お腹が痛くなる病気はいろいろありますが、便秘症での悩みは「たかが便秘」といわれそうで、周囲になかなか相談しにくいということはありませんか。
腹痛やおなかの張りの症状を訴えて病院へ行かれる方のうち、便秘症と診断される方はとても多いんです。

便秘症を放置していると免疫力が落ちますので健康によくありませんし、肌のツヤにも表れます。
本ページでは、どんな症状が現れたら便秘症と病院で診断されるかの定義や、発症する原因、どんな症状が現れるのか、隠されている可能性のある病気とはなどについてご紹介しています。
自分でできる解消法や予防法もありますので、毎日の生活にぜひ取り入れてください。

日本人の約3割が便秘の症状を実感していますので、「自分だけ辛い」という病気ではありません。
男性は全体の約20%、女性は約39%と倍近い差があり、世界的は約25~30%もの人が便秘症だとされている状況です。
この機会に、便秘症改善へ第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

便秘症とは

便秘症と医療機関で診断されるには、どんな定義にあてはまる場合なのでしょう。
お通じがなくなったら、それだけで慢性便秘症というわけではありません。
排便が困難、または排便の回数が1週間に3回未満の場合に、便秘症だと診断されます。

毎日お通じがあるから便秘ではないかというとそうではなく、排便が困難であれば便秘症と診断されるというわけです。
実際に病院で腹部の異変を訴える患者さんの中には、1日に1回は排便があるという方でも、診察をしてみるとお腹にたくさんの便が蓄積されているということもあります。

回数には個人差がありますので、逆に連日お通じがあるわけではなくても3日~4日の間隔で辛くない排便があるという場合は、便秘症にはあてはまりません。
排便が困難であるかどうかがポイントとなります。

こうした定義は日本消化器病学会関連研究会や日本小児栄養消化器肝臓学会が診療ガイドラインを作成しており、今なお研究が進められている便秘症最新治療の指針として内科や消化器科の医師に読まれている共通認識です。

お通じの回数が減ると、前回からの間が空くほど硬い便になっていきます。
お腹の中で便が固くなれば、腹痛や腹部が張るなどの症状が現れ、重症化するとなかなか排出できず出てもまだ便が残っている感覚、スッキリない状態などにつながります。

どんな仕組みで便秘症になるの?

スムーズに排便ができる状態とは、大腸が動く「蠕動(ぜんどう)」をすると直腸に便が移動していきます。
直腸へ便が送り込まれると直腸肛門機能が発揮され、それにより排便反射が機能して便が排出されます。
便秘症になるのは、蠕動の働きが鈍ったとき、排便反射が弱まっているときの2つの原因が考えられます。

便秘症になる原因とは

便秘症はどんな原因で発症するのでしょう。

原因別タイプ


引用元: 晴快堂漢方薬局(http://www.seikaido.net/constipation/)

便秘症は、原因によって大きく2つのタイプに分けることができます。

  • 器質性便秘 ── 腹部の手術予後の癒着や大腸がんの悪性腫瘍が原因
  • 機能性便秘(痙攣性便秘や単純性便秘) ── 腸管の運動機能障害が原因

最も多い機能性便秘の特徴

この中で最も患者数が多いのは、機能性便秘です。
機能性便秘は、さらに痙攣(けいれん)性便秘と習慣性便秘(単純性便秘)に分類されています。

  • 痙攣性便秘
    腸の動きが不規則な状態になっていることから、腸の内容物が効率よく移動しなくなっている症状です。
    ストレスなどの原因から残便感、排便困難、強烈な腹痛などの症状が現れており、排便があるときでも硬く量が少ないなどの特徴があります。
    過敏性腸症候群などが代表的です。
  • 習慣性便秘(単純性便秘)
    女性や高齢者に多い便秘タイプで、便意が弱く、あまり痛みがないという傾向があります。
    単純性便秘は、さらに直腸性便秘と弛緩(しかん)性便秘2種類に分かれます。

