やる気が起きないということは誰にでもありますが、家庭や社会に罪悪感や不適応感を抱いてしまう、そうかと思うといろいろな刺激に過剰に反応してしまう、疲れやすいなどの状態が1日間続くようなら気分変調症かもしれません。
気分変調症は気分変調性障害や抑うつ神経症、神経性うつ病などさまざまないわれ方がされてきましたが、まず正式な病名を知り適切な治療を受けることが大切です。
どんな症状がある場合は気分変調症の疑いが考えるかなどもご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

気分変調症の症状

気分変調症はWHOが発表した「icd-10」という診断ガイドラインによれば、反復性うつ病障害の診断基準に達しないレベルの慢性的な抑うつ気分だとあります。
アメリカ精神医学会が公表している「DSM-5」という診断と統計マニュアルでは、気分変調症は持続性抑うつ障害(気分変調症)の名前で掲載されています。
持続性抑うつ障害(気分変調症)は、従来は異なるものとされてきた気分変調性障害と大うつ病性障害の2つの病気が統合されたものです。
WHOでは気分変調症と分類され、アメリカでは気分変調性障害。
日本では古くから抑うつ神経症といわれ、神経症性うつ病という名称で呼ばれることもあります。

気分変調症の症状は青年や子供の場合は最低でも1年以上、それ以上の年代の場合は2年以上もの長い間、ほぼ朝から晩まで抑うつと疲労感が継続しています。
なにをこなすにも努力が必要で、睡眠を取りたくてもなかなか寝付けず、不平を吐き、自分は不完全であるという感情がありますが、日常生活を送る上で特に支障が生じることはありません。
発症した年齢が若年期だった患者さんは、症状が当たり前のこととなっていることから、異常なことだという認識がない場合もあります。

気分変調症の発症原因

気分変調症の主な発症原因は、以下の3通りがあります。

生理学的原因・遺伝的な原因

うつ病の患者さんと比較した場合、気分変調症(持続性抑うつ障害)と診断を受けた方が第1度親族にいる確率が高く、広義での抑うつ障害群と比べて多いとされています。
海馬・扁桃体・前部帯状回・前頭前野といった何カ所もの脳の部位がかかわりを持っている可能性があります。
睡眠脳波記録に異常があることも否定できません。

環境による原因

子供のケースでは、親との離別など親と離れ離れになることが発症につながる場合があります。

気質による原因

素行症や不安症群が併存している・全体的な機能がとても低い・症状が非常に悪い・とても高いレベルの否定的感情(神経症的特質)を持っているという場合は、予後が長い期間あまり改善しない傾向があるといわれています。

気分変調症の治療方法

気分変調症の治療方法は心理療法も薬物療法もうつ病と同じですので、まずうつ病の治し方についてご紹介します。
うつ病の中心となる治療方法は、現在「精神療法」「薬物療法」「休養、環境調整」の3分野です。
休養、環境調整では、患者さんご本人に今までの家事や仕事などの負担を一時的に手放す必要があることの理解が必要になります。

さらに薬物療法ではSSRI/SNRI、三/四還系抗うつ薬が処方され、うつ症状の発症原因である脳内アミンのバランスの崩れを整えます。
精神療法では認知行動療法を軸とし、情緒障害をつながりの深い認知のゆがみを修正することで、ご自身が問題解決できるようサポートしていきます。

気分変調症の場合は軽度の症状であるにもかかわらず、投与された薬への反応がさほどよくないという傾向がみられます。
抗うつ薬を最大量にまでして8週間以上継続しても、全く効果が現れないことも珍しくないほどです。
うつ病治療で一般的に行われている薬物療法の他に三環系抗うつ薬、サイロニンやリチウムによる増強療法などが用いられることもあります。

心理療法の場合では患者さんの将来やご本人、世間などに関して否定的で誤った見方を見直せるようにしたり、自尊心を向上させるなどの方法が行われます。
他にも、リラックスする方法を身に着ける・活動を活発にすることで楽しい経験をする・今抱えているトラブルへの解決策を共に思考する・家族の交流をよくするなどがあります。
患者さんの人生に応じ、小児期に抱えていた失望感や喪失感、当時の気持ち、どうしたら問題を解決することができたのかなどに向き合い、過去と決別するべきケースもあります。
気分変調症の治療では、入院が必要になることはほとんどありません。

気分変調症かチェックしよう

以下のA~Cの中で、Aを満たし、Bの6項目の中で2つ以上を満たし、合計3つに該当するなら気分変調性障害(気分変調症)と診断されます。

A)
ほとんど朝から晩まで抑うつ気分である。
症状が現れるようになってから、抑うつ気分がない日よりもある日の方が多い。
青年期・少年・幼年は最低でも1年、成人は2年は、本人が自覚している抑うつ気分、もしくは第三者から見て抑うつ気分がある。
青年期・少年・幼年の場合は、抑うつ気分ではなくイライラ感のケースもある。

B)
1.絶望感
2.決断困難または集中力低下
3.自尊心の低下
4.疲労または気力の落ち込み
5.過眠または不眠
6.過食または食欲減退

C)過去2年間(青年や小児の場合は1年間)に渡り、この障害で1回に2か月以上のあいだ基準AとBの症状が生じなかった時期はない。

気分変調症の患者人口

気分変調症を発症する患者さんは、人口の5%~6%の割合です。
精神科診療所を受診している患者さんの中で、気分変調症の方は1/3~1/2にものぼっています。
低所得者や結婚していない若者が多い傾向があります。
症状が軽減していない大うつ病と、合併症を起こしやすいのが特徴的です。
不安障害が現れたときに境界性人格障害・物質乱用・強迫性障害・パニック障害といった別の精神疾患を併発することもよく起こります。
小児の患者さんは気分変調症が完治するケースもあり、再発するケースでは途中で大うつ病にかかることがあります。

気分変調症で障害年金はもらえる?

精神疾患の治療はある程度時間がかかることが多いので、長期間通院することになることも予想されます。
仕事をしている場合でも需給を受けられる制度などがあれば理想的なのですが、そんなときに思い浮かぶものの一つが障害年金です。

しかし、気分変調症で年金の受け取ることはできないのかというと、可能性がゼロというわけではないのですが比較的困難というのが実情です。
気分変調症だからということでなく、精神疾患全般が障害年金の受給申請が通りにくい傾向にあります。
申請する場合は、提出するための「診断書」を医師に作成してもらいます。
診断書は等級が何級かなどを記載してもらうものです。
さらにご自身で、「病歴・就労状況等申立書」を作成し準備することになります。

適切な診断を早く受けるには

気分変調症は病院でもうつ病だと誤診されることがよくあるのですが、症状の軽さや経過が長期間であることなど明らかな違いがあります。
通院をしてからしばらくたって正しい診断に切り替えられ、病名が気分変調症になることもときどき起きています。
正式な診断を受けることが、適切な治療を受けて治るために必要なことです。
もし、気分変調症など精神疾患の疑いを感じたら、早めに医療機関で初めの一歩を踏み出されることをおすすめします。

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