足首(内側)の痛みは、ハードなスポーツをしている選手はもちろんのこと、普段の生活の中でも生じることのある異変です。
特に患部が腫れていないという場合でも、辛い痛みがあればいつものように足を前側に進めて歩くことすら困難になります。
そのような足首の痛みが内側にあるとしたらどんな病気の可能性があるのか、本ページでご紹介していきます。
病気の発症原因、治療方法、同じ骨折という言葉が名前につく過労骨折でもただの骨折とはどのような違いがあるのかなどいろいろお伝えします。
内反捻挫(ないはんねんざ)
引用元: クレーマージャパン(http://www.cramer.co.jp/)
内反捻挫は、足首に発症することが多い捻挫のことです。
そもそもその捻挫は、足関節(足首にある関節のこと)など関節をひねったことで生じたケガの総称です。
内反捻挫では足の甲を押したり、負傷したときと同一の体勢を取ったときに痛みが現れます。
患部は腫れ、症状が進行すると足首(内側)の痛みなどばかりでなく、足が全体的に腫れ始めます。
内反捻挫と似た負傷に骨折がありますが、足首を骨折した場合の主な症状は足を動かさなくても激しい痛みに見舞われ、足が全体的に腫れます。
もし足首をケガして、内反捻挫か骨折かの判断が難しいときは、手の人差し指を使って足の親指を弾いてみてください。
振動のみで痛みがあるようでしたら、内反捻挫ではなく骨折でしょう。
捻挫の応急処置をしていても治らない可能性が高くなりますから、病院で診てもらってください。
内反捻挫の原因
内反捻挫はつま先が強制的に下方向や内側へと動かされたことで、足の甲の外側にある靭帯が伸びてしまい、全て切れるか一部分が切れるかすることが原因で痛みの症状が現れる疾患です。
内反捻挫の痛みの発症場所として多いのは、内くるぶしや足の甲の外側などです。
捻挫のみのケースでは外側へつま先を向けて足首を動かさないように注意しつつ、かかとだけが地面に着くようにすれば歩けないことはありません。
ただ、地面に着地するたびに受ける衝撃によってかかとに痛みが走ります。
内反捻挫はケガを負って半日くらい経過してから、内出血の症状が現れます。
内反捻挫の治療方法
内反捻挫と病院で診断されたら、一般的な治療方法として湿布・痛み止め・消炎鎮痛薬が処方されます。
軽度の内反捻挫でも油断することなく、しっかりアイシングをして安静にしてください。
アイシングや安静にすることをしないでいると、軽症であれば1週間ほどで回復する疾患であるにもかかわらず、腫れがいつまでも引かなくなって後遺症が残りかねません。
歩行したり長時間立ち続けなければならない場合、軽い内反捻挫だとしても長引いてしまう場合があります。
そのような場合は病院で相談すると、足首をできるだけ動かさずに安静でいられるよう、サポーターを処方するなどの対応をしてもらえるでしょう。
回復してもそれで治療が完全に終わったとは考えずに、再び内反捻挫をしないための予防をすることが重要です。
テーピングをするという予防方法もありますが、お金がかかって長続きさせることに不向きなので、履いている靴が本当にご自身に合っているか見直されることをおすすめします。
末梢動脈疾患(PAD)
末梢動脈疾患(PAD)は動脈硬化が足の血管に発症し、血管が詰まったり細くなるなど足まで血液が十分に運ばれなくなるという疾患です。
末梢動脈疾患にかかると、歩くときの足のしびれ・冷え・痛みなどの症状が現れます。
悪化すれば歩行が困難になる間欠性跛行(かんけつせいはこう)になったり、歩かないときでも痛くなるなどの症状が起こります。
病態がさらに進行した場合、足が壊死したり潰瘍ができるケースもあり、症状によっては手術を受けることもあります。
動脈硬化は足首などばかりでなく全身に進んでいくことから、足に発症した動脈硬化は脳や心臓の動脈硬化にも発展しかねません。
強いては脳卒中・心筋梗塞・狭心症などにもつながっていきます。
末梢動脈疾患の原因
末梢動脈疾患の患者さんには、以下の3つの特徴が傾向として見られます。
- 喫煙者
- 男性