便の排出に要する筋力が衰えたことや、便意があったにもかかわらずトイレに行けなかったことから排便反射機能が低下し、便意に身体が鈍くなってその結果便秘になるのが直腸性便秘。
運動不足などの原因から大腸の機能が低下するのが、弛緩性便秘です。

便秘症に病気が隠されていることも

医療機関で便秘症だと診断される場合には患者さん一人ひとりの原因を解明し、それぞれに適した治療や看護を受けることが大切です。
まだ極度の便秘症ではないからと過信せず、対策をしても改善しない、市販されている便秘薬を飲んでも変化がないなどの場合には、病院で相談した方が安心です。

中には病気が隠されていることもあり、便秘が病気のサインだという可能性も考えられます。
神経筋疾患、血中カリウムの異常、膠原病、甲状腺機能低下症、糖尿病などは、症状の一つに便秘があります。
病気が隠れていないか検査する方法は、便検査、血液検査、大腸内視鏡などです。

子供が腹痛を訴えたら

小さな子供がいるご家庭では、急に激しい腹痛を訴えることもよくあるのではないでしょうか。
腹痛の症状で救急外来に運ばれてくる子供は、習慣性便秘と診断される割合は非常に多い状況です。

ただ、便秘症ばかりというわけではなく、特に乳幼児期のお子さんで極度の便秘症状の場合、腸回転異常症やヒルシュスプルング病が判明するケースもあります。

便秘症が続いたときの症状

便秘症になっても早めに手を打ち改善できればいいのですが、放置して長引いてしまうと、さまざまな身体の異変や症状が現れる可能性があります。

体内で起こる症状

・腸の中に古い便が長くとどまっていることになりますので、悪玉菌が増加しやすくなります。

・お通じがスムーズなときは蠕動運動がありますが、停滞している時期は動きが鈍っていることから、骨盤内の血液の巡りが悪化します。
長期化すると骨盤内だけでなく、全身の血行不良につながることも。

・便秘症は自律神経の機能も崩れやすくなります。

体外に現れる症状

  • お腹の張りや腹痛
    便やガスが溜まっているので当然です。
    便秘症の患者さんの中には食欲不振になる方もいますが、それは便秘が原因で胃の機能が鈍くなるためです。
  • 吹き出物や肌荒れ
    いつものスキンケアを変えたわけでもないのに肌にハリやツヤがなくなった、化粧ノリが悪くなったというときには、振り返ってみると何日もお通じがでていないことがあります。
  • 肩こりや腰痛
    便秘症状が続いていると血行が低下しますので、体内に疲労物質が排出されにくくなり溜め込んでしまうことが原因です。
    血行がよくない状態が続けば、さらに月経不順やむくみ、冷えなどの症状も引き起こしかねません。
  • 不快感やイライラ
    腸と精神の健康状態には、密接な関連性があることがわかっています。
    何日もお通じがこない状態が続けば心の安定も乱れてきて、さらに便秘が続くとそのことがストレスになり、さらなる便秘につながる悪循環につながるケースもあります。

いずれの症状も、便秘さえ解消すれば自然と改善していきます。

自分でできる解消法や予防法

便秘症の原因は、毎日繰り返される生活習慣の中から作られていきます。
病院で便秘症の治療を受ける場合でも、原因を取り除き、生活習慣の改善をしなければすぐにまたもとの状態に戻ってしまいます。
普段の生活でできる便秘解消法や予防方法をいくつかご紹介しますので、できそうなものから取り入れてみてください。

規則正しい生活習慣を

便秘や便秘気味になりやすい方の傾向として、朝食抜きの日が多いことがあげられます。
朝ごはんを食べると腸の蠕動運動が促されますので、腸の機能が活性化され、便秘を改善させる効果があります。
規則正しい生活に切り替え、時間にゆとりを持って朝食を摂り、お通じが来るのを待てるようにすれば、徐々に朝の排便習慣が定着してきます。

自律神経が乱れていることも腸の調子を悪化させますが、少し発汗するくらいの適度な運動で体を動かせば自律神経がリセットされお通じもよくなるでしょう。
ストレスも便通を悪くさせる要因になりますが、軽い運動はストレスをコントロールさせるという一面もあります。

