心不全とは心臓の働きが弱くなってしまった時に体に出る症状のことをいい、厳密には病名ではありません。
心臓は人間の体の中でポンプのように血液をすみずみまで送り、更に一度集める役割をしています。
その心臓のポンプが弱くなってしまうことで、体の様々な部分で症状が現れてしまいます。
症状もその心不全の進行状況やどの部分に出ているかで様々なものがあります。

原因は様々なきっかけがある

原因は非常に様々ですが、まずは心不全とは心臓で何が起こっているかを知っておく必要があります。

人間の体での心臓の役目

人間には心臓が不可欠ですが、その理由は心臓が体全体に酸素と栄養を運ぶポンプの役割をしているためです。

血液を体全体へ送り、更に体から古い血液を受け取る役割ももっています。
体全体を巡る血液が心臓を通していることで、栄養のある新鮮な血液が体全体に送られているのです。
心臓は右と左に別れており、左は体内の血液を集め、右で体内に血液を送るのが一般的です。
また心臓が体に送り出す血液の量を心拍数といいます。

心臓が弱まるとどうなるか?

心拍数が弱まると人間の体は命の危険が出てくるため、心臓が弱まっても生命を維持するための働きが心臓にはあります。

一回に送る量が減った場合には送る回数を増やして、合計の量を調整するようになっています。
他にも心臓内の血液量を多くして心臓自体を大きくし、多くの血液を送るようになることもあります。
一時的にこのような状態になることは問題ありませんが、長期的に続いてしまうことで、心臓へ負担がかかってしまいます。

心臓に負担がかかってしまうことで、体に送る血液の量が保つことができず、体に不調として現れます。
この心臓の働きが不調となり体に影響が出ている状態が心不全です。

心筋梗塞(しんきんこうそく)など他の病気が原因

原因は様々ですが、主には心臓や血液に関する他の病気が元で心臓に負担がかかってしまうことが多いです。
原因となる病気にはまた別の原因がありますので、一概に何が原因というのは難しいです。

元になる病気としては心臓の筋肉に血液を送る機能が下がってしまう虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)があります。
虚血性心疾患の中で、血液が狭くなる病気を狭心症(きょうしんしょう)、塞がった病気を心筋梗塞といいます。

心臓は左右の中でも2つずつ分かれており、その中で逆流しないためのフタの役割の弁が異常を起こしている病気を弁膜症(べんまくしょう)といいます。
この弁膜症も原因の病気のひとつです。

他にも、高血圧や不整脈、生まれながらに心臓の病気を持っているなどがあります。

原因だけでなく誘因(ゆういん)も注意

心臓の機能は低下していても体の調子は安定しているケースもありますが、それを急激に変化させるきっかけを誘因と言います。
誘因としては、薬や食事制限などをやめてしまう治療の中断や病気の感染、他の病気で飲んだ薬の副作用などがあります。

冬に起きやすい心不全

冬は血圧が上がったり塩分が多くなったりなどという理由から、心不全となるのが多い傾向があります。

心不全は、心臓の機能が低下して全身に水がたまる病気です。特に胸や肺に水が溜まると呼吸が苦しくなります。心筋梗塞や高血圧など心臓の機能が低下する原因はいろいろありますが、そのような人が塩分水分をとりすぎたり、血圧を上げたり、風邪をひいたりすると心不全が起こりやすくなります。寒い冬に多いのは、血圧が上がることや塩分をとり過ぎることのほかに、風邪をひきやすいことも非常に関連しています。
引用元 佐賀県医療センター好生館(http://www.koseikan.jp/index.html)

心不全だけでなく、冬は心臓関連の病気が発症しやすいです。
防ぐためには、

  • 室内を暖かくする、特に冷えやすい浴室やトイレなど
  • 外出時にはマフラー、手袋で防寒を
  • 食べ過ぎに注意し、アルコールや塩分を控えめに
  • 風邪の対策をする
    といったことが大切です。