- 年齢が50歳以上
男女の発症率を比較すると、男性は女性の約8倍~9倍という多さです。
末梢動脈疾患の発症原因は、動脈硬化症です。
ということは、動脈硬化症の原因がそのまま末梢動脈疾患の発症原因であるということがいえます。
動脈硬化症は、特にストレス・運動不足・肥満・高脂血症・高血圧・糖尿病などの生活習慣病・喫煙などに心当たりのある方は要注意です。
末梢動脈疾患の治療方法
末梢動脈疾患だと病院で診断されたら、主に薬物療法・理学療法・バイパス手術・血管内治療の4種類で治療が行われます。
- 薬物療法 ──
末梢動脈疾患の患者さんは動脈硬化の原因である肥満・ストレス・糖尿病・高脂血症・高血圧・喫煙などのコントロールが治療に効果的ですので、適度な運動や栄養バランスのいい食生活などに取り組んでいきます。
これらの生活習慣の改善を行っても回復されないようであれば、薬物療法(抗血小板薬など)に入ります。
- 理学療法 ──
医師に指導の元で筋肉運動(軽いジョギングや速歩きなどによる運動療法)を行うことで、側副血行路(そくふくけっこうろ・通常とは異なる血液の通り道)を発展させ、足に運ばれる血液を増やしていきます。
末梢動脈疾患の間欠性跛行を効果的に改善させられる治療法です。
- バイパス手術 ──
詰まったり狭くなった動脈の先への血流が改善させられるよう、患者さんご本人の血管や人工血管で血管を連結させ、詰まって流れが滞っている部位を迂回できるバイパス(他のルート)を作成する外科的手術療法です。
- 血管内治療 ──
血管造影の手技(しゅぎ・手で行う仕事)によって行う、血管内治療が発展を遂げています。
血管内治療は、血管病変をカテーテルという管で治療する方法です。
血管が詰まった部分や狭くなった部位にバルーン(風船)をつなげたカテーテルを通し、血管内部からバルーン膨らませることで血管が拡張されます。
バルーンのみで血管が十分に拡張されなかったときは、血管内にステントと呼ばれる金属性の筒を通す方法で対応します。
骨折
骨と骨の周りには血管や神経がたくさんありますから、骨折をした場合腫れや痛みの症状が現れます。
重度の症状になると動かすことができなくなり、見た目も変形する場合があります。
必ずしもこれらの症状が現れたら骨折というわけではなく、似た症状の疾患に関節脱臼や打撲などもあります。
確実に骨折という診断を受けるためには、レントゲン(X線)写真による検査が必要です。
骨折の原因
骨折の定義は、骨が壊れることです。
ということは、骨がへこむ・部分的に欠ける・ヒビが入るなど全てを骨折と呼ぶことができるわけです。
力が骨に加えられると、骨折につながります。
骨の状態が健康な人の場合、大きな負荷がかかったとしても骨折をしません。
一方、骨が部分的にでも溶けていたり全体的に弱っていると、微弱な力しか加えられていないのに骨折する、病的骨折と呼ばれる状態になります。
骨が健康であり、加えられる力が微弱なものであったとしても、長い期間に渡って継続的に同一部位へ力が加え続けられれば骨折する可能性もあります。これを疲労骨折と呼んでいます。
骨折の治療方法
生きた細胞が骨の内部にありますから、いくら骨折を負ったとしても治癒する能力を持っています。
ただ、条件が揃っていないと骨が着くことはありません。
骨の折れ方や折れた箇所がどこかなどによって、回復の仕方に差が生じます。
骨が着きやすい条件は、骨折部分に元気な細胞が豊富にある・患部が動きの少ない部位である・骨折部分のズレがわずかであるなどです。
疲労骨折
疲労骨折は足首(内側)の痛みの症状だけでなく、体のさまざまな場所に発症する疾患です。
腰椎(ようつい・腰のこと)を除き、疲労骨折がよく発生する部位は以下の割合となります。
- 中足骨(ちゅうそくこつ・足の指の骨よりかかと側にある骨)35%
- 脛骨(けいこつ・足首と膝の間にある長い骨)27%
- 肋骨(ろっこつ・あばら骨)12%
- 腓骨(ひこつ・足首と膝の間にある長い骨で、脛骨ではない方の骨)9%
- 大腿骨(だいたいこつ・太もものこと)3%