水分が足りていないかも

便秘症かもしれないという方で、便が硬いという場合は、水分が足りていない可能性があります。
身体からデトックスする水分というと尿や汗を想像しますが、大便も水分を含んでいます。
もし大便に十分な水分がなければカサが少なくなるため、腸の中をスムーズに移動できなくなってしまうのです。

便秘を改善したいときは、起床後にコップ1杯の水またはミルクを飲むと排便したくなります。
腸に刺激を与えることができますので、動きが活発になるからです。
冬場などに冷たい水のままでは体を冷やしてしまいますから、温かい白湯の方がいいかもしれません。

ただし、水分を摂りすぎても効果はありません。
目安の水分量は、1日あたり1.5リットル以上です。

また、お茶やジュースなどの飲料から摂取するだけでなく、お料理にも水分は含まれています。
野菜や果物にも水分が含有されていますので、液体を飲むのが苦手でも意外と野菜などから摂れますから、メニュー選びや献立を決めるときに水分摂取を意識してみてください。

食物繊維を豊富に含有する食材

水分を摂る方法として、食物繊維たっぷりの食材を摂ることもおすすめです。
食物繊維を摂ると便に水分が含まれて軟化させることができますから、大便のカサが十分になり蠕動運動を促進させるくらい腸に刺激を与えられます。

食物繊維は環境や食品添加物などに含まれる有害物質を、体外に排出させる効果が期待できます。
できるだけ食事の度に食物繊維を摂るように意識し、100キロカロリーの摂取エネルギーあたり1グラムを目指してみてください。

食物繊維を豊富に補給できる食べ物は緑黄色野菜、豆類、イモ類、海藻類、きのこ類、根菜類、果物、ライ麦パン、玄米などがあります。

身近な調味料から善玉菌を

腸の中が悪玉菌優勢にならないよう、善玉菌を増えさせられるようにしたいものです。
善玉菌が多くなれば腸内環境が正常に改善させられるので、乳酸菌が入ったものを摂りましょう。

乳酸菌といえばヨーグルト、オリゴ糖、キムチなどに含まれています。
意外なところではみそや醤油などの身近な調味料でも補えますので、塩分摂り過ぎにならないよう注意しながら適度に取り入れてみてください。

ぬか漬けや古漬けなどにも、乳酸菌が入っています。
お漬物といえば和食ですが、どんなメニューとも組み合わせやすいので便利です。
お漬物の種類を変えていくことで、毎食でも摂取できます。

ビタミンB群・Eでも食物繊維

ビタミンB群やビタミンEには、食物繊維もたっぷり含まれている食材が多数あります。
イモ類、ナッツ類、豆類、緑黄色野菜などが代表的です。

・ビタミンB群は、ビタミンB1やパントテン酸の働きで副交感神経(自律神経)が刺激を受け、腸の蠕動運動が活性化されます。

・ビタミンEは自律神経を整えたり、血行促進効果が得られます。

自律神経を整えることは、腸の動きのコントロールにつながります。

生活習慣の改善で便通をスムーズに

排便をするのが困難か、もしくは排便の回数が週に3回未満でしたら、便秘症の可能性があります。
お通じが毎日あるからといって、排便が困難な場合はやはり便秘症と診断されることはあまり知られていないかもしれません。

朝食を摂り、食後に便意が来るのを待てるくらいゆとりを持てると、徐々に朝の便意が習慣になってきます。
最初からすぐにうまくいかなくても、同じ一定の時刻に食事をしトイレに行くようにするだけでも、身体のリズムとなっていきます。

少し発汗する程度の軽い運動を生活の中に取り入れ、食物繊維が豊富な食生活にし、水分を摂るようにするなどして、暮らしの中から便秘症を改善していきましょう。
便秘症の中には病気が隠されており、病気のサインの一つということもあります。
ご紹介した便秘を改善する方法を試してもお通じがよくならないときには、医療機関の内科や消化器科で適切な診断と治療を受けてください。

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