乳幼児や赤ちゃんがご家庭にいるお宅では、体のちょっとした異変も神経質になることが少なくないのではないでしょうか。
口の中、のどの奥に水泡状のものができ、発熱の症状が現れたら、ヘルパンギーナかもしれません。

一見すると大人にもできる口内炎のようなものなのですが、ヘルパンギーナは主に乳幼児にできる発疹です。
代表的な夏風邪の一つで、ウイルスが原因で発症します。

そんなヘルパンギーナは具体的にどんな症状がでるのか、どんな治療が行われ、予防方法はあるのかなどについてご紹介します。
手足口病との違いなどもまとめましたので、ぜひ参考になさってみてください。

ヘルパンギーナの特徴

ヘルパンギーナの特徴を知ると、特に気を付けなければいけない時期などが見えてきます。

流行するのは夏・西から東へ感染

ヘルパンギーナは春夏秋冬いつでもかかる病気とは違い、ピークは毎年7月くらいです。
熱帯の国では通年性なのですが、日本のような温帯の国では夏から秋にかけて流行します。

日本でヘルパンギーナの患者さんがでてくるのは5月くらいで、徐々に増えて7月頃が最も多く、8月に入ればだんだん減っていきます。
9月になってからは診断される患者さんはほとんどいません。

ヘルパンギーナの原因ウイルスは、エンテロウイルス属の種類が多い特徴があります。
特にコクサッキーウイルスA群が多く、他にエコーウイルスやコクサッキーウイルスB群の場合もあります。
ウイルスなのでうつる病気なのですが、日本では西から東方向へと感染していきます。

近年の傾向に異変?

ただ、近年の傾向として、夏から秋以外の季節でもヘルパンギーナだと診断さている患者さんがいらっしゃいますので完全に油断することはできません。
過去5年間の推移を見てみますと、ヘルパンギーナの患者さんの数が冬でも大幅に増加しているという報告があります。


引用元: 感染症予防接種ナビ(http://kansensho.jp/pc/)

ピークの時期以外でもヘルパンギーナに似た症状がありましたら、念のため医師の的確な診断を受けてください。
他の病気ということも考えられます。
その場合も念頭に置き、早めに受診して適切な治療を受けたいところです。

発症する年齢

ヘルパンギーナに感染する年齢は、9割以上が5歳以下の子供たちです。
患者数が最多なのは1歳代で、順番に2歳代、3歳代、4歳代、0歳代と5歳代が同じくらいの割合となります。

感染経路

エンテロウイルス属はヒトだけが宿主で、うつる経路は飛沫感染と、接触感染も含んだ糞口感染の2種類となります。

  • 飛沫感染は、患者さんがくしゃみや咳をしたり唾を吐いたとき、しぶきなどの中にあるウイルスから他者に感染する経路です。
  • 接触感染は、口の中にできた水泡の内容物が手などに移り、うっかり目や口に触ってしまうと、内容物に入っているウイルスが粘膜から入り込んでしまうという経路です。
    手だけでなく、タオルなどからうつることもあります。
  • 糞口感染は、おむつ交換をするときなどに感染する可能性があります。

感染力が最も高いのは急性期ですが、回復をしてからも便から検出される性質がありますので、2週~4週間は注意が必要です。

ヘルパンギーナの症状&写真・画像

ヘルパンギーナにかかる9割以上は乳幼児ですが、大人の感染者もいます。
大人と子供では、症状に違いがあるのでしょうか。

子供の症状

ヘルパンギーナのウイルスに感染したら、潜伏期間の2~4日が経ってから症状が現れます。
急に熱がでて、その後咽頭痛の症状があり、咽頭粘膜が炎症を起こして赤くなる発赤(ほっせき・はっせき)ができます。

直径1~2mmほど、大きなものになると5mmにも及ぶ紅暈(こううん)が小水疱を囲むようにでき、小水疱は時間が経つにつれて破れ、潰瘍になって、ズキズキと痛くなる疼痛(とうつう)の症状がでます。


引用元: 子供のホームケアの基礎(http://www.kodomo-homecare.com)

2~4日くらい発熱の症状があります。
粘膜疹は、熱が引いて少し経ってから解消されていきます。
発症から1週間くらいで治癒します。

水泡はできてから2~3日ほどすれば激しかった痛みが引いていき、見た目にもただれて潰瘍になるという変化が出てきます。
この変化と並行して、よだれが増える傾向があります。
このとき食欲が落ちるかもしれません。

