやすいです。

高齢者に多い夜間頻尿

高齢者がなる理由としては、高齢になるにつれて体の機能が低下するためです。
膀胱自体の機能低下や、寝ている間に尿の排出を抑える抗利尿ホルモンが出にくくなることが原因です。
脳の病気や、体の熱を保つ機能の低下なども発生しやすく、これらも頻尿につながります。

対策や治療方法について

夜間頻尿の原因は様々です。
まず自分が夜間頻尿かもと感じたら、どのタイプの頻尿であるか原因を見つけることが大切です。

原因はなにか?

病院では通常、排尿の記録である排尿日誌をつけることで、なぜ頻尿が起きるかということを特定します。
24時間丸一日、時間と尿の量を記録するものです。
正式には尿をした時間と量を記録します。
メモリ式のコップがないと出来ませんが、時間やおおよその量を記録するだけでもよいです。
加えて自分が飲んだ水分も記録しておくと、水分の取りすぎかどうかもわかります。


引用元: 湧永製薬株式会社(http://www.wakunaga.co.jp/health/success/09.html)

これにより一日全体の尿量が平均より多いのか、夜の時間に集中しているのかがわかります。

寝る前に水分をとりすぎている場合

記録をつけ、水分を沢山とっていることがわかった場合、それを控えることで改善することもあります。
また寝る前にのみ、たくさん水を飲んでいるというケースもあります。

量は少ないが回数が多い

一回の量が少ないのに尿の回数が多い場合は、過活動膀胱の状態の可能性が高いです。
他の病気等、根本的な原因があることが多いので病院等で診断してもらうのが良いです。

夜間頻尿と足上げ

夜間頻尿の方は、足上げが良いという話があります。
これは決して間違いではありませんが、すべての夜間頻尿の方に効果があるとも限りません。

心不全気味で足がむくむ場合、夜間頻尿となります。その原因は昼間に足を下げている間に足に水分が溜まり、夜横になると足にたまった水分が心臓の方まで上がってくるために夜間利尿されるのです。そのため、朝になるとむくみは取れるのですが、夜中にそれだけトイレに起きてオシッコを出したということなのです。この頻尿を改善するためにはできるだけ足を下げっぱなしにしないことが大切です。寝る前1−2時間くらいはソファーなどで足を高く上げて横になり、寝る前にしっかり利尿しておくといいでしょう。
出典 むらかみ内科クリニック(http://www.murakaminaika096.com/all/health/621/)

心不全気味の方が利尿剤を飲んでいる等、尿の量が多くなっている人で、日中に足に水分がたまっている場合には効果的です。
ソファーがない場合、ベッドを利用したりクッションや枕を利用すると良いです。

病院の薬と漢方薬

尿に関しての症状は、一般的な薬の他、病院によっては漢方薬を処方されることもあります。

一般に病院で処方される薬

頻尿と診断された時に出される薬は抗コリン薬という薬です。
膀胱の意識外の活動を抑える薬剤で、市販薬でも抗コリン薬が含まれた商品はあります。
副作用として喉の乾き、便秘等が症状として現れやすいので、市販薬で治す場合は飲み過ぎに注意しましょう。

漢方薬の処方

副作用が全くないというわけではありませんが、漢方薬であればその人にあったものを選ぶことで、出にくくなります。

漢方薬は「薬で直接原因を治す」というよりは、体質に合わせた漢方薬を処方し体を整えるというものになります。
副作用を避けたい、原因の特定が難しいとされる時に、漢方薬が処方されることがあります。

漢方薬にできる事は? 漢方では、個人の体質・症状を重視して治療を行います。体質を改善しながら、排尿にまつわる諸症状を緩和するのです。例えば、夜間の頻尿などの排尿に関するトラブルはもちろん、全身のたるさなど、年をとるとともに起こる諸症状には午車腎気丸をはじめ、胃腸虚弱な場合は清心蓮子飲が、血尿や残尿管、前立腺のトラブルなどには、むくみをとり、血行を良くする猪苓湯などがよく使われます。
出典 医療法人社団 誠晃会 えとう内科クリニック(https://www.eto-clinic.com/herbal-medicine/11-2)

頻尿の症状で出される漢方薬の種類

患者に合わせたものを出すのが漢方薬で、体力や胃腸の程度、年齢等で出される種類が変わります。
漢方薬は市販でも購入することが出来ます。

  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
    体力は中程度、体の疲れや手足の冷えが起きやすい人の尿の減少、増加の際に処方されます。
    体を温めたり、体の悪いものを浄化すする腎機能を高める生薬が含まれています。
  • 牛車腎気丸 (ごしゃじんきがん)
    体力は中程度、体が疲れやすい、胃腸の障害がない人に処方されます。
    尿の減少、増加の際に処方されます。
  • 清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
    体力は中程度で、胃腸が弱く、日々だるさのある人、神経質な人に処方されます。
    イライラ感や細かいことが気になる人が、気になってトイレに何度もいってしまう、ということを抑える漢方薬です。
    糖尿病、自律神経失調症の人にも処方されます。
  • 小建中湯(しょうけんちゅうとう)
    体力が弱めの人や子供、胃腸の弱い人に処方されることが多いです。
    体力をつけ、お腹から温める生薬となっています。

軽い気持ちで考えず、しっかりと治療を

どのようなタイプの夜間頻尿であるかを認識して、それに合わせた対応をすることが重要です。
水分の取りすぎに思い当たるものがない場合は、別の病気が隠れている可能性があります。
特に脳に関しては深刻な病気です。

見てもらう診療科は泌尿器科か内科になりますが、恥ずかしいため病院に行かないという方も多いと思います。
市販薬で治したい時は副作用や体質に注意して薬を購入するようにし、改善しない場合は病院で診てもらいましょう。

スポンサードリンク

スポンサードリンク