RSウイルスは乳児に感染しやすく深刻な症状になりやすい、という話を聞いたことのある方も多いと思います。

アールエスウイルス、医療機関ではRSVとも記載されます。ここではRSウイルスとして表記します。

RSウイルスとは呼吸器系に感染するウイルスで、風邪と同じ様な症状で成人であれば怖がる事はありません。生きているうちに何度もかかる感染症です。

ではなぜ赤ちゃんが危険なのかというと、体の抗体という機能と関係があります。

 

乳児のRSウイルス感染は特に注意が必要

人間は自分の体を守るため、入ってきた細菌やウイルスに対して守ろうという機能が働きます。

これを抗体と言いますが、抗体ができるのは自分の体に入ってきた細菌やウイルスに対してのみです。

そのため、まだかかっていない感染に関しては抗体ができず、生後年数が経っていない赤ちゃんはまだまだ抗体が少ない事となります。

RSウイルスは何度も感染する物ではありますが、初めての感染であれば全く抗体がなく症状が重くなる可能性があるのです。

2歳になるとほぼ全ての赤ちゃんが感染を経験し、抗体ができています。

ですが2歳未満の場合には抗体が不十分で症状が悪化、発展する事があるので気をつけなければいけません。

赤ちゃんの症状

軽い症状であれば大人と同じ症状で、鼻水、咳、のどの痛みや発熱です。

発熱は38、9度まで上がることがあります。

病院に行き、症状に対しての治療を行うことで通常は落ち着きますが、状態によっては悪化や発展している場合もあるので注意しなければいけません。

気をつけるべき変化

以下の様な状態であれば、一度病院に診てもらっていても再度診てもらった方が良いです。

赤ちゃんは自分で「辛い、苦しい」と伝える事ができないため、親が状況をしっかり見てあげる必要があります。

  • 機嫌が悪かったり、元気がない状態が続いている
  • 食事、ミルクを十分に飲んでいない
  • 熱が下がらない、咳が治まらない
  • 呼吸をしている時に、ゼイゼイ、ヒューヒューという音が鳴る
  • 顔や唇が悪くなる(呼吸が不十分で酸素が足りていない状態)
  • 耳をよく触っている

他の病気に発展?

RSウイルスとは呼吸器に感染するウイルスですが、それが発展、悪化すると肺炎、細気管支炎という病気になる事があります。

細気管支とは肺と繋がっている器官で、それぞれの呼吸器官に感染してしまっている状態です。

呼吸が難しくなり、全身に十分に酸素が行き渡らない事になり、赤ちゃんにとっては危険な状態となります。

また呼吸器官を通して耳に感染し、中耳炎となる場合もあります。

なかなか中耳炎は症状としては見つけづらいですが、耳を頻繁に触っている時には、実は耳が痛いというサインの可能性もあります。

2歳以上であれば元々病気を持っていない場合は発展する事は少ないですが、そうでなければしっかりと治療、検査を行う必要があります。

病院で細気管支炎、肺炎と診断された赤ちゃんは入院となる事もあります。

病院での検査方法

RSウイルスの病院での検査方法は、まずは鼻水を取ってウイルスがないかどうかを確認する簡単な物となります。

これは10分前後で結果が出る簡単な検査です。

更に肺炎、細気管支炎に発展していないかを確認する時には胸部X線やレントゲン検査を行います。

病院にもよりますが、X線やレントゲンで症状がわかる医師がいれば当日で結果が出ます。

注意すべき年齢

ほぼ全ての赤ちゃんが感染を経験する2歳までは当然注意が必要ですが、更にその中でも生後6〜7ヶ月と言うのは、免疫(めんえき)力が低くなっているので特に気をつけましょう。

特に生後6~7ヶ月前後の赤ちゃんは、お母さんからもらった免疫力が低下してくる時期です。従って、風邪をこじらせるなど肺炎になりやすいと言われているので注意してください。

出典 中野こどもクリニック(http://www.nakanokodomo.com/db/haien.htm)

RSウイルスのワクチンはあるの?

ウイルスと聞くと、予防ワクチンもあるというイメージも持つ方もいるかもしれませんが、2017年現在では研究は続けられているものの、予防ワクチンはありません。

ですが症状を発展・重症化しない様に抑えるワクチンはあります。

パリビズマブという抗体製剤で、シナジスという薬品名となっており、病院で注射をする事で受けられますが対象は限られています。

ワクチンの効果は一ヶ月間のため、流行期間のみ毎月注射をする事になります。

対象の赤ちゃん

パリビズマブのワクチンを受けられるのは、2歳未満の赤ちゃんのみです。

1980年代、心臓の病気を持っている赤ちゃんがRSウイルスの重症化で死亡した割合が大きかった時がありました。

RSV感染の致死率は1〜3%と報告されているが、状況によりかなりの差違があり、基礎疾患、特に心肺系疾患、免疫不全、低出生体重、そして低年齢などが致死率を上げる危険因子となる。1980年代の心臓に基礎疾患のある小児入院例の研究では、致死率37%とする報告がある。

出典 国立感染症研究所感染症情報センター(http://www.niid.go.jp/niid/ja/encycropedia/392-encyclopedia/317-rs-intro.html)

抗体が十分にできておらず、症状が重症となる可能性がある中で、心臓や呼吸器、免疫に対して弱い次のような赤ちゃんが対象です。

  • 過去6カ月以内に気管支肺異形成症(きかんしはいいけいせいしょう)の治療を受けている
    気管支肺異形成症とは早産の赤ちゃんに発症し、呼吸器官に関する病気です。RSのウイルス感染により、呼吸器官症状が更に重くなってしまう可能性があります。

 

  • 血行動態に異常のある先天性心疾患(せんてんせいしんしっかん)をもっている
    生まれつき血液の流れの状態が通常とは異なっている病気です。血液がうまく流れず、更に呼吸器官もうまく働かないと全身へ酸素が行き渡らず、危険な状況となります。大きく分けると3つのタイプがあります。心臓の機能が悪くなり心不全を主とするタイプ、酸素が巡りにくくなり皮膚の色が悪くなるチアノーゼという症状を起こすタイプ、両方が同時に起こるタイプです。

 

  • 免疫不全を伴う
    免疫が弱い、つまり体の抵抗力が弱い病気です。抵抗力が弱いと、RSのウイルスの感染も重い症状になってしまう場合があります。

 

  • ダウン症候群
    ダウン症とは生まれた時からの染色体の異常による病気で、身体的成長の遅れや軽度の知的障害という症状があります。ダウン症候群の赤ちゃんは呼吸器系の病気にかかりやすいことから、RSウイルスワクチンの投与対象となります。

 

  • 早産の赤ちゃん
    特にこれらの病気がなくても、早産の赤ちゃんは免疫が通常よりも弱いことからワクチンの投与対象です。妊娠から出産まで28週以下の早産だった場合は生後12ヶ月以内、29〜35週の早産だった場合は生後6ヶ月以内が対象です。

喋れない赤ちゃんは親が見てあげよう

RSウイルスは生きている中で何度も感染する風邪症状で、多くの場合は心配ありません。

ですが抗体がまだできていないうち、また他に病気をもっている赤ちゃんには危険な感染症である事を認識しておく必要があります。

特に赤ちゃんは自分で辛い症状を伝える事ができません。

普段と違う様子はないか、何か辛そうな様子はないか、呼吸は問題ないか、これらの部分に注意しておきましょう。

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