マイコプラズマ肺炎という病気の名前を言われても、あまりピンとこない人がほとんどではないでしょうか。
マイコプラズマ肺炎は病名にもあるように肺炎の一種で、咳(せき)をしたときに飛沫感染(ひまつかんせん)したり、接触感染などでうつる呼吸器感染症です。

あまり一般的な病気ではないだけにどんな原因でかかるのか、身を守るためには具体的にどう予防していけばいいのかなど知られていないことがたくさんあります。
そんなマイコプラズマ肺炎について、本ページでは予防方法や発症してしまったときの症状、治療方法、注意すべき合併症、自然治癒できるのかなど、いろいろご紹介していきます。

マイコプラズマ肺炎とはどんな病気?

肺炎というと、一般的には高齢者の方がかかりやすいイメージがありますが、マイコプラズマ肺炎は若者世代が多く発症している肺炎です。
患者だと診断された人の8割近くは、年齢が14歳以下の方です。
さらに5歳までに感染する割合は、6割~7割と高い数字です。


引用元: 国立感染症研究所(https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/646-disease-based/ma/mycoplasma-pneumonia/idsc/idwr-topic/2633-idwrc-1235.html)

発症する原因は、肺炎マイコプラズマと呼ばれる微生物の病原体です。
年配者世代よりもむしろ若者たちの間で流行するという特徴があることから、異型肺炎(非定型肺炎)といわれています。

大人になってから感染することもないわけではないのですが、97%の人は成人になるまでに感染しています。
終生免疫というわけではないことから1回やったら終わりというわけではなく、再び発症する場合もある病気です。

マイコプラズマ肺炎にかかる年齢は主に幼児期・学童期・青年期といった子供時代で、罹患率(りかんりつ)は秋の終わりから春の始まり頃に高くなります。
高齢者の方に多い肺炎は肺炎球菌ですが、細胞壁を欠いて、コレステロールを発育増殖に必要とします。
感染すると、気道症状が現れるでしょう。

うつる?マイコプラズマ肺炎の感染経路

すでにマイコプラズマ肺炎に感染している患者と親密な接触をしたときや、咳をしたときに口からでたしぶきを吸い込んでうつることがあります。
マイコプラズマ肺炎には学校や家庭などといった、閉鎖された施設の中で広がるという特徴があります。

2~3週間くらいの潜伏期間ののちに発症すると考えられていますので、感染してから自覚するまで長くかかってしまいます。
自然界のどんなところにもマイコプラズマはありますので、どこにいてもマイコプラズマに感染する可能性があるといえます。

マイコプラズマ肺炎で現れる症状

マイコプラズマが気道の粘膜より体の中に入ってくることで、咳、咽頭痛、発熱、だるさ(倦怠感)、頭痛などの症状が現れます。
体に感じる異変は風邪の症状によく似ていますので、すぐにマイコプラズマ肺炎を疑う人は少ないのではないでしょうか。

ただ、マイコプラズマ肺炎の方が風邪をひいたときに比べて、あまり鼻水の症状が現れません。
あまりタンの症状がない乾いた咳がたくさん出て、熱が落ち着いてからも咳はなかなか止まらず、3~4週間近く続きます。

38度を上回る発熱があり、風邪をひいたと思い込んで風邪薬を服用しても熱は下がりませんので、このときに風邪ではないと気付く方も多そうです。
風邪ではないと分かった時点で、病院でしっかり検査を受けましょう。

マイコプラズマ肺炎にかかっても、ほとんどのケースでは5日~1週間程度もすると症状が治まり、3週間くらいで自然治癒します。
たいていの患者は気管支炎ですむので、症状は軽めです。
改善しなければ肺炎を発症している可能性が高いので、病院で早めに受診してください。
小児の方が大人よりも軽い症状ですむ傾向があります。

マイコプラズマ肺炎の診断方法

一般的な診断方法は、血液検査で行います。
確定診断をする場合には2度の採血が必要で、1度目から2度目までは2週~4週くらいの間隔を空けます。

マイコプラズマ肺炎の診断方法には簡易キットがあり、採血をして外来で15分ほど待つと結果がわかります。
ただ、簡易キットは感度が確実とはいえないので、確定診断には適していません。

