急性上気道炎とは「かぜ症候群」のことで、ウイルスによりうつることがほとんどです。
一定の症状が現れたら医師の診察を受ける必要があるのですが、どんな症状のときに病院へ行くべきなのでしょうか。

本ページでは、一般的にあまり聞きなれない急性上気道炎とはどんな病気なのか、原因や症状、治し方、薬などについてまとめました。
入院が必要になるケースも出ていますので、取るべき対策をしっかり取り、適切な予防方法で身を守っていきましょう。

急性上気道炎とは

急性上気道炎はかぜ症候群で、かぜ症候群とは通常風邪と呼ばれているものに当たります。
上気道とは鼻からノドにかけての、鼻腔・咽頭・喉頭のことをいいます。

上気道の場所
引用元: 標準医療情報センター(http://www.ebm.jp/disease/breath/01jokido/guide.html)

大気中に浮遊している微生物が外から鼻や喉に入り込み、上気道に感染してしまうと、急性上気道炎を発症します。
急性上気道炎を引き起こす微生物の約8割~9割は、ウイルスです。

急性上気道炎は3種類ある

急性上気道炎は発症した場所によって、急性鼻炎(きゅうせいびえん)・急性咽頭炎(きゅうせいいんとうえん)・急性喉頭炎(きゅうせいこうとうえん)の3種類に分類されます。
発症するときは、これらのうち1種類だけとは限りません。
もしかしたら、急性鼻炎と急性喉頭炎の2種類が同時期に発症するかもしれませんし、3種類全部同時にかかることもあります。

これら3種類は、それぞれどんな特徴を持っているのでしょう。

急性鼻炎とは

  • 急性鼻炎の特徴
    急性鼻炎の多くの発症原因は風邪ウイルスがうつることによるもので、鼻の粘膜に急性の炎症をもたらします。
    かかり初めはウイルスが原因であっても、あとから細菌感染をするケースも珍しくありません。
    近頃の傾向として、黄砂やPM2.5が関わっているケースも確認されています。

 

  • 急性鼻炎による症状
    発熱、鼻詰まり、鼻水、くしゃみ、粘膜の痛み、鼻の乾燥など。
    鼻水は、発症したばかりのうちはサラサラとしていますが、日にちが経つにつれ粘度が増し、最終的に色が青緑になってくると完治します。

 

  • 急性鼻炎の治し方
    急性鼻炎は長引いたとしても、2週間を超えるほど長引く病気ではありません。
    もしそれ以上続き、鼻水の色が青緑の状態でしたら、急性鼻炎だけでなく急性副鼻腔炎も発症していることが考えられます。
    早めに医師に相談してください。

 

  • 急性鼻炎にかかったら心がけたいこと
    患者が過ごす部屋は適切な湿度に調整し、乾燥させないように心がけてください。
    安静にすることが重要で、十分な睡眠とたっぷりの栄養補給を行いましょう。
    普段タバコを吸う方は、急性鼻炎が治るまでは控えることをおすすめします。

 

小児が多く集まる施設、例えば保育園や託児所などでは風邪ウイルスに悩まされることがたびたびあります。
急性上気道炎に対して慢性上気道炎があるのですが、急性鼻炎にも慢性鼻炎があり、小児が多い施設で急性鼻炎に何度もかかっていると、慢性鼻炎になってしまうことがありますから注意が必要です。

慢性鼻炎にかかってしまうと鼻水が止まらない症状に悩まされますので、鼻水がなかなか止まらなくなったり多くなったら早めに病院で診てもらいましょう。
放置して病状が進行してしまうと、急性副鼻腔炎や急性中耳炎に発展する可能性も考えられます。

急性咽頭炎とは

  • 急性咽頭炎の特徴
    咽頭とはノドのことで、急性の炎症がノドにある粘膜やリンパ組織にできる病気です。
    発症の原因は風邪ウイルスで、具体的にはコクサッキーウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルスなどの種類で感染します。急性鼻炎と同様に、かかり初めはウイルスが原因であっても、あとから細菌感染をするケースも珍しくありません。
    近頃の傾向として、黄砂やPM2.5が関わっているケースも確認されています。

 

  • 急性咽頭炎による症状
    発熱、咳、痰、食べ物や水分がノドを通るときに痛む、ノドの痛み、ノドに違和感やヒリヒリする感覚があるなど。
    中耳炎でないにもかかわらず、耳へノドの痛さが伝わり、耳が痛くなるケースもあります。

