身体完全同一性障害とは、自分の体の一部を切断したいという欲求や脅迫観念をもってしまう症状です。
日本でも世界的も症例としては多くなく、症状自体もあまり有名ではありません。
英語ではBIIDという名前がつけられています。

症状が体の一部があることへの不快感

自分の体の一部に対し、その体がついていることをストレスに感じます。
ですが、その体に対してのストレス以外では精神的にも不調と見られる部分がなく、精神疾患を扱う病院でも病気と診断するのが難しい部分があります。

体の一部があることへのストレスは生まれつきであることが多く、小さい時にすでに体の一部をなくしたいと感じています。
また大人になってから、実際に自傷行為に出てしまうケースが多いです。

実際にあった自傷行為例

実際にこの病気のために自分の体の一部を損傷させたという例を紹介します。
アメリカで自分の両目を見えなくした女性

医学情報サイト「Medical Daily」(10月2日)によれば、アメリカ・ノースカロライナ州に住むジュエル・シュピングさん(30歳)は、2006年のある日、長年の夢を実現するために、液体パイプクリーナーを自分の両目に数滴落としたという。

「激痛が走り、絶叫しました。目からこぼれた液体で頬が焼けるのがわかりました。でも、自分に言い聞かせたんです。『これで目が見えなくなる。大丈夫、すべて上手くいく』って」(ジュエルさん)
引用元 BIGLOBEニュ-ス(https://www.biglobe.ne.jp/)

この女性の場合は、小さい時から目がいらないと感じていました。
3歳くらいの時に電気のついていない暗い廊下が快適と感じ、6歳で目が見えなくなりたいと強く感じたのです。
10代で杖を購入し点字の勉強を始め、20歳では点字を完全に読めるようになっていました。
実際に自分で目を見えなくしてからは、周りからの反応は冷たく家族とも関係が疎遠になってしまったとのことです。

他にも自分の足を銃で撃って医師に切断するように伝えたり、ドライアイスに包んで使えなくしたり、といった例があります。

原因は脳にある?

原因は脳の自分の体のイメージと実際とは異なるために発生するとされていますが、詳しくは解明されていません。
元々、この症状の発見時には「体が欠損していることへの異常な性的嗜好」であるとされていました。
研究が進み、はっきりとはしないながらも主に現在は2つの説があります。

精神疾患の1つという説

精神疾患を持つ人の中で、身体障害者に異常な愛情を持ったり、誰かを身体障害者にしたいという
身体障害者に固執する病気があります。
そのような精神疾患の1つとして、自分がなりたいタイプであるという説です。

右頭頂葉の病気である説

脳の右頭頂葉(みぎとうちょうよう)という部分は、自分の体や機能、大きさをイメージする部分となっています。
身体完全同一性障害の人が切断したいと思っている体の箇所を刺激を与えても右頭頂葉の反応が見られなかったことから、右頭頂葉の病気ではないかとする方もいます。

近しい病気

性同一性障害も自分の思っている性別と体の性別が異なるという状態です。
性同一性障害は海外で性転換の手術を受けることもできますが、身体完全同一性障害は取り除きたいための手術というのは難しいのが現状です。
他にも摂食障害の患者は自分の体が細くても太いと感じ、痩せたいという気持ちから食事を取らない症状があります。
自分のイメージと実際が異なっているという点は性同一性障害や摂食障害などの病気と共通しています。

反対の病気

身体完全同一性障害とは逆に幻肢(げんし)もしくは幻影肢(げんえいし)と呼ばれる症状があります。
この幻肢はないはずの手足の痛みを感じるということもあります。
ですが、こちらの症状は元々あった体の一部を事故や病気で切断することになった際に発生するのが一般的です。
また発症例が多いことから幻肢はある程度研究が進んでおり、神経系の異常とされています。

四肢切断後に現れる幻肢痛をはじめとする神経障害性疼痛の発症には末梢神経系と脊髄での神経系の異常興奮とその可塑性に加え,大脳を中心とした中枢神経系の可塑性が関与していることが,最近の脳機能画像研究から確立しつつある
引用元 j-stage:日本ペインクリニック学会誌(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja)

現在、治療方法はなし

原因ははっきりと特定されていないため、確実な治療方法は存在しません。
ですが、症状から考えられる解決方法は2つとなります。

イメージと実際をすり合わせる

幻肢で行われる治療としてはバーチャル映像や鏡を使い、実際にはない腕を錯覚で認識させます。


引用元: 府中病院(https://www.seichokai.or.jp/fuchu/)

しかし身体完全同一性障害自体の例が少なく、この治療法で改善できているという例もありません。

ストレスに感じている体の一部を切除する

実際に本人の希望通りに体の一部を手術などでなくしてしまう方法です。
海外であった例を見ても、この切断が身体完全同一性障害の方が一番求めている方法になります。
しかし、この病気を知らない人が聞いたら健康な体を切除するのは理解できないというのも多く、また倫理的にも問題とされるので容易ではありません。
実際にスコットランドの医師が身体完全同一性障害の患者が相談に来て、最終的には切断手術を行ったことを公表したら、医学界で議論になったというケースもあります。
この医師は何度か身体完全同一性障害の切断手術を行っていたのですが、倫理的に病院で禁止され手術することができなくなってしまいました。

体の一部がいらないこと以外は通常の人

多くの人は体の一部がいらないと感じながらも、他に関しては精神疾患が認められないという方がほとんどです。
普段は抑えていながらも、1人ではなんらかの方法でそのストレスを感じています。
あまり日本では聞かない症状ですが、倫理的に通常ではないことを本人も感じているので言えないという人も多いかもしれません。
もし親しい人で身体完全同一性障害の方がいた場合、性同一性障害や摂食障害のように本人の体のイメージと違う体がを持ってしまっていることの苦しさを理解してあげましょう。

スポンサードリンク

スポンサードリンク