よく眠れるというと健康的で何の問題もないように思えますが、過眠症という睡眠障害の一種である可能性が考えられます。
睡眠障害は不眠症が有名ですが、よく眠れる過眠症にかかっていることが原因で日常生活に支障が出ることもあります。
過眠症にもいくつかの種類がありますので、どれを発症しているか正しく把握しないことには適切な対応や改善ができません。
本ページは、過眠症の種類・症状・原因・治し方などについて取り上げます。
病的な睡眠であるかどうかをチェックする参考としてJESSも掲載していますので、ぜひ試してみてください。

過眠症の種類

睡眠障害は、主に過眠症・不眠症・睡眠時随伴症・概日リズム睡眠障害の4種類があります。
過眠症は、さらにナルコレプシー・特発性過眠症・うつ病に伴う過眠症・SAS(睡眠時無呼吸症候群)などの種類があります。

ナルコレプシーの症状・原因・治し方

ナルコレプシーは、過眠症の中でも代表的な疾患です。
昼間でも深刻なほど眠い状態が続いたり、夜に就寝するときに幻覚をみたり、金縛りにあったり、カタプレキシー(情動脱力発作)などの症状が現れます。
車を運転している最中でも、責任の重い立場で出る商談中であっても、状況に関係なく眠気に襲われる疾患です。
患者さんの多くは10代で、最も多いのは14歳~16歳です。
勉強に長時間費やしたり、部活動などに打ち込んでいてどっと身体が疲れるため、ナルコレプシーを発症していることを自覚しない方も少なくありません。

ナルコレプシーの原因は、脳にある眠りを調整する働きが異常を起こすことだと考えられています。
脳内にあるヒポクレチン-1(オレキシン)というアミノ酸結合物(神経ペプチド)の一種を生成する神経細胞が、なにかの原因で機能できなくなるとナルコレプシーにかかります。
ヒポクレチン-1の仕事は、エネルギーの代謝を整えること・覚醒や睡眠の調整を行うことなど大切なものです。
ナルコレプシーを発症するとヒポクレチン-1に関わる神経機能の大半が消えてなくなることから、これらの機能が果たされにくくなり、睡眠発作などという形で現れるようになります。
ナルコレプシーはヒポクレチン-1神経が後天的に壊され、神経伝達障害が原因で発症するといわれていますが、現在遺伝的な原因の可能性も研究されています。

ナルコレプシーの治し方は、まだ解明されていません。
そのため医療機関で行われている治療は、運転時の危険性や、学業・仕事などの能率を下がることを最低限にすることを目指して行われます。
実際の治療は、薬物療法と生活のコントロールの2つを軸に行われます。

ナルコレプシーとは過眠症のこと?

特発性過眠症の症状・原因・治し方

特発性過眠症は、昼間に強烈な睡眠欲にかられる疾患です。
10時間以上の長時間眠れるケースと、6時間以上10時間未満の短時間しか眠れないケースがあります。
睡眠麻痺がある・入眠時に幻覚を見る・情動脱力発作がないところで、病院の診察でナルコレプシーと区別されています。
特発性過眠症はまだ未解明の部分が多々ありますが、中枢神経系の機能障害が原因だといわれています。
治し方はナルコレプシーと同じですが、特発性過眠症は情動脱力発作の症状に投与される薬剤が用いられません。

SAS(睡眠時無呼吸症候群)の症状・原因・治し方

SAS(睡眠時無呼吸症候群)は、眠っている最中のとりわけ睡眠が深いときに気道がふさがることが原因で日常生活にいろいろな問題が生じる疾患です。
気道がふさがるということは、呼吸が止まって無呼吸になるということです。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは睡眠中に良質な睡眠を十分に取ることができていないため、昼間に眠くなるという症状に現れます。
他にも、疲労感・集中力や記憶力が落ちる・爽快感の欠如・就寝中に何回もトイレに行くなどもあります。

