日本における統合失調症の患者数は、およそ80万人だと厚生労働省のホームページで伝えられています。
さらに世界人口から見て一生に統合失調症にかかる人の割合は0.7%にものぼると推定されており、100人に1人弱の人数になるということです。
そんな統合失調症は決して他人ごとではなく、誰でもかかる可能性がある疾患です。
本ページでは、原因やどのような症状が現れたら統合失調症だと診断されるのかについてご紹介します。
現在の状態を改善に向かわせるため、どのような対応が適切なのか判断材料の一つになれれば幸いです。

統合失調症とは

統合失調症は、脳にある感情・行動・思考をまとめる(統合する)機能に障害が発症する病気です。
統合失調症にかかると精神的にさまざまな症状が現れますので、場合によっては普段の生活を送ることが難しくなるほどです。

統合失調症は、主に以下の2タイプに分類されます。


引用元: ココヤク(https://cocoyaku.jp)

  • 陽性症状 ── 現れる症状が妄想や幻想などの目立つもの
  • 陰性症状 ── 現れる症状が社会的ひきこもりや自発性減退などの目立たないもの

統合失調症の原因

統合失調症の発症原因は、まだ解明されていません。
現在まで進められてきた研究では、以下の危険因子や知見が代表的とされています。

神経化学的変化

統合失調症は陽性症状と陰性症状の2タイプがあることは上記でお伝えしましたが、その陽性症状がでる仕組みとして最も信憑性が高いといわれている仮設があります。
ドパミン(ドーパミン)と呼ばれる神経伝達物質への感受性が脳神経において過敏になることから、幻覚妄想が生じる(ドパミン仮設)という説です。

ドパミンが神経から生成されるのを促す覚醒剤成分アンフェタミンなどを長期的に使っていると、幻覚妄想が生じることがあります。
また、統合失調症の幻覚妄想の改善治療に効き目を発揮する薬があり、この薬は神経でのドパミン受容体を遮る効果があります。
これらの性質を根拠として、ドパミン仮設が唱えられています。

ドパミンは第2世代抗精神病薬といわれていますが、他にもセロトニンという神経伝達物質の受容体にも遮る効果を持った薬が、統合失調症の陽性症状にも陰性症状にも効果的です。
セロトニンが多く伝達していることが、統合失調症の発症に影響すると考えられています。

心理的要因

一生涯の大きな出来事である就職や結婚、感情的に周りの人から避難を受けたとき、精神的な緊張感が高まったりプレッシャーに押し潰されそうになることがあります。
そんな心理的要因が、統合失調症の発症原因になる場合があります。
疾患へのかかりやすさ(神経発達障害・遺伝的な背景・元からその人が持っている性格や気質など)は人それぞれで、そこへストレスが加えられると統合失調症につながることもあります。

性格

統合失調症の患者さんの性格は、無頓着さと神経質さが入り混じり、傷つきやすい・大人しい・内気などの特徴がある統合失調質があるといわれています。
大勢でいるより一人で過ごすことを好み、非社交的な傾向がみられます。
決して全ての患者さんが統合失調質ではないのですが、比較的その傾向がある方が少なくありません。

脳の変化

MRIやCTでの脳画像研究によれば、統合失調症にかかったばかりの脳は部分的に萎縮が確認され、脳の神経発達障害の影響があることが考えられます。
脳の働きを画像で研究できる機能的MRIやPETなどによると、前頭葉の低下が確認されました。
その研究から、意欲や自発性の低下となる陰性症状へのつながりが指摘されています。

遺伝

遺伝的な原因が考えられていますが、遺伝の1つだけが原因とはいえません。
例えば、一卵性双生児の方は同一の遺伝子を持って生まれてきましたが、統合失調症に2人ともかかる割合は約5割であることがわかっています。
両親の内どちらかが統合失調症である場合でも、その子供が一生に統合失調症にかかる割合は約1割止まりです。
これらのデータを総合して判断すると、遺伝のみでなく環境的な側面の影響があることが推測できます。

統合失調症の症状

統合失調症の症状は患者さんによってさまざまなのですが、今回は大まかに以下の3つに分類します。

幻覚や妄想

統合失調症の主な症状が幻覚や妄想で、陽性症状という言われ方もされます。
幻覚は、実在しないものを感覚として実感することです。
統合失調症の症状における幻覚で多いのは、人がいないのに声が聞こえるというもの(幻聴)です。
妄想は、間違った内容でも信用してしまい、周囲がその間違いを改める助言をしても信じないというものです。

統合失調症の妄想には、例えば以下の4つの被害妄想が代表的です。

  • 追跡妄想 ── 自分を警察が尾行している
  • 注察妄想 ── 道を歩行しているとき、すれ違う人々が自分のことをチラチラ盗み見ている
  • 関係妄想 ── 近所に住む人がする咳払いは、自分に警告を投げかけている
  • 迫害妄想 ── 自分の敵が街中をすれ違う人の中にいて、自分を襲撃しようとしている

誇大妄想も統合失調症の一種にあり、世界を動かす力が自分にあるという考え方を強く持っているケースがあります。
自我障害とも総称され、妄想に近いものとして以下の行動や思考があり、自分自身によるものだという意識が失われてしまう場合があります。

  • 考想伝播 ── 世界中の人たちに自分の思考が知れ渡っている
  • 行為体験 ── 自分はやりたいと思っていないにもかかわらず、他の誰かに身体や考えを操られる
  • 考想化声 ── 自分が思考していることが、声になって聞こえてくる

幻覚や妄想の中身をよく検討してみると、患者さんに対して他人が悪いことを行おうとしている内容だとわかります。
言い換えれば、人間関係から起因している考え方だということです。
ご本人の考え方や気持ちから起因していると考えられます。

日常生活における障害

統合失調症の陰性症状という言われ方もされ、幻想や妄想があるだけでなく日常生活に障害が現れます。
その場に適した行動を取ったり会話をすることが社会生活や日常生活でしづらくなり、症状の説明を第三者にすることが難しいことのため、誤解を受けやすくなりがちです。
例えば、気配りができない・常識に欠けている・社会性が不足している・怠けているなどの誤解を受ける可能性があります。

病識の障害

病識は自分が病気を患っているという自覚のことで、統合失調症にかかっている間は病識に障害を受けます。
ご自身以外の患者さんの症状は統合失調症によるものだと判断がついていることから、判断能力に障害を負っているわけではありません。
統合失調症が治るほどに病識の障害も緩和され、徐々に認識できていきます。

薬服用の自己判断は危険

統合失調症の患者さんの一般的な経過は、治療を受ける激しい症状の急性期がおさまり、そこから回復期へと治る方向へ向かいます。
病態の推移は患者さんによって個人差がありますので、中には症状が完全に出なくなる方もいます。
ただ、症状がなくなったら完治したと自己判断し、薬の服用を中断するのは危険なことです。
医療機関から症状されている薬をやめたくなったら、最初にかかりつけのお医者さんに相談してください。
途中で薬の服用を中断してしまうと、再発するケースが多々あるためです。
統合失調症の症状が二度と現れないようにするためには、多少時間がかかることも見据えた上で気長に病気とつき合っていくことが大切です。

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