 

  • 急性咽頭炎の治し方
    インフルエンザウイルスは例外ですが、基本的にウイルスに対する特効薬は存在していません。
    ウイルス感染のみだと推測できる症状には、ノドの炎症抑制をする薬が処方されます。他にネブライザーや、細菌感染しているケースでは抗生剤が使用されます。
    珍しい咽頭炎の場合は別ですが、基本的に急性咽頭炎にかかっても2週間を上回るほど長引くことはまずありません。

 

  • 急性咽頭炎にかかったら心がけたいこと
    一定の湿度をキープし、部屋の空気を乾燥させないように心がけましょう。
    普段タバコを吸われている方は、治るまで控えてください。
    安静にして、十分な睡眠時間を確保し、睡眠をたっぷり取ることをおすすめします。

急性喉頭炎とは

  • 急性喉頭炎の特徴
    喉頭もノドを表す言葉で、急性喉頭炎はノドの粘膜に急性炎症ができます。
    風邪ウイルスが原因で発症することが多い病気です。急性鼻炎や急性咽頭炎と同様に、かかり初めはウイルスが原因であっても、あとから細菌感染をするケースも珍しくありません。
    近頃の傾向として、黄砂やPM2.5が関わっているケースも確認されています。
    炎症ができた箇所が、喉頭でもとりわけ声帯(声が出るところ)だった場合には、急性声帯炎と診断されます。

 

  • 急性喉頭炎による症状
    発熱、咳、痰、ノドの痛み、ノドの違和感やヒリヒリした感覚、声が出にくくなる、かすれた声になるなど。

 

  • 急性喉頭炎の治し方
    急性咽頭炎と同様で、インフルエンザウイルスは例外ですが、基本的にウイルスに対する特効薬は存在していません。
    ウイルス感染のみだと推測できる症状には、ノドの炎症抑制をする薬が処方されます。
    他にネブライザーや、細菌感染しているケースでは抗生剤が使用されます。急性喉頭炎の場合は身体を安静に休めること、たっぷりの睡眠時間を確保すること、栄養バランスのいい食事をすることなどがあげられます。
    完治するまで基本的に1~3週間程度の期間を要します。
    炎症がひどい症状には、1カ月くらいに長引くこともあります。

 

  • 急性喉頭炎にいかかったら心がけたいこと
    急性喉頭炎を発症したら、あまり発声しないように治るまでは気を付けてください。
    部屋の湿度を適切にキープし、乾燥しないよう調整します。
    普段タバコを吸われる方は、治るまで吸わないようにしましょう。場合によっては急性声門下喉頭炎(仮性クループ)や、呼吸がしづらくなる急性喉頭蓋炎である可能性も考えられます。
    稀なケースではあるものの、生命があやぶまれる事態も否定できませんので、早めに耳鼻咽喉科で診てもらってください。

この症状がでたら病院に行こう

急性上気道炎にかかったら熱がでますが、38℃以下であれば自宅療養で十分です。
39℃を上回り、さらに激しい咳や喉の痛み、緑色や黄色などといった濁った色の鼻水がでる症状が現れたら、早めに医師に診てもらってください。

たかが風邪だと甘く見ていても、重篤な病気から引き起こされていることも考えられます。
急性上気道炎だと診断され、入院することになった患者さんもいるほどです。
辛い症状が続き、4日以上経っても改善しない、またはますます酷くなっているという場合は病院へ行きましょう。

急性上気道炎は自然治癒する?

一般的な急性上気道炎であれば、1週間も経たないうちに自然治癒します。
ただ、以下の症状にあてはまる場合は医療機関の耳鼻咽喉科などで医師から治療を受け、十分な睡眠や栄養補給、保温、安静にすることなど家庭での看護が必要になります。

急性気管支炎との判別

かぜ症候群とよく似ているけれど、重症になることが多い急性気管支炎には注意が必要です。

症状の違い

症状が異なりますので、ポイントを知っていれば判別に役立ちます。
かぜ症候群の主な症状は喉頭や咽頭の症状、鼻症状などであり、咳が中心というわけではありません。
高熱がでることは稀で、発症から1週間~10日ほどで咳は治まります。

