溶連菌(ようれんきん)という言葉を聞いた事はあるけれど、どんな病気なのか知らない、という方もいるかもしれません。

特に小さなお子様がいた場合、流行っているという事を耳にするお母さんも多いと思います。

この溶連菌とは危険な病気なのかどうか、治療方法や仕事や学校を休む期間等、疑問に思う事が多い部分を解説していきます。

そもそも溶連菌って?

一般的に溶連菌感染症と言われる病気は「A群溶血性連鎖球菌(えーぐんようけっせいれんさきゅうきん)感染症」という正式名称を略した感染の病気です。
「溶血性レンサ球菌」や「人食いバクテリア」とも呼ばれます。
患者数は急激に増えています。


引用元: Nippon News Network(http://www.news24.jp/)

原因は細菌の感染

A群β(べーた)溶血性連鎖球菌という細菌が喉に感染する事で発生します。

何かが自分の体の中で発生するのではなく、人からもらって症状が出てしまう病気です。

正確には溶血性連鎖球菌というのはA群だけでなく様々な種類があるのですが、これらの感染症の9割程がA群β溶血性連鎖球菌のため、一般的には溶連菌感染症と言うとこのA群溶血性連鎖球菌感染症の事を指します。

A群溶血性連鎖球菌
A群溶血性連鎖球菌

出典 国立感染症研究所(https://www.niid.go.jp/niid/ja/)

子供の病気?

また溶連菌感染症は子供にかかるイメージが強い方もいると思います。
これは体の免疫(めんえき)機能が弱い子供は症状が出やすいためです。

実際に溶連菌感染症の多くは4歳から9歳の間の子供です。

何度も発症の可能性はある

子供に多い病気ではありますが、水疱瘡(みずぼうそう)や麻疹(はしか)と違って何度でも症状が出ます。
一度感染したからと言って、免疫が100%とはならない事もあるためです。

ですが免疫ができていれば溶連菌が感染していても症状が全く出ない健康な状態の場合もあります。

子供に多いが大人も感染する

子供の病気が強いイメージのある溶連菌ですが、大人も感染しないとは限りません。
感染するケースとしては疲れていたり寝不足であったりと、免疫機能が弱まっている時です。

溶連菌による症状の写真・画像

溶連菌感染症として下記があります。

  • 喉が赤く腫れ上がる
    溶連菌による喉の赤い腫れ
    溶連菌による喉の赤い腫れ

    出典 つつみこどもクリニック(https://www.tsutsumi-c-c.com/)

  • 全身の赤い発疹
    溶連菌による発疹
    溶連菌による発疹

    出典 つつみこどもクリニック(https://www.tsutsumi-c-c.com/)

  • いちご舌と呼ばれる舌にできるブツブツ
    溶連菌によるいちご舌
    溶連菌によるいちご舌

    出典 国立感染症研究所(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/340-group-a-streptococcus-intro.html)

これらの症状が特徴的ですか、他にも症状としては様々あります。

  • 頭痛
  • 38、9度の高熱
  • 関節痛

全ての症状が必ず発生する訳ではなく、個人差があります。

重傷時の症状

重傷になると喉だけでなく体にも溶連菌が感染してしまい、皮膚病としての症状が出る事があります。

  • 膿痂疹(のうかしん)
    肌の表面に溶連菌が感染した病気です。
    皮膚に水ぶくれとかさぶたが発生します。

 

  • 蜂巣織炎(ほうそうしきえん)
    皮膚の更に中側に感染した病気です。
    皮膚が腫れてきたりジンジンとした痛みがあり、膿が出てくると蜂の巣の様になってしまいます。

大人と子供で症状は違うのか

基本的には症状は大人も子供も一緒ですが、一部の症状が大きく出る事もあります。

小さな子供では吐き気や腹痛の症状、また皮膚に感染し、かさぶたが発生することが多いです。

大人では喉の痛みが強く出る傾向にあります。

合併症に注意

合併症は溶連菌が他の部位にうつることで発生するものばかりで、溶連菌感染症の症状が治まって数日から数週間で発生する事が多いです。

ですが早めに病院に行って正しい治療を行えば合併症は発症しにくいです。

  • 肺炎
    溶連菌が肺の中にうつる事で発生します。

 

  • リウマチ熱
    溶連菌が感染した事により体が反応を起こすもので、関節、心臓、皮膚、神経系に症状が現れます。

 

  • 敗血症(はいけっしょう)
    全身の血液に溶連菌が入ってしまい、引き起こる病気です。
    喉から直接ではなく、主に肺や腎臓にうつった溶連菌が血液の中に入ってしまうことで起こります。
    症状は個人差がありますが、心拍数・血圧や呼吸の異常、むくみ、お腹の張り等があります。

 

  • 糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)
    腎臓の一部である糸球体という部分に溶連菌がうつって起こります。
    糸球体腎炎が進展するうち、小児は1%程、成人では10%程のケースですが、急速に症状が広がり糸球体という部分が大きく壊れてしまった場合、腎不全という腎臓が機能しない病気になることもあります。

感染経路、感染例

感染経路は飛沫(ひまつ)感染というくしゃみや咳等を通じての感染と、接触(せっしょく)感染という物を通じての感染があります。

毎年流行時期はありますが、インフルエンザよりは感染しにくいです。

感染していても症状が出ない場合も

溶連菌に感染しているからと言って必ず症状が出る訳ではありません。

健康な状態で体内に溶連菌がある人もたくさんいて、症状が出ていない人は感染させるリスクはほとんどありません。

感染させやすい時期

病院で薬の治療を行う前から、治療開始の翌日までが人にうつしやすい時期です。
この間はマスク、うがい手洗いをしっかり行いましょう。

感染例

家族間や保育園や学校の免疫力が低い子供が多い場所で感染する事が多く、家庭内では食材を通して感染するケースが多いです。

自分の子供が感染するとそこから兄弟に感染したり、場合によっては疲れて免疫が低くなっている親に感染するという事もあります。

流行時期はあるの?