発熱によって熱性けいれんを起こしたり、少ない事例ではありますが、心筋炎や髄膜炎などを発症する患者さんもいます。
また、高熱によって引き起こされる口腔内の痛みや倦怠感は、水分や食事の量が減ってしまう要因になりますので、脱水になってしまうケースもあります。

熱が出ている時期は脱水症、哺乳障害、拒食、口の中の疼痛により引き起こされる不機嫌、熱性けいれんなどの症状もありますが、ヘルパンギーナが治ればキレイに改善されるものばかりです。

大人の症状

大人が発症するのは珍しいのですが、症状原因として多い感染経路は子供の看病です。
発症すると子供の患者さんよりも症状がひどくなる傾向があります。
激しいのどの痛みがあったりなど、子供の患者さんと比べて悪化する傾向があります。

発症の予防方法

特別にこれといった予防方法はありません。
流行する夏場には、ヘルパンギーナを発症している患者さんと密接な接触をしないようにすること。

うがい、手洗い、マスクを使用して鼻や口を守るなど、病原体であるウイルスから身を守りましょう。

ヘルパンギーナの治療方法

ヘルパンギーナの治療に効果を発揮するのは、対症療法だけです。
ヘルパンギーナの薬がないのですが、なにも服用しなくても自然治癒する病気です。

ヘルパンギーナを発症している間は登園が困難になるでしょうが、熱が下がって落ち着き、食事を摂取できるようになれば通うことができます。
幼い子供の患者さんで、強烈な頭痛の症状がある場合、病院で解熱鎮痛剤などが処方されるでしょう。
3日以上経っても熱が下がらないときは、医療機関で適切な処置を受けてください。

口腔内にできるヘルパンギーナの水泡が邪魔をして食事がしにくくなりますので、薄味で柔らかく調理して食べやすくしましょう。
治るまでの間は、水分補給を意識してください。
発熱や頭痛、嘔吐などの症状がいつまでも改善しないようであれば、医療機関で適切な診断を受け治療してもらいましょう。

ヘルパンギーナに付随する症状の対処

ヘルパンギーナそのものの治療薬はないのですが、ヘルパンギーナが原因で頭痛や発熱、脱水症状などの症状が現れた場合には、医療機関で薬の処方などの対応を受けることができます。

頭痛や発熱で苦しいときは

頭痛や発熱の症状でお悩みのときは、医師に相談すればアセトアミノフェンという薬剤の処方など治療が行われるでしょう。
アセトアミノフェンは安全性の高い薬剤なので、子供の患者さんも安心して治療に専念できます。

アセトアミノフェンは世界各国で用いられており、その歴史は古く、子供用シロップタイプの風邪薬や赤ちゃん用の解熱用座薬などさまざまな治療に役立てられています。
市販薬にもアセトアミノフェンは配合されていて、風邪薬の成分になっています。

水泡や発熱で脱水症状になったら

口の中にできた水泡によってうまく水分補給ができず、脱水症状を引き起こすケースもあります。
ヘルパンギーナは熱の症状もありますので、発熱が原因で脱水症状になるというダブルの要因で水分が摂れない患者さんもいます。

医療機関で相談すれば、点滴で対応してくれます。
水分補給が必要になったとき用の治療薬はないのですが、点滴による処置で脱水状態を脱することができます。

手足口病との類似・違い

ヘルパンギーナは、よく手足口病に似ていると指摘されています。

手足口病とは

手足口病とはどんな病気なのでしょう。
ヘルパンギーナは水泡が口腔内にできたり発熱がある病気ですが、一方の手足口病は手・足・口腔内などの全身に水泡ができ、こちらも発熱の症状があります。
手足口病で出る熱は、だいたい37~38度くらいです。
(ちなみに、ヘルパンギーナの熱は、39~40度くらい。)

体中に発疹の症状があるため、はた目には辛そうに見えるのですが、本人はさほど苦しい病気ではないことから、手足口病にかかっている間も元気に遊んでいたりします。
ただ、口内炎で物がしみて食べにくくなるので、食欲が落ちることがあるかもしれません。

手足口病の発症原因

手足口病の原因もヘルパンギーナと同様にウイルスで、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどから引き起こされます。
発症時期もヘルパンギーナと似ており、7月から9月くらいの夏から秋なので、間違いやすいといわれているのでしょう。