急性気管支炎は反対に主な症状は咳であり、辛い時期が長引く可能性が高いでしょう。
重症化することが多い病気で、急性炎症性疾患の症状がでることもあります。

原因の微生物の種類

かぜ症候群の原因となる微生物の種類はアデノウィルス、インフルエンザウィルス、RSウィルス、パラインフルエンザウィルス、コロナウィルス、ライノウィルスなど。
急性気管支炎は肺炎クラミジア、マイコプラズマ、百日咳菌、アデノウィルス、インフルエンザウィルスなどです。

インフルエンザウイルスとマイコプラズマが共通しています。

症状にあった治療薬選びの重要性

急性上気道炎は、かぜ症候群です。
かぜを引いたときにはいつも抗生物質(近年では抗菌薬とも呼ぶ)を飲んでいるという方も少なくありませんが、急性上気道炎でも飲んでいて問題ないのでしょうか。

抗生物質をむやみに服用することは、近年問題視されています。
というのは、細菌をやっつける効果の抗生物質を飲み過ぎていると、突如菌そのものが変化し、薬の効果が発揮されない種類の菌が出現する事態が起きています。

薬が効かない菌は、耐性菌といいます。
耐性菌は抗生物質を服用しても菌がやっつけられませんので、病気の症状を悪化させる原因になるのです。
急性上気道炎の治療薬選びをするときも、抗生物質を乱用するのではなく、発症した症状によって変えることが耐性菌問題の対策になります。

かぜ症候群は自然治癒できるということをまず知りましょう。
ウイルス感染は風邪薬を服用して治すものではないことも併せて自然治癒で治せることを理解し、抗生物質を飲んで治す習慣を止めることが大切です。

漢方薬を活用するのも選択肢の一つです。
急性上気道炎の初期でしたら、葛根湯をおすすめします。

咽頭痛・腫脹・咽頭発赤

トローチや含嗽水が有効です。

発熱・痛み

激しい症状が現れた場合に、投与されます。
小児にはアセトアミノフェン(非ピリン系)、成人には酸性非ステロイド系抗炎症薬です。

くしゃみ・鼻詰まり・鼻汁

点鼻血管収縮薬、吸入副交感神経遮断薬、抗ヒスタミン薬などの薬品を、回数を限定して短い期間に用います。

痰・咳

最も推奨されるのは、末梢性鎮咳薬です。
咽頭不快感や咽頭痛も発症しているときの咳には、トローチや含嗽水が適しています。

次におすすめなのは、気管支拡張薬と去痰薬です。
呼吸困難や喘鳴の症状がある咳には気管支拡張薬。
痰の症状がある咳には、去痰薬です。

中枢性鎮咳薬であるクロペラスチン、リン酸ジメモルファン、非麻薬性のデキストロメトルファンは、急性上気道炎の治療に用いることも可能ですが、同じく中枢性鎮咳薬のリン酸ジヒドロコデインや麻薬性のリン酸コデインは使用しない方が無難です。

扁桃腫脹

白苔や膿栓の膿性分泌物が生じたり、高熱がでるときには抗生物質が推奨されます。
細菌感染による合併症を見越した処置です。

逆に抗生物質が推奨される症状

以下の症状が現れた場合には、マクロライド系薬やβ-ラクタム系薬の抗菌薬が適しています。

  • 扁桃腫脹と白苔や膿栓が沈着している
  • 3日以上も高熱が続いている
  • 膿性の鼻汁や痰がでる
  • 副鼻腔炎や中耳炎を併発している
  • CRP高値や白血球増多などといった強い炎症が生じている
  • 年配の患者であり、重篤な呼吸器疾患や悪性腫瘍、免疫不全などを合併している
  • 急性上気道炎の市販薬カロナール

急性上気道炎の治療には、カロナールの市販薬が発売されています。
カロナールは年齢が15歳以上の方はもちろんのこと、まだ授乳をしている時期で薬選びを慎重に行いたいお母さんや赤ちゃんでも服用することができます。

カロナールは急性上気道炎の他に、小児科の鎮痛や解熱、一般的な頭痛や腰痛症、耳痛、打撲痛、筋肉痛などの症状に使用されている市販薬です。

安静や栄養補給で自然治癒

急性上気道炎はかぜ症候群なので、基本的に安静にし、栄養補給や十分な睡眠などで自然治癒することができます。
むやみに抗生物質を服用すると耐性菌の心配がありますので、症状にあわせた治療薬選びが大切です。

発熱して39℃を上回り、さらに激しい咳や喉の痛み、緑色や黄色などといった濁った色の鼻水の症状がでたら要注意です。
4日以上経っても改善しなければ、早めに医師に診てもらってください。

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