睡眠時無呼吸症候群の治し方は、禁煙・禁酒・ぽっちゃり体型の方は減量・横向きの体勢で眠るなどの生活習慣の見直しから入ります。
それでも良好に向かわないときには、主に外科手術・経鼻的気道持続陽圧(CPAP)療法・マウスピース療法などがあります。
外科手術は、症状に応じていくつかの種類から選ばれます。
扁桃が肥大していることが原因の患者さんには扁桃摘出術、咽頭扁桃が増えて大きくなったこと(アデノイド)で発症した方にはアデノイド切除術などいろいろあります。
経鼻的気道持続陽圧(CPAP)療法は陽圧を上気道の内部にかけられる口や鼻のマスクをつけて、気道の閉塞を予防します。
マウスピース療法は、気道をマウスピースによってふさがりにくくなるようにするというものです。

うつ病に伴う過眠症の症状・原因・治し方

うつ病を発症すると、覚醒や眠りがスムーズに行われなくなることが多々あります。
うつ病の患者さんの中でも、非定型うつ病というタイプにかかった方は過眠症の症状が現れやすい傾向がみられます。
眠り過ぎてしまう過眠症の他に、眠れない不眠症になるケースもあります。
うつ病に伴う過眠症ですので、原因や治療法も同じです。

うつ病の発症原因は、主に環境的な原因・性格的な原因・遺伝的な原因です。
環境的な原因とは、引っ越しや退職など人生の大きな移り変わりなどがあげられます。
結婚や出産、子育て、家庭内トラブル、身近な人死別などの変化はストレスを感じるものです。
不幸なことばかりでなく、昇進や新築への転居、就職、子供の進学など幸せや楽しい出来事であっても、大きな環境の変化というのは負担がかかるものでうつ病の原因になることがあります
性格的な原因とは、責任感やこだわりが強く、真面目なタイプの方が発症しやすいといわれていることです。
遺伝的な原因とは、血縁のある身内にうつ病と診断された方がいると発症する確率が高まると考えられていることです。

うつ病の治し方は、主に精神療法・薬物療法・休養の3種類の組み合わせになります。
うつ病の精神療法やカウンセリングは、内観療法・森田療法・認知行動療法などがあります。
患者さんによってうつ病の原因はさまざまなことから、性格や環境などどんなきっかっけで発症したのかを把握することで、回復を早めることが期待できます。

薬物療法は、うつ病治療において重要な位置づけにあります。
脳内で感情をつかさどる神経細胞の情報伝達(ノルアドレナリンやセロトニン)が普段通りに機能しなくなり、脳機能が不調になったときにうつ病を発症すると考えられているためです。
抗うつ剤による薬物療法は、減っているノルアドレナリンやセロトニンの分泌量を増加させる効果が得られます。

休養を取ることは、うつ病に限らずケガなどを回復させたいときでも共通する大切な治療方法です。
うつ病は脳が疲れていると考えられますので、患者さんによって必要な休養を取るようにします。
病欠する・出社はしていても残業をしないなどさまざまですが休んだときにかかる周囲への迷惑が気になってしまう患者さんも少なくありません。
職場復帰支援を利用するなどの手段もありますので、まずはしっかり休養を取って治療に専念し、うつ病を治すことが最重要課題だと考えましょう。

病的水準の眠気かを知るJESSチェック!

ロングースリーパーとは睡眠時間が1日9時間以上の方、その反対のショートースリーパーとは6時間未満の方のことです。
誰でも春になって陽気が暖かくなってきたらうとうとしがちになったり、前日の晩に寝るのが遅ければ翌日は睡眠不足を引きずることがあります。
それが病的な水準に達している眠気なのかどうか、素人が自己判断するのは難しいものです。
過眠症の疑いを感じているけれど、実際に病院へ行くとなるとハードルが高いということはありませんか。
正確な診断はやはり専門医に診てもらうことをおすすめしますが、その前に一つの指標としてJESSを試してみてはいかがでしょう。

JESSとは

睡眠外来などの病院でも使用されている、JESS(Japanese version of the Epworth Sleepiness Scale・エップワース眠気尺度)という基準があります。
JESSは自覚的な眠気を評価する手段の一つで、実際の医療機関では患者さんご本人が自覚できない眠気まで全体的に把握できるよう睡眠日誌記録を作成したり、家族から情報を得るなども行われ、より正確な診断や治療に役立てられています。