簡易キットの他には、痰(たん)を用いて検査する方法があります。
痰の中にマイコプラズマの遺伝子が含まれているか検出するのですが、診断結果の確実さを求まるなら、現在のところはまだ血液検査が一番です。

PCR法での迅速診断法も開発されており、臨床的な効果が認められているものの、まだ利用できる施設は限定されています。

合併症のリスク

マイコプラズマ肺炎を発症したら、以下の合併症のリスクが考えられます。

  • ギラン・バレー症候群や脳炎、無菌性髄膜炎といった中枢神経の異常
  • スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚病変)
  • 関節炎
  • 心嚢炎
  • 心筋炎
  • 溶血性貧血
  • 膵炎
  • 肝炎
  • 中耳炎
  • 肺が部分的に無気肺になるケースもありますが、とてもまれな症状です。

マイコプラズマ肺炎の治療方法

マイコプラズマ感染症は、ニューキノロン系・テトラサイクリン系・マクロライド系の3種類の抗生物質(抗菌薬)を用いて治療が行われます。
一般的に抗菌薬といえばセフェム系やペニシリン系なのですが、マイコプラズマ肺炎の治療には効果的でありません。

マイコプラズマ肺炎の可能性がある段階に用いられる抗菌薬はマクロライド系で、1週間~10日間ほどの服用で治療をしていきます。

マイコプラズマ肺炎の症状といえば、ひどい咳が特徴的です。
抗菌薬での治療を続けていても辛い咳が2週~4週間も落ち着かないようでしたら、抗菌薬の他に効果の高い咳止め薬が処方されるでしょう。

近頃の傾向として、マイコプラズマ肺炎に処方されている抗菌薬が効果を発揮しない耐性菌が増加しているといわれています。
増加原因はまだ明らかにされていませんが、もし耐性菌に感染したときには別の抗菌薬で治療されます。

マイコプラズマ肺炎の予防方法

マイコプラズマ肺炎は風邪に似た症状がでますので、辛い思いをする前に予防にはげみ、できるだけかからないようにしたいところです。
どのような予防方法が有効なのでしょうか。

飛沫感染でうつる肺炎ですので、どんな人であっても感染しないとはいいきれません。
インフルエンザや風邪と感染経路は同じです。
強力な感染力を有することから、患者のそばにいれば発症リスクが高くなってしまいます。
マイコプラズマ肺炎患者と濃厚な接触はひかえるようにしてください。
気道上皮への付着で感染しますから、うがいや手洗いによる予防が効果的です。

マイコプラズマ肺炎は、現時点ではワクチンなど予防接種方法がありません。
人が多い場所に出かける日はあらかじめマスクを用意し、感染者がいても移されないよう防御に努めましょう。
咳で感染しますから、咳込んでいる人を見かけたらマスクを着用した方が安心です。
心配なときは、人ごみにでかけないことも効果的な対策といえます。

出席停止になる場合とは

学生の方は、学校保健安全法によりマイコプラズマ肺炎が第3種感染症「その他の感染症」とされます。
とはいっても、どのような条件を満たした場合に適用されるかはまだあいまいな部分があるのですが、出席停止の措置が必要とされる場合があります。

学校医または医療機関の医師の判断で、他者に感染させてしまう可能性が完全にないといえるまでの間です。

患者本人は急性期が終われば回復していきますので、全身の状態が落ち着くことで登校できるようになります。

マイコプラズマ肺炎の治療薬

マイコプラズマ肺炎の治療には、マクロライド系抗菌薬が用いられます。
マクロライド系抗菌薬は細菌がタンパク質合成をしないよう阻害する働きがあり、細菌の繁殖を妨げる効果があります。

マクロライド系抗菌薬は第一選択薬とされており、主に以下の3種類が投与されています。

  • エリスロマイシン
  • クラリスロマイシン
  • アジスロマイシン

配合されている治療薬商品は、エリスロマイシンがエリスロシン、クラリスロマイシンがクラリスやクラリシッド、アジスロマイシンがジスロマックとなります。

クラリス

マイコプラズマ肺炎を子供が発症した場合、エリスロシンは負担が大きいと考えられることから、「クラリス錠50小児用」や「クラリスドライシロップ小児用」が用いられます。