歳のせいにしまいがちな症状

心不全の特徴として主に高齢者に多く、心不全により様々な症状が出るため、再入院が多い傾向があります。

体のどこに異常が出ているかで症状も異なっており、症状が出る前から実は体の中で不調は進行しています。
加齢によるものと思いやすい症状が多いため、体の異常とは気が付かずに発見が遅れてしまうことがあります。
これらの症状のいずれかを感じるようになったら、早めに診断することが心不全の早期発見につながります。

各臓器のうっ血

うっ血とはポンプの役割をしている心臓が、古い血を心臓に集められずに体の中にためてしまっている状態のことをいいます。

肺のうっ血ででる症状は

  • 息苦しさ
  • 呼吸の回数が増える
  • ゼイゼイ、ヒューヒューという息が出る
  • 起きたり座っていると楽だが、寝ていると呼吸が苦しい
    などがあり、肝臓や胃腸のうっ血では
  • 食後のお腹の張り
  • 鈍い痛み
    といった症状が出ます。

心拍数低下による症状

心拍数が弱くなると全身に送られる血液の量が減ってしまい、下記のような症状が出ます。

  • ドキドキする
  • 疲労感
  • 低血圧
  • 冷や汗
  • 手足に血が充分に渡らず、青白くなる
  • 意識障害
  • 尿の量が減る

右心不全の場合

心不全は心臓の片方だけがなることもあります。
血液を集めている左の心臓が心不全の状態が続くと、全身に血液を送っている右の心臓も心不全となり、両方が心不全となります。
右の心不全の症状は

  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 便秘
  • お腹の中に水がたまる
  • 足首から上のむくみ
    という症状が出ます。

なぜ浮腫(むくみ)が起こるのか

足の浮腫から心不全が見つかることもあります。
浮腫は血液が溜まってしまうことで発生するケースが多いです。
心不全で発生する理由としては、足まで行った血液が心臓の血液を集める力が弱まってしまい、足に血液がたまってしまうためです。
体の中でも下の部分となる足はたまりがちになります。


引用元: 横浜血管クリニック(https://yokohama-kekkan.com/)

病態にあわせ治療も様々

治療方法はその原因や病態により様々ですが、心不全は急性と慢性の2種類があり、その違いや進行状況、症状が出ている部分などで治療方法は異なります。
「この症状だから心不全」とは一口に言えないため、様々な検査を行って心不全なのか、またどのような病態であるのか、ということを判断して治療方針を決めていきます。

心不全かどうかを診断するためには、まず、息切れや動悸といった心不全特有の症状があるか問診を行い、さらに、聴診、胸部X線検査、心電図検査、心エコー検査、血液検査などのさまざまな検査を行って、総合的に判断します。
引用元 日本心臓財団(http://www.jhf.or.jp/heart_failure/10.html)

様々な検査で、ガイドラインを元に段階を確認

日本循環器学会でもケースに合わせた治療のガイドラインが用意されており、進行状況によりいくつかに分類されます。
血液検査では脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)という値を参考にし、主にはこれが多いほど重症の心不全とされます。
ただし他の症状なども参考に段階を決定します。

引用元: 日本心不全学会(http://www.asas.or.jp/jhfs/index.html)

急性と慢性

心臓の働きがどのように低下したかで、慢性心不全と急性心不全に分けられます。

急性心不全は症状は今まで感じなかったけれど、急に症状が悪化した状態で、突然死の原因につながるケースもあります。

慢性心不全は、ある程度症状は出ているものの体のバランスがとれている状態で、生活を見直すことが治療に必要です。
医者の指示の元、薬と合わせて運動などを行います。

慢性心不全では、運動は予後を改善することが知られています。但し、適度な運動量であることが重要で、無理な運動はかえって悪影響が生じますので医師の指示の基で行うことが大切です。
引用元 蒲田内科クリニック(http://kamata-cl.jp/)

処方される薬

余計な水分を取り除く利尿剤と心臓の動きを助けるジギリタス製剤が主に処方されます。
他にも心臓の負担を軽くする薬などがあります。
こうした心不全の際に出される薬は、一時的に症状が良くなることが多いですが、心不全が完治しているとは限りません。
多くの場合は薬によって症状が落ち着いているだけですので、薬を中断しないようにしましょう。