以下の項目で、ご自身の症状をチェックしてみてください。
合計点が11点を上回ると、今起きている眠気が病的な水準に達している可能性があります。
ただ、睡眠外来などの病院ではご本人が自覚できていない眠気があるケースを疑って家族の情報や睡眠日誌記録なども含めたより正確な判断が行われますので、11点未満でも過眠症と診断されることもあります。

JESSをやってみよう

8項目ありますので、それぞれご自身に適したものを4段階から選んでください。
以下の4段階から、必ず1つ選ぶことが必要です。
ウトウトする可能性が高いなら、3ポイント
ウトウトする可能性が半分くらいあるなら、2ポイント
ウトウトする可能性が多少はあるなら、1ポイント
ウトウトする可能性がほぼないなら、0ポイント

  • 書類や手紙を座って記述している際
    もしくは、車を運転していて2~3分ほど交通渋滞などにより停車中の際
    (JESSを行う目的によって、どちらの質問を選んでも構いません)
  • (アルコールなしの)ランチをしたあとに座っている際
  • 人と座っておしゃべりをしてりる際
  • 午後に横たわって休んでいる際
  • 車を運転手以外として1時間乗り続けている際
  • 静かに劇場・映画館・会議などで座っている際
  • テレビを座って視聴している際
  • 書類・本・雑誌・新聞などを座って読んでいる際

夜勤でも過眠症にならない工夫

一昔前までは夜間勤務があるお仕事といえば、看護師さんなど特定の業種に従事している方のイメージがありました。
現在は便利な時代になり、24時間いつでも商品の販売やサービスのを行う企業が増えたことから、便利になった分だけ夜勤をして毎日同じ時間に就寝できない方が多くなっています。
夜勤などで一定の生活リズムでない方は、体内時計が崩れて過眠症などの睡眠障害にかからないために、以下の中から取り入れられるものをぜひ試してみてください。

就寝前に運動やリラックスを

質の高い睡眠を確保するためには、夕方に運動をすると効果があります。
リラックスをしてから就寝するといいので、お風呂に入ったら熟睡できるなど自分はどんなことでくつろげるのかを把握し、実践するようにしてみてください。

光で体内時計のリセット

勤務時間が昼間になったり夜間になったりしていると、体内時計がずれてくる可能性があります。
体内時計は、光を浴びることでリセットされることがわかっています。
特に午前中がおすすめですので、昼間には太陽の光を浴びて崩れた体内時計の調整を行うようにしてみてはいかがでしょう。

仮眠の重要性

同じ時間眠れるとしたら、昼間より夜の方が効率よく疲労を回復できることがわかっています。
特に22時~翌日6時の8時間の間に睡眠を取れることが理想的です。
夜勤の間に2時間仮眠を取ることができれば、昼夜が逆転しているとしても勤務時間内にボーっとしてしまったりだるくて辛くなることを軽減する効果があります。

刺激物をとる時間帯に気を付ける

タバコやカフェイン入りの飲み物が好きな方は、仕事の合間にもとりたくなるでしょう。
睡眠障害がある時期は早い時間の休憩中にとるようにして、寝る時刻の数時間前からは控えるようにした方が無難です。

日常生活に支障が出る前に専門医へ相談を

過眠症は睡眠時間が他の人と比べて長いというだけでなく、日中に眠気がひどくて日常生活に支障が生じるケースもあります。
例えば、大事な会議中に居眠りしてしまう社会人の方、重要な試験中に起きていられない学生の方などにとって過眠症は大変なことです。
車を運転している最中にどうしようもない眠気に襲われたとしたら、自分の命が危険にさらされるだけでなく、他人を巻き込んでしまう可能性も考えられます。
受診する場所は、過眠症などの睡眠障害に詳しい精神科、睡眠外来を設けている病院、睡眠障害専門の医療機関などになります。
過眠症の症状が進行しそうだと感じたら、専門医に相談してください。

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