咳がとまらない症状がでると、まず風邪を引いた可能性を疑う方がほとんどでしょう。
咳の基本的な役割は、のどからつながっている気管など内に溜まった異物や分泌物を、外へ吐き出すためにする反応です。
不要な物が体内に侵入させないために、咳払いをすることで吐き出して身体を防御しています。

長引く咳は必ずしも風邪というわけではなく、咳喘息(せきぜんそく)やアレルギーなどさまざまな原因が考えられます。
本ページでは長引く咳はどんな原因や病気の可能性が考えられるか、もしどのくらい長期間咳がとまらない症状が続いたら病院へ行くべきか、必要な応急処置などについてご紹介します。

咳がとまらなくて家事や仕事、勉強に集中できない、夜中も咳が収まらなくて睡眠不足になっているなどというときは、ぜひ参考にしてみてください。

咳が出るメカニズム

うっかり熱い物に触れてしまったとき、手を引っ込めようと頭で考えなくても、反射的に手を放しますよね。
人間の行動は頭で指令を出してから動くもの以外に、ヤケドから身を守ろうとするような防御反応が備わっています。

咳込んでしまうのも同じことで、外部から異物が入ってこないための防御反応です。
のどは気管や気管支などの気道につながっていますが、この気道の表面にトウガラシやタバコの煙、冷房の冷気、細菌やウイルスなどが付着すると、とっさに咳がでるので体外に排出させられます。
脳の本幹に伝わって横隔膜や肋骨の筋肉に指令を出すので、瞬間的に咳を出すことができるのです。

長引く咳の受診は3週目・8週目が目安

咳がとまらない症状が始まると、主に3つの段階に分類できます。
咳をするようになってから3週目までが急性咳嗽、3週~8週目までが遷延性咳嗽、8週目以降が慢性咳嗽です。


引用元: 沖縄県医師会(http://www.okinawa.med.or.jp/old201402/activities/kaiho/kaiho_data/2008/200809/077.html)

急性咳嗽は感染症関連の原因が考えられ、風邪の可能性が高い時期です。
風邪による咳でしたら、1週間くらいで完治できます。

咳が3週目以降も続いている場合、風邪以外の病気(感染症以外の原因)である確率がグンとアップします。
遷延性咳嗽と慢性咳嗽で疑われる疾病は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、胃食道逆流症(GERD)、副鼻腔気管支症候群、アトピー咳嗽、咳喘息などです。
風邪以外の病気をこじらせてしまうことがないよう、咳が出るようになってから3週目を過ぎたら一度受診されることをおすすめします。

とまらない咳の原因ランキング

咳がとまらないとき、その原因は患者さんによってさまざまな病気につながっています。
名古屋市立大学の新実彰男教授が行ったある調査によれば、長引く咳の症状で最も多い病気は咳喘息で、半数以上の57%も占めています。

2番目に多いのは副鼻腔気管支症候群で、1位と大差をつけて全体の15%です。
続いて多い順番に胃食道逆流が12%、慢性気管支炎が6%、アトピー咳嗽(がいそう)が4%、感染後咳嗽も4%という結果です。
ちなみに、アトピー咳嗽の咳嗽とは咳のことです。

これらの原因は一人の患者さんが一つ抱えているとは限らず、例えば胃食道逆流と咳喘息を併発しているなど、複数種類の病気が見つかることも珍しくありません。
今回の咳はこれまでとなんだか違うなと違和感を感じたら、熱はないからたいしたことないなどと過信せず、早めに病院の呼吸器科などで診てもらってください。

ランキング1位の咳喘息(せきぜんそく)とは

咳喘息とは、どのような特徴を持った病気なのでしょう。

咳喘息の症状

咳喘息という名称から、一般的な喘息の症状を思い浮かべるかもしれませんね。
気管支喘息のよく見られる症状といえば、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音がのど元や胸元でして息苦しさを感じます。
咳喘息はこれら気管支喘息の症状はなく、咳だけです。
咳の症状だけが長く継続します。

咳喘息の症状は、以下のことをきっかけに発生する傾向があります。
風邪を引いた直後、お線香・香水・タバコの煙、クーラーなどの冷気、人との会話、横向けの姿勢での睡眠など。
咳喘息が習慣になってしまっている方も珍しくなく、毎年同じ時期になると発症してしまいます。

喘息というと子供が発症する病気のイメージがあるかもしれませんが、大人になってから発症したという患者さんも大勢います。

咳喘息と喘息の違いとは?

アレルギー体質なら咳喘息に要注意

京都大学呼吸器内科が発表した調査データによれば、咳喘息と気管支喘息の患者さんとでは、アレルゲンへの反応が同じくらい陽性であったことが指摘されています。
私たちの日常生活で身近なハウスダストやダニ、雑草やイネ科、スギ、キク科などの花粉、猫や犬などの動物のアレルゲンを対象に実施されたものです。
陽性反応が出た患者さんは、咳喘息の方が60%、気管支喘息の方が67%という結果でした。

咳喘息だと診断された患者さんの約30~40%は、その後気管支喘息を発症しています。
気管支喘息にかかってしまった方は、かからなかった方に比べて強いアレルギー反応が出ていたとのことですので、アレルギー体質の方は今のうちから咳喘息の予防を心がけてはいかがでしょう。

咳喘息の応急処置

咳喘息は、息を吐き出すときに気管や気管支の中が細くなることで咳が出ます。
ですから、咳止めや風邪薬、抗生物質では症状を抑えることはできません。

気管や気管支の内側を広くし、息を吐き出しやすくすることができれば咳は出なくなります。
そのために有効な薬は、貼る薬、内服薬、吸入薬です。
具体的には貼る薬はホクナリンテープ、内服薬はテオドールなど、吸入薬はサルタノール・メプチンエアーがあります。