心不全になると不整脈が現れていることが多いです。
不整脈にも様々あり、危険な不整脈とそうでないものがあります。
危険な不整脈であれば治療を行いますが、危機性の低い不整脈には薬を処方しないこともあります。

重症では手術になるケースも

心不全のため手術となりこともありますが、重症になれば必ず手術というわけではありません。
手術が向いている症状や個人差もあり、お医者さんが判断し手術できなそうな場合にのみ行います。
手術内容としては、主に心臓の人口の血液の通り道をつくったり、心臓の大きさを小さくする手術などがあります。

ペースメーカーを入れたり心臓移植となることも

大きく心臓機能が低下していると、完全な治療というのは難しくなってきます。
この低下した心臓を人工的に補助するのが心臓ペースメーカーです。
ペースメーカーにも種類があり、心臓のペースを正常に戻すものもあれば、両心室ペーシングといって、心臓のポンプの力をあげるものもあります。
主に心不全では両心室ペーシングを使用します。

塩分や水分制限がかかることが多い

体の中の血液がたまってしまい、体内に水分が増えてしまっている場合もあります。
その際には、厳重に塩分、水分などの制限を指示されることもあります。
塩分や水分なんてそれほど変わらないのでは?と思う方もいますが、体の血液の状況が通常と異なる心不全の患者は、水分や塩分はとても影響が大きくなることがあります。
水分や塩分を医師の指示を守らずにとってしまったことから、安定していたのに急に悪化して、救急車で運ばれることになった、というケースもあります。
病態にもよりますので、不安な方はお医者さんに相談をしましょう。

しかし当院の経験から、心不全が悪化するもっとも多い原因は、患者さんが無意識のうちに水分を過量に摂取していることです。「水の入りを制すれば」心不全悪化を相当程度に予防することが可能になるでしょう。
引用元 けやき坂クリニック(http://www.keyakizaka.com/column/cardiology/025-chf-water-toxin/)

重度の余命は短いとされている

心不全はいくつかの段階がありますが、重度になると余命は短くなってしまうことが多いです。
いかに早く見つけて治療できるか、ということが重要になってきます。

心不全の重症度分類はニューヨーク心臓病協会(NYHA)のものがよく使われています。重症度のIV度になった心不全患者は二年以内に五〇%が亡くなるといわれています。また、III度でも一度IV度を経験している患者の五年生存率は約五〇%といわれています。ですから、できるだけ軽症I、II度の段階にとどめて、重症化しないように早期から治療する必要があります。
引用元 日本心臓財団(http://www.jhf.or.jp/)

在宅看護を行うという選択も

心不全は入院することもありますが、心不全自体が治らずに再入院となるケースもよくあります。
入院をしていない場合には在宅治療をすることになり、症状が現れたら病院に行くということになります。

ですが、在宅でリハビリや訪問看護を受けることのできる病院もあります。
特に訪問看護を受けている在宅患者は再入院となる確率が低いとされています。
できるだけ再入院したくないという場合、在宅で治療を受けるということも病院や医師と相談してみましょう。

プロによる観察項目(かんさつこうもく)

観察項目といって、看護師が患者に対し病気によって見る項目というのがあります。
この観察項目を素人が行うのは難しいですが、在宅治療で観察項目を確認し、症状の発症を防ぐことができます。

高齢者は早めに検査を

心不全は体の臓器で重要な心臓が元で起こります。
症状として疑わしいものがあった場合、特に高齢者であれば早めに検診での発見が余命を長くするうえで大切なことです。
また心不全に関する病気を診断された場合、決して自分の判断で薬をやめたりせず、医師の指示の通りに治療を続けましょう。
これは運動も同様で、運動が体に良いからと勝手に行うことで心臓に負担がかかり症状が悪化することもあります。

早めに健康診断をして、発症してもしっかりと医師の指示を守ることが大切です。

スポンサードリンク

スポンサードリンク