手足口病の原因となるウイルスの種類もヘルパンギーナと同じように一種類ではないことから、1つの原因ウイルスで治ったあとでも、他のウイルスで再び手足口病になることもあります。

手足口病の感染経路

手足口病は感染経路もヘルパンギーナと同じで、くしゃみや咳などの唾でうつる飛沫感染、手やタオルによる接触感染、おむつ交換などの糞口感染などです。

ヘルパンギーナ・手足口病発症中に気を付けたいこと

手足口病もヘルパンギーナと同様に特効薬がなく、自然治癒で治っていく病気です。
治療方法がないといっても、食事からしっかり栄養を摂ること、水分補給をすることによって自然と治っていきます。
焦らずに、自然治癒力が十分発揮できるような日常生活を心掛けてください。

口の中に水泡ができるのですから、食べ物によってはとてもしみて食べにくくなります。
塩分控えめの味付けで、熱いものは冷ましてから口にするようにしてください。
柔らかいほど食べやすいので、しっかり火を通すなど一工夫するようにしましょう。

子供が手足口病になった場合

ヘルパンギーナも手足口病も自然治癒で治っていきますので、早急に小児科を受診しなければならない病気ではありません。
熱がなく、いつもと同じように食べ物を口にできるようでしたら、お家の中で遊んでいても問題ありません。

元気なようでしたら登園することもできますが、もし発疹があるようでしたら水ぼうそうなど別の病気の疑いもあります。
保育園などで他の子供たちに移してしまうことがないよう、小児科で正確な診断を受けてからにしましょう。

別の病気の可能性がある症状

ただ、以下の症状があればヘルパンギーナや手足口病以外の病気である可能性が高くなりますから、医師に早め診てもらい適切な治療を受けてください。

  • 3日以上経っているのに熱が下がらない
  • 呼吸がいつもより速い
  • ぐったりしている
  • 水分を摂らせようとしてもうまく摂れない
  • 視線を合わせようとするのに合わない
  • 意識がもうろうとしている
  • 嘔吐や頭痛の症状がある

学校保健法とヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは子供の発症率が高い病気でウイルス感染する性質があるものの、特に学校保健法で予防すべき伝染病に決まりが設けられてはいません。
特別に「学校長の判断で出席停止に」と定められていません。

ですから、学校を欠席する生徒が増加して授業などに影響が出そうになって、感染規模の大きさ、または合併症が出るなどといった保護者が不安に感じる要素が大きくなってきたときなどに、学校医と学校長との話し合いの中で、第3種学校伝染病との扱いが行われるケースがある病気と解釈されています。

合併症の危険性

ヘルパンギーナを発症しているとき、合併症を引き起こすケースも考えられます。
最も可能性が高いのは熱性けいれんですが、あまり多くはないものの急性心筋炎や無菌性髄膜炎の合併症が生じる場合もあります。

急性心筋炎の合併症を発症すると、心不全の徴候が現れる場合がありますので気を付けてください。
心筋炎の場合は、循環器専門医の受診が理想的です。
無菌性髄膜炎との合併症では、発熱・嘔吐・頭痛の3つの症状が特徴的です。

ヘルパンギーナにかかっているとき、以下の症状があれば合併症の疑いがありますので病院で診てもらってください。

  • 首を前に倒せず、首筋が痛い
  • 嘔吐を繰り返す
  • 熱は出ないのにぐったりとしており、呼吸や脈が速い
  • 高熱が3日以上続いている
  • 水分補給ができず、尿が半日以上でない

うがい手洗いで予防を

ヘルパンギーナは、口腔粘膜にできる水泡状をした発疹や発熱の症状がでる感染症です。
夏風邪の一種で、5歳以下の子供が患者の9割以上を占めます。

主な発症原因はコクサッキーウイルスA群の感染で、くしゃみや咳などで飛んできたしぶきによる飛沫感染、便や水泡の内容物内のウイルスが手に付着するなどして、目や口などの粘膜から経口感染や接触感染しうつることがあります。

ウイルスに感染してもすぐに発症せず、2~4日の潜伏期間のあとに症状が現れます。
発赤や水泡の症状が口の中にでたり、発熱します。

ヘルパンギーナには予防接種がないので、うがいや手洗いで予防を行っていきましょう。

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