マイコプラズマ肺炎の治療にエリスロシンを用いる場合、子供でも1日に4度以上が必要となり、2週間近くも服用しなければなりません。
クラリスはエリスロシンの負担を改良されたものですから、上記2種類あるクラリスのどちらかにすれば1日2度、10日ほど飲み続けるだけに回数を減らすことができ、子供でも治療しやすくなります。

クラリス使用成績調査が実施した調べによれば、クラリスで治療を続けた子供がマイコプラズマ肺炎を回復できた割合は、83.8%に及んだということです。
10日間の服用とありますが、実際には耐性菌に感染していない場合であれば、クラリスによる治療を開始してから2~3日ほどで熱が落ち着きます。

クラリスはマイコプラズマ肺炎の他にも、子供が中耳炎・副鼻腔炎、肺炎・肺膿瘍、急性気管支炎、咽頭・喉頭炎などを発症したときの治療に役立てられています。

ジスロマック

子供でも服用しやすいように負担を減らした抗生物質がクラリスですが、さらにエリスロシンの改良を進めたのが「ジスロマック細粒小児用10%」です。
ジスロマックの治療は1日に1度、3日ほど飲むだけですので、薬が苦手なお子さんにもエリスロシンやクラリスより飲ませやすいのではないでしょうか。

ジスロマックで治療を続けた子供がマイコプラズマ肺炎を回復できた割合は、なんと100%だったということです。
耐性菌に感染していない場合であれば、ジスロマックによる治療を開始してから2~3日ほどで熱が落ち着きます。

ジスロマックはマイコプラズマ肺炎の他にも、子供が中耳炎、肺炎・肺膿瘍、急性気管支炎、扁桃周囲膿瘍や扁桃周囲炎を含む扁桃炎、咽頭・喉頭炎などを発症したときの治療に役立てられています。
近年は歯科の治療にも、ジスロマックが採用されつつあります。

子供でも薬を飲みやすくするヒント

子供はどうしても苦味のある薬の飲むのが苦手なので、いつも手こずっているという親御さんも多いことでしょう。
マイコプラズマ肺炎の治療薬であるクラリスやジスロマックは特に苦味が強いので、服用には工夫が必要です。

子供向けの治療薬ということで、クラリスにはイチゴ味、ジスロマックにはパイナップル味やオレンジ味が施されているのですが、苦味は残っています。
子供が好きな味のものに混ぜ込めば飲んでくれそうですが、抗生物質は薬ですので、飲み合わせがよくなければ治療効果が減少することも考えられます。

クラリスやジスロマックの表面をおおっている材料は、酸性に弱いという性質があります。
そのため、一緒に食べて味をまぎらわすものは酸性の食品がおすすめです。
表面の酸性がはがされることにより、苦い味が弱まるので、薬を飲みやすくなるでしょう。

酸性の食べ物はいろいろありますが、実際にクラリスやジスロマックを混ぜて味がいいのは、ココアや味が濃いアイスクリームなどです。
ミルクやプリンでもそこそこ美味しいので、クラリスやジスロマックをそのまま飲み込もうとするより飲みやすくなるはずです。

酸性であっても、スポーツドリンクやヨーグルト、味が薄めのオレンジジュースやリンゴジュースは、クラリスやジスロマックと味の相性がよくありません。

最終的には、お子さんの日ごろの味の好みによって選んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

マイコプラズマ肺炎は風邪に似た感染経路や症状の病気ですので、風邪やインフルエンザ対策をしていれば、自然とマイコプラズマ肺炎の予防にもつながります。
子供の方が感染しやすいといっても、大人より子供の方が重症化しないというこの肺炎の特徴は、幼児などを持つ親御さんにとって安心材料になったかもしれません。

まだワクチンによる予防接種方法がないとはいえ、通常の風邪対策をしていれば防ぐことができますので、マイコプラズマ肺炎に限定した特別な対策は不要といえそうです。
人ごみにでかけるときはマスクを着用すれば、飛沫感染を防ぐことができます。
市販の風邪薬を服用しても辛い咳が改善しないときなどは、医師に診てもらうようにしてください。

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