流行のピークは1年で2回あり、春から初夏にかけてと冬ですが、真夏も少ないものの感染することがあります。

そのため注意は1年を通して必要となり、周りで感染している子供がいた場合は予防をしておく事が感染させないポイントです。

潜伏期間に感染が多い

潜伏期間は2日から5日程です。

子供が多い場所では、この潜伏期間により時間差で感染してしまい、後に集団感染となるケースがあります。

検査方法

病院での喉を検査して溶連菌がいるかどうかを調べます。

抗菌剤を飲んでから行うと正確な結果が出ない事もあるので、通常は検査を行ってから薬を処方します。

迅速診断(じんそくしんだん)キット

医療機関でも多く実施されている方法です。
綿棒で喉をこすって試薬につけて反応を確認するので、その場で確認できるのが特徴です。
10分、15分程で結果が出ます。

咽頭培養(いんとうばいよう)検査

キットと同様の方法で喉をこすって検査するのですが、病院では検査せず専門の期間に提出するため日数がかかります。

溶連菌感染症との疑いが高ければ迅速診断キットで良いのですが、特定が難しい場合に行われます。

治療後の検査

治療が完治してから尿検査を行うことがあります。
これは腎炎に進展していないかを確認します。
血尿、たんぱく尿が出ると腎炎の可能性が高いです。

どんな治療方法があるの?

風邪みたいなものであれば、あまり病院に行かずに治療をしたいと考える方もいます。

実際に自然治癒もするのですが、病気の進展・合併症や感染を考えると病院で治療を行った方が良いです。

また自己判断で薬を飲むのをやめてはいけません。

抗生物質で治療

病院では抗生物質という細菌をやっつける薬を大体10日〜2週間程度処方されます。

熱は2〜3日程で下がり、喉の痛みも治まります。

基本はペニシリン系抗生物質という薬になりますが、アレルギーがある場合や耐性ができてしまった時には違う抗生物質としてマクロライド系、新世代セフェム系という物が処方されます。

1週間程で自然治癒はするが…

普通の風邪としての認識の場合もあり、抗生物質を飲まないで溶連菌感染症の症状自体は1週間くらいで治ることも多いです。

ですが抗生物質を飲まなかったり途中でやめてしまうと、合併症が出る危険もあり、特に腎炎に繋がる事があります。

病院でも途中でやめない様説明があります。

溶連菌による咽風邪の多くは6日以内に自然治癒します。それでも抗生物質を用いて治療する理由は、咽風邪の症状を早く治し、他人への感染を防ぎ、万一の合併症を抑えるためです。
出典 小児科玉井クリニック(http://tamai-kids.blogspot.jp/2008/11/blog-post.html)

出社・学校・保育園はどうすれば?

「感染症」という事で、周囲に感染させない様に休まなければいけないのか、という心配もあると思います。

ですが厚生労働省では目安はあるものの、休まなければいけないとは定められていません。

ただ他の人に感染させない様、また症状辛い事から、安静になるまでは休んでおくのが良いです。

いつからいける?

溶連菌は抗生剤を飲んで24時間で感染リスクは大幅に下がります。
厚生労働省でも目安は「抗菌内服薬後1-2日後」となっています。

そのため症状が安定しているのであれば、病院に行った翌々日には会社や学校、保育園に行っても大丈夫です。

ですが小さい子供を行かせる場合には、感染の注意が必要なため、溶連菌にかかっているという事を学校や保育園には伝えておきましょう。

個別の決まりがないかも確認

また会社も接客や介護の人と接する仕事の場合、感染症に関しては一定期間出勤してはいけない等、勤務先で別途定めている場合があります。

保育園でも登園届が必要な場合もありますので、それぞれ確認しておきましょう。

食事、入浴で気をつける事は?

小さな子供がかかった場合、入浴させてよいのか食事は変えた方がいいのか、等悩むこともあります。

ですが溶連菌感染症はそこまで神経質にならずとも大丈夫です。

食事は喉に優しい物を

食べてはいけないという物はありませんが、できれば消化の良いものにすると良いです。

また喉に刺激を与えない様、熱さ、辛さ、酸っぱさの無い物にしましょう。

入浴は熱が下がってから

熱が下がっていれば入浴も問題ありません。

ただ、皮膚の症状が酷い時には悪化させてしまう可能性もありますので、皮膚症状が出ていたらあまりゴシゴシと洗わず、お風呂も避けてシャワー程度で済ませるのが良いです。

予防方法はあるの?

細菌ですので基本的にワクチンの様な予防注射等はありません。

主には風邪と同様で、うがい手洗いやマスクの着用である程度感染を防ぐ事ができます。

ピークである春から初夏と冬に気をつけ、特に冬は溶連菌以外にも感染症が流行やすいのでしっかりと予防しておくのが良いです。

ただし必ず防げるという訳ではないので、疲れている時や小さい子供の周りに感染者がいる時には注意しましょう。

しっかりと休んで治療を

溶連菌は風邪と思って終わる事も多い感染症です。

そのため、それほど酷い症状でないのなら出来るだけ休みたくないし自然治癒で治したい…という気持ちもあるかもしれません。

ですが感染が広まってしまう事や症状の進展の危険性があります。
出来るだけ病院で治療し、症状が治まってからも必ず薬は最後まで飲む様にしましょう。

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