のど飴で応急処置

咳喘息で苦しくなったら、のど飴をなめることで応急処置をすることができます。
のど飴に含まれているハッカやメントールなどの成分により、のどを冷やすことができるからです。

その他にも、のど飴をなめることによって気管支を拡張させスムーズに呼吸をしやすくさせられます。
さらにトウガラシやウイルスなど外部からの侵入物から身を守る咳反射を、脳になる咳中枢の反応を抑える効果があります。

咳喘息の改善には吸入ステロイド薬が必須

咳喘息をしっかりと完治させるためには、吸入ステロイド薬が効果的なことが京都大学呼吸器内科による調査で明らかにされています。

咳喘息を発症した人の約30~40%は、吸入ステロイド薬を用いなかったことから気管支喘息を発症しています。
しかし、吸入ステロイド薬で治した患者さんから気管支喘息を発症した人は一人もいなかったということです。
咳喘息も気管支喘息もアレルギーと大きくかかわりがありますので、吸入ステロイド薬でしっかり治しておきましょう。

咳喘息にかかる原因は、住環境や体質などの遺伝的要素などいろいろあります。
インフルエンザや風邪、ハウスダストや花粉などのアレルギー暴露、タバコの煙やPM2.5などの環境、ストレスや過労などは症状を悪化させますので、これらをなくしていくことも大切です。

胃食道逆流症

胃酸は食べた物や飲んだ物を胃の中で消化させるために分泌されており、本来であれば食堂や口まで戻ることはありません。
胃酸が戻ってしまうようになると、のどが胃酸に刺激されることで咳がとまらなくなるケースがあります。

胃食道逆流症の症状は咳が出ることで、他には特にありません。
胃食道逆流症で咳が出るきっかけは、横たわったとき、過食をしたとき、胸やけなどがあげられます。

慢性気管支炎やCOPD

慢性気管支炎やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は、喫煙の煙が原因で発症する病気です。
タバコを吸ったときに出る煙が気管などには外部からの刺激となり、炎症を発症させます。

初期段階では咳しか症状がないケースも多いので、注意してください。
小児喘息だった方は、天候や風邪を引くなどのきっかけから慢性気管支炎やCOPDになる場合があります。

アトピー咳嗽

アトピー咳嗽は古い病気ではなく、提唱されてからまだ歴史が浅いものです。
アトピー咳嗽を発症すると症状は咳のみで、そのことは咳喘息と同様です。
ただ、咳喘息は気管支喘息を発症する場合がありますが、アトピー咳嗽はそのような心配は不要です。

アトピー咳嗽の可能性がある場合、以下の要素があてはまります。

  • 咳を止めるためにステロイド剤や抗ヒスタミン剤を用いると、効き目がある
  • アトピー素因がある、または白血球の一種である好酸球が喀痰内で増加している
  • 気管支拡張剤を用いても効き目が表れない
  • 痰を伴わない咳が続き、3週間を過ぎても止まらない

感染症のマイコプラズマ肺炎

肺炎マイコプラズマという微生物が原因で発症するのが、マイコプラズマ肺炎です。
細菌やウイルスで発症するのが感染症ですが、感染症の中でもマイコプラズマ肺炎はよく耳にする病名です。

感染経路は、接触感染と飛沫感染の2通りが考えられます。
ドアノブなどに触って移る接触感染と、咳払いなどをして浮遊した細かい粒子を吸い込んで移る飛沫感染です。

マイコプラズマ肺炎の症状は長引く咳の他に、かかり初めのうちは発熱と痰がない咳がでるという特徴があります。
風邪の症状がでて抗生剤が効かなかったら、マイコプラズマ肺炎の可能性が高くなります。

タバコ

タバコを吸う習慣がある方は、咳がとまらなくなるリスクが吸わない人より高くなります。
咳がとまらない症状が慢性化する割合は、1日に10本以上の喫煙をする人はリスクが25%アップすることがわかっています。

さらに1日40本を超える喫煙をする場合、慢性的な咳がでるリスクは50%以上にもなります。
喫煙者の方は咳がとまらないからという理由であまり病院へ行こうとされないようですが、40歳になったら念のため受診されることをおすすめします。
検査を受けて、ガン細胞が喀痰やレントゲン写真で確認されないか検査を受けてみてください。

痰があるかでわかる病気の傾向

長引く咳の中には、強い粘り気のある痰を伴った咳と、乾いた咳の2タイプに分けられます。
痰をともなうタイプの咳をしている場合、ウイルスや細菌の感染症であるインフルエンザや風邪の可能性が高くなります。
そのまま放置して咳がとまらないようでしたら、COPDや喘息、後鼻漏や副鼻腔気管支症候群などの鼻の疾病が原因かもしれません。

反対に痰を伴わない乾いた咳のタイプは、心因性の咳、GERD、百日咳、アトピー咳嗽、咳喘息などの可能性が考えられます。

これらのリスクがあることを念頭に置き、いつまでも放置せず3週間を過ぎたら病院でしっかり検査を受けましょう。

風邪以外の原因にも気を付けよう!

咳がとまらない症状は、風邪が原因とは限りません。
風邪の他には咳喘息、胃食道逆流、慢性気管支炎、アトピー咳嗽、感染後咳嗽だと診断される患者さんが多いことがわかっています。

風邪以外では、半数以上の方が咳喘息だと診断されています。
咳喘息の辛い症状が出たら、病院で診察を受けるまでの間、のど飴での応急処置が効果的です。
また、咳喘息は吸入ステロイド薬を用いることで、多くの人が発症している気管支喘息を防ぐことができています。

咳が長引き3週間以上経ったら、風邪以外の病気の可能性が高まります。
医師に診てもらうようにしてください。

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