- 尺骨(しゃっこつ・腕に2本ある長い骨の内の1本)3%
- 足関節内果(あしかんせつないか・内くるぶしのこと)3%
疲労骨折は全身にさまざまな関節に生じますが、特に足首に多いことがわかります。
疲労骨折の原因
骨折というと一般的には1度受けた大きな外傷による疾患を現しますが、疲労骨折の場合は骨の同一部位に何度もかかるわずかな負荷が原因となって骨にヒビが入ったり、また入ったヒビが進行したことで骨折することです。
骨折は元からもろい骨であるのに対し、疲労骨折は健康な骨であっても発症する可能性があるものです。
アスリートの方の疲労骨折は、環境側と選手側の療法に疲労骨折の発症原因が考えられます。
環境側に考えられる原因 ──
- 練習場が柔らか過ぎる、または固すぎる
- オーバートレーニング
- 足に合っていないシューズ
- 選手の技術や体力に適さない練習内容など
選手側に考えられる原因 ──
- 体の柔軟性が不足している
- 技術の未熟さ
- バランスが取れていない筋力
- 筋力不足など
疲労骨折の治療方法
疲労骨折は、明らかな外傷が見当たらず、痛みが慢性的に発症している場合に疑われ、レントゲン(X線)検査や骨シンチグラフィー、MRI検査などが行われます。
検査の結果疲労骨折だと診断されると、患部を安静にすることでたいていは回復します。
ただ、難治性の疲労骨折の場合は安静にしているだけでは改善が難しいので、手術による治療が行われます。
疲労骨折への対応は、医療現場で適切な診断や治療を受けるだけでは不十分です。
原因をしっかり見極め、同じことを繰り返さないようにトレーニングの見直しなどを行うことが求められます。
単調なトレーニングカリキュラムにならないように組み直し、過度な量にならないよう調整しつつ、コンディションを日常的に整えることも忘れないようにしてみてください。
小児足関節捻挫(しょうにそくかんせつねんざ)
小児足関節捻挫は、小児がスポーツ中などに足首をひねってしまい、付着部の骨を痛めたり、足関節周りにある靭帯を損傷するケガです。
患部の位置によっては外くるぶしの前側、下側、真上に痛みの症状が現れます。
痛みが強すぎるあまり体重をかけられない・皮下出血が多い・腫れがひどいなどの場合は重症の可能性が考えられます。
小児足関節捻挫の原因
小児足関節捻挫を発症する原因は、日常生活のさまざまなところにあります。
段差やくぼみで足を取られたり、サッカーや野球などのスポーツを楽しんでいる最中の負傷してしまうこともあります。
たいていは内がえし捻挫と呼ばれる、足首を内側方向へひねったことが原因で発症するケースです。
内がえし捻挫は足首の外側にある靭帯を痛めるものですが、小児が負傷した場合はまだ身体に成長線(骨端線・こったんせん)がありますので大人と違いがあります。
成長段階にあることから骨化が仕上がっていないことから、実質的に靭帯が断裂することがほとんどありません。
小児の場合は成長線が損傷を受けたり、靭帯の付着部で軟骨や裂離骨片(れつりこっぺん)の裂離を同時に起こすケースもあります。
後々裂離骨片が残ってしまい、足関節が緩んだままになってしまうことも考えられます。
小児足関節捻挫の治療方法
小児足関節捻挫を負ったばかりでは、安静・冷却・圧迫・拳上(けんじょう)の頭文字を取ったRICE処置が適しています。
病態に応じて、保存療法や手術療法が行われます。
治ったら予防に取り組もう
足首(内側)の痛みは上記にお伝えした疾患の他にも、アキレス腱付着部症(ふちゃくぶしょう)・足関節外側靭帯損傷(足関節捻挫)・変形性足関節症(へんけいせいそくかんせつしょう)・ガングリオン・先天性内反足などの可能性が考えられます。
本当はどんな病気で足首が痛いのか原因を知るためには、やはり病院で専門医に診断してもらうのが一番です。
適切な治療を受けたあとは二度と痛い思いをしないですむよう、テーピングやサポーターを利用したり、スポーツ選手の方は練習カリキュラムの見直しをしたり、フィットする靴に換えるなど予防に